
決算が赤字になると、「もう銀行から融資を受けられないのではないか」「次の運転資金を確保できるだろうか」と不安になる経営者の方も多いのではないでしょうか。
確かに、赤字決算は融資審査においてマイナス要因の一つとなります。
しかし、赤字だからといって、必ずしも融資を受けられなくなるわけではありません。
金融機関は、赤字になった原因や継続期間だけでなく、債務超過の有無、借入金の返済能力、資金繰り、本業の収益力、今後の改善見通しなどを総合的に見て融資を判断します。
そのため、一時的な要因による赤字で、今後の業績回復が見込める会社であれば、赤字決算でも融資を受けられる可能性があります。
一方、2期・3期と赤字が続き、債務超過や資金繰りの悪化まで生じている場合には、新規融資だけで資金繰りを維持することが難しくなるケースもあります。
このような段階では、追加融資を探すだけでなく、既存借入金の返済条件の見直しや事業再生なども含めて検討することが重要です。
本記事では、
- 赤字決算が融資審査に与える影響
- 金融機関が融資審査で確認するポイント
- 2期・3期連続赤字の場合に起こること
- 赤字でも融資を受けられる可能性がある会社の特徴
- 赤字企業が検討できる資金調達方法
- 赤字が続き、追加融資が難しくなった場合の対応策
について、企業再生の実務的な視点から解説します。
「今期も赤字になりそうで、次の融資が不安」
「借入金の返済負担が重く、資金繰りが厳しい」
「銀行の対応が以前より厳しくなってきた」
という経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
ジーケーパートナーズでは、中小企業活性化協議会の外部専門家として、財務・事業デューデリジェンスや再生計画の策定など、数多くの企業再生を支援してきました。
赤字が続き追加融資が難しくなっている場合でも、資金繰りや借入金の状況を整理したうえで、金融機関との調整や返済条件の見直し、再生型M&Aなども含め、状況に応じた対応策を検討します。
「次の融資を受けられるか不安」「借入金の返済負担が重く、資金繰りが厳しい」とお悩みの経営者の方は、ぜひ無料個別相談をご利用ください。
赤字決算の会社でも融資は受けられる
赤字決算になると、一般的に銀行融資の審査は慎重になります。
ただし、赤字であることだけを理由に、融資を受けられなくなるわけではありません。
金融機関は、赤字になった原因や金額、赤字の継続期間に加え、本業の収益力、債務超過の有無、借入金の返済能力、資金繰り、今後の改善見通しなどを総合的に判断します。
例えば、一時的な設備投資や特別損失などによる単年度の赤字で、翌期以降の業績回復が見込める場合には、融資を受けられる可能性があります。
一方、本業の不振による赤字が2期・3期と続いている場合や、債務超過・資金繰りの悪化が生じている場合には、金融機関の審査はより慎重になります。
融資額や返済条件について厳しく判断されたり、事業計画や資金繰り表などの追加資料を求められたりすることもあります。
そのため、赤字企業の融資では「赤字かどうか」だけでなく、なぜ赤字になったのか、今後どのように改善し、借入金を返済していくのかを説明できることが重要です。
銀行が赤字の会社への融資に慎重な理由
銀行が赤字の会社への融資に慎重になる主な理由は、借入金を返済するための原資を継続的に確保できるかを慎重に見極める必要があるためです。
銀行は融資審査において、決算書や資金繰り、事業計画などをもとに、会社の収益力や財務状況、今後の返済可能性を確認します。
特に重要なのが、本業から安定して利益やキャッシュを生み出し、借入金の返済に充てられるかという点です。
赤字決算の場合、十分な返済原資を確保できていない可能性があるため、銀行は「今後の返済を継続できるか」「さらに借入金が増えても資金繰りに問題がないか」を慎重に判断します。
特に、本業の収益力が低下し、借入金の返済を新たな借入れに依存しているような状況では、追加融資の審査はより厳しくなる可能性があります。
このように、銀行が赤字企業への融資に慎重になるのは、単に「決算が赤字だから」ではなく、将来にわたって返済原資を確保できるかを見極める必要があるためです。
2期・3期連続で会社が赤字だと融資はどうなる?
赤字が複数期にわたって続くと、一時的な業績悪化ではなく、本業の収益力や事業構造に問題がある可能性も考えられるため、金融機関の融資審査はより慎重になる傾向があります。
ただし、「2期連続なら融資可能」「3期連続なら融資を受けられない」といった明確な基準があるわけではありません。
金融機関は赤字の継続期間だけでなく、赤字の原因や改善状況、債務超過の有無、借入金の返済能力、資金繰りなどを総合的に判断します。
ここでは、2期・3期と赤字が続いた場合に、融資審査でどのような点が重視されるのかをそれぞれ解説します。
2期連続赤字では改善の見通しがより重視される
2期連続で赤字になった場合でも、新規融資を受けられる可能性がなくなるわけではありません。
ただし、赤字が複数期にわたって続いていることから、金融機関は「一時的な業績悪化なのか」「本業の収益力に問題が生じているのか」をより慎重に確認するようになります。
そのため、決算書だけでなく、直近の試算表や資金繰り表、今後の収益改善策を示した事業計画などの提出を求められることがあります。
この段階では、赤字の原因を明確にしたうえで、どのように収益を改善し、借入金の返済原資を確保していくのかを具体的に説明できることが重要です。
3期連続赤字では収益力や返済能力をより慎重に見られる
3期連続で赤字が続いている場合も、それだけを理由に融資を受けられなくなるわけではありません。
一方で、赤字が長期化していることから、一時的な要因ではなく、本業の収益力や事業構造に問題を抱えている可能性について、より慎重に確認されることになります。
特に、赤字の継続によって純資産が減少している場合や、債務超過に陥っている場合、借入金の返済負担によって資金繰りが悪化している場合には、新規融資が難しくなる可能性が高まります。
このような状況では、「追加融資を受けられるか」だけを考えるのではなく、今後の収益改善によって既存の借入金を返済できるのかを検証することが重要です。
追加融資だけでは資金繰りの改善が難しい場合には、経営改善計画の策定や金融機関との返済条件の調整など、財務体質そのものを立て直す方法も検討する必要があります。
赤字でも融資を受けられる可能性がある会社の特徴
赤字決算であっても、その原因や財務状況、今後の改善見通しによって、金融機関の判断は異なります。
特に、赤字の原因を明確に説明でき、返済能力や今後の業績回復について合理的な根拠を示せる場合には、赤字であっても融資を受けられる可能性があります。
例えば、次のようなケースです。
- 一時的・特殊な要因によって赤字になっている
- 本業の収益力が維持されている
- 黒字化に向けた具体的な改善計画を示せる
重要なのは、単に「来期は黒字になる」と説明することではありません。
金融機関に対して、なぜ赤字になったのか、現在どの程度まで改善しているのか、今後どのように利益やキャッシュを確保し、借入金を返済していくのかを、試算表や資金繰り表、事業計画などを用いて具体的に示すことが重要です。
それぞれについて、以下で詳しく解説します。
一時的・特殊な要因によって赤字になっている
災害や固定資産の売却損など、一時的・特殊な要因によって赤字になった場合は、本業の収益悪化による赤字とは区別して判断されることがあります。
例えば、営業利益は黒字であっても、固定資産の売却損や災害による損失などが発生し、最終的な当期純利益が赤字になるケースがあります。
このような場合、本業で一定の収益を確保できており、一時的な損失を除けば返済原資を確保できると判断されれば、赤字決算であっても融資を受けられる可能性があります。
そのため、金融機関には決算書や関連資料をもとに、赤字の原因とその影響が一時的なものであることを具体的に説明することが重要です。
本業の収益力が維持されている
赤字決算であっても、本業に一定の収益力があり、今後も継続して利益やキャッシュを生み出せると判断される場合には、融資を受けられる可能性があります。
金融機関が融資審査で重視するのは、決算上の赤字・黒字だけではなく、借入金を返済するための原資を継続的に確保できるかという点です。
そのため、売上や利益が回復傾向にある場合や、直近の試算表では業績が改善している場合などは、決算書だけでは把握できない足元の収益状況も重要な判断材料となります。
一方、赤字決算に加えて本業の収益力も低下し、借入金の返済を新たな借入れに依存しているような状況では、追加融資を受けることが難しくなる可能性があります。
赤字企業が融資を検討する際には、過去の決算だけでなく、現在の収益力と今後どのように返済原資を確保していくのかを具体的に示すことが重要です。
黒字化に向けた具体的な改善計画を示せる
現在は赤字であっても、黒字化に向けた具体的な改善計画を示せる場合には、今後の返済能力を判断するうえでプラスの材料となる可能性があります。
例えば、新規契約の獲得が決まっている、主要取引先からの受注増加が見込まれる、採算の悪い事業から撤退する、固定費の削減を進めているなど、収益改善につながる具体的な取り組みがあるケースです。
重要なのは、単に「来期は売上が増える」「黒字化できる」と説明するのではなく、その根拠を示すことです。
契約書や発注書、直近の試算表などの客観的な資料に加え、売上・利益の改善見通しや資金繰りを事業計画に落とし込むことで、改善計画の実現可能性を説明しやすくなります。
金融機関は現在の赤字だけでなく、今後どのように収益を改善し、借入金の返済原資を確保していくのかも確認します。そのため、具体的な数値と根拠をもって改善の道筋を示すことが重要です。
赤字決算の会社が検討できる資金調達方法
赤字決算であっても、会社の財務状況や赤字の原因、今後の改善見通しなどによっては、資金調達を検討できる場合があります。
代表的な選択肢として、次のような方法があります。
- 日本政策金融公庫の融資制度
- 信用保証協会の保証付き融資
- ファクタリング
ただし、赤字企業であればこれらの制度を必ず利用できるわけではありません。日本政策金融公庫や信用保証協会の保証付き融資についても審査があり、返済能力や事業の見通しなどが確認されます。
また、資金繰りが厳しい場合には、「調達できるか」だけでなく、新たな資金調達によって資金繰りを改善できるのかを検討することも重要です。
特に、赤字が長期化して借入金の返済負担が重くなっている場合には、新たな借入れによって一時的に資金を確保しても、根本的な解決にならないことがあります。
それぞれの特徴と注意点について、以下で詳しく解説します。
日本政策金融公庫の融資制度
赤字決算の会社が資金調達を検討する場合、日本政策金融公庫の融資制度が選択肢となることがあります。
その一つが、セーフティネット貸付の「経営環境変化対応資金」です。
経営環境変化対応資金は、社会的・経済的な環境変化などの外的要因によって一時的に売上減少などの業況悪化が生じているものの、中長期的には業況の回復・発展が見込まれる事業者を対象としています。
利用するためには、売上高の減少や利益の悪化など所定の要件を満たす必要があり、赤字決算であることだけを理由に利用できる制度ではありません。
また、融資にあたっては審査が行われるため、業況が悪化した原因に加え、今後どのように収益や資金繰りを改善し、返済していくのかを具体的に説明することが重要です。
赤字決算で民間金融機関からの資金調達が難しくなっている場合には、自社が対象となる制度がないか、日本政策金融公庫に相談してみるのも一つの方法です。
出典元:日本政策金融公庫|経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)
信用保証協会の保証付き融資
信用保証協会の保証付き融資も、赤字決算の会社が検討できる資金調達方法の一つです。
信用保証協会は、中小企業・小規模事業者が金融機関から融資を受ける際に、公的な保証人となって資金調達を支援する機関です。
保証付き融資では、事業者が返済できなくなった場合、信用保証協会が金融機関に対して代位弁済を行います。
これにより、金融機関は信用リスクの一部を抑えて融資を検討することができます。
そのため、金融機関がすべての信用リスクを負うプロパー融資とは異なる資金調達の選択肢として、保証付き融資を検討できる場合があります。
ただし、全ての会社が必ず保証を受けられるわけではありません。
利用にあたっては信用保証協会や金融機関による審査があり、財務状況や資金使途、返済能力、今後の事業見通しなどが確認されます。
また、信用保証協会による代位弁済が行われても、事業者の返済義務そのものがなくなるわけではありません。
代位弁済後は、信用保証協会に対して返済していくことになります。
保証料などの利用条件も含め、具体的な制度については、各地域の信用保証協会や取引金融機関に確認しましょう。
ファクタリング
融資以外の資金調達方法として、ファクタリングを検討できる場合があります。
ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却し、支払期日前に資金化する仕組みです。
借入れではないため、銀行融資とは異なる方法で資金を確保できる点が特徴です。
一般的に、利用企業の決算内容だけでなく、売掛先の信用力や売掛債権の内容などをもとに審査されるため、赤字決算の会社でも利用できる場合があります。
一方、ファクタリングを利用すると手数料が発生するため、本来受け取れる売掛金の額よりも手元に残る資金は少なくなります。
特に、資金繰りが厳しい状態でファクタリングを繰り返し利用すると、将来入金されるはずの売掛金を前倒しで資金化し続けることになり、かえって資金繰りを圧迫する可能性があります。
そのため、ファクタリングは一時的な資金不足への対応策となる場合はありますが、慢性的な赤字や過大な借入金による資金繰り悪化を根本的に解決する方法ではありません。
利用を検討する際には、手数料や契約条件を十分に確認するとともに、資金繰り悪化の原因そのものを見直すことが重要です。
会社の赤字が続き融資が難しい場合の対応策
赤字が複数期にわたって続き、追加融資を受けることが難しくなっている場合は、新たな資金調達先を探すだけでなく、収益構造や借入金の返済負担を含めて、財務状況そのものを見直す必要があります。
特に、本業の赤字が続いている、借入金の返済負担が重い、債務超過に陥っている、追加融資がなければ資金繰りを維持できないといった状況では、新たな借入れによって一時的に資金を確保しても、根本的な解決にならない可能性があります。
このような場合には、まず資金繰りや収益状況を把握したうえで、経営改善計画の策定や金融機関との返済条件の見直し(リスケジュール)などを検討します。
さらに、既存の借入負担が大きく、自力での改善が難しい場合には、DDS(デット・デット・スワップ)などを活用した金融支援や、私的整理、再生型M&A、事業譲渡・会社分割などを組み合わせた抜本的な事業再生が選択肢となる場合もあります。
重要なのは、「どこから追加融資を受けるか」だけではなく、現在の収益力で既存の借入金を返済していけるのかを見極めることです。
資金が不足してからでは選択できる方法が限られるため、追加融資が難しくなってきた段階で、早めに財務状況と今後の対応策を整理することが重要です。
DDSについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:DDSとは?金融・事業再生の仕組みやDESとの違い、メリットを専門家が解説
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まとめ
赤字決算は融資審査においてマイナス要因の一つとなりますが、赤字であることだけを理由に、融資を受けられなくなるわけではありません。
金融機関は、赤字の原因や継続期間だけでなく、本業の収益力、債務超過の有無、借入金の返済能力、資金繰り、今後の改善見通しなどを総合的に判断します。
そのため、一時的な要因による赤字や、足元の業績が改善している場合などは、事業計画や資金繰り表などを用いて今後の返済見通しを具体的に説明することが重要です。
一方、赤字が長期化し、借入金の返済負担や債務超過、資金繰りの悪化といった問題が生じている場合には、追加融資だけでは根本的な解決にならないことがあります。
このような状況では、新たな資金調達先を探すだけでなく、収益改善や返済条件の見直し、事業再生なども含めて今後の対応を検討する必要があります。
重要なのは、「融資を受けられるか」だけではなく、「現在の収益力で借入金を返済しながら事業を継続できるか」を見極めることです。
資金繰りがさらに厳しくなる前に自社の財務状況を把握し、必要に応じて早めに金融機関や専門家へ相談することが、経営を立て直すための第一歩となります。
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