お電話はこちら
お電話はこちら
お問い合わせフォーム

メディア担当 の記事一覧

メディア担当の投稿


ビジネスローンは債務超過企業でも利用できる?

business-loan-solvency-deficit

債務超過とは、会社の負債が資産を上回る状態を指し、多くの中小企業が直面する深刻な経営課題です。

このような状況では、金融機関から新たな融資を受けることが難しく、資金繰りに大きな制約が生じます。

しかし、適切な対策を講じれば、ビジネスローンなどを活用して一時的な資金調達の可能性を広げることもできます。

とはいえ、ビジネスローンの利用はあくまで応急処置であり、根本的な債務超過の解消には至りません。

本記事では、債務超過企業がビジネスローンを活用する際の注意点と、資金繰り改善のために検討すべき具体的な手段、さらに長期的に経営を再建するための根本的な改善策について解説します。

債務超過や借入金の問題は、経営者様お一人で抱え込む必要はありません。

企業再生の専門家であるジーケーパートナーズが、状況に応じた解決策をご提案します。

まずはお気軽に、無料個別相談会をご利用ください。

無料個別相談会のご予約はこちら

 

債務超過企業がビジネスローン融資を受ける3つの方法

債務超過の状況にある企業でも、戦略的に準備を行えば融資を受けられる可能性は残されています。

特に、銀行融資と比べて審査基準が柔軟なビジネスローンは、資金繰りに悩む中小企業にとって有効な選択肢となり得ます。

代表的な方法には次のようなものがあります。

      • 決算書不要型ビジネスローンの活用
      • AGビジネスサポートなど独自審査型の活用
      • 有担保型ビジネスローンの検討

これらの方法を正しく組み合わせることで、債務超過の企業でも一時的な資金調達の道を開くことができます。

ただし、ビジネスローンは根本的な債務超過の解消策ではないため、必ず経営改善と並行して検討することが重要です。

1.決算書不要型ビジネスローンの活用

決算書不要型のビジネスローンは、債務超過状態そのものを直接審査されないというメリットがあります。

審査では、売上データや今後の事業計画といった「将来の収益力」に重点が置かれるため、決算が赤字でも利用できる可能性があるのです。

特に、ネット銀行やノンバンク系の金融機関では、以下のような点を重視するケースが多く見られます。

      • 売掛金の回収状況が安定しているか
      • 今後の取引や契約から、収益が見込めるか
      • 営業実績やキャッシュフローが改善傾向にあるか

このように、過去の財務内容ではなく「事業の将来性」で評価されるため、債務超過企業にとって一時的な資金調達の突破口となる可能性があります。

ただし、金利や返済条件が銀行融資より厳しいケースもあるため、利用の際には慎重な検討が必要です。

2.AGビジネスサポートなど独自審査型の活用

AGビジネスサポートは、債務超過だからといって一律に融資を断ることはありません。

過去の財務内容だけでなく、現在の業況や今後の収益性を重視し、1〜2年以内に債務超過を解消できる見込みがあれば前向きに審査してくれるのが特徴です。

主な条件は以下の通りです。

      • 金利:3.1%〜18.0%
      • 融資額:50万円〜1,000万円
      • スピード対応:最短で即日融資にも対応

そのため、「銀行融資を断られたが、当面の資金繰りを確保したい」という企業にとって、有力な選択肢となり得ます。

ただし、金利は幅が広いため、自社の返済可能性や資金計画と照らし合わせて慎重に検討することが重要です。

3.有担保型ビジネスローンの検討

事業用不動産や設備、売掛金などを担保として差し入れることで、債務超過の企業でも融資を受けやすくなります。

担保価値が借入希望額を上回る場合、金融機関にとってリスクが軽減されるため、審査に通過できる可能性が大幅に高まるのです。

また、一般的な銀行融資に加え、MRFやファンドワンといった担保付き大口融資に対応するビジネスローン会社を選択肢に入れることも可能です。

特に「短期間でまとまった資金が必要」というケースでは、有効な調達手段となり得ます。

ただし、担保を差し入れる場合は以下の点に注意が必要です。

      • 担保評価は市場価格よりも低めに見積もられる傾向がある
      • 返済が滞ると担保を失うリスクがある
      • 金利や諸費用が高くなるケースもある

担保付き融資は有効な資金調達策ですが、返済計画とリスク管理を慎重に行うことが重要です。

債務超過企業における資金調達の実際や、融資以外の解決策について網羅的に知りたい方は、以下の記事も参考になります。

関連記事|債務超過企業でもM&Aは可能!成功のための5つのステップ

 

債務超過を根本的に解消する6つの対策

ビジネスローンによる一時的な資金調達だけでは、債務超過を根本的に解消することはできません。

企業が持続的に成長していくためには、財務体質そのものを改善する取り組みが不可欠です。

代表的な対策として、以下のような方法が挙げられます。

      • 売上増加と利益改善による資産増強
      • 増資による資本金の増額
      • 債務免除交渉の実施
      • DES(デット・エクイティ・スワップ)の活用
      • 資産売却による負債削減
      • 法的整理手続きの検討

これらの施策を状況に応じて組み合わせることで、財務改善と企業価値の向上を同時に図ることが可能です。

なお、ジーケーパートナーズでは、中小企業活性化協議会の外部専門家として培った豊富な実績をもとに、債務超過解消に向けた最適な方法をご提案しています。

「どこから手をつければよいのか分からない」「金融機関との交渉が不安」といったお悩みをお持ちの経営者様も、どうぞご安心ください。

債務超過の状態を放置すれば、資金繰りの悪化や取引先からの信用低下につながりかねません。

早めに専門家へ相談することが、会社を守る第一歩です。

無料個別相談会のご予約はこちら

1.売上増加と利益改善による資産増強

債務超過は、負債が資産を上回る状況を指しますが、資産を増やし純資産を改善することで解消につなげることが可能です。

そのためには、経営状況を見直し、売上増加と支出削減によって利益を積み上げ、貸借対照表を改善していくことが重要です。

具体的な取り組みとしては、以下のような方法が挙げられます。

      • マーケティング戦略の見直し
        →既存顧客のリピート強化や新規顧客開拓により、売上基盤を拡大する。
      • 新商品・新サービスの開発
        →高収益モデルを確立し、利益率の改善を図る。
      • 業務効率化の推進
        →IT導入やプロセス改善により、固定費・人件費を削減し、利益体質を強化する。

こうした取り組みを継続的に実行することで、持続的な利益創出体制を構築し、債務超過の解消へとつなげることができます。

2.増資による資本金の増額

新株発行や経営陣からの追加出資、役員借入金の資本組み換えなどによって、自己資本を増強する方法があります。

また、場合によっては投資ファンドからの出資を受け入れることも選択肢となります。

ただし、ファンド出資には経営権移転や経営方針の制約といったリスクが伴うため、慎重な判断が不可欠です。

このような資本増強策は、一時的に債務超過を解消する効果がありますが、同時に根本的な収益改善との組み合わせがなければ、再び債務超過に陥る可能性もあります。

したがって、財務の安定化と収益力強化を並行して進めることが不可欠です。

3.債務免除交渉の実施

債権者に債務免除を依頼し、負債を減らすことで債務超過を解消する方法も有効です。

特に、債務超過額以上の免除を受けられれば、バランスシートの改善効果は大きくなります。

ただし、当然ながら債権者の承諾が不可欠であり、容易に合意が得られるわけではありません。

交渉を進める際には、以下の要素が求められます。

  • 経営改善計画の提示(再建シナリオの明確化)
  • 将来的な返済能力の証明(キャッシュフロー改善の裏付け)
  • 誠実な情報開示と信頼関係の構築

これらを備えた上で専門家が交渉に入ることで、債務免除が現実的な選択肢となります。

そのため、債権者との調整や交渉には企業再生に精通した専門家のサポートを受けることを強くおすすめします。

4.DES(デット・エクイティ・スワップ)の活用

DES(デット・エクイティ・スワップ)とは、借入金などの債務を株式に転換することで、負債を削減し自己資本を増強する手法です。

これにより、バランスシート上で資本構成の改善(負債比率の低下・自己資本比率の向上)を実現できます。

DESを行う場合、債権者が債権の一部を株式として引き受けることになるため、金融機関や取引先との協議・同意が不可欠です。

特に、企業の将来性を信じている債権者が存在する場合に、実現可能性が高まります。

ただし、以下のような点に注意が必要です。

  • 既存株主との持株比率が変動し、経営権に影響を与える可能性がある
  • 債権者にとっては「株式保有リスク」を伴うため、十分な将来収益の裏付けが求められる
  • 法的手続きや専門的なスキーム設計が必要になる

DESは資本増強に効果的な手法ですが、慎重な検討と専門家の支援が不可欠です。

5.資産売却による負債削減

会社が保有する含み益のある資産を売却し、その資金を負債返済に充てることで、債務超過を早期に改善できる場合があります。

土地・建物、設備、有価証券といった含み益のある資産を現金化すれば、即効性のある債務削減手段となり得ます。

ただし、資産売却を検討する際には以下の点に注意が必要です。

  • 将来の事業展開に必要な資産まで手放さないようにする
  • 継続的な収益改善につながらなければ、一時的な効果にとどまる

含み益のある資産の売却は短期的に債務超過を解消する有効な手段ですが、中長期的な収益改善策と組み合わせて検討することが重要です。

6.法的整理手続きの検討

民事再生法や会社更生法といった法的整理も、債務超過を解消するための選択肢のひとつです。

これらの再建型手続きでは、事業継続を前提に債務の一部免除や返済条件の緩和が可能となります。

そのため、資金繰りが限界に達し、私的整理や自主的な改善策だけでは再建が難しい場合に活用されます。

ただし、法的整理には以下のようなリスクも伴います。

  • 取引先や金融機関からの信用失墜
  • 仕入先・顧客との関係悪化
  • 手続きに時間とコストがかかる

このため、法的整理はあくまで「最終手段」と位置づけるべきであり、まずは私的整理や経営改善策を十分に検討することが重要です。

M&Aや企業再生時に利用できる資金調達策や、事業再生の現場で活用されている融資・補助金制度を詳しく押さえたい方には、下記の記事も参考にしてください。

関連記事|M&A資金調達とは?融資から補助金までを徹底解説

 

債務超過解消に向けた改善の3ステップ

債務超過からの脱却には、時間軸に沿った計画的な取り組みが欠かせません。

短期的な資金繰りの改善だけでなく、中長期的な財務改善の道筋を描くことが重要です。

一般的には、5年以内に債務超過を解消することを目標とし、段階的に以下のアプローチで進めます。

フェーズ1(1年目〜2年目):現状分析と緊急対策

まずは現状を正確に把握し、債務超過の原因を数値で特定します。

  • 月次試算表や資金繰り表を用い、売上高・粗利益率・営業利益率・経常利益率の推移を確認
  • 借入金の内訳(金融機関別・金利・返済条件・リスケ有無)や資産内容(回収可能性、棚卸評価)を分析
  • 同時に、税金・社会保険料の納付状況や担保余力を確認し、資金繰り悪化のボトルネックを特定

この段階では、資金繰り改善・コスト削減・遊休資産売却など、短期的な財務安定化を優先します。

フェーズ2(2年目〜3年目):経営改善計画の策定と実行

次のステップは、認定支援機関の協力を得て経営改善計画書を策定し、金融機関と合意形成を図ることです。

この計画は「数字を作る」だけでなく、事業・業務・財務の三位一体改革として進めます。

  • 事業内容の見直し:主力事業の強化、不採算事業の整理
  • 業務内容の改善:生産性向上、業務効率化によるコスト削減
  • 財務内容の改善:借入金の返済計画、資金繰りの安定化

加えて、バンクミーティングを開催してリスケ交渉や支援制度申請を進めることで、金融機関との信頼関係を再構築します。

このフェーズで、売上拡大・利益率改善・経営改善計画の実行を重点的に進めます。

フェーズ3(3年目〜5年目):持続的成長体制の構築と資本強化

経営改善計画を実行しながら、モニタリングと軌道修正を繰り返す段階です。

計画実績差異分析(予実管理)を行い、課題を早期に発見して対応します。

必要に応じて、増資・DES(デットエクイティスワップ)・債務免除交渉などの資本強化策を実施します。

また、認定支援機関の伴走支援を受けながら、「計画の実行→モニタリング→修正→再実行」のPDCAサイクルを継続することで、5年以内の債務超過解消を現実的に達成できます。

 

まとめ

債務超過の企業であっても、適切な戦略を取れば資金調達の可能性は残されています。

決算書不要型ローンや、AGビジネスサポートなど独自審査を行う金融機関、さらには不動産や設備を担保にしたローンを活用することで、短期的な資金繰り改善を実現できる可能性があります。

しかし、資金調達はあくまで「時間を稼ぐための手段」に過ぎません。

本当に重要なのは、売上改善やコスト削減、増資、債務免除交渉やDES、法的整理などを組み合わせた根本的な債務超過解消の取り組みです。

段階的なロードマップに沿って計画的に取り組めば、財務体質の改善と企業価値の向上、そして持続的な成長を実現できるでしょう。

ジーケーパートナーズは、債務超過企業の再生スキームを組み込んだM&Aや、私的整理ガイドラインを活用した事業譲渡など、一般的なM&A仲介会社では対応が難しい案件も数多く手がけてきました。

その実績を活かし、貴社の状況に応じた最適な解決策を具体的にご提案いたします。

「どこから手をつければいいのか分からない」「金融機関や取引先との交渉に不安がある」

そんな経営者様もご安心ください。

まずは無料個別相談会にて、債務超過解消の第一歩を踏み出しましょう。

無料個別相談会のご予約はこちら

 


事業承継における債務免除とは?債務超過企業が事業承継を実現するポイント

business-succession-debt-forgiveness

「多額の借入金があるため、自分の代で廃業するしかない」と考えてしまう経営者の方は少なくありません。

しかし、債務超過の状態であっても「債務免除」を受けることで、事業承継を実現できる可能性があります。

本記事では、

  • 債務超過企業における事業承継の課題
  • 債務免除の仕組みと活用方法
  • 事業を引き継ぐための具体的なポイント

について、専門家の視点から分かりやすく解説します。 

債務超過の企業では、後継者や買い手にとって「債務の引継ぎ」が最大の障害になります。

そのため、一般的なM&A仲介会社では債務超過案件を取り扱わないことも多く、承継の選択肢が限られてしまいます。

しかし、再生スキームを組み合わせることで、「負債の処理」と「事業の承継」を両立させる可能性が生まれます。          

近年は「私的整理ガイドライン」を活用し、

  • 事業譲渡や会社分割によって事業を新会社へ移転
  • 旧会社は特別清算を行い、債務を免除

といった手法が増えています。

これが実現できれば、後継者や買い手が債務を背負わずに事業を引き継げる可能性が生まれ、会社の未来を繋ぐ選択肢となります。

債務超過での事業承継は、法務・税務・金融機関調整など複雑な知識と経験が求められます。

「何から手をつければよいか分からない」とお悩みの経営者様は、まず専門家にご相談ください。

ジーケーパートナーズ

  • 中小企業活性化協議会の外部専門家として多数の再生支援に関与
  • 債務超過案件に強いM&A仲介支援を提供

しており、貴社の状況に合わせた最適なスキームをご提案できます。

現在、無料個別相談会を実施しています。

貴社の現状に合わせた最初の一歩を具体的にご提案します。

無料個別相談会のご予約はこちら

債務超過とは何か詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。

関連記事|債務超過とは?原因と解決策を解説|債務超過の解決策も紹介

 

債務超過企業でも債務免除をすれば事業承継が可能

事業承継において最大の壁となるのが、過大な借入金や債務超過の状態です。

後継者にとって、債務まで引き継ぐことは大きな負担となり、承継を断念せざるを得ないケースも少なくありません。

そこで検討すべき可能性のある選択肢の一つが、「債務免除」という手続きです。

債務免除とは、債権者(金融機関など)の同意を得て、会社の債務の全部または一部を免除してもらう仕組みを指します。

この制度が活用できれば、

  • 後継者が過大な借入金や個人保証のプレッシャーから解放される
  • 財務内容を健全化した状態で事業を引き継げる
  • 債務超過でも廃業を回避し、事業存続の道を確保できる

といった大きなメリットがあります。 

ただし、債務免除を伴う事業承継は、

  • 債権者(金融機関)との調整
  • 法務・税務の知識
  • M&Aや私的整理のスキーム設計

といった高度で専門的なノウハウを要します。

そのため、専門家の支援を受けることで、承継後の安定経営につながる「最適な解決策」を選択できる可能性が高まります。

M&A支援機関を利用するメリットは、以下の記事で解説しておりますのであわせて参考にしてください。

関連記事|M&A支援機関とは?M&A支援機関を利用するメリットをご紹介

金融機関はなぜ債務免除に応じるのか

債務免除」と聞くと、金融機関が損をしてまで会社を助けているように思われる方も多いかもしれません。

しかし、金融機関が債務免除に応じる背景には、経済的な合理性が見込まれる場合に限られることが多いです。

金融機関にとって、企業が破産・倒産してしまうと、

  • 債権の大半が回収不能になる
  • 担保を処分しても回収額は限定的
  • 取引関係の断絶による経済的損失

といった大きなリスクが生じます。

一方で、事業再生を前提に一部の債務を免除することで、企業が存続し、一定の債権を回収できる可能性が高まります。

つまり、金融機関が債務免除に応じるのは「損をしている」のではなく、より大きな損失を避け、長期的に合理的な回収が見込めると判断する場合があるためです。

この金融機関の考え方を理解することで、経営者は次のようなポイントを押さえる必要があります。

  • 債務免除は「特別な救済」ではなく、経済合理性に基づく調整手段である
  • 金融機関と協調しながら事業再生スキームを構築することが重要
  • 専門家を介することで、金融機関との交渉を有利に進められる可能性がある

金融機関が債務免除に応じるのは、決して情けや特別待遇ではなく、「破産よりも再生の方が合理的」という冷静な判断に基づくものです。

その仕組みを理解することが、経営者にとって事業承継・再生の可能性を広げる第一歩となります。

破産による回収不能を避けるため

金融機関が債務免除に応じるかどうかを判断する際の基準は、「清算した場合の回収額(清算配当)」と「再生を支援した場合の回収額」を比較して、どちらが合理的か、という点にあります。

もし企業が事業承継を断念し、破産・清算の道を選んだ場合、

  • 会社資産の多くはすでに担保として差し押さえられている
  • 担保権のある一部金融機関しか優先的に回収できない
  • 一般の金融機関が回収できる金額はごくわずかにとどまる

といった状況が多く見られます。

一方で、債務の一部を免除してでも優良事業を存続させ、事業承継や再生を図った方が、将来的な返済原資を確保できる可能性があります。

その結果、金融機関にとっても最終的な回収総額が大きくなることが期待できるのです。

経営者としては、金融機関に対して以下の点を理解し、伝えることが重要です。

  • 「清算より再生の方が合理的である」ことを示す資料や計画を提示する
  • 再生後の収益見込みや返済可能性を具体的に説明できる事業計画を用意する
  • 金融機関の立場を理解し、交渉の場を「協力関係」に変える視点を持つ

これにより、金融機関との交渉は単なるお願いベースではなく、経済合理性に基づく提案となり、債務免除に応じてもらえる可能性が生まれます。

金融機関が債務免除に応じる理由は、感情的な「支援」ではなく、「清算よりも再生の方が合理的である」という判断基準にあります。

事業の将来性や社会的価値を評価するため

金融機関が再生支援や債務免除を検討する際、注目するのは過去の財務数値だけではありません。

事業そのものが持つ将来性や社会的価値も重要な判断材料になります。

たとえば、以下のような要素は「将来的に収益を生み出す力」として高く評価されます。

  • 独自の技術力やノウハウ
  • 長年培ったブランド価値
  • 安定した顧客基盤やリピーターの存在
  • 地域社会における雇用の維持や貢献

これらの無形資産は、現状の債務超過を乗り越え、再生後の成長を支える源泉となります。

たとえ現在は債務超過であっても、

  • 事業が持つ競争力
  • 社会的に存続させる意義
  • 将来的に利益を生み出す可能性

が明確に示されれば、金融機関も「この会社を存続させた方が合理的だ」と判断しやすくなります。

結果として、債務免除や再生支援に前向きな姿勢を引き出せる可能性が高まるのです。

経営者に求められるのは、下記です。

  • 財務改善策だけでなく、事業の強みや無形資産を言語化して伝えること
  • 金融機関が納得できる形で、将来の収益可能性を示す事業計画を提示すること

金融機関に「未来への伸びしろ」を理解してもらうことこそ、債務超過からの事業承継・再生を成功させる鍵となります。

 

債務超過企業が事業承継を実現するための3つのポイント

債務超過の企業が「債務免除」を活用して事業承継を実現させることは容易ではありません。

そのためには、いくつかの重要な仕組みを正しく理解し、慎重に実行していくことが求められます。

特に押さえるべき要素は次の3つです。

  • 第二会社方式で優良事業を切り出す
  • 旧会社を特別清算して債務を整理する
  • 繰越欠損金で債務免除益の税金を回避する

これら3つのポイントを押さえることで、

  • 債務超過であっても廃業せずに事業承継を実現できる
  • 金融機関との交渉も合理的なスキームに基づいて進められる
  • 承継後の事業運営をスムーズにスタートできる

といったメリットを得られる可能性が生まれます。

詳しい内容をみていきましょう。

ポイント1:第二会社方式で優良事業を切り出す

事業再生の有効な手法のひとつに、「第二会社方式」と呼ばれるスキームがあります。

これは、債務超過にある企業が事業承継を進める際にも多く活用される方法です。

具体的には、会社の事業を以下のように分けます。

  • 優良事業…将来性があり収益を生む事業
  • 不採算事業・過大債務…継続すると赤字や負債の増加につながる部分

このうち、優良事業だけを新設会社(第二会社)やスポンサー企業へ事業譲渡などの形で移転させます。

第二会社方式を活用するメリット

  • 後継者は、債務を切り離したクリーンな状態で事業を引き継げる
  • 金融機関も、再生を前提とした債務免除に応じやすくなる
  • 会社にとっても、将来性のある事業を存続できるため雇用や取引先との関係を維持しやすい

第二会社方式は、債務超過や多額の借入金に悩む企業であっても、優良事業を守りつつ事業承継を実現できる方法です。

ただし、この手法を実行するには、法務・税務・金融機関との調整など高度な専門知識が必要となるため、早い段階で専門家に相談することが成功のカギとなります。

ポイント2:旧会社を特別清算し債務を整理する

第二会社方式などで優良事業を切り出した後、旧会社にはどうしても不採算事業や過大な債務が残ります。

この旧会社を整理する有効な手法が、「特別清算」です。

特別清算は、会社法に基づく法的な清算手続きの一つで、債権者の協力のもとで柔軟に進められる点が特徴です。

破産手続きと異なり、

  • 債権者との合意形成を前提に進められる
  • 企業や経営者の信用毀損リスクを比較的抑えられる
  • 柔軟な条件調整が可能

といったメリットがあります。

特別清算の過程で、金融機関から債務免除の同意を得られれば、旧会社に残った債務を整理できる可能性が高まります。

これにより、優良事業を引き継いだ新会社は「債務の重荷から解放された状態」で事業を継続でき、事業承継をスムーズに進めることができます。

特別清算は、

  • 不採算事業と過大債務を抱えた旧会社を整理する方法
  • 金融機関との協力を前提とした柔軟な清算手続き
  • 債務免除を実現し、事業承継を成功させるための重要なステップ

として活用される有効な再生スキームです。

ポイント3:繰越欠損金で債務免除益の税金を回避する

事業承継において債務免除を受ける際、忘れてはならないのが税務上の取り扱いです。

債務免除を受けた場合、その金額は会計上「債務免除益」として利益計上されます。

その結果、巨額の法人税が発生し、せっかく債務整理をしても新たな資金負担を抱えてしまう危険性があります。

しかし、多くの債務超過企業は、過去の赤字による「繰越欠損金」を保有しています。

この繰越欠損金と債務免除益を相殺することで、実質的に課税を回避できる場合があります。

つまり、適切に繰越欠損金を活用すれば、債務免除を受けても法人税の負担を最小限に抑え、承継後の財務基盤を守ることが可能になるのです。

債務免除を含む事業再生スキームでは、下記が欠かせません。

  • 法務・金融の調整だけでなく、税務処理を含めた総合的な設計
  • 専門家によるシミュレーションと計画的な実行

税務上の落とし穴を回避できるかどうかが、事業承継スキーム全体の成否を分けるといっても過言ではありません。

第二会社方式や特別清算をはじめとする事業再生スキームは、法務・税務・金融機関との調整を要する高度な手続きです。

そのため、専門家なしでスムーズに進めるのは極めて困難です。

「自社の場合、具体的にどう進められるのか?」

「どの再生スキームを選べば最も負担が少ないのか?」

といった疑問や不安をお持ちの経営者様は、ぜひ再生型M&Aに実績豊富ジーケーパートナーズにご相談ください。

当社は、

  • 第二会社方式や特別清算を組み合わせた再生スキームの設計
  • 金融機関との交渉サポートと債務免除の実現
  • 税務面も含めた最適な事業承継プランの提案

を通じて、貴社にとって最適な解決策を立案から実行までワンストップで支援します。

具体的な進め方について相談する

 

事業承継における経営者保証の整理

事業承継を進める際は、会社の債務だけでなく、経営者個人の保証債務も同時に解決することが重要です。

債務超過の企業では、経営者自身が金融機関へ個人保証をしているケースが多く、これを放置すると承継後も経営者に重い負担が残る可能性があります。

そのため、事業承継や再生を進める際には、「会社の債務」と「経営者の保証債務」を一体で整理することが原則です。

会社と経営者の債務整理に使える主な制度

①経営者保証ガイドライン(経営者個人の保証整理)

経営者が過大な個人保証を抱えている場合に、生活の再建を支援するためのルールです。

金融機関との交渉を通じて、生活に必要な資金や自宅(華美でないもの)を残せる可能性があります。

このガイドラインは、日本商工会議所と全国銀行協会が策定した自主的ルールで、経営者の破産を回避し、再挑戦を促すことを目的としています。

②私的整理ガイドライン・中小企業活性化協議会(会社の債務整理)

会社の再生を支援する枠組みで、金融機関と協議しながら債務免除や再生計画の実行を進める仕組みです。

このスキームでは、会社の債務整理と同時に、経営者保証ガイドラインの考え方に沿って個人保証の整理も進められます。

原則として経営者の保証債務も整理の対象になる

会社の債務免除を金融機関と交渉する際には、経営者個人の保証債務も同時に整理の対象とするのが原則です。

なぜなら、会社の債務だけを整理しても、経営者に多額の保証債務が残れば、

  • 経営者本人の生活が成り立たない
  • 再起の意欲や余力が奪われる
  • 結果的に事業再生そのものが頓挫する

といった事態に陥る可能性が高いからです。

金融機関にとっても、経営者が過大な負担を抱えたままでは再生計画の実行が不安定になるため、保証債務を含めた包括的な調整を行う方が合理的です。

 

債務免除を活用した事業承継の注意点

債務免除を組み込んだ事業承継は、債務超過の企業が廃業を回避し、事業を未来へつなぐための有効な手法の一つです。
ただし、その実行には高度な専門知識と慎重な手続きが求められるため、容易ではありません。
法務・税務・金融機関との調整など、複雑な要素が絡むことを踏まえて、あらかじめ注意点を理解しておくことが大切です。

事前にリスクや課題を把握し、適切な対策を講じることで、実現の難易度が高い中でも、事業承継を成功に導ける可能性を高めることができます。

後継者や従業員への丁寧な説明と合意が求められる

債務免除を伴う事業承継は、法務・財務の手続きだけでなく、後継者・従業員・取引先などステークホルダーの心情への配慮が不可欠です。

なぜこの手続きが必要なのか、会社と雇用・取引にどんな影響があるのかを丁寧に説明し合意を得ることで、不信感や噂の拡散を防ぎ、承継後の事業継続性を高められます。

逆に、たとえスキームが形式上成功しても、関係者の不信感が残ればオペレーションが崩れ、業績悪化を招くリスクがあります。

許認可の再取得や取引契約の再締結が必要になる

第二会社方式を用いて事業譲渡を行う場合、単に優良事業を切り出すだけではなく、許認可契約関係の引き継ぎに関する実務上の対応も必要になります。

旧会社が保有していた各種許認可(例:建設業許可、古物商許可、宅建業免許など)は、原則として新会社ではそのまま使えません。

そのため、新会社で改めて再取得の申請手続きを行う必要があります。

  • 業種によっては審査に数週間から数か月を要することもある
  • 許認可がないと営業ができない業種では、承継直後に事業が止まってしまうリスクがある

主要な取引先との基本取引契約・代理店契約・販売契約なども、旧会社から新会社へ自動的に承継されるわけではありません

原則として、新会社との間で契約を締結し直す必要があります

そのため、

  • 取引継続への不安から先方が再検討する可能性
  • 交渉や契約更新の手間と時間

といった課題が生じる場合があります。

許認可や契約関係の問題を軽視すると、事業の空白期間(営業停止期間)が発生するリスクがあります。

これを防ぐためには、

  • 承継対象事業に必要な許認可の洗い出しと再取得スケジュールの事前策定
  • 主要取引先との事前説明と契約再締結の準備
  • 必要に応じて承継前から新会社設立を並行して進める体制づくり

といった事前の確認と準備が不可欠です。

専門家選びで成否がわかれる

債務免除を組み込んだ事業承継は、極めて専門性の高い分野です。

金融機関との交渉力、再生スキームの設計力、M&Aの実績といった幅広い知見を持つ専門家を選べるかどうかが、プロジェクト全体の成否を大きく左右します。

実績や経験が不十分な専門家に依頼してしまうと、下記のようなリスクが現実化する恐れがあります。

  • 金融機関との交渉が難航して、債務免除が得られない
  • 税務処理の見落としによって、債務免除益への課税問題が発生する
  • スキーム設計の不備により、承継後の経営に支障が出る

専門家を選ぶ際のチェックポイントとして、

  • 類似案件の実績があるか
  • 金融機関との交渉事例を持っているか
  • M&Aを絡めた事業再生スキームに精通しているか
  • 初回の無料相談を通じて信頼できる相手かどうかを見極める

これらを確認することで、安心して任せられる専門家かどうかを判断できます。

 

まとめ

金融機関の同意のもとで債務免除を受けられれば、債務超過の企業でも事業承継を実現できる可能性があります。
ただし、これは実行の難易度が高い手続きであり、慎重な準備と専門的な支援が欠かせません。

実務では、次の「3ステップ」を順序立てて進めるのが一般的です。

  • 第二会社方式:優良事業を新会社(またはスポンサー企業)へ切り出し、クリーンな財務で承継開始
  • 特別清算:旧会社に残る不採算事業・過大債務を、債権者の協力のもと法的手続で整理
  • 繰越欠損金の活用:発生する債務免除益と相殺し、法人税負担を最小化(適用要件・上限に留意)

ポイントは、私的整理ガイドラインなどの公的枠組みを活用し、金融機関が納得できる合理的な回収シナリオを提示できるかどうかが、成功の分かれ目となります。

実行を成功させるための要点は、下記のようなものがあります。

  • 計画の整合性:財務・法務・税務・労務・許認可を一体で設計
  • ステークホルダー対応:従業員・主要取引先・金融機関への説明と合意形成を段階設計
  • 許認可・契約の事前手当:再取得や契約再締結のタイムラグで“空白期間”を作らない
  • 税務の検証:繰越欠損金の適用可否・上限、グループ内取引の時価性等を事前にチェック

これらの手続きは高度に専門的で、設計・交渉・実行のすべてに熟達が必要です。

経験不足のまま進めると、

  • 金融機関交渉の難航
  • スキーム不備による税務リスク顕在化
  • 許認可・契約対応漏れによる営業停止

といった重大なリスクにつながります。

「借入金が重く、債務超過だから事業承継は不可能だ」と思い込んでいませんか?

しかし、再生スキームを活用すれば、債務超過の状態でも事業承継を実現できる可能性があります。

債務免除を絡めた事業承継は、「金融機関との交渉経験」「再生スキームの設計ノウハウ」「M&A・事業再生の実績」が求められる高度な分野です。

誤った進め方をすると、承継が頓挫したり、余計な税務負担が発生したりするリスクもあります。

ジーケーパートナーズは、

  • 中小企業活性化協議会の外部専門家として数多くの再生案件に関与
  • 債務超過案件に強い再生型M&A支援の実績多数
  • 法務・財務・税務・金融交渉を一体でサポート

といった経験を活かし、貴社の状況に合わせた最適な解決策をご提案します。

事業承継を前に「何から始めればよいのか分からない」とお悩みなら、まずはお気軽にご相談ください。

無料個別相談会では、貴社の現状を丁寧にお伺いし、具体的な一歩を一緒に考えます。

貴社の状況に合わせた最適な解決策をご提案します。

無料個別相談会のご予約はこちら

 


債権放棄と債務免除の違いは?税務処理から手続きまで解説

waiver-of-claim-vs-debt-forgiveness

企業経営において不良債権の処理を検討する際、「債権放棄と債務免除の違いがよく分からない」と感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。

一般的に、債権放棄と債務免除は法的には同じ効果を持ち、表現の違いにすぎません。

ただし、実務上は立場によって意味合いが異なります。

つまり、同じ出来事を債権者側から見るか、債務者側から見るかの違いですが、実務においては手続き方法や税務処理が異なるため注意が必要です。

本記事では、

債権放棄と債務免除の基本的な考え方

・実際の手続きの流れ

・税務上の注意点と債務超過企業が押さえるべきポイント

について分かりやすく解説します。

適切な債権処理を行うことで、資金繰り改善や債務超過解消につなげることが可能です。

ぜひ参考にしてください。

債務超過企業のM&Aや企業再生に関するご相談は、ジーケーパートナーズにお任せください。

私的整理ガイドラインを活用した事業譲渡や、債権放棄を含む再生スキームなど、一般的なM&A仲介会社では取り扱いが難しい案件にも数多く対応してきた実績があります。

「資金繰りが限界に近い」「債務超過でM&Aが難しいと言われた」

そのようなお悩みをお持ちの経営者様も、ぜひ一度ご相談ください。

無料個別相談会のご予約はこちら

 

債権放棄と債務免除の違い

債権放棄と債務免除は、基本的には同一の法律行為を異なる立場から表現したもので、いずれも債務を消滅させる効果を持ちます。

以下のようにどちらの立場から見るかによって呼び方が以下の通り変わります。

視点 用語 意味
債権者の視点 債権放棄 自分が持つ債権を放棄する行為
債務者の視点 債務免除 債務の返済義務を免除してもらう行為

どちらも債権者による単独行為であり、債権者の意思によって債務を消滅させられる点は共通しています。

法的効力や基本的な手続きの流れは同じですが、実務上は債権者側と債務者側で必要となる社内手続きや税務上の取り扱いに差が生じる場合があるため、注意が必要です。

債権放棄とは(債権者の視点)

債権放棄とは、債権者が自らの債権を放棄し、返済を求めないことを意思表示する行為です。

たとえば、A社がB社に1000万円を貸している場合、A社が「この1000万円は返済不要とします」と表明すれば、それが債権放棄にあたります。

債権者にとっては貸付金を回収できなくなる一方で、税務上の要件を満たせば貸倒損失として損金算入できるというメリットがあります。

ただし、次のような場合には注意が必要です。

  • 経済合理性が認められない債権放棄
    →単に取引先を救済する目的で行った場合は「寄附金」とみなされ、損金算入に制限がかかる。
  • 債務者の再建可能性が不透明なケース
    →債務者の事業再生につながらないと判断されれば、税務上認められない可能性がある。

つまり、債権放棄は単なる「免除」ではなく、債務者の再建や取引維持といった合理性が求められる行為です。

実務で検討する際には、必ず専門家の確認を得ながら進めることが重要です。

債務免除とは(債務者の視点)

債務免除とは、債務者が債権者から借入金の返済義務を免除してもらう行為です。

前述の例でいえば、B社が「A社から1,000万円の借金を免除してもらった」という状況が債務免除にあたります。

債務者にとっては、負債が減少して財務体質が改善するメリットがあります。

一方で、免除を受けた金額は「債務免除益」として益金に算入され、法人税の課税対象となる可能性があります。

ただし、以下のようなケースでは課税が軽減または回避できることがあります。

  • 繰越欠損金がある場合:免除益と相殺することで課税されないことが多い
  • 資本金等の額を限度とする免除:一定の範囲内であれば課税対象外となる
  • 会社更生法・民事再生法等の法的整理に基づく免除:課税が限定的になる場合がある

つまり、債務免除は財務改善効果が大きい一方、税務処理を誤ると予期せぬ課税負担が生じるリスクもあるため、専門家の確認が不可欠です。

 

債権放棄と債務免除の実務手続の違い

債権放棄と債務免除は、法的には同じ行為ですが、実務においては債権者側と債務者側で求められる対応が異なります。

債権放棄はあくまで債権者が主体となる単独行為ですが、債務者側にとっては「債務免除益」として課税対象になり得るなど、双方に異なる影響が生じる点に注意が必要です。

そのため、実務で対応する際には以下の観点が重要となります。

  • 税務上の取り扱い:債権者側では損金算入要件、債務者側では債務免除益課税の有無
  • 証拠保全の徹底:契約書・覚書・議事録などを残し、後日のトラブルや税務調査に備える
  • 合理性の確保:債務者の再建可能性や取引継続の必要性が説明できること

つまり、債権放棄と債務免除は単なる「表現の違い」ではなく、実務上は手続きや税務処理の観点から正しい対応が不可欠です。

以下で、それぞれの立場からの具体的な手続きや注意点を詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

債権者側の手続き

債権者側が債権放棄を行う場合、次のような手続きが必要です。

  • 支払い催促の実施
    →まずは督促を行い、債務者が本当に返済困難な状況かを確認する
  • 債務者の経営・財務状況の調査
    →決算書・資金繰り表などを精査し、放棄に経済合理性があるかを判断する
  • 債権放棄通知書の作成と送付
    →内容証明郵便(配達証明付き)で送付することが必須

 この通知により、債権者の一方的な意思表示で債権は消滅し、債務者の同意は不要となる

  • 証拠保全と保管
    →通知書は税務申告にも必要となるため、同一内容を3通作成し「債権者控え」「債務者控え」「郵便局控え」として保管する

さらに、債権放棄の実行にあたっては、債権者側で取締役会決議など社内承認手続きを経ておくことが望ましく、税務調査においても合理性の根拠として有効です。

債務者の対応

債務者側は、債権者からの債権放棄通知を受け取る受動的な立場にあります。

通知書が到達した時点で債務は自動的に消滅するため、特別な承諾や手続きは不要です。

ただし、受け取った通知書は税務処理における「債務免除益」計上の根拠資料となるため、必ず適切に保管しておきましょう。

また、債務免除益は法人税法上の益金に算入されるため、課税対象となる可能性があります。

ただし、以下のようなケースでは課税が軽減または回避される場合があります。

  • 繰越欠損金がある場合:免除益と相殺して課税されないことが多い
  • 再生・更生などの法的整理に基づく免除:特例により課税が制限されるケースがある

したがって、債務免除は財務改善に有効な手段である一方、税務面で思わぬ負担が生じるリスクもあります。

実務上は、必ず税理士などの専門家に相談し、最適な処理方法を検討することをおすすめします。

必要書類と通知方法

債権放棄・債務免除において最も重要な書類が「債権放棄通知書」です。

この通知書には、以下の内容を必ず明記する必要があります。

  • 免除する債権の詳細(具体的な金額、契約の内容、発生時期)
  • 債務免除を行う理由(債務者の再建可能性や取引継続の必要性など、経済合理性が分かる記載が望ましい)
  • 債権者の署名または記名押印

送付方法は、配達証明付き内容証明郵便が必須であり、普通郵便では税務上認められません。

確実な証拠保全のため、同一文面を3通作成し、債権者・債務者・郵便局でそれぞれ保管します。

さらに、債権者側では取締役会決議社内稟議書などの承認手続きを整えておくことで、税務調査時に「経済合理性を持った債権放棄」として説明しやすくなります。

これらの書類は税務調査時の重要な証拠書類となるため、長期間にわたって適切に保管することが不可欠です。

 

税務上の取り扱いと注意点

債権放棄と債務免除は法的には同じ行為ですが、税務上の取り扱いは債権者側と債務者側で大きく異なります。

適切な税務処理を怠ると、予期せぬ税負担税務リスクが生じる可能性があるため、事前の検討が不可欠です。

  • 債権者側の処理
    →債権放棄した金額は原則として「貸倒損失」として損金算入可能

ただし、経済合理性が認められない場合は「寄附金」とみなされ、損金算入に制限がかかる

  • 債務者側の処理
    →免除された金額は「債務免除益」として益金算入され、法人税の課税対象となる可能性がある

ただし、繰越欠損金との相殺や法的整理に基づく場合など、課税が軽減・回避されるケースもある

このように、同じ「債務免除」であっても、立場によって税務処理が異なるため、必ず専門家の助言を受けながら対応することが重要です。

債権放棄の税務処理

法人が債権を放棄した場合、その金額を「貸倒損失」として損金算入できる可能性があります。

ただし、税務上は経済合理性の有無が厳しく問われ要件を満たさなければ損金算入が認められません。

貸倒損失として認められるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 債務者が弁済不能であること(破産・清算・経営再建困難など)
  • 債権回収のための適切な手続きが行われていること(督促、調査、金融機関との協議など)
  • 書面による債権放棄が実行されていること(内容証明郵便などで証拠保全されている)

また、親子会社間の債権放棄については注意が必要です。

完全支配関係がある場合には、原則として寄附金扱いとなり損金不算入となる特殊ルールが適用されます。

つまり、債権放棄を損金算入できるかどうかは、形式だけでなく合理性・手続き・関係性によって大きく左右されるため、必ず専門家の確認を得ることが重要です。

債務免除の税務処理

債務免除を受けた法人は、免除された金額を「債務免除益」として益金算入しなければなりません。

この債務免除益は法人税の課税対象となります。

ただし、多くの債務超過企業は繰越欠損金を抱えているため、免除益と相殺することで課税が発生しないケースもあります。

一方で、債務免除益が繰越欠損金を上回った場合には、その超過分に法人税が課税される点に注意が必要です。

また、親子会社間の債務免除では、完全支配関係(100%子会社など)がある場合には原則として益金不算入とされ、課税対象から除外されます。

つまり、債務免除は財務体質の改善に有効な手段ですが、税務上の取扱いはケースによって大きく異なるため、必ず事前に専門家へ確認することが重要です。

債務超過については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

関連記事|債務超過になるとどうなる?倒産・株価の影響も徹底解説

 

実際の活用場面

債権放棄と債務免除は、企業経営の実務においてさまざまな場面で活用されています。

特に中小企業では、経営者と会社の関係が密接であるため、多様な活用パターンが見られます。

企業の事業再生・経営改善

業績悪化により債務超過に陥った企業の財務健全化において、債権放棄(債務免除)は有効な手段のひとつです。

たとえば、10億円の負債を抱える企業が8億円の債務免除を受ければ、負債を2億円まで圧縮し、再建のための体制を整えることが可能となります。

この場合、企業側には債務免除益8億円が発生します。

過去の繰越欠損金と相殺できる場合には課税が生じないケースもありますが、繰越欠損金を上回る部分については法人税が課税されるため注意が必要です。

一方、金融機関や債権者側にとっても、回収が困難な債権を整理し「貸倒損失」として損金算入することで、自社の財務健全性を維持する効果があります。

ただし、債権放棄・債務免除が税務上認められるためには、経済合理性の証明や適切な手続き(内容証明での通知、社内承認、証拠保全など)が欠かせません

したがって、実務においては必ず専門家の助言を得ながら進めることが重要です。

親子会社・グループ企業間の債権整理

親会社が子会社の経営支援を目的として債権放棄を行うケースもあります。

たとえば、グループ全体の事業戦略として不採算事業から撤退する場合や、事業統合を行う際に親子会社間の債権債務を整理する手段として用いられます。

特に完全支配関係(親会社が子会社株式を100%保有)にある場合には、税務上特別な取扱いが適用される点が特徴です。

  • 債権者側(親会社):債権放棄損失は原則として損金不算入
  • 債務者側(子会社):債務免除益は原則として益金不算入

このため、親子間での債権放棄・債務免除は、グループ全体での税負担に影響を与えず、財務体質の改善を純粋に進めることが可能です。

ただし、この取扱いが適用されるには完全支配関係の有無合理的な事業目的の存在が前提となるため、実行にあたっては事前に税務専門家の確認を受けることが不可欠です。

役員借入金の整理・相続対策

経営者個人が会社へ貸し付けている貸付金を整理する場面でも、債権放棄を活用することが可能です。

中小企業では、経営者が資金繰りのために個人資金を会社に貸し付けているケースが少なくありません。これらの債権を放棄することで、次のようなメリットがあります。

  • 会社側のメリット
    →負債が減少し、貸借対照表が改善されることで財務体質が強化される
  • 経営者個人のメリット
    →将来回収の見込みが薄い債権を生前に整理でき、相続財産を減らすことで相続税負担を軽減できる可能性がある

債務免除により会社側では債務免除益が発生し、法人税の課税対象となる可能性があります。

そのため、実行前に繰越欠損金の残高を確認し、免除益と相殺して課税負担を抑えられるかどうかを検討することが重要です。

M&A・企業買収時の債権整理

企業買収やM&Aのプロセスにおいては、対象企業の財務体質を改善する目的で債権放棄が行われる場合があります。

たとえば、買収前に金融機関や親会社などの債権者が一部の債権を放棄することで、対象企業の純資産を改善し、買収価格の調整や買収後の事業運営を円滑に進めやすくなるのです。

このような債権放棄は、債権者にとっては戦略的な判断となります。

短期的には損失を受け入れることになりますが、以下のようなメリットを期待できるケースがあります。

  • 買収企業との長期的な取引関係の維持
  • グループ全体の再編による効率化
  • 新たなビジネスチャンスや市場機会の獲得

ただし、すべてのM&Aで債権放棄が行われるわけではなく経済合理性再建可能性が前提です。

そのため、実務上は金融機関・債権者・買収企業の三者で十分な協議を行い、税務上の取扱いや将来の事業計画を踏まえたうえで進める必要があります。

 

ジーケーパートナーズは、中小企業活性化協議会の外部専門家として、私的整理ガイドラインを活用した事業譲渡や特別清算を含む企業再生支援を数多く手がけてきました。

一般的なM&A仲介会社では対応が難しい債務超過企業のM&Aや再生スキームにも豊富な実績があります。

「資金繰りが限界に近い」「金融機関や取引先との調整が不安」——

そんなお悩みをお持ちの経営者様も、どうぞご安心ください。

まずは無料個別相談会で、貴社に最適な解決策を一緒に検討いたします。

無料個別相談会のご予約はこちら

債権放棄や財務改善を伴うM&Aについて詳しく知りたい方は、債務超過企業の場合の実際の進め方や注意点を解説した下記の記事も参考になります。

関連記事|債務超過企業でもM&Aは可能!成功のための5つのステップ

 

私的整理・法的整理での活用1

企業の債務整理において、債権放棄は重要な役割を担います。

(1)私的整理

  • 金融機関などの債権者が自主的に債権の一部を放棄することで、企業の資金繰り改善や事業継続を支援する方法です
  • 裁判所を通さず合意形成で進められるため、柔軟でスピード感のある対応が可能ですが、全債権者の同意が必要というハードルもあります

(2)法的整理民事再生法会社更生法

  • 裁判所の関与のもとで手続きが進められ、強制的に債権放棄が実行される仕組みです
  • 債権者の一部が反対しても裁判所の認可によって再建計画を実行できるため、大規模案件や利害関係者が多数いるケースで利用されます

いずれの手続きも、「事業の継続価値>清算価値」と判断される場合に、債権放棄を含む事業再生スキームが選択されるのが一般的です。

一方で、再建可能性が低いと判断されれば、清算手続きが選択されることもあるため、早期に専門家へ相談し、最適な再生スキームを検討することが不可欠です。

 

まとめ

債権放棄と債務免除は、法的には同じ効果を持つ手続きであり、立場の違いによって呼び方が変わるだけです。

  • 債権者の立場から見れば「債権放棄」
  • 債務者の立場から見れば「債務免除」

いずれも債権者の一方的な意思表示によって債務が消滅する単独行為であり、企業の再生や財務改善において重要な役割を果たします。

実務においては、次のような場面で戦略的に活用されます。

  • 企業再生:資金繰り改善や債務超過解消を目的とした債権調整
  • 親子会社間の債権整理:グループ再編や不採算事業からの撤退に伴う処理
  • 役員借入金の相続対策:経営者個人の貸付金を整理し、相続財産を圧縮
  • M&A時の財務改善:買収前に債務を圧縮し、純資産を改善

ただし、税務リスクや手続きの複雑さが伴うため、安易に実行することは危険です。

債権放棄・債務免除を検討する際は、必ず税理士や弁護士など専門家に相談し、適切な手続きを踏むことが不可欠です。

 

債権放棄や債務免除を含む企業再生・M&Aでお困りの際は、ジーケーパートナーズにご相談ください。

当社は企業再生の専門家として、私的整理ガイドラインを活用した事業譲渡や特別清算、再生スキームを絡めたM&A支援、債務超過案件の取り扱いなどに豊富な実績を有しています。

「金融機関との交渉が不安」「債務超過でM&Aが難しいと言われた」

そのようなお悩みを抱える経営者様も、どうぞご安心ください。

まずは無料個別相談会にて、貴社の状況に応じた最適な解決策をご提案いたします。

無料個別相談会のご予約はこちら


信用保証協会の債務免除は可能?適用されるケースと条件をわかりやすく解説

credit-guarantee-corporation-debt-forgiveness

「融資の返済が困難になってしまった…信用保証協会の保証がついているが、債務を免除してもらうことはできるのだろうか?」

このようにお悩みの経営者の方も多いのではないでしょうか。

代位弁済を受けたあとは、金融機関との関係も断たれ、「もう打つ手がない」「事業を諦めるしかない」と感じてしまい、絶望的な状況に陥る経営者の方も少なくありません。

しかし、信用保証協会の債務免除は決して不可能ではありません

実際に免除が認められた事例も存在し、一定の条件を満たせば実現できる可能性があります。

ただし、必ずしも全てのケースで認められるわけではなく、事業の再生可能性誠実な対応姿勢が大きなポイントとなります。

本記事では、

信用保証協会の債務免除が適用される具体的なケース

・手続きの流れと注意点

・債務免除以外の選択肢私的整理ガイドラインを用いた債務整理や、M&Aを絡めた事業承継・再生スキームなど

について、わかりやすく解説します。

返済が難しくても、必ずしも「倒産しか道がない」というわけではありません。

信用保証協会との交渉や、再生スキームを活用した解決策を取ることで、事業を守りながら借入問題を整理する道が開けることもあります。

借入金に悩む経営者の方にとって、少しでも希望が見える内容になれば幸いです。

債務超過に陥った企業であっても、必ずしも事業を諦める必要はありません。

ジーケーパートナーズは、中小企業活性化協議会の外部専門家として、これまで数多くの中小企業の再生支援に携わってきました。

  • 信用保証協会との交渉や債務整理
  • 私的整理ガイドラインを活用した再生スキーム
  • 債務超過案件に対応したM&Aによる事業承継・再生

といった多様な選択肢から、貴社に最も適した解決策をご提案いたします。

経営に行き詰まりを感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

現在、無料個別相談会を実施しております。

無料個別相談会のご予約はこちら

債務超過については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひあわせてお読みください。

関連記事|債務超過になるとどうなる?倒産・株価の影響も徹底解説

 

そもそも信用保証協会とは?

まず「信用保証協会」の基本的な仕組みを知ることが重要です。

信用保証協会は信用保証協会法に基づいて設立された公的機関で、全国に51協会(47都道府県と、横浜市・川崎市・名古屋市・岐阜市の4市)が設置されています。

中小企業や小規模事業者が金融機関から融資を受ける際に、公的な保証人の役割を果たすのが信用保証協会です。

信用保証協会の主な役割は下記の通りです。

  • 信用補完機能
    →中小企業の信用力を補い、金融機関からの融資を受けやすくする
  • 代位弁済機能
    →借入企業が返済不能になった場合、信用保証協会が代わって金融機関に返済を行う
  • 経営支援機能
    →相談・経営診断・情報提供など、中小企業の経営改善を支援するサービスを提供

この信用保証制度は、

  • 中小企業者(資金を必要とする企業)
  • 金融機関(融資を行う銀行など)
  • 信用保証協会(保証を引き受ける公的機関)

という三者の関係で成立しています。

経営者にとって重要なのは、信用保証協会が「代位弁済」した後の取り扱いです。

 

信用保証協会における債務免除の基本

信用保証協会の債務免除は本当に不可能なのか?

「信用保証協会の債務免除なんて、絶対に無理だろう…」

多くの経営者がそう考えがちですが、実際には一定の条件を満たせば債務免除を受けられる可能性があります。

ここでは、なぜ債務免除が難しいとされるのか、その背景基本的な考え方を解説します。

信用保証協会は、信用保証協会法に基づく公的機関であり、国や地方自治体の出資・負担金、さらには保証料(中小企業が保証を受ける際に支払う手数料)を財源としています。

このため、民間金融機関と比べて、債務免除に対して極めて慎重であり、厳格な基準が設けられています。

「国や自治体のお金(税金等)を原資にしている以上、安易な債務免除は認められない」という仕組みになっているのです。

とはいえ、実際には信用保証協会でも、事業再生の可能性がある場合や、誠実に対応してきた場合には、債務免除が認められた事例もあります。

また、日本政策金融公庫などの政府系金融機関においても、同様に債務免除が行われたケースは存在します。

ただし、実例が多くはないため「債務免除は不可能」という誤った認識が広まりやすいのが現状です。

信用保証協会の債務免除が困難とされる理由

信用保証協会が債務免除を認めるかどうかは、非常に厳格な基準に基づいて判断されます。

主なポイントは以下の通りです。

  • 債務者の支払能力の完全な喪失
    →一時的に資金繰りが苦しいだけではなく、将来にわたって返済できる見込みがないと判断される場合
  • 事業継続の見込みがないこと
    →事業を再生・継続できる可能性がない、または既に廃業・清算を余儀なくされている場合
  • 他の債権者との公平性の確保
    →信用保証協会だけが特別扱いされるのではなく、金融機関や取引先など他の債権者とのバランスを保つ必要がある
  • 社会的影響の最小化
    →債務免除が認められることで、地域経済や取引先への悪影響を最小限に抑えられるかどうか

これらの基準は、信用保証協会が国や自治体の資金(税金や保証料)を原資とする公的機関であることを反映しています。

つまり、単に「支払いが困難」という状況では足りず、「将来にわたり返済能力が完全に失われている」ことが求められるのです。

そのため、債務免除は誰でも簡単に受けられるものではありません。

しかし逆に言えば、これらの基準を満たすケースでは、実際に債務免除が認められた事例が存在するということです。

債務免除が認められる基本的な考え方

信用保証協会が債務免除を検討する際の基本的な判断基準は以下の通りです。

  • 債務者の支払能力の完全な喪失
  • 事業継続の見込みがないこと
  • 他の債権者との公平性の確保
  • 社会的影響の最小化

これらの基準は、信用保証協会が税金を原資として運営される公的機関である特性を反映しています。

単に「支払いが困難」という状況ではなく、将来にわたって支払能力が完全に失われていることが求められます。

 

信用保証協会の債務免除が適用される具体的なケース

信用保証協会は、税金や自治体の負担金を原資とする公的機関であるため、債務免除については民間金融機関以上に厳格な基準が設けられています。

しかし、だからといって債務免除が「絶対に不可能」というわけではありません。

実際には、以下のような条件を満たす場合に、債務免除が認められたケースがあります。

  • 代位弁済後の求償権免除
  • 特別な事情による免除

代位弁済後の求償権免除

信用保証協会が金融機関に代位弁済を行った場合、債務者企業は金融機関への返済義務を免れる代わりに、信用保証協会に対して「求償債務」を負うことになります。

この求償債務は多くの経営者にとって大きな負担となりますが、一定の条件を満たせば債務免除が検討される可能性があります。

事業継続が不可能な状況

  • 経営者が重篤な疾病にかかり、事業の継続が困難になった場合
  • 経営者の死亡により事業承継が不可能な場合
  • 自然災害により事業基盤を完全に失った場合
  • 市場環境の激変でビジネスモデルそのものが成立しなくなった場合

支払能力の完全な喪失

  • 個人資産を含めた全財産を処分しても債務が残る場合
  • 今後の収入獲得能力が見込めず、将来にわたり返済が不可能な場合
  • 他の債務整理手続き(私的整理や破産手続き等)との一体的処理が必要な場合

信用保証協会が債務免除を判断する際の大前提は、「求償権元本を放棄しなければ、ほぼ確実に経営が破綻すること」です。

したがって、単に一時的な経営難や資金繰りの悪化といった状況では対象となりません。

さらに「遊休資産の売却」「コスト削減」「経営改善努力」など、債務者側が誠実に自助努力を尽くしていることも必須要件となります。

特別な事情による免除

信用保証協会は、通常の厳格な基準だけでなく、個別の事案において特別な事情がある場合には債務免除を検討することもあります。

考慮される主な要素は以下の通りです。

  • 社会的影響の大きさ
    →その企業の倒産が地域経済や雇用に重大な影響を及ぼす場合
  • 政策的配慮
    →災害復興支援や特定業種の再建など、国の政策目的に合致する場合
  • 債権回収コストとの比較
    →債権回収に要するコストが、残存債務額を上回ると見込まれる場合

このような「特別事情による債務免除」は、通常の基準ではカバーできない社会的・経済的な要因を考慮した判断となります。

ただし、実際にこのような免除が認められるケースは極めて稀であり、十分な根拠や客観的な説明資料が不可欠です。

そのため、経営者が自ら判断するのではなく、専門家のサポートを受けて信用保証協会と交渉することが極めて重要です。

 

債務免除の手続きと必要な条件

信用保証協会に債務免除を申請するためには、全国統一基準に基づいた要件を満たす必要があります。

これは「債務免除の妥当性を客観的に判断するため」に設けられており、経営者の主観的な訴えだけでは認められません。

➀財務状況の完全な開示

  • 個人・法人の全資産状況の詳細な報告
  • 収入・支出の実態を示す資料の提出
  • 将来の収入見込みに関する合理的な説明

単に現在の財務状況を示すだけでは不十分で、

  • 隠し資産がないことの証明
  • 処分可能な資産をすべて換金した実績

を提示することが求められることもあります。

②事業状況の客観的な説明

  • 事業継続の可能性についての客観的な分析
  • 市場環境や競合状況に関する詳細な説明
  • 事業再生計画の実現可能性に関する検証

債務免除の前提条件は、

求償権元本を放棄しなければ、ほぼ確実に経営が破綻すること

を証明することです。

そのためには、事業の現状と将来の見通しを、第三者も納得できる形で示さなければなりません。

③専門家による調査報告書の提出

事業継続を前提とする場合には、弁護士、公認会計士、税理士といった専門家による財務面・事業面のデューデリジェンス(調査報告書)の提出が求められます。

 

債務免除以外の選択肢

債務免除には非常に厳しい条件が課されるため、実際に認められるケースはごく限られています。

そのため、多くの場合は債務免除に固執するのではなく、他の解決策を検討することが現実的です。

特に「事業を継続したい」と考える経営者にとっては、債務免除よりも実現可能性が高く、かつ将来の事業発展につながる選択肢があります。

具体的には、

  • 私的整理ガイドラインを活用した債務整理(金融機関や保証協会と協議し、返済条件の変更や債務カットを実現)
  • 事業再生計画の策定(専門家による支援を受け、金融機関の理解を得ながら再建を進める)
  • M&Aを絡めた事業承継・再生スキーム(債務超過でも事業価値を活かして新しい承継先を見つける)

といった方法が挙げられます。

これらのスキームは「単に債務を減らす」だけではなく、事業を存続させ、次の成長につなげる道を開くことができます。

求償権消滅保証制度の活用

信用保証協会では、代位弁済から一定期間が経過した後に新たな保証を受けられる制度として、求償権消滅保証制度を設けています。

この制度は、2023年9月に中小企業庁が発表した「挑戦する中小企業応援パッケージ」の一環として新設されました。

従来は相対的な取引として一部で行われていた「求償権の消滅手続き」が、制度として明確に位置づけられた点が特徴です。

求償権消滅保証制度は、従来の債務免除とは異なるアプローチで、以下のような特徴があります。

  • 一定期間の返済実績が必要
    →代位弁済後、一定の返済実績を積み重ねることが前提となります
  • 新規事業への資金調達が可能
    →新たな保証付融資を受けることができ、事業再生や新規事業の展開に活用できます
  • 信用回復への道筋が明確
    →単なる免除ではなく、新たな融資枠を得る仕組みのため、企業にとって「再挑戦の機会」となります

この制度では、信用保証協会が旧債務(求償権)と同額以上の保証付融資を新たに実行することで、旧債務が実質的に消滅します。

結果として債務者は同額の新しい債務を負うことになりますが、

  • 新しい債務は通常の健全な借入として扱われる
  • 金利は遅延損害金ではなく、一般的な貸出金利が適用される

ため、実質的に「債務免除に近い効果」を持ちながら、信用の再構築にもつながります。

M&Aによる事業再生という選択肢

信用保証協会への債務問題を抱える企業にとって、M&Aは有効な解決策の一つとなります。

単に債務を減らすのではなく、事業の価値を引き継ぎ、従業員や取引先を守りながら再スタートできる可能性があります。

M&Aを検討すべき典型的なケースは下記となります。

  • 事業自体には価値があるが、資金繰りが困難な場合
  • 後継者不在で将来に不安を抱えている場合
  • より信用力のある企業グループに参加することで、事業継続の基盤を強化したい場合

こうしたケースでは、M&Aによって信用保証協会への債務問題を根本的に解決できる可能性があります。

M&Aでは、単に会社の株式や事業を譲渡するだけでなく、経営者個人の保証債務についても、買い手企業との交渉によって解決の道をつけられる場合があります。

これは、後継者問題や債務超過を抱える中小企業にとって大きなメリットです。

条件変更と事業承継の組み合わせ

債務免除が困難な場合でも、返済条件の変更(リスケジュール)と将来的なM&Aを組み合わせることで、段階的に解決を図る戦略があります。

具体的には、以下のような方法が考えられます。

  • 返済期間の延長:返済スケジュールを長期化し、月々の負担を軽減する
  • 据置期間の設定:一定期間は元金返済を猶予し、事業再生に集中する
  • 返済額の減額:金融機関や保証協会と協議し、実際のキャッシュフローに即した返済額に調整する
  • 将来のM&Aを前提とした計画策定:当面は負担を抑えつつ、将来的に事業価値を高めてM&Aによる最終解決を目指す

これらの条件変更を組み合わせることで、返済負担を抑えることも可能です。

その間に事業を立て直し、企業価値を高めた上でM&Aを実行することで、債務問題を根本的に解決できる可能性があります。

M&Aについては、以下の記事でも詳しく解説しておりますのであわせて参考にしてください。

関連記事|事業承継M&Aとは?メリット・デメリットから成功のポイントまで徹底解説

 

まとめ

信用保証協会の債務免除は、不可能ではありませんが、実現には多くの条件を満たす必要があり、そう簡単な道ではありません。

そのため、申請を検討する際には「客観的な資料の準備」と「専門家との連携」が不可欠です。

同時に、債務免除だけに固執するのではなく、

  • 求償権消滅保証制度
  • 返済条件の変更(リスケジュール)
  • M&Aや私的整理ガイドラインを活用した再生策

といった選択肢を含め、総合的に検討することが大切です。

特に「事業を継続したい」と考える経営者にとっては、債務免除よりもこれらの制度やスキームを活用した方が、将来の事業発展につながる可能性が高いことを念頭に置いて判断することをおすすめします。

債務問題の解決には、法律・財務・事業の知見が必要となり、経営者だけで判断するのは危険です。

一般的なM&A仲介会社は「債務超過案件」を取り扱わないことが多いですが、私たちジーケーパートナーズは、中小企業活性化協議会の外部専門家として、数多くの中小企業の再生支援に携わってきました。

その豊富な実績をもとに、債務超過企業でも対応可能なM&Aや事業再生支援を専門的にサポートしています。

  • 信用保証協会との交渉支援
  • 私的整理ガイドラインを活用した債務整理
  • 債務超過案件に対応したM&Aスキーム

など、あらゆる選択肢を検討し、最適な解決策をご提案いたします。

「もう打つ手がない」と感じている方も、ぜひ一度ご相談ください。

現在、無料相談会を実施しております。

無料個別相談会のご予約はこちら

 


債務超過の製造業が会社を再生するための5ステップ!

insolvency-manufacturing

製造業では、支払いが先行し入金が遅れることが多く、資金繰りが厳しくなりやすい構造です。

この状態が続けば、経営の余力を失い、最終的に債務超過へ陥るケースも少なくありません。

債務超過を放置すれば、倒産や廃業のリスクが一気に高まり、従業員や取引先にも大きな影響を及ぼします。

経営者にとっては非常に危険な状態です。

しかし、適切な手順で早めに対処すれば、事業再生の道は必ず開けます。

本記事では、債務超過に悩む製造業が会社を立て直すための5つのステップを具体的に解説します。

倒産リスクや再生計画に不安を抱えている経営者の方は、ぜひジーケーパートナーズ無料個別相談会をご活用ください。

経験豊富な専門家が、貴社の状況に合わせて

  • 債務整理
  • 金融機関対応
  • 再生型M&A
  • スポンサー探索

まで、幅広い解決策をご提案いたします。

まずはお気軽にご相談ください。

無料個別相談会のご予約はこちら

 

製造業が債務超過に陥る原因3選

製造業が債務超過に陥るのは、業種特有の資金繰り構造が原因となるケースが多くあります。

中小企業の経営者にとって「売上は伸びているのに資金が足りない」という状況は珍しくなく、その裏側には以下のような要因が潜んでいます。

  • 支払が先行し、入金が遅れる資金繰り構造
  • 多額の設備投資による資金繰りの悪化
  • 高い固定費による継続的な利益の圧迫

これらの要因が重なることで、製造業は債務超過に陥りやすくなります。

もし自社がどの要因に当てはまるのか早めに把握し、対策を講じることができれば、債務超過からの再生の可能性は大きく広がります。

関連記事|債務超過とは?原因と解決策を解説|債務超過の解決策も紹介

支払いが先行し、入金が遅れる資金繰り構造

製造業では、材料の仕入れや人件費などの支払いが先行し、取引先からの入金は後回しになるのが一般的です。

このため、常に運転資金に余裕を持った資金繰り管理が求められます。

入金までのタイムラグがある中で、仕入・人件費・外注費などの支払いは毎月発生するため、一時的に資金が不足する「資金ギャップ」が生じやすい構造です。

特に自動車関連や電子部品など、支払いサイトが長い業界では、この影響が顕著です。

さらに、売掛金の回収が遅れたり、取引先の支払い条件が変更されたりすると、資金繰りは一気に悪化します。

「売上は計上されているのに現金が入ってこない」という状況が続けば、仕入や給与などの支払いに支障をきたし、一時的な資金ショートを回避するために短期借入でつなぐケースも増えていきます。

その結果、借入依存度が高まり、利息や返済負担が増加します。

資金の流れが安定せず、利益を圧迫していくうちに財務体質が弱まり、最終的には債務超過に陥る可能性が高まります。

こうした資金繰りの連鎖的悪化は、製造業が抱える最も典型的なリスクの一つです。

多額の設備投資による資金繰りの圧迫

多額の設備投資は、製造業にとって成長のために欠かせない一方で、債務超過を招く大きなリスク要因となります。

製造業では、生産効率を上げたり新規受注に対応するために、最新の機械や生産ラインを導入する必要があります。

これらの設備は数千万円から億単位の資金が必要となり、その多くを銀行借入に依存せざるを得ないのが現実です。

設備は長期的には利益を生み出す資産ですが、購入直後から減価償却費や利息、元金返済が発生します。

売上が想定どおりに伸びなければ返済負担が重くのしかかり、資金繰りを悪化させ、最終的には債務超過へ陥る危険があります。

高い固定費による継続的な利益の圧迫

高い固定費は、製造業において利益を圧迫し、債務超過に直結する要因のひとつです。

工場の維持費、機械の減価償却、人件費、エネルギーコストなど、製造業特有の固定費は売上が減少しても必ず発生します。

受注が落ち込むと、その固定費がそのまま赤字に直結し、利益を圧迫します。

固定費の大きさは、企業の「コスト体質の硬直性」を示しています。

景気変動や需要減少に直面したときに、すぐには工場閉鎖や人員削減ができないため、赤字を垂れ流し続ける構造になりやすいのです。

その結果、利益を積み上げる余力を失い、累積損失が拡大。最終的には純資産を食いつぶし、債務超過から抜け出せない状況に陥ります。

経営者が見直すべきポイントは下記の通りです。

  • 固定費比率(売上に対する人件費・地代家賃・減価償却費など)の把握
  • 変動費化できるコストがないかの検討(外注化やリース活用など)
  • 需要減少時に備えたシナリオ別の損益シミュレーション

債務超過の製造業が直面する3つの経営リスクとは

債務超過に陥った企業は、単に数字上の問題にとどまらず、経営のあらゆる面で深刻なリスクに直面します。

放置すれば、資金調達が困難になるだけでなく、取引関係や組織そのものに悪影響を及ぼし、事業継続が危うくなります。

以下に、製造業が債務超過状態で抱える代表的なリスクを解説します。

  • 金融機関の信用を失い、新たな融資を断られる
  • 取引先の信用を失い、取引条件が悪化する
  • 将来を悲観した優秀な従業員が退職する

債務超過は「数字上の問題」ではなく、下記のような経営全体に波及するリスクを伴います。

  • 融資が受けられない
  • 取引条件が厳しくなる
  • 人材が流出する

こうしたリスクが現実化する前に、早期に再生計画を立て、専門家に相談することが債務超過からの脱却につながります。

金融機関の信用を失い新たな融資を断られる

債務超過に陥った企業は、金融機関からの信用力が大きく低下します。

銀行は自己資本比率の低い企業を「返済不能リスクが高い」と判断するため、新規融資や追加借入はほぼ不可能になります。

特に製造業の場合、仕入・人件費・外注費など毎月の運転資金需要が大きいため、資金調達が途絶えると一気に資金繰りが行き詰まります。

結果として、下記のような悪循環に陥るのです。

  • 必要な運転資金を確保できない
  • 短期的な資金ショートが発生する
  • 仕入先や従業員への支払いが滞る

金融機関からの資金調達手段を失うと、経営者が取り得る選択肢は大きく制限されます。

  • 設備投資の見送り
  • 新規事業や販路拡大の断念
  • 運転資金不足による倒産リスクの高まり

つまり、金融機関の信用を失うことは、単に借入ができないという問題にとどまらず、倒産回避の選択肢を狭め事業継続そのものを危うくする要因となります。

取引先の信用を失い取引条件が悪化する

債務超過に陥った企業は、金融機関だけでなく取引先からの信用も失うリスクを抱えています。

決算公告や業界内の情報を通じて「債務超過の事実」が取引先に伝わると、相手は「支払いが滞るのではないか」と不安を抱きます。

その結果、取引条件が次のように悪化するケースが少なくありません。

  • 支払いサイトの短縮(30日→現金払いなど)
  • 前払い・保証金の要求
  • 取引金額の縮小や取引打ち切り

こうした条件変更は、資金繰りの負担を一層大きくし、資金ショートを加速させる要因となります。

また、債務超過企業は、新規の取引先からも「リスクが高い」と見られやすく、新規受注の獲得が難しくなる可能性があります。

このように販売機会が減少すると、固定費を賄うだけの売上確保が困難となり、結果として債務超過を深刻化させる悪循環に陥ります。

また、企業の信用低下は、単なる「1社との関係悪化」にとどまりません。

仕入先・外注先・販売先など、サプライチェーン全体に影響が広がり、経営環境全体を悪化させるリスクがあります。

将来を悲観した優秀な従業員が退職する

債務超過に陥った企業が直面する深刻なリスクのひとつが、人材の流出です。

経営不安が社内に広がると、従業員は「この会社に未来はあるのか」と将来を悲観し、特に優秀な人材ほど先に転職を決断してしまいます。

製造業において、熟練の技術者や設計・開発を担う人材は企業の競争力の源泉です。

しかし、債務超過によって人材が流出すると、下記のような深刻な経営リスクを招きます。

  • 技術承継の断絶
  • 製品品質や生産効率の低下
  • 競合他社へのノウハウ流出

優秀な人材が退職することで残された従業員の士気も低下し、「この会社もいずれ辞めた方がよいのでは」という連鎖的な不安が広がります。

その結果、組織全体の生産性が低下し、企業再生の大きな妨げとなります。

債務超過の本質は財務の悪化ですが、人材を失うことはそれ以上に取り返しのつかないダメージを企業にもたらします。

財務再建の道筋を描くことと同時に、従業員に安心感を与える経営姿勢が不可欠なのです。

 

債務超過の製造業が会社を再生するための5ステップ

債務超過に陥った製造業が企業再生を実現するには、正しい手順を踏むことが重要です。

焦って場当たり的な対応をしても問題は解決せず、むしろ状況を悪化させてしまうケースも少なくありません。

ここでは、再生に向けて取り組むべき5つのステップを解説します。

  1. 資産と負債の現状を正確に把握する
  2. 金融機関を納得させる経営改善計画を作成する
  3. 返済猶予を実現するため金融機関と協議する
  4. M&Aやスポンサー支援など外部活用を検討する
  5. 最短での解決を目指し専門家に相談する

債務超過の解消は、決して一朝一夕でできるものではありません。

しかし、

  • 現状把握
  • 改善計画の策定
  • 金融機関交渉
  • 外部支援の活用
  • 専門家相談

という正しいステップを踏めば、再生の道は必ず見えてきます。

早期に行動を起こし、倒産リスクを回避することが何より重要です。

以下で各手順の詳細を解説します。

➀資産と負債の現状を正確に把握する

企業再生の第一歩は、自社の財務状況を正確に把握することです。

「売上は上がっているのにお金が残らない」「資金繰りに追われて先が見えない」といった状況の背景には、必ず数字上の原因があります。

貸借対照表や損益計算書をもとに、

  • 保有する資産の実態価値(換金可能性)
  • 負債総額と返済スケジュール
  • キャッシュフローの流れ(入出金のズレ)

を整理することで、資金不足を引き起こしている真の要因が見えてきます。

また、この現状把握は単に社内管理のためだけでなく、金融機関や専門家への説明資料としても必須です。

数字を客観的に示すことで、改善可能な余地を明確に伝えられ、信頼性のある再生計画づくりの基盤となります。

②金融機関を納得させる経営改善計画を作成する

事業再生の次のステップは、説得力のある経営改善計画を作成することです。

金融機関は「この会社に返済能力が戻るのか」を最も重視しており、改善見込みを示した数字がなければ支援には動きません。

改善計画には以下の要素を盛り込むことが求められます。

  • 売上回復策(新規取引先開拓・製品ラインナップ見直し)
  • コスト削減策(不採算部門の整理・固定費削減)
  • 損益計画(利益がどの時点で黒字化するかの明示)
  • 資金繰り表(返済可能額や資金不足額の具体的な見通し)

特に金融機関は「実現可能性」を厳しく見ています。

希望的観測ではなく、現実的かつ数字に裏付けられた計画でなければ信用を得ることはできません。

計画の精度が高いほど、金融機関の信頼を得やすくなり、

  • 返済条件の見直し(返済猶予)
  • 必要に応じた追加支援の検討

といった協議を前向きに進めやすくなります。

つまり、改善計画は単なる書類作成ではなく、事業再生の成否を左右する要の工程なのです。

③返済猶予を実現するため金融機関と協議する

返済猶予(リスケジュール)は、債務超過に陥った企業にとって資金繰りを安定させるための最重要施策です。

一定期間、元本返済を猶予してもらったり、返済額を減額してもらうことで、資金ショートを回避し再建に向けた余裕を生み出せます。

金融機関を納得させるためには、以下の準備が欠かせません。

  • 実効性のある改善計画を提示すること(売上回復・コスト削減の根拠を数字で示す)
  • キャッシュフローシミュレーションを用意すること(返済猶予期間にどのように資金を運用するかを明確にする)
  • 経営者自身の姿勢を示すこと(リスクを共有し再生に取り組む姿勢を見せる)

金融機関は「再建の見込みがあるのか」「経営者にやる気があるのか」を慎重に見極めます。

単なる「返済できません」ではなく、具体的な改善計画を裏付けにした交渉が不可欠です。

また、資金ショートが目前に迫ってからでは、とりえる手段が大きく限られてしまいます。

早めに金融機関と相談し、協調的な関係を築くことが再建の第一歩です。

金融機関からの協力を得ることができれば、資金繰りに余裕が生まれ、再生計画を実行するための時間を確保できます。

④M&Aやスポンサー支援など外部活用を検討する

自力での再建が難しい場合、外部の資金や経営支援を取り入れることも有効な選択肢です。

製造業では特に、追加融資だけでは根本的な解決が難しいケースも多く、M&Aやスポンサー支援を組み合わせることで、再生の道が開けます。

活用できる外部支援は下記の通りです。

再生型M&A

株式譲渡だけでなく、事業譲渡や会社分割を活用しながらスポンサー企業から資本注入を受ける方法。

債務超過でも実行可能なスキームがあり、一般的なM&A仲介会社では扱えないケースも専門家なら対応できます。

関連記事|M&Aの相談先・窓口・センターを徹底比較!無料相談の活用方法も解説

スポンサー支援

資金支援に加え、販路・技術・経営ノウハウを提供するスポンサー企業と提携することで、短期的な資金繰り改善にとどまらず、長期的な競争力強化につなげられます。

公的支援機関の活用

中小企業活性化協議会や中小企業再生支援機構など、公的な枠組みを通じて金融機関と協調的に再生を進めることも可能です。

外部の資金や経営資源を取り入れることで、下記のような効果が期待できます。

  • 取引先や金融機関の信用回復
  • 事業承継や技術承継の円滑化
  • 長期的な企業価値の向上

一時的な資金繰り対策に終わらせず、将来の競争力を高める選択肢として外部支援を検討することが、事業再生の成功率を大きく高めるのです。

⑤最短での解決を目指し専門家に相談する

債務超過からの再生において、最も効果的なステップは専門家への早期相談です。

「何とか自力で解決できるのでは」と経営者が一人で抱え込むケースも多いですが、その間にも資金繰りは悪化し、選択肢はどんどん狭まっていきます。

再生手続きや法的整理に精通した専門家は、下記のような幅広い解決策を客観的に提案できます。

  • 金融機関との交渉支援(リスケジュール・債務カットの合意形成)
  • 事業再生計画の策定(実現可能性を示す収益改善シナリオの作成)
  • M&Aやスポンサー支援の活用(債務超過でも実行できるスキームの提示)

また、早期相談には下記メリットがあげられます。

  • 対策を迅速に打てるため、資金ショートや倒産リスクを回避できる
  • 金融機関からの理解を得やすく、協力的な姿勢を引き出せる
  • 自社に適した再生スキームを早めに検討できる

経営者が一人で悩み続けるよりも、早期に専門家を巻き込むことで時間的損失を防ぎ、再生の可能性を最大化できるのです。

 

製造業の事業再生で専門家への相談が必要な理由

製造業の事業再生には、複雑な財務改善や金融機関交渉が必ず伴います。

製造業は多額の設備投資や固定費を抱える構造的な特徴があり、資金繰りの悪化が深刻化しやすい業種です。

経営者だけで対応しようとしても、数字の分析や金融機関への交渉準備に時間を取られ、本業の立て直しが疎かになるリスクがあります。

そのため、専門家に相談することで、以下のような幅広い支援が可能になります。

  • 金融機関に納得されやすい改善計画の作成(損益計画・資金繰り表を含む)
  • 返済条件の交渉支援(返済猶予・条件変更の合意形成)
  • M&Aやスポンサー支援など外部資源の活用(債務超過でも可能な再生型M&A・事業譲渡・会社分割)
  • 金融機関や取引先への信頼確保(第三者の立場で客観的に関与)

また、債務超過を放置すれば、資金ショート・倒産リスク・人材流出といった問題が次々と表面化します。

早期に専門家へ相談することで、選べる選択肢は大きく広がり、再生の可能性も格段に高まります

ジーケーパートナーズは、

  • 中小企業活性化協議会の外部専門家としての実績
  • 再生型M&Aや事業譲渡など複雑なケースへの対応力

を強みとし、数多くの製造業の再生を支援してきました。

無料相談会も実施していますので、安心して一歩を踏み出してください。

無料個別相談会のご予約はこちら

 

まとめ

債務超過に陥った製造業でも、原因を正しく把握し、金融機関との交渉や外部支援を組み合わせれば、事業再生は十分に可能です。

多額の設備投資や売掛金の回収遅延といった製造業特有の構造的な問題があっても、改善計画と実行力次第で乗り越える道はあります。

重要なのは、債務超過を放置せず、早めに対策へ踏み出すことです。

状況が悪化する前に専門家へ相談すれば、選べる手段は広がり、再生成功の確率も高まります。

倒産リスクや再生計画に不安を感じている経営者の方は、ぜひジーケーパートナーズの無料個別相談会をご活用ください。

私たちは、

  • 金融機関交渉(返済猶予・債務整理)
  • スポンサー探索や再生型M&A
  • 事業譲渡や会社分割を含む再生スキーム

など、事業規模や状況に応じた最適な解決策をご提案いたします。

一歩踏み出すことが再生への第一歩です。どうぞお気軽にご相談ください。

無料個別相談会のご予約はこちら

 


銀行融資をリスケするデメリットとは?拒否されたときの対策もご紹介

bank-reschedule-disadvantage

銀行融資の返済が難しくなったとき、多くの中小企業がまず検討するのが「リスケジュール(リスケ)」です。

返済条件を緩和することで、一時的に資金繰りの改善が見込めるという大きなメリットがあります。

しかしその一方で、リスケには企業の将来に深刻な影響を与えかねないデメリットが潜んでいます。

安易にリスケを繰り返すと、経営改善のチャンスを失い、金融機関からの信用低下や新規融資の困難化につながるリスクもあるのです。

本記事では、銀行融資のリスケジュールに潜むデメリットと、その際に取り得る対策について詳しく解説します。

「資金繰りに限界を感じている」「返済の目途が立たない」と悩む経営者の方にとって、正しい判断を下すための実務的な参考情報となるはずです。

ジーケーパートナーズでは、中小企業活性化協議会の外部専門家として、数多くの企業再生案件を支援してきました。

特に、債務超過や金融機関との調整が必要となる複雑なケースに強みを持ち

  • 私的整理ガイドラインを活用した事業譲渡・会社分割による再生スキーム
  • 債務カットを前提とした特別清算
  • 再生型M&A(通常のM&A仲介会社では扱えない債務超過案件への対応)

など、一般的なM&A仲介会社では難しい案件にも柔軟に対応可能です。

もし現在、銀行融資の返済条件変更(リスケ)でお悩みであれば、「リスケの先にある本当の解決策」をご一緒に検討してみませんか?

資金繰りや債務超過でお困りの経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

無料個別相談会のご予約はこちら

 

銀行融資をリスケするデメリット6つ

銀行融資のリスケ(返済条件変更)は、資金繰りを一時的に改善できる有効な手段です。

しかしその裏には、企業の将来に深刻な影響を与えかねない6つのデメリットが存在します。

銀行融資リスケの主な6つのデメリットは下記の通りです。

  • 新規融資が原則受けられなくなる
  • 将来の融資条件が厳しくなる
  • 取引条件が厳しくなるリスクがある
  • 返済期間が長期化する
  • 支払総額が増加する可能性がある
  • 経営の自由度が制限される

これらのデメリットを十分に理解せずに安易にリスケを実行すると、企業価値の低下や将来の成長機会の喪失につながりかねません。

リスケは「延命策」であって「根本解決」ではないため、実行する際には必ず再生スキームやM&Aなどの抜本的な解決策と併せて検討することが重要です。

デメリット①新規融資が原則受けられなくなる

リスケ期間中は、その金融機関からの新規融資は原則として不可能です。既存の返済条件すら見直さなければならない状況では、金融機関にとって追加のリスクを取ることは難しいためです。

さらに、他の金融機関も決算書や資金繰りの状況から、リスケ実行中であることを実質的に把握できるため、融資に慎重な姿勢を示すのが一般的です。

その結果、資金調達の選択肢は大きく制限されることになります。

もっとも、保証協会付き融資など、特定の条件を満たす場合には新規融資が認められるケースもあります。

ただし、こうした対応は例外的であり、リスケのデメリットとして「新規資金の確保が難しくなる」点は避けられません。

デメリット②将来の融資条件が厳しくなる

金融機関は、リスケ履歴のある企業を「返済リスクが高い」と判断します。

そのため、新規に融資を受ける際には、リスク分を上乗せした高い金利を設定される傾向があります。

結果として、同じ金額を借りても返済負担が大きくなり、資金繰りをさらに圧迫しかねません。

また、融資限度額が引き下げられるケースも多く、必要な資金を十分に調達できない可能性があります。特に設備投資や新規事業への挑戦が制約され、企業の成長機会を逃してしまうリスクもあります。

さらに、担保や保証人の条件が厳しくなる点も見逃せません。

経営者個人の資産を差し出す必要が生じたり、場合によっては家族が保証人として巻き込まれることもあり、事業だけでなく家庭生活への影響が懸念されます。

デメリット③取引条件が厳しくなるリスクがある

大口の取引先がリスケ情報を知った場合、「経営が不安定な会社」と見なされるリスクがあります。

その結果、取引継続に慎重な姿勢を取り、以下のような条件変更を求められるケースが少なくありません。

  • 支払い条件の短縮(掛取引から前払い・早期決済へ)
  • 現金決済への変更(資金繰りの負担増)
  • 取引保証金の要求(追加資金の確保が必要になる)

さらに深刻な場合には、取引そのものを停止される可能性もあります。

こうした事態に陥ると、売上の減少や仕入先の変更コストなど、資金繰りに二次的な悪影響が波及し、経営全体がさらに苦しくなります。

デメリット④返済期間が長期化する

返済期間の延長は、長期にわたって債務を抱え続けることになるため、大きなデメリットの一つです。

一見すると毎月の返済負担は軽減されますが、その分返済総期間が長期化し、将来の経営判断や投資計画に制約が生じます。

新規事業への挑戦や設備投資をためらわざるを得ず、結果として事業の柔軟性が損なわれ、成長機会を逃す可能性があります。

さらに、長期的に「債務を返し続ける会社」という状況が続くことで、経営陣や従業員のモチベーション低下につながりやすくなります。

優秀な人材ほど将来性を重視するため、人材流出のリスクも高まり、経営再建を一層困難にする悪循環を招きかねません。

デメリット⑤支払総額が増加する可能性がある

返済期間を延長すると、支払利息の総額が増加するリスクがあります。

月々の返済額が減少して一時的に資金繰りは楽になりますが、その分支払期間が長期化するため、最終的な総返済額は当初の計画を上回る可能性が高いのです。

この「総返済額の増加」は、企業の利益を圧迫し続ける固定費となり、他の事業投資や成長資金の確保を難しくします。特に金利が高い場合はその影響が深刻化し、財務体質の改善を遅らせる要因となりかねません。

つまり、リスケによって得られるのは「一時的な延命効果」にすぎず、長期的にはコスト増による新たな経営課題を抱える可能性があるのです。

デメリット⑥経営の自由度が制限される

リスケの条件としては、詳細な経営改善計画の提出が義務付けられます。

この計画は金融機関の承認を受ける必要があり、その後も進捗状況を定期的に報告・モニタリングされることになります。

さらに、重要な経営判断や投資の実行にあたっては、事前に金融機関の同意を求められるケースも少なくありません。これにより、迅速な意思決定や機動的な事業展開が難しくなり、競合他社に後れを取るリスクが高まります。

結果として、経営陣の裁量権は制限され、企業の競争力低下や成長機会の喪失につながる恐れがあるのです。

 

銀行融資をリスケするメリット4選

銀行融資のリスケには多くのデメリットがある一方で、企業の存続と再生にとって重要なメリットも存在します。

代表的なメリットは次の4つです。

  • 当面の資金繰りが楽になる
  • 倒産を回避し、事業継続が可能になる
  • 経営改善のための時間的猶予ができる
  • 経営課題の改善に集中できる

これらのメリットは、資金繰りに追われていた企業が危機的状況を打開し、経営改善の基盤を築くきっかけとなります。

ここでは、リスケの主要なメリットについて、具体的な効果その活用方法を詳しく解説します。

メリット①当面の資金繰りが楽になる

リスケの最大のメリットは、即座に資金繰りが改善されることです。

リスケが承認されると、多くの場合半年〜1年程度の期間、元金返済がゼロに設定されます。

これにより、これまで毎月の返済に充てていた資金を事業運営費へ回すことができ、月々の資金負担を大幅に削減することが可能です。

特に、利息のみの支払いに切り替わるケースでは、実際のキャッシュアウトが大幅に軽減されます。

その結果、仕入れ代金の支払いや人件費の確保といった日常の経営活動に必要な資金を確保でき、事業の基本的な運営体制を維持することができます。

さらに、追加の借入れ手続きや保証料・事務手数料といった費用も発生しないため、コスト面でも有利な資金調達手段となります。

新規融資を受ける場合と比較しても、時間的・金銭的な負担が少ない点は、資金繰りに追われる経営者にとって大きなメリットです。

メリット②倒産を回避し事業継続が可能になる

リスケを実行する最大のメリットのひとつは、倒産という最悪の事態を回避し、事業を継続できることです。

リスケにより銀行と合意した返済条件を守る限り、差押えや競売といった法的な回収措置を取られるリスクを当面回避できるため、企業は重要な資産や事業基盤を維持しながら経営改善に取り組む猶予を得られます

倒産を回避することで、これまで培ってきた事業ノウハウ、顧客基盤、従業員のスキルといった無形資産を維持できます。

特に従業員の雇用を守れる点は、社内の士気を下げずに再建に取り組むうえで大きな意味があります。

さらに、取引先との関係も維持されるため、経営改善が進んだ後には、既存の取引ネットワークを活用して事業拡大につなげることも可能です。

単なる延命ではなく、「再スタートのチャンスを得る」という意味で、リスケには大きな意義があります。

メリット③経営改善のための時間的猶予ができる

リスケによって得られる猶予期間は、企業が根本的な経営改善に取り組むための貴重な時間となります。

一般的には半年〜1年程度の猶予期間が設けられ、その間に詳細な経営分析を行い問題点を洗い出して具体的な改善策を立案・実行できるのは大きなメリットです。

元金返済がゼロとなる期間を活用して、

  • 売上拡大策(新規顧客の開拓・既存顧客への提案強化)
  • コスト削減策(不採算部門の整理・仕入条件の見直し)
  • 経営体質の改善(資金繰り管理の精緻化・内部統制の強化)

といった施策に取り組むことができます。

さらに、新商品の開発や事業構造の見直しなど、中長期的な成長戦略の策定にも時間を充てられます。

短期的な資金繰り対策に追われるのではなく、計画的かつ持続可能な改善策を段階的に実施できることが、銀行融資をリスケする大きなメリットです。

メリット④経営課題の改善に集中できる

リスケによって返済負担が軽減されることで、経営陣は本来の事業運営と改善活動に集中できる環境を取り戻すことができます。

これまで資金調達や返済計画の調整に追われていた時間とエネルギーを、営業活動の強化や商品・サービスの品質向上といった事業の成長につながる取り組みに振り向けられるのです。

財務面での不安が和らげば、経営陣の精神的な負担も大きく軽減されます。

数字に追われる日々から解放されることで、創造的で前向きな思考を持って事業改善に取り組めるようになるのは大きなメリットです。

さらに、返済負担の軽減は経営者だけでなく従業員にとっても安心材料となり、雇用不安が和らぐことで組織全体が一体感を持って経営課題の解決に取り組めるようになります。

結果として、企業の再生に向けた推進力が高まるのです。

 

銀行がリスケを拒否するケースと対策

銀行がリスケ(返済条件変更)に応じないケースも少なくありません。

その理由はさまざまで、以下のような要因によってリスケが拒否される可能性があります。

  • 融資直後にリスケを申し込んだ場合
  • 他の金融機関と足並みが揃っていない場合
  • 判断材料となる資料が不足している場合
  • これまでの返済態度に問題がある場合
  • 経営状況が危機的で回復が望めない場合

これらはいずれも、金融機関が「この会社に返済を任せて大丈夫か?」と慎重に判断する際の重要なポイントです。

しかし逆に言えば、拒否理由を正しく理解して事前に対策を取ることで、リスケ交渉の成功率を高めることができるということでもあります。

以下では、銀行がリスケを拒否する主要な5つのケースと、その対策について詳しく解説します。

「なぜ応じてもらえないのか」「どう準備すればよいのか」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

融資直後にリスケを申し込んだ場合

新規融資を受けた直後にリスケを依頼すると、拒否される可能性が極めて高くなります。

これは銀行側からすると「融資をしたばかりなのに、すぐに返済できないとはどういうことか?」という不信感につながり、場合によっては「計画的な詐取ではないか」と疑われるリスクさえあります。

銀行は融資実行の際に、企業の返済能力を詳細に審査しています。

そのため、短期間でのリスケ申し出は「審査時の説明と違う」と受け止められ、金融機関との信頼関係を大きく損なう要因となります。

そのため、融資直後ではなく、ある程度の期間が経過し、一定の返済実績を積んでからリスケを依頼する方が望ましいとされています。明確な基準があるわけではありませんが、実務的には「少なくとも複数回の返済を終えてから」がひとつの目安といえるでしょう。

ただし、外部要因によって急激な事業環境の変化があった場合(例:取引先の突然の倒産、自然災害、社会情勢の急変など)は、その事情を具体的に示し、「当初の計画では予測できなかったこと」を証明することが重要です。

他の金融機関と足並みが揃っていない場合

金融機関とのリスケ交渉では、「他行一律・同条件」が基本ルールです。

そのため、複数の金融機関に対してバラバラの返済条件でリスケを依頼すると、「債権者平等の原則に反する」として拒否される可能性が高いのです。

一部の金融機関にのみ返済遅延が生じている場合や、特定の銀行だけに有利・不利な条件を提示するのは、他行から見ると「不公平な取り扱い」と映ります。

金融機関は互いに情報共有しているため、特定の金融機関だけが不利益を被る状況は決して受け入れられません。

リスケは必ず、全ての取引金融機関に対して同じ条件・同じタイミングで申請する必要があります。

すでに返済が遅れている銀行がある場合は、当月分の延滞を解消してから翌月分の返済からリスケを適用する流れが現実的です。

申請前に各金融機関と丁寧に調整を行い、リスケの条件や期間を統一して「足並みを揃える」ことが、交渉を成功させるカギとなります。

判断材料となる資料が不足している場合

リスケを依頼する際に判断材料となる資料が不足していると、銀行に拒否される可能性が高くなります。

銀行は「本当に返済計画が実行可能かどうか」を資料に基づいて判断するため、最新の情報が揃っていなければリスケを認めることはできません

特に以下の資料が未提出、あるいは古いままの場合は要注意です。

  • 最新の試算表
  • 詳細な資金繰り表
  • 全金融機関の借入金一覧表

これらが不十分だと、「会社の状況が把握できない=信用できない」とみなされ、リスケは拒否されてしまいます。

申請時点から3か月以内の試算表や資金繰り表を必ず準備しましょう。

目先の資金繰りだけでなく、3年間程度の中期事業計画を提出すると、銀行に「改善への本気度」が伝わります。

資金繰り表や事業計画の作成に不安がある場合は、中小企業再生に強い専門家の支援を受けることが成功率を高めるカギとなります。

ジーケーパートナーズでは、リスケだけに依存しない多様な再生手法をご提案しています。

私的整理ガイドラインを用いた事業譲渡や会社分割、特別清算による債務整理など、企業の状況に応じて最適なスキームを設計し、再建の道筋を描きます

さらに、財務・事業デューデリジェンスから計画策定支援まで、中小企業活性化協議会の外部専門家として培った実務経験を活かし、経営者様を幅広くサポートいたします。

債務超過に陥っていても、適切な手法を選べば必ず再生のチャンスがあります。

「資金繰りが限界に近い・・」「銀行対応で行き詰まっている・・」 

そんな状況でも、どうぞ諦めずにまずはご相談ください。

秘密厳守で、現状を丁寧にヒアリングし、最適な解決策をご提案します。

無料個別相談会のご予約はこちら

これまでの返済態度に問題がある場合

過去に何度も返済遅延を繰り返したり、銀行との約束を守らなかった履歴がある場合、金融機関との信頼関係が損なわれ、リスケを拒否される可能性が非常に高くなります。

また、財務状況をよく見せるための不正な会計処理による融資や、犯罪・不正行為が経営悪化の原因であった場合も、銀行からは「再建の余地がない」と判断され、リスケは拒否されるのが一般的です。

金融機関は「企業の信用履歴」を重視します。

過去の返済遅延や不誠実な対応は長期間にわたり記録され、小さな問題でも積み重なれば大きな不信感につながります。

その場合、言い訳をせず、過去の失敗を認めた上で改善策を提示しましょう。

そして、返済管理体制の見直し(キャッシュフロー管理の仕組み化、担当者の明確化)や、定期的な経営報告の実施など、実行可能な行動計画を提示します。

さらに「今回のリスケは一時的で、再建へのステップにすぎない」という姿勢をを与えることが大切です。

経営状況が危機的で回復が望めない場合

会社の経営がすでに危機的な状況にあり、リスケを実施しても回復の見込みが薄いと判断される場合、銀行はリスケを拒否する可能性があります。

具体的には、以下のようなケースが典型的です。

  • 提出した経営改善計画書の内容が抽象的で、実現可能性が低いと判断される場合
  • リスケによる猶予期間中に、資金が赤字補填に消えるだけで、返済の見込みが立たないと判断される場合

銀行としては「回収不能になる前にできるだけ回収してしまった方が良い」と判断してしまうのです。

その対策としては、現実的かつ実行可能な経営改善計画を策定することが不可欠です。

  • 売上向上策(既存顧客への深耕、新規顧客獲得施策など)
  • コスト削減策(固定費の圧縮、不採算部門の整理など)
  • 資産処分計画(遊休資産や不採算資産の売却など)

これらを数値目標と具体的なスケジュールとともに明示することで、計画の信頼性を高められます。

さらに、外部専門家による客観的な分析や妥当性の裏付け資料を添付すれば、銀行の理解を得られる可能性は格段に高まります。

 

まとめ

銀行融資のリスケは、一時的な資金繰り改善には効果的な手段です。

しかし同時に、新規融資の制限・信用力の低下・返済期間延長による負担増加など、将来に深刻な影響を及ぼすデメリットが存在します。

本記事で紹介したように、リスケが拒否される典型的な理由とその対策を理解して準備を整えれば、交渉の成功確率を高めることは可能です。

とはいえ、リスケはあくまで延命的な措置にすぎず、企業の根本的な再生策にはなりません。

大切なのは、「今の資金繰りを守りつつ、長期的に企業価値を高める」視点で判断することです。

そのためには、リスケ以外の選択肢——

例えば、事業の再構築やM&A、私的整理ガイドラインを活用した再生スキームなども含めて検討することが重要です。

資金繰りに行き詰まり「リスケしかない」と感じている経営者様も、専門家と一緒に再生の可能性を探ることで、より良い解決策が見つかるケースは少なくありません。

ジーケーパートナーズは、企業再生に特化したコンサルティング会社として、リスケにとどまらない幅広い解決策をご提案しています。

スポンサー探索による再生型M&A仲介から、私的整理ガイドラインを活用した再生スキームまで、一般的な仲介会社では取り扱いが難しい債務超過案件にも対応可能です。

「資金繰りが限界に近い」「リスケしか方法がないのでは」とお悩みの経営者様も、必ず別の選択肢があるかもしれません。

まずはお気軽に、無料個別相談会で現在の状況をお聞かせください。

無料個別相談会のご予約はこちら

 


銀行融資のリスケとは?メリット・デメリットと成功のポイントを解説

bank-reschedule

銀行融資のリスケジュール(リスケ)とは、借入金の返済条件(元金・利息の支払額や返済期間など)を、借り手と銀行が合意のうえで見直す手続きのことです。

資金繰りが厳しくなった企業や個人事業主が、一時的に返済負担を軽減し、事業の立て直しを図るために利用される重要な手段のひとつです。

特に、債務超過や借入金が大きい中小企業にとっては、銀行融資のリスケは「資金繰りを止めないための現実的な選択肢」であり、倒産回避の第一歩となる場合もあります。

ただし、リスケは万能策ではなく、将来の返済可能性や再生計画の実現性を銀行に納得させられるかどうかが重要です。

単に返済を先送りするだけでは、抜本的な解決につながりません。

本記事では、銀行融資リスケの交渉プロセスメリット・デメリット、そして具体的な手続きの流れについて、専門家の視点から詳しく解説します。

資金繰りや銀行融資の返済でお悩みではありませんか?

ジーケーパートナーズでは、中小企業の再生支援・M&A・私的整理スキームに強みを持つ専門家が、経営者様の状況に合わせた解決策をご提案しています。

「返済条件を見直したい」「債務超過から抜け出したい」「事業承継やM&Aも視野に入れて検討したい」といったお悩みに対し、無料個別相談会を随時開催しています。

複雑な財務課題も、どうぞお気軽にご相談ください。

無料個別相談会のご予約はこちら

 

銀行融資のリスケジュールとは?

銀行融資のリスケジュール(リスケ)とは、借入金の返済条件を見直すことで資金繰りを改善する手続きです。

資金ショートや倒産を防ぐために、多くの中小企業が選択する手段のひとつです。

主に以下のような変更が可能です。

  • 返済額の一時的な減額(数か月~1年程度、返済負担を軽くする)
  • 返済期間の延長(契約全体を見直し、毎月の返済額を抑える)
  • 元金返済の一時停止(一定期間は利息のみ支払い)

リスケは単なる「返済の先送り」ではなく、債務不履行(デフォルト)や破綻を回避し、事業再建の時間を確保するための契約変更です。

そのため、実行には通常、経営改善計画の提出や定期的な進捗報告が求められます。

これにより銀行は貸倒れリスクを抑えつつ、企業は資金繰りを安定させ、存続の道を模索することができます。

関連記事|返済リスケジュールとは?借入金で悩む経営者が知っておくべきポイント

 

銀行融資をリスケするメリット・デメリット

リスケは、資金繰りに行き詰まった中小企業にとって、倒産回避や返済負担の軽減を実現できる重要な選択肢です。

しかしその一方で、金融機関との関係悪化や新規融資の制限といったデメリットも存在します。

メリットだけを見て安易に判断するのではなく、デメリットを正しく理解したうえで、自社にとって本当に有効な手段かどうかを検討することが大切です。

以下では、銀行融資のリスケにおける主要なメリットとデメリットを、それぞれ詳しく解説します。経営判断の参考にしてください。

メリット①月次返済負担の軽減

リスケの最大のメリットは、毎月の返済負担を大幅に軽減できる点にあります。

具体的には、元金返済の一時停止や返済額の減額が認められるケースが多く、半年から1年程度、返済条件を変更します。

その結果、これまで返済に充てていた資金を、運転資金(仕入れ・人件費・外注費など)や設備維持費といった事業継続に不可欠な支出へ回すことが可能になります。

資金繰りに余裕が生まれることで、資金ショートによる倒産を回避し、再建のための時間を確保できる点が、経営者にとって最も大きな利点です。

メリット②資金繰り改善による事業継続

返済負担の軽減は、企業にとって事業継続の可能性を大きく高める効果があります。

資金繰りに窮して日々の資金調達に追われていた状況から脱却できるため、経営者は精神的な負担から解放され、本来取り組むべき経営業務に専念できる環境を取り戻せます。

さらに、この時間的・心理的余裕の創出によって、

  • 抜本的な経営改革の実行(不採算部門の整理・コスト構造の見直し)
  • 新たな収益源の開発(新商品・新サービスの展開、M&Aによる事業拡大)

といった中長期的な事業再生に着手できるようになります。

つまりリスケは、単なる返済条件の変更にとどまらず、企業の再生戦略を実行するための時間を確保する仕組みといえるのです。

メリット③デフォルト回避による信用毀損軽減

リスケを実施する最大の意義のひとつは、延滞や債務不履行による深刻な信用失墜を回避できる点にあります。

リスケは金融機関との正式な合意に基づく契約変更であるため、法的な債権回収措置(競売・差押えなど)を取られるリスクを大幅に抑えることが可能です。

また、リスケ期間中は銀行からの強制的な債権回収が事実上ストップするため、企業は当面の倒産リスクから解放され、経営再建に向けた時間と資金繰りの余裕を確保できます。

これは、中小企業経営者にとって「事業を続けるための猶予期間」を得られる、非常に大きなメリットといえるでしょう。

デメリット①総支払額の増加

リスケには資金繰りを一時的に改善する効果がありますが、その裏側では長期的な返済負担が増えるデメリットも存在します。

返済期間の延長により利息発生期間が長くなるため、結果的に総支払額は増加します。

元金返済を一時停止している間も利息は発生し続けます。

保証協会付融資の場合、リスケを実施するたびに追加の保証料が発生し、資金繰りが厳しい中小企業にとっては新たな負担となり得ます。

つまり、リスケは短期的には資金繰りを助ける一方で、長期的には返済総額の増加や追加コストの発生によって財務負担を拡大させるリスクがある点を理解しておく必要があります。

デメリット②銀行評価の低下による新規借入れ制限

リスケを実施すると、銀行内部での企業格付けが「要注意先」や「破綻懸念先」に引き下げられるケースが多くなります。

これは「既存の返済すら困難」と銀行に判断されることを意味し、新規融資や追加融資の獲得は極めて困難になります。

その結果、以下のような事態に直面する可能性があります。

  • 設備投資のための資金調達ができない
  • 仕入資金や運転資金の追加借入が難しい

つまり、リスケは短期的には資金繰り改善に有効ですが、長期的には新たな資金調達手段を大幅に制限するリスクを伴います。

これにより、事業拡大の機会を逃し、経営改善のスピードが鈍化する可能性もあるため、慎重な判断が必要となります。

デメリット③経営改善計画の遂行負荷と報告義務

リスケを承認してもらうためには、詳細な経営改善計画書の提出が必須となります。

この計画策定には膨大な時間と労力を要し、特に中小企業経営者にとっては大きな負担です。

さらにリスケ期間中は、銀行からの継続的なモニタリングが行われ、以下のような報告義務が課されます。

  • 月次または四半期ごとの経営状況報告
  • 試算表や資金繰り表の定期提出

これらの報告業務は、経営陣の貴重な時間を奪い、本来の事業運営や再建のための戦略立案に集中できない状況を生み出しかねません。

さらに計画が予定通りに進まなかった場合、銀行から追加の担保や保証人を求められるリスクや、より厳しい条件での再交渉を迫られる可能性もあります。

つまりリスケは、資金繰り改善の効果と引き換えに、経営改善計画の遂行という重い責任とプレッシャーを伴う点を理解しておく必要があります。

 

銀行融資のリスケを検討すべきタイミング

銀行融資のリスケは、資金繰りが逼迫し、月次資金繰り表で数か月先に返済原資の不足が見込まれる段階で検討すべき手段です。

特に以下のような兆候が見られる場合、早期の対応が重要となります。

  • 毎月の返済額が売上増加を上回り、返済のために資金繰りが圧迫されている
  • 季節変動や一時的な業績悪化により、返済資金の確保が困難になっている
  • 設備投資や事業拡大のために一時的な追加資金が必要で、返済原資に不安がある

これらの兆候が出ているにもかかわらず、銀行への相談が遅れると、延滞の発生→信用毀損→法的回収リスクの高まりという悪循環に陥る可能性があります。

したがって、「資金繰りや返済見通しに少しでも不安を感じた段階で、迷わず早めに銀行へ相談すること」が、倒産回避と再建成功のための第一歩といえるでしょう。

ジーケーパートナーズでは、財務改善・企業再生に強い専門家が、中小企業の現状やお悩みに寄り添った無料個別相談会を実施しています。

「自社の資金繰りにリスケは有効なのか?」

「債務超過の状況から抜け出すために他の選択肢(私的整理・M&A)はあるのか?」

「銀行との交渉をどのように進めればよいのか?」

といったご相談も幅広く対応可能です。

資金繰りや借入返済で不安を感じたら、迷わず専門家にご相談ください。

無料個別相談会のご予約はこちら

 

リスケが認められる金融機関

銀行融資のリスケ(返済条件変更)は、特定の金融機関だけでなく、幅広い機関で対応が可能です。

ただし、相談先や対応姿勢は金融機関の種類や融資形態によって異なります。

そのため、自社の財務状況・借入内容を踏まえて、できるだけ早期に金融機関へ相談することが、資金繰り改善や経営再生を成功させるための大きなポイントです。

 

リスケ交渉のプロセスと必要書類

銀行融資のリスケ交渉は、大きく分けて「事前準備」→「交渉」→「アフターフォロー」の3段階で進められます。

このプロセスを理解しておくことで、交渉を有利に進め、金融機関から信頼を得やすくなります。

特にリスケ交渉では、資金繰り表・試算表・経営改善計画書などの必要書類を適切に準備することが欠かせません。

準備不足のまま臨むと、銀行に「返済能力に疑問がある」と判断され、交渉が不利になるリスクがあります。

以下では、リスケ交渉を成功させるために重要な3つのステップと必要書類について詳しく解説します。

ステップ1.事前準備(経営改善計画の策定)

リスケ申請を行う際には、具体的で実現可能な経営改善計画書の提出が必須です。

この計画書は、銀行が「この企業は将来的に借入金を返済できるのか」を判断する最重要資料となります。

計画書には、以下のような内容を盛り込む必要があります。

  • 現状分析(売上推移・費用構造・業界動向など)
  • 主要課題の特定(例:顧客離れ、在庫過多、採算割れ部門の存在)
  • 改善策の提示(新規顧客獲得、コスト削減、不要資産の売却など)
  • 資金繰り計画と返済見通し(5年程度のキャッシュフロー予測)
  • モニタリング方法(月次試算表・資金繰り表の提出体制)

銀行が重視するのは「実現可能性」です。

根拠のない楽観的な売上予測や過度に甘い返済計画では、逆に信用を失いかねません。

現実的なデータや裏付けのあるシナリオに基づき、具体的かつ実行可能な計画を作成することが、リスケ交渉成功の鍵となります。

ステップ2.交渉(銀行との合意形成)

リスケ申請後は、銀行担当者との複数回にわたる面談が行われます。

この交渉を成功させるための重要なポイントは、以下の通りです。

  • 計画の妥当性と実行力を裏付ける根拠(売上予測、コスト削減策、資産売却計画など)
  • 他行との一体対応(複数行から借入がある場合、すべての金融機関に同日に同条件で申請する)
  • 担保・保証の見直し(追加保証人や担保設定の要否を含む)
  • 返済猶予期間の設定と利息の取り扱い

交渉プロセスで最も重視されるのは、透明性と公平性です。

もし一部の銀行にだけリスケを依頼し、他の銀行への返済を続けると、金融機関間の信頼関係が崩れ、「不公平な対応」と見なされて交渉が決裂するリスクがあります。

そのため、全金融機関に対して同条件でリスケを依頼する「一体対応」が必須です。

これは銀行交渉の大前提であり、これを守らなければリスケは成立しないと理解しておきましょう。

ステップ3.アフターフォロー(進捗管理と報告)

リスケが合意された後は、計画通りの進捗管理と金融機関への定期報告が不可欠です。

以下の書類を定期的に提出することで、銀行に対し「経営改善に真剣に取り組んでいる姿勢」を示すことができます。

  • 試算表(毎月の損益状況を把握)
  • 資金繰り表(今後の資金計画と返済可能性の確認)
  • 実行した改善策の報告書(コスト削減や売上改善の成果を具体的に提示)

銀行はこれらの報告を通じて企業の健全化を評価します。

特に、計画を上回る実績を示せた場合には、企業評価が向上し、リスケ期間の短縮や新規融資の可能性が高まることもあります。

一方で、報告を怠ったり、計画から大きく乖離した数値を隠した場合には、銀行の不信を招き、リスケ条件の悪化や期限前の一括返済要求といった深刻なリスクにつながりかねません。

つまり、リスケのアフターフォローは単なる形式的な義務ではなく、将来の信用回復や追加融資獲得のカギとなる重要なプロセスなのです。

 

リスケ成功のポイントと注意点3選

ここまで、銀行融資のリスケジュールについて、プロセスの流れ・メリット・デメリットを解説してきました。

最後に、リスケを成功に導くために欠かせない重要なポイントを整理しておきましょう。

これらのポイントを押さえることで、銀行との交渉を有利に進め、資金繰り改善や経営再生の可能性を大きく高めることができます。

①全金融機関への一体対応

リスケ交渉を成功させる上で、最も重要なルールが「全金融機関への一体対応」です。

特定の一行だけと交渉するのではなく、取引のあるすべての金融機関に対して同条件で申し入れを行うことが絶対条件となります。

これは、金融機関間の公平性を担保するための原則です。

一部の銀行だけを優遇すると、他の銀行から強い不信感や反発を招き、リスケ交渉自体が拒否されるリスクが高まります。

したがって、すべての銀行に同日に申請書を提出し、同じ条件で協力を依頼することが、交渉を円滑に進めるための鉄則です。

このルールを守ることで、金融機関間の信頼関係を維持しつつ、資金繰り改善に向けた現実的なリスケ合意を引き出せる可能性が大きく高まります。

②進捗管理体制の構築

リスケ合意後の継続的な進捗管理体制の構築は、銀行との信頼関係を維持し、将来の資金調達につなげるうえで欠かせない要素です。

社内に計画実行状況を可視化できる進捗管理体制を整備し、以下のような情報を適切なタイミング(月次または四半期ごと)で提出しましょう。

  • 月次試算表(売上・利益の推移を明示)
  • 資金繰り表(返済可能性を示すキャッシュフロー計画)
  • 差異分析(実績と当初計画の乖離、その要因分析)
  • 今後の改善策(追加のコスト削減、売上改善施策など)

このように詳細で誠実な情報提供を続けることで、銀行は企業を前向きに評価します。

特に、計画を上回る成果を示せれば、銀行評価の向上・リスケ期間の短縮・新規融資獲得の可能性にもつながります。

逆に報告を怠ったり曖昧な資料を提出すると、信頼を損ね、条件悪化や追加担保の要求といったリスクを招きかねません。

したがって、リスケ後の進捗管理は「単なる義務」ではなく、経営再生を成功に導く戦略的なプロセスと位置づけることが重要です。

③継続的な改善

リスケはあくまで経営再建のための「手段」であり、根本的な問題解決には継続的な経営改善の実行が欠かせません。

そのためには、経営改善計画を常にブラッシュアップし、

  • 販売戦略の強化(新規顧客開拓・既存顧客の維持策)
  • 内部管理体制の見直し(コスト管理・資金繰り管理の徹底)
  • 新規事業展開や収益源の多角化

といった抜本的な体質改善に取り組む必要があります。

特にリスケ期間中は、売上改善策や新規事業の立ち上げといった実効性ある施策の着実な実行が不可欠です。

ここで成果を出すことで、銀行からの評価も高まり、将来の資金調達にもプラスに作用します。

さらに、外部専門家の活用や中小企業診断士との連携を図ることで、客観的な視点から課題を洗い出し、持続可能な事業モデルの構築につなげることができます。

リスケは「時間を稼ぐ手段」に過ぎません。その猶予期間をどう活かすかが、経営再生を成功に導く最大のカギとなります。

関連記事|銀行のリスケ拒否はなぜ起こる?返済猶予を断られたときにとるべき対策

 

まとめ

リスケとは、銀行融資の返済条件を見直すことで資金繰りを改善し、経営危機を乗り切るための重要な手法です。

しかし、単なる返済猶予ではなく、適切な事前準備・銀行との合意形成・継続的なモニタリングを通じて、リスケの成功と信用維持を両立させることが求められます。

もし現在、

「資金繰りが厳しく延滞のリスクがある」

「返済見通しに不安がある」

「リスケ以外の解決策(私的整理・M&Aなど)も知りたい」

といった悩みを抱えているなら、延滞が発生する前に専門家へ相談することが最も重要です。

ジーケーパートナーズ無料個別相談会へお申し込みください。

財務改善・事業再生・M&Aに強い専門家が、経営者様一人ひとりの状況に合わせた解決策をご提案します。

無料個別相談会のご予約はこちら

 


銀行のリスケが信用情報に与える影響とは?対処法も紹介

bank-reschedule-credit-information

銀行から融資を受けている中小企業や個人事業主にとって、資金繰りが悪化した際に有効な手段のひとつが、借入の「リスケジュール(リスケ)」です。

しかし、リスケを検討する経営者の多くが最初に気にされるのが「信用情報への影響」ではないでしょうか。

「リスケを行うとブラックリストに載ってしまうのか」

「今後、追加融資や新規借入が難しくなるのではないか」

このような不安を抱える方は少なくありません。実際、リスケは資金繰りを一時的に安定させる一方で、銀行や信用情報機関への記録にどのような影響があるのかを正しく理解しておくことが重要です。

本記事では、

  • 銀行融資におけるリスケの基本的な仕組み
  • 信用情報に与える具体的な影響
  • 経営者が取るべき実務的な対処法

を、中小企業再生に数多く関わってきた専門家の立場から分かりやすく解説します。

資金繰りに悩む経営者の方が、誤った情報に惑わされることなく、正しい判断を下せるよう整理しましたので、ぜひ最後までご覧ください。

「このまま会社を続けられるのか」「後継者に迷惑をかけてしまうのではないか」と、お悩みを抱えている方は、財務再生や事業承継支援に強いジーケーパートナーズの「無料個別相談会」をぜひご活用ください。

中小企業活性化協議会の外部専門家として数多くの再生案件を支援してきた経験を活かし、

  • リスケ以外に取れる資金繰り改善策
  • 再生スキームを組み合わせたM&Aや事業承継の選択肢
  • 経営者ご自身やご家族の生活再建まで含めた最適な解決策

をご提案いたします。

「まずは状況を整理したい」「再生の可能性を聞いてみたい」といった段階でも構いません。

お気軽にご相談ください。

無料個別相談会のご予約はこちら

 

そもそもリスケジュールとは?

リスケジュール(リスケ)」とは、銀行融資の返済条件を見直し、返済負担を軽減する手続きのことを指します。

資金繰りが悪化したとき、金融機関と交渉することで返済条件を変更し、事業の立て直しを図る手段のひとつです。

リスケによって見直される主な条件には、以下のようなものがあります。

  • 返済額の軽減:毎月の返済負担を減らし、手元資金に余裕を生む
  • 返済期間の延長:総支払額は増えるものの、月々の返済額を抑えられる
  • 元金返済の一時停止:利息のみの支払いに切り替え、当面の資金繰りを大幅に改善できる

ここで大切なのは、「リスケを行うことで経営が健全化するかどうか」です。

単に返済を猶予しても、その間に経営改善の取り組みがなければ再び資金繰りが悪化し、抜本的な解決にはつながりません。

そのため、金融機関とのリスケ交渉では、

  • 経営改善計画の策定
  • コスト削減や収益改善の実行策
  • 将来の資金繰り見通し

を具体的に示すことが求められます。

関連記事|銀行融資のリスケとは?メリット・デメリットと成功のポイントを解説

 

銀行のリスケは信用情報に影響しない

リスケジュールは信用情報に傷をつけるのか?

結論から言うと、リスケジュールを行っただけでは信用情報に傷はつきません

リスケが信用情報に直ちに影響しない理由は、主に以下の通りです。

  • 契約変更であり延滞ではないから
  • 法人の手続であるため

以下で詳しい内容を解説します。

契約変更であり延滞ではないから

リスケとは、当初の契約を一時的に見直す「リスケジュール」であり、延滞や代位弁済とは性質がまったく異なります。

銀行との合意に基づき返済額や返済期間を変更しているだけであって、「返済が遅れている」わけでも「返済不能になっている」わけでもありません。

そのため、リスケは「延滞」や「代位弁済」とは区別される手続きであり、信用情報上の扱いも異なります。

法人の手続きであるため

リスケジュールはあくまで「法人」が銀行と交渉して行う手続きであり、経営者個人が金融事故を起こしているわけではありません。

そのため、原則として経営者の個人信用情報に直接の影響は及びません。

銀行側も「貸し倒れを避けたい」という立場から、企業が存続し将来的に安定した返済を続けられる見込みがあると判断できれば、リスケに協力的な姿勢を示すことが多いのです。

ただし、以下の点には注意が必要です。

経営者保証が付いている場合、法人だけでなく経営者個人の返済能力も金融機関は重視します。

リスケ後に再度返済条件を守れなくなった場合は、銀行からの信用が大きく低下し、新規融資が極めて難しくなることがあります。

 

銀行のリスケが信用情報に悪影響を与えるケース3つ

リスケジュールそのものは信用情報に直接影響を与えるものではありません。

しかし、次のような場合には信用情報に「事故情報」として記録され、今後の融資に悪影響を及ぼす可能性があります。

  • 延滞・滞納が発生した場合
  • 期限の利益を喪失した場合
  • 代位弁済が発生した場合

詳しい内容を見ていきましょう。

①延滞・滞納が発生した場合

リスケ中であっても、通常の融資返済であっても、延滞や滞納が発生すると信用情報に重大な影響を与えます。

具体的には、以下のようなケースでは信用情報機関に「事故情報」として記録されてしまいます。

  • 個人や法人で、キャッシングやノンバンクからの借入を期日までに返済できなかった場合
  • クレジットカードの引き落とし口座に資金を用意できず、何度も引き落としが不能になった場合

特に注意すべきは、リスケ後の返済プランにおいて延滞が発生するケースです。

リスケジュールによって返済条件が緩和されたにもかかわらず、支払いを怠ると「延滞扱い」となり、信用情報に記録されます。

これは、金融機関に「再建の可能性が低い」と判断される大きな要因となり、追加融資や借り換えがほぼ不可能になる恐れがあります。

リスケ期間中は、合意した返済条件を守り続けることが信用力を維持するための最低条件です。

②期限の利益を喪失した場合

リスケや通常返済において、「期限の利益の喪失」も信用情報に悪影響を及ぼす大きな要因です。

期限の利益」とは、契約どおりに返済している限り、銀行などの債権者が突然「残りの借金を一括で返済せよ」と請求できないという借主の権利のことです。

しかし、長期の延滞が発生するとこの権利は失われ、銀行は残債の一括返済を請求できるようになります。

契約上は、延滞が続くと期限の利益を喪失する旨が定められており、その条件は契約によって異なります。

一般に、90日以上の延滞は信用情報上「異動」として登録され、金融機関からの信用に大きな影響を及ぼします。

これが記録されると、今後の融資審査や新規借入において大きなマイナス要因となり、金融取引が著しく制限される可能性があります。

以下のような状況は「期限の利益の喪失」と判断され、信用情報に記録される代表例です。

  • 3か月程度の延滞が続いた場合
  • 税務署による預金口座の差し押さえ
  • 不渡り手形の発生

「期限の利益」を失うと、一括返済の請求や異動情報の登録といった重大な結果を招きます。

資金繰りが厳しいと感じた段階で、延滞が発生する前に銀行へ相談することが極めて重要です。

早期に専門家と共に経営改善計画を示すことで、期限の利益を守り、信用情報への悪影響を防ぐことができます。

③代位弁済が発生した場合

代位弁済」とは、信用保証協会の保証付き融資を利用している企業が返済不能となった場合に、保証協会が銀行に対して借入金を肩代わりして支払う仕組みです。

表面的には銀行への返済は滞りなく処理されますが、実際には「元の債務者が返済できなかった」という事実が残ります。

一度代位弁済が発生すると、その記録は信用情報に「保証履行」や「代位弁済」として登録されます。

この情報は「金融事故情報」として扱われるため、

  • 銀行からの追加融資
  • 他行での新規借入や借り換え
  • クレジットカード契約や自動車ローンなどの個人取引

に至るまで、あらゆる金融取引に大きな悪影響を及ぼします。

なぜ注意が必要なのか?

代位弁済が発生した企業は、金融機関から「返済不能に陥った会社」と見なされるため、再び金融支援を受けることは極めて困難になります。

これは単なる一時的な延滞よりもはるかに深刻で、企業再建の可能性を大きく狭める事態です。

代位弁済を避けるためには、

  • 返済が厳しいと感じた段階で早めに銀行へ相談すること
  • リスケジュール(返済条件の変更)や資金繰り改善策を検討すること

が重要です。

早めに手を打つことで、信用情報への致命的なダメージを未然に防ぐことができます。

関連記事|銀行のリスケ拒否はなぜ起こる?返済猶予を断られたときにとるべき対策

 

銀行のリスケが連帯保証人に与える影響

法人が銀行にリスケジュールを申請して返済条件を変更しても、リスケそのものが信用情報に直接影響を与えることは基本的にありません。

そのため、この段階で経営者や家族が連帯保証人となっていても、すぐに個人の信用情報が傷つくことはありません。

しかし注意すべきなのは、経営状況が改善せずに、

  • 期限の利益の喪失(長期延滞による一括返済請求)
  • 代位弁済(保証協会による肩代わり返済)

といった深刻な事態に進展した場合です。

この場合、連帯保証人の個人信用情報にも「事故情報」として登録される可能性があります

つまり、リスケの段階では連帯保証人に影響は及びませんが、経営改善が進まなければ、連帯保証人である経営者個人やご家族にまで信用情報上のリスクが及ぶことを忘れてはいけません。

資金繰りが悪化していると感じたら、延滞に至る前に早期の対策を講じることが極めて重要です。

銀行との交渉や経営改善計画の策定は、経営者だけで抱え込むのではなく、専門家と連携して慎重に進めることが、連帯保証人を守る最大の防御策となります。

ジーケーパートナーズでは、債務超過案件や複雑な経営課題にも豊富な実績を持ち、

  • リスケや資金繰り改善のサポート
  • 再生スキームを活用したM&Aや事業承継のご提案
  • 経営者ご自身やご家族の生活再建まで含めたトータル支援

を行っています。

お一人で悩む前に、まずは無料個別相談会をご活用ください。

事例豊富な専門家が、貴社の状況に合わせて最適な解決策を一緒に考えます。

無料個別相談会のご予約はこちら

 

信用情報機関の仕組みと種類

銀行融資のリスケが信用情報に影響するかを正しく判断するためには、

まず「信用情報を管理している機関」について理解しておく必要があります。

日本には主に次の3つの信用情報機関があり、それぞれ連携して情報を管理しています。

  • JICC(日本信用情報機構)
  • CIC(シー・アイ・シー)
  • KSC(全国銀行個人信用情報センター)

これらの機関はCRIN(信用情報ネットワーク)を通じて相互に情報を共有しており、

どの金融機関でも申込者の借入・返済状況を幅広く確認できる仕組みになっています。

なぜリスケとの関係で重要なのか?

リスケ自体は「契約変更」であるため、すぐに事故情報として登録されることはありません。

しかし、延滞や代位弁済に進展した場合は、これらの機関に「異動情報」として登録され、

どの金融機関に申し込んでも情報が共有されるため、融資が難しくなるのです。

JICC(株式会社日本信用情報機構)

JICCは、主に消費者金融・クレジット会社・リース会社など、ノンバンク系の金融機関が加盟している信用情報機関です。

ここには、個人や法人の借入・返済状況、延滞の有無などの金融取引データが登録されます。

JICCでは、消費者ローン・キャッシング・リース契約など幅広い取引情報が扱われており、延滞などの「事故情報」が発生した場合、その記録はおおむね5年間保存されます。

新たにローンやクレジット契約を申し込む際、金融機関はJICCに照会し、過去の取引履歴を確認します。

そのため、延滞や代位弁済といった情報が残っていると、融資やカード契約の審査に大きなマイナス要因となります。

法人が銀行融資でリスケジュールを行っただけであれば、JICCに直接記録されることはありません。

しかし、リスケ後に返済を延滞したり、保証協会付き融資で代位弁済が発生した場合には、事故情報としてJICCに登録される可能性があるため注意が必要です。

CIC(株式会社シー・アイ・シー)

CICは、主に信販会社やクレジットカード会社が加盟する信用情報機関です。

ここでは、クレジットカードの利用履歴や分割払い契約、信販ローンの返済状況などが中心に管理されています。

  • クレジットカードの利用残高や返済履歴
  • 分割払いやショッピングローンの契約状況
  • 返済の延滞や未払い情報

これらの情報は原則5年間保存され、複数の金融会社間で共有されます。

そのため、カード代金の延滞や分割払いの滞納があると、与信審査の際に「信用力が低下した」と判断される可能性があります。

法人の銀行融資リスケそのものは、CICに直接記録されることはありません。

しかし、経営者本人や連帯保証人がクレジットカードや信販ローンの支払いを滞納した場合には、CICに「延滞情報」として登録されます。

特に経営難により生活費のカード利用が増えると、カード返済の遅延がCICに記録され、法人融資にも悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。

KSC(全国銀行個人信用情報センター)

KSCは、全国の銀行・信用金庫・信用組合など、主に銀行系の金融機関が加盟する信用情報機関です。

ここには、住宅ローン・事業資金の借入・個人ローンなど、銀行が取り扱う融資情報が多く登録されています。

KSCでは、融資の利用状況や返済履歴に加えて、金融事故(長期延滞・代位弁済など)が記録されます。

これらの事故情報は最長10年間保存されるのが特徴で、他の信用情報機関(JICC・CIC)の5年と比べても長期間にわたり影響が残る点に注意が必要です。

KSCの情報は加盟銀行間で密接に共有されており、

  • 新規融資の審査
  • 借り換えやリファイナンスの可否
  • 保証人審査

といった場面で、極めて重要な判断材料となります。

法人が銀行とリスケジュール契約を結んだだけであれば、KSCに「事故情報」として登録されることはありません。

しかし、リスケ後に返済が滞り「期限の利益の喪失」や「代位弁済」に至った場合には、KSCに長期保存される金融事故情報として登録されます。

一度登録されると最長10年間は消えないため、今後の銀行取引に大きな制約を受けることになります。

 

リスケ実行時の注意点と対策

リスケを行うこと自体は信用情報に直接の悪影響を与えません。

しかし、その後の対応を誤れば「延滞」「期限の利益の喪失」「代位弁済」といった深刻な事態に発展し、信用情報に大きな傷を残すリスクがあります。

リスケを成功させるには、適切な手続きと継続的な対応が欠かせません。

以下で注意点とポイントを詳しく解説します。

全金融機関への一律対応が必要

リスケジュールを行う際には、全ての取引銀行に対して同条件でのリスケを申し出る必要があります。

「一部の銀行にだけリスケを依頼し、他の銀行への返済は従来どおり続ける」といった対応は認められていません。

なぜ一律対応が必要なのか?

これは、金融機関間の公平性を保つためです。

特定の銀行だけ優遇して返済を続け、他行にだけリスケを求めるような対応をすれば、金融機関間の信頼関係が崩れてしまいます。

その結果、リスケ自体が成立しないリスクがあります。

もし一部銀行へのみリスケを依頼した場合、

  • 他行から「不公平な対応」と判断される
  • 金融機関の協力が得られなくなる
  • 経営改善の機会を失う可能性が高まる

といった深刻な事態に陥る恐れがあります。

したがって、リスケを検討する際には「全銀行に同じ条件で依頼すること」を前提に、金融機関と誠実に向き合う姿勢を示すことが不可欠です。

そのうえで、経営改善計画を示し、全行からの理解を得ることがリスケ成功の鍵となります。

経営改善計画書の重要性

リスケを申請する際には、金融機関に「経営改善計画書」を提出することが求められます。

これは単なる形式的な書類ではなく、金融機関に「この会社は再生できる」と納得してもらうための最重要資料です。

計画書では、以下の内容を明確に示す必要があります。

  • 自社や業界の現状分析:市場動向や自社の財務状況の把握
  • 経営課題の明確化:赤字要因や資金繰り悪化の根本原因を特定
  • 業績推移と収益・利益計画(5年程度):売上・利益・キャッシュフローの見通し
  • 具体的な改善策と実行スケジュール:コスト削減、新規顧客開拓、不要資産売却など
  • 返済計画の見通し:リスケ後にどのように返済を継続できるのか

根拠のない数字や抽象的な改善策では、金融機関から信頼を得ることはできません。

実現可能性」と「納得性」が伴っていなければ、リスケに応じてもらえないのです。

そのためには、社内だけで作成するのではなく、中小企業再生の専門家や税理士・公認会計士と連携し、実務に基づいた計画を作り込むことが不可欠です。

継続的なモニタリング体制

リスケが認められた後も、金融機関は定期的に経営状況をモニタリングします。

一般的には「月次」あるいは「3か月ごと」に報告が求められ、経営改善計画の進捗を定期的にチェックされる仕組みです。

金融機関に提出する報告書には、例えば以下のような情報が必要になります。

  • 売上や利益の推移
  • 資金繰り(キャッシュフロー)の状況
  • 当初立てた計画との差異と原因
  • 今後の改善策や追加対策

これらの情報は、単なる数字の羅列ではなく、計画を実行している事実と改善への姿勢を示すことが重要です。

モニタリングは「監視」ではなく、金融機関との信頼関係を築くチャンスでもあります。

誠実に報告を行えば、銀行は「再生に向けて真剣に取り組んでいる」と評価し、

  • 追加の融資支援
  • 金利条件の見直し
  • 事業再生スキームの活用

といった支援につながる可能性が高まります。

 

まとめ

銀行融資のリスケジュールは、延滞や債務不履行とは異なる契約変更であり、正しく実施すれば信用情報に悪影響を与えるものではありません。

ただし、リスケが認められた後は、次の点が極めて重要です。

  • 合意した返済条件を確実に守ること
  • 経営改善計画を実行し、成果を示すこと
  • 新規融資が制限される中で資金繰り管理を徹底すること

もし資金繰りがさらに悪化し、返済が延滞すれば「期限の利益の喪失」や「代位弁済」といった重大な信用情報への影響につながりかねません。

資金繰りに不安を感じたときは、延滞に陥る前に銀行や専門家に早めに相談することが、信用情報を守り、事業を継続するための最善策です。

「まだ大丈夫」と思って先送りするほど、選択肢は狭まってしまいます。

ジーケーパートナーズでは、債務超過や資金繰り悪化の案件に豊富な実績を持ち、リスケ交渉から経営改善計画の策定、さらには再生型M&Aや事業承継まで、最適な解決策をご提案しています。

まずは無料個別相談でお悩みをお聞かせください。

無料個別相談会のご予約はこちら

 


債務免除益と役員借入金の関係は?注意点と活用方法を徹底解説

debt-forgiveness-gain-executive-loan

「役員借入金が数千万円、数億円にまで膨らんでしまった…」

そんな悩みを抱えている経営者の方も少なくないのではないでしょうか。

特に債務超過や資金繰り難が続く中小企業にとって、役員借入金の整理は避けて通れない課題です。

経営者個人が会社を支えるために投入した資金が、逆に再生の足かせになってしまうケースも多く見られます。

その解決策の一つとして注目されるのが「債務免除」です。

しかし、役員借入金を免除した場合には、会社に「債務免除益」という会計・税務上の論点が発生します。

ここを正しく理解せずに処理すると、思わぬ課税負担を招き、再生計画に悪影響を及ぼすリスクがあります。

本記事では、

  • 役員借入金と債務免除益の基本的な仕組み
  • 債務超過企業における実務的な整理方法
  • 見落とされがちな注意点と活用のポイント

について、企業再生コンサルティングの現場経験をもとに詳しく解説します。

借入金が多すぎて、資金繰りに悩んでいませんか?

ジーケーパートナーズは、債務超過企業に特化したM&A・企業再生支援を行っています。

事業譲渡・会社分割・債務免除スキームを組み合わせ、最適な解決策をご提案します。

今すぐ無料個別相談を予約する

 

そもそも役員借入金とは何か

役員借入金とは、法人が役員(代表取締役や取締役など)から借り入れている資金のことです。

貸借対照表上は「負債」に計上され、会社にとっては銀行融資以外の資金調達手段となります。

中小企業では、資金繰りが厳しいときに経営者が個人資金を会社に投入し、事業継続を支えているケースが多く見られます。

まさに「会社を守るための最後の砦」といえる存在です。

一方で、役員借入金を免除した場合には、会社に「債務免除益」という形で利益が計上される点に注意が必要です。

これは単なる会計処理ではなく、税務上の課税対象となり得る重要な論点であり、企業再生を進めるうえで見落とせないポイントです。

 

なぜ役員借入金が債務免除益となるのか

役員借入金の債権者である役員が「返済しなくてよい」と債権を放棄すると、会社には「債務免除益」が発生します。

会計上の処理は、「役員借入金/債務免除益」という仕訳となり、消滅した借入金と同額の「特別利益」を計上しなければなりません。

これは、会社が「返済義務を免れた=経済的な利益を得た」とみなされるためです。

ただし注意すべきは、この債務免除益が法人税の課税対象となる点です。

帳簿上は利益が増えるため、資金繰りが厳しい企業にとっては「帳簿上の利益が税負担に直結する」という落とし穴になりかねません。

一方で、会社に繰越欠損金がある場合は、この債務免除益と相殺することが可能です。

その結果、課税を回避または軽減でき、再生計画を進めるうえで有利に働くケースもあります。

関連記事|債務免除益とは?中小企業の税務実務のポイントを徹底解説

 

債務免除益を活用する際のリスク5つ

債務免除益は、繰越欠損金と相殺することで税負担を軽減できる有効な手段です。

しかし、安易に活用すると以下のような複雑な税務リスクが潜んでいる点に注意が必要です。

  • みなし贈与による贈与税課税のリスク
  • 繰越欠損金を超えた場合の法人税課税リスク
  • 経済合理性を問われる税務否認リスク
  • 将来の資金調達が困難になるリスク

以下で詳しい内容を解説しますので、参考にしてください。

➀みなし贈与による贈与税課税のリスク

複数の株主がいる会社で役員が債務免除を行うと、会社の純資産が増加し、その結果、株価が上昇する可能性があります。

この場合、債権を放棄した役員が「他の株主に経済的利益を与えた」とみなされ、みなし贈与(贈与税課税)の対象となるリスクが生じます。

これは、会社への法人税だけでなく、株主への贈与税まで課税される可能性があるため、非常に注意が必要です。

ただし、債務免除後も会社が依然として債務超過状態にある場合は、株価はゼロのままであり、実質的に株主に利益が移転していないと判断されるため、通常は贈与税の問題は生じません。

したがって、株主構成や財務状況を事前に十分に検討することが不可欠です。

特に、債務免除益を活用した企業再生スキームでは、法人税・贈与税・金融機関対応が複雑に絡むため、専門家の助言を得ながら進めることを強くおすすめします。

②繰越欠損金を超えた場合の法人税課税のリスク

債務免除益を活用する際に注意すべきは、繰越欠損金の残高を超えた部分には法人税が課税されるという点です。

特に、繰越欠損金の一部が期限切れ間近になっている場合などでは正確な試算が欠かせません。

これらを見落とすと、「繰越欠損金で相殺できると思っていたのに、想定外の法人税が発生した」という事態になりかねません。

したがって、事前に税理士と連携し、利用可能な繰越欠損金の正確な残高を把握することが不可欠です。そのうえで、債務免除する金額を適切に設定すれば、予期せぬ税負担を回避できます。

また、債務免除を行うタイミングも重要です。

決算期や欠損金の有効期限を踏まえた上で実施すれば、税務上のメリットを最大化できます。

③経済合理性を問われる税務否認リスク

債務免除は、あくまで財務改善や再生を目的とした合理的な行為である必要があります。

債務免除益を発生させて繰越欠損金を消化することだけを狙った形式的な債務免除などは、税務調査で否認される危険性が高い点に注意が必要です。

債務免除を実施する際には、必ず経済的・事業的な合理性を伴うことがポイントです。

たとえば

  • 財務体質の改善(債務超過の解消)
  • 事業承継の準備(後継者へのスムーズな承継)
  • M&A実施前の整理(買い手にとっての財務リスク軽減)

こうした合理的な目的が明確であれば、債務免除は正当な再生手段として認められやすくなります。

また、証拠書類の整備も欠かせません。

  • 債権放棄通知書・合意書
  • 再生計画やM&A準備に関する資料
  • 取締役会議事録(債権者側(法人の場合))

これらを適切に準備することで、債務免除の金額や時期についても「経済的合理性がある」と説明でき、税務否認リスクを大幅に低減できます。

④将来の資金調達が困難になるリスク

役員借入金を債務免除で帳消しにすると、同じ役員から再度資金を借り入れることは難しくなります。
「一度免除した=返済不要が前提」という評価になり、貸し手である経営者本人にとっても心理的ハードルが生まれるためです。

また、金融機関からは実質的な債務整理と評価されることがあり、以後の資金調達(新規融資・条件変更)に慎重姿勢を招く可能性があります。

資金繰りが不安定な局面では、突発的な資金需要が再度発生することがあります。

安易な債務免除は、次に起こる資金ショート時の選択肢を狭める点に注意が必要です。

債務免除の前に検討したい代替手段は下記の通りです。

  • 返済条件の見直し(リスケジュール)
    →返済期間の延長、元金据置、分割返済への切り替えなどにより、資金繰りの負担を軽減する。
  • 部分免除+計画的返済
    →繰越欠損金で吸収できる範囲だけ免除し、残額は条件変更を前提に計画的に返済していくハイブリッド方式。
  • 役員借入金の資本化(いわゆるDES)
    →借入金を株式に振り替える方法。基本的には債務免除益は発生しませんが、株式の発行価額と借入金の評価額に差がある場合など、債務免除益が計上されることもあります。

そのため、株価評価や贈与認定のリスクを含め、専門家の助言が不可欠です。

このように、役員借入金の整理は単純な「免除」に限らず、返済条件の調整・資本化(DES)・部分的な免除の組み合わせによって、将来の資金調達余地を確保しつつ財務改善を進めることが可能です。

⑤相続税評価へ影響を与えるリスク

役員借入金は、経営者が亡くなった際に相続財産の債権として評価されます。

そのため、生前に債務免除を行うことで、相続財産を圧縮し、相続税の負担を軽減できる可能性があります。

しかし注意すべきは、相続開始前3年以内に行った債務免除は相続財産に持ち戻され相続税の課税対象となるリスクがある点です。

いわゆる「3年以内加算」に該当するため、実行のタイミングを慎重に見極めなければなりません。

さらに、債務免除によって会社の財務内容が改善すると、株価評価が上昇する場合があります。

結果として、後継者が相続または贈与で取得する株式の評価額が増加し、かえって相続税負担が大きくなることもあるため要注意です。

したがって、役員借入金の債務免除を相続対策として活用する場合は、

  • 相続税と贈与税の両面からの試算
  • 株価評価への影響の確認
  • 事業承継計画全体との整合性

を踏まえて総合的に判断する必要があります。

最適なタイミングと方法を設計することで、税務リスクを抑えつつ、承継を円滑に進めることができます。

 

役員借入金の債務免除益を活用する方法

債務免除益の最も効果的な活用は、やはり繰越欠損金との相殺です。

特に、期限切れ間近の繰越欠損金を債務免除益で消化すれば、実質的に税負担を回避でき、節税効果を最大限に引き出せます。

さらに、債務免除によって自己資本比率が改善することで、財務体質の健全化が進みます。

その結果、金融機関からの信用度向上につながり、追加融資や条件変更の交渉において有利に働く可能性があります。

また、企業再生の現場では、債務免除による財務改善がM&Aの成約条件となることも少なくありません。

特に、債務超過状態のままでは買い手が現れにくいため、債務免除を通じてバランスシートを整えることが、事業承継や売却戦略の前提条件となるケースが多くあります。

さらに大きな特徴は、現金支出を伴わない点です。

資金繰りが逼迫している企業にとって、手元資金を減らさずに財務改善できるのは大きなメリットといえます。

 

債務超過企業の債務免除は専門家のサポートが重要

債務超過企業における債務免除は、税務・法務・財務の高度な専門知識が求められます

繰越欠損金の正確な計算、みなし贈与税のリスク評価、適切な手続きの履行など、見落としやすい論点が数多く存在するためです。

特に税務面については税理士のサポートが不可欠です。

そのうえで、免除のタイミングや金額設定は再生計画全体に直結するため、再生コンサルタントが金融機関対応やスキーム設計をリードし、専門家同士が連携して進めることが重要です。

税務・財務・再生の知見を組み合わせることで、税務リスクを抑制しつつ、実効性のある再生スキームを実現できます。

 

まとめ

役員借入金の債務免除益は、適切に活用することで繰越欠損金の消化による節税効果財務体質の改善相続税対策など、多面的なメリットをもたらします。

一方で、みなし贈与による贈与税課税リスク税務否認の危険など、見落としやすいリスクも存在します。

特に債務超過企業においては、経営者単独での判断ではなく、税理士や企業再生の専門家と連携して総合的な再生戦略の一環として債務免除を検討することが不可欠です。

正しい知識と専門家のサポートを得ることで、債務免除益は単なる会計処理にとどまらず、企業再生の強力な武器となります。

債務超過は早期対応がカギです。状況が悪化する前に、まずは専門家にご相談ください

ジーケーパートナーズでは債務超過企業の財務改善から再生型M&Aまで一貫した支援を提供しています。

中小企業活性化協議会の外部専門家として培った豊富な実績をもとに、各専門家と連携しながら最適な企業再生戦略をご提案します。

現在、無料個別相談会を実施中です。

経営状況を丁寧にお聞きし、最適な再生スキームについて、専門家が直接アドバイスいたします。

まずはお気軽にご相談ください。未来の選択肢を広げる第一歩となります。

無料個別相談会のご予約はこちら

関連記事|債務超過企業でもM&Aは可能!成功のための5つのステップ


債務免除益とは?中小企業の税務実務のポイントを徹底解説

debt-forgiveness-gain

債務超過や資金繰りに悩む中小企業経営者の方は、「債務免除益」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。

一見すると「帳簿上の利益」に過ぎないように思われがちですが、実際には財務構造の改善税負担の有無、さらには企業再生の行方を大きく左右する重要な要素です。

とくに、銀行や取引先との債務調整や、私的整理ガイドラインを活用した再建スキーム、さらにはM&Aによる事業承継の局面では、債務免除益の正しい理解と適切な対応が不可欠となります。

本記事では、

  • 債務免除益の定義と仕組み
  • 税務処理上の注意点
  • 企業再建やM&Aとの関わり方

について、再生支援やデューデリジェンスの現場を数多く経験してきた立場から、わかりやすく解説します。

債務免除益や再生型M&Aについて「自社にどう当てはまるのか」「どのような選択肢があるのか」悩まれている方は、ぜひ一度ご相談ください。

ジーケーパートナーズでは、中小企業の再生支援・M&Aに豊富な実績を持つ専門家が、無料で個別相談を承ります。

今すぐ予約する

 

債務免除益とは?

債務免除益とは、債権者が債務者に対して借入金や買掛金などの返済義務を全額または一部免除した際に、債務者側で計上される「臨時的な利益(収益)」を指します。

わかりやすくいうと、「本来であれば返済しなければならない借金が免除されたことによって生じる利益」です。

会計上は、貸借対照表の純資産の増加として処理され、損益計算書では特別利益として計上されるケースが一般的です。

ただし、「実際に手元に現金が入る利益」ではないため、資金繰りに直接つながるわけではない点に注意が必要です。

この債務免除益は、銀行・取引先・親会社・経営者自身など、さまざまな債権者との調整のなかで発生する可能性があります。

特に企業再生や債務超過の改善を図る局面では、財務基盤を立て直すうえで極めて重要な役割を果たします。

 

債務免除益が発生する主なケース

債務免除益が発生する典型的なケースは、次のような状況です。

  • 金融機関や親会社による支援
    →経営再建を目的として、融資や貸付金の返済義務を免除した場合
  • 取引先による債権放棄
    →回収が困難となった売掛金・未収入金などを、取引先が全部または一部放棄した場合
  • 役員貸付金やオーナー借入金の免除
    →企業再生のために、経営者や関係者が貸し付けた資金を返済不要とした場合
  • 私的整理ガイドラインや再生スキームの一環
    →私的整理、特定調停、さらにはM&Aを組み合わせた再生型スキームのなかで債務免除が行われる場合

とくに近年は、「事業譲渡+旧会社の特別清算による債務カット」といった、私的整理や再生型M&Aと組み合わせた手法が増加しています。

つまり、企業再生やM&Aの実務において、債務免除益が発生する場面は決して珍しくなく、むしろ重要なプロセスの一部となっているのです。

 

債務免除益発生時の会計処理

債務免除益は「特別利益」として損益計算書(PL)の特別利益欄に計上します。

たとえば、借入金1億円のうち5,000万円を免除された場合、次のように処理します。

仕訳例

借入金 50,000,000円 / 債務免除益 50,000,000円

このように計上された債務免除益は、通常の営業活動による利益とは区別され、「臨時に発生した利益」として扱われます。

重要なポイントは、債務免除益は発生した期に一括で計上されるという点です。

そのため、財務諸表や決算に与える影響は非常に大きく、場合によっては、

  • 当期純利益が一時的に大幅黒字化する
  • 金融機関や取引先の評価に影響を与える
  • 税務上の課税対象となるリスクがある

といった注意点も出てきます。

したがって、債務免除益の会計処理を行う際には、単に仕訳を切るだけでなく、再生計画全体や金融機関との関係、税務処理との整合性を意識することが不可欠です。

 

債務免除益と債務超過の関係

債務免除益は、債務超過の解消や財務健全化に直結する極めて重要な役割を果たします。

そもそも債務超過とは、負債総額が資産総額を上回り、純資産がマイナスになっている状態を指します。多くの中小企業経営者にとって、金融機関からの新規融資が難しくなったり、取引先からの信用が低下したりする深刻な課題です。

債務免除が実行されると、その金額が「債務免除益」として計上され、貸借対照表上で純資産を増加させる効果をもたらします。

これにより、

  • 債務超過の状態を解消できる
  • 純資産のマイナスを大幅に削減できる

といった改善が可能になります。

さらに、事業再生・M&A・私的整理といった再生スキームに債務免除益を組み合わせることで、資金繰りの安定化や金融機関との関係改善につながり、経営危機からの脱却と次の成長への一歩を踏み出せます。

関連記事>>債務超過とは?原因と解決策を解説|債務超過の解決策も紹介

ジーケーパートナーズでは、債務免除益の活用、債務超過の解消、事業再生に関する無料個別相談会を実施しています。

私たちは、再生型M&Aや私的整理スキームを用いた財務健全化支援に豊富な実績を持つ専門家です。

貴社の状況に応じて、金融機関との調整や再建スキームの選択肢を含め、最適な解決策をご提案いたします。

「資金繰りに限界を感じている」「債務超過を解消して再スタートを切りたい」という経営者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

無料個別相談会の予約はこちら

関連記事|債務超過とは?原因と解決策を解説|債務超過の解決策も紹介

 

債務免除益を計上するメリット・デメリット

債務免除益は、企業再生や債務超過の解消、財務健全化の局面で非常に重要な役割を果たします。

一方で、資金繰りへの直接的な効果が乏しいことや、税務上の課税、金融機関や取引先からの信用力への影響など、慎重に検討すべき側面も存在します。

経営者の方にとって、

  • 債務免除益を活用するとどんなメリットがあるのか
  • 逆にどのようなデメリットやリスクに注意すべきか

は非常に気になるポイントではないでしょうか。

ここでは、債務免除益を計上する際の主なメリットとデメリットについて、企業再生の現場経験を踏まえて分かりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。

メリット①債務体質を劇的に改善できる

債務免除益を計上すると、企業の負債総額が減少し、その分だけ自己資本比率が大幅に上昇します。

これにより、債務超過に陥っていた企業でも、一気に財務状態を健全化できるのが最大のメリットです。

財務基盤が強化されることで、

  • 金融機関からの信用力向上(新規融資や条件変更の可能性が広がる)
  • 取引先からの信頼回復(仕入れ条件や取引継続の安心感につながる)

といった効果が期待できます。

つまり、債務免除益は単なる会計上の利益ではなく、企業再生の大きな足掛かりとなり、経営の選択肢を広げるための重要な手段なのです。

メリット②資金繰りや事業継続が容易になる

債務免除によって借入金や負債の返済義務がなくなると、毎月の元利返済というキャッシュアウトが解消されます。

その結果、資金繰りに余裕が生まれ、経営の自由度が大きく向上します。

具体的には、

  • 運転資金に充てやすくなる(仕入や人件費の安定支払い)
  • 新規事業や設備投資に資金を回せる(成長戦略を描きやすい)
  • 突発的な資金需要にも対応可能(不測の支出への備えができる)

といった効果が期待できます。

ただし注意点として、債務免除益そのものは会計上の利益であり、実際に現金が入ってくるわけではありません。

資金繰りの改善は「返済が不要になることでキャッシュアウトが減る」ことによる効果です。

この点を正しく理解したうえで活用することが重要です。

メリット③相続税や法人税などの税務対策に活用できる

債務免除益は、原則として法人税の課税対象となります。

ただし、企業が過去の赤字(欠損金)を抱えている場合には、繰越欠損金と相殺することで法人税負担を大幅に抑えることが可能です。

また、経営者からの役員貸付金やオーナー借入金を免除した場合には、債務免除益として計上される一方で、将来的に相続財産から除外できるため、相続税対策(相続税圧縮)につながるメリットもあります。

このように、債務免除の目的や実行するタイミングを工夫することで、法人税や相続税といった税務コストを最適化できるのは大きな利点です。

企業再生や事業承継を見据える経営者にとって、債務免除益は単なる会計処理にとどまらず、財務改善と税務戦略を両立できる重要な手段と言えるでしょう。

デメリット➀法人税など課税負担が発生する

債務免除益は、臨時収益として法人税の課税対象となる点に注意が必要です。

繰越欠損金が十分にあれば相殺できますが、欠損金がない場合や使い切ってしまった場合には、その分に対して納税義務が発生します。

その結果、

  • 思わぬ納税負担が発生する
  • 想定以上のキャッシュアウトにつながる
  • 資金繰りをかえって圧迫するリスク

といった事態に陥る可能性があります。

したがって、債務免除益を計上する際には、事前に納税計画や資金準備を行い、税務面を踏まえた再生スキームを検討することが不可欠です。

デメリット②金融機関や取引先からの信用が低下する恐れがある

債務免除益を計上した企業は、金融機関や取引先から「金融支援がなければ事業継続が難しかった会社」と見られるリスクがあります。

その結果、一定期間は次のような影響を受ける可能性があります。

  • 新規融資が制限される(追加融資が難しくなる)
  • 既存融資の条件が厳格化される(金利引き上げや担保要求)
  • 取引先からの信用低下(支払条件の短縮や取引縮小の懸念)

このように、債務免除益は財務面の改善効果が大きい一方で、外部からの信用力評価を一時的に下げるリスクがある点は見落とせません。

したがって、債務免除を実行する際には、企業再生戦略の一環としての位置づけを明確にし、金融機関や主要取引先に対して丁寧に説明・情報発信を行うことが不可欠です。

適切なコミュニケーションができれば、むしろ「再生に向けて動いている会社」としての評価につながります。

デメリット③税務や手続きにおけるトラブルのリスクがある

債務免除は企業再生に有効な手段ですが、実行方法を誤ると想定外の税務リスクを招くことがあります。

特に、会社(債務者)・株主・債権者(免除する側)それぞれで影響が異なる点に注意が必要です。

会社(債務者)側のリスク

  • 免除された金額は「債務免除益」として計上され、法人税の課税対象になります。
  • 繰越欠損金で相殺できれば負担は軽減できますが、欠損金が不足している場合は多額の納税が発生する恐れがあります。

株主側のリスク(みなし贈与)

  • 経営者個人や一部の株主が会社への貸付金を免除すると、その分だけ会社の純資産が増え、株式価値が上昇します。
  • この増加分が「株主に経済的利益を移転した」とみなされると、贈与税(みなし贈与)が課税されるリスクがあります。

債権者(免除する側)のリスク

  • 債権放棄を行った債権者は、原則として免除額を損失計上できます。
  • しかし、経営合理性が不十分と判断された場合には、「寄附金」として扱われ、損金不算入になる恐れがあります。
  • 特に親会社と子会社、関連会社間での債権放棄は、税務調査で厳しく確認されます。

債務免除は「会社にとっての債務免除益課税」だけでなく、「株主へのみなし贈与税課税」「債権者側での寄附金認定リスク」といった複数の税務リスクが絡むため、非常に複雑です。

したがって、実行にあたっては必ず専門家のサポートを受けながら進めることを強くおすすめします。

 

債務免除益とM&A・事業再生の関係

近年の再生手法では、「私的整理ガイドラインを活用し、事業譲渡(または会社分割)→旧会社を特別清算して残債務を整理する」というスキームが増えています。

この流れの中で発生する債務免除益は、法人税課税や繰越欠損金との関係など、税務・会計上の扱いを誤ると計画全体に影響する重要な論点となります。

さらに、これにスポンサーによるM&Aを組み合わせるケースも多く見られます。

こうしたスキームを活用すると、単なる債務整理にとどまらず、

  • 事業の存続と雇用の維持
  • コア事業の磨き上げと成長投資の実現
  • 経営者の個人保証への対応

といった課題を包括的に解決することが可能になります。 

このような再生型M&Aスキームは、一般的なM&A仲介会社ではほとんど対応が難しい領域です。

特に「債務超過+再生スキーム案件」に強みを持つ専門家へ早めに相談することが、企業再生を成功に導く重要なポイントとなります。

ジーケーパートナーズ中小企業活性化協議会の外部専門家として、

  • 私的整理ガイドライン対応
  • スポンサー探索~M&A仲介
  • 財務・事業デューデリジェンス
  • 再生計画の策定支援

までを一気通貫でサポートしています。

これまでにも、債務超過や資金繰り困難に直面する中小企業の再生スキームや再生型M&A案件を数多く支援してきた実績があります。

「うちも債務免除益が発生したらどうなるのか?」

「税負担を抑えながら、最適な再生策を進めたい」

といった具体的なお悩みも、ぜひお気軽にご相談ください。

無料個別相談会のご予約はこちら]

関連記事|債務超過企業でもM&Aは可能!成功のための5つのステップ

 

まとめ

債務免除益は、企業再生や財務改善の大きなチャンスとなります。

一方で、法人税の課税・繰越欠損金の扱い・金融機関や取引先からの信用評価など、複雑で見落としやすい論点も少なくありません。

だからこそ、債務免除を活用した再生策では、正確な知識と専門的な対応が不可欠です。

誤った進め方をしてしまうと、思わぬ税務リスクや信用不安につながる可能性があります。

経営改善や事業再生を本気で目指すなら、早めに専門家へ相談し、自社の実情に合った最適なスキームを検討することが重要です。

それが、債務超過から抜け出し、再スタートを切る第一歩となるでしょう。

ジーケーパートナーズでは債務超過や資金繰り難に直面する中小企業の経営者さま向けに「無料個別相談会」を実施しています。

私たちは、再生スキーム型M&A・債務免除益の税務処理・私的整理ガイドライン対応など、一般的なM&A仲介会社では対応が難しい領域に多数の実績があります。

その経験を活かし、貴社の実情に合わせた最適な再建策・解決策をご提案いたします。

「資金繰りが限界に近い」

「債務超過を解消して再スタートを切りたい」

といった具体的なお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

無料個別相談会のご予約はこちら


DDSとは?務超過企業の再生に活用される金融手法を徹底解説

what-is-dds

借入金の返済に追われ、資金繰りに苦慮した結果、債務超過に陥ってしまう中小企業は少なくありません。

「毎月の返済負担が重く、事業の将来が見えない」

「銀行との関係が悪化し、打開策が見つからない」

このような悩みを抱える経営者の方も多いのではないでしょうか。

こうした状況を改善する一つの手段がDDS(デット・デット・スワップ)です。

DDSは、既存の借入金を劣後ローンに切り替えることで、債務超過の解消や金融機関との関係改善につながる再生スキームです。

通常の借入金返済では出口が見えないケースでも、DDSを活用することで事業再生の可能性が広がります。

本記事では、DDSの基本的な仕組みから実際の活用方法、さらに注意すべきポイントまで、中小企業再生の現場で数多くの支援を行ってきた専門家の視点から詳しく解説します。

毎月の返済に追われ「このままでは事業の将来が見えない・・」とお悩みではありませんか?

ジーケーパートナーズは、債務超過企業専門のコンサルティング会社として、事業再生スキームを活用し、金融機関との交渉や債務整理まで含めた最適な解決策をご提案します。

まずは、経営者さまの状況を丁寧にお伺いするために、無料個別相談会をご利用ください。

無料個別相談会のご予約はこちら

 

DDSとは?

DDS(デット・デット・スワップ)とは、既存の借入金を「劣後ローン(資本性借入金)」に切り替える金融手法です。

英語の「DebtDebtSwap」の略称で、文字通り「ある債務を別の形の債務に交換する」ことを意味します。

劣後ローンとは、万が一会社が倒産した場合の返済順位が、通常の借入金より後ろに設定される特別なローンです。

そのため金融機関の評価においては、自己資本に近い性質を持つ資金として扱われる場合があります。

DDSの手続きを行うと、金融機関との合意のもと、既存の借入契約を劣後ローン契約に切り替え、返済条件も次のように変わります。

  • 返済方法:毎月の元利返済→利息のみの支払い
  • 元本の返済:5~15年後の期日一括返済
  • 金利:通常の借入よりも低く設定されるケースが多い

この転換によって、企業は毎月の返済負担を大幅に軽減できます。

その一方で、金融機関にとっても「実質的に債務超過が解消された」とみなされる効果があるため、新規融資の可能性が高まるというメリットがあります。

 

DDSとDESの違い

企業再生の代表的な手法には、DDS(デット・デット・スワップ)とDES(デット・エクイティ・スワップ)があります。

DDS(Debt Debt Swap)

債務を別の債務に交換」する手法で、既存の借入金を劣後ローン(資本性借入金)に切り替えます。

形式上は負債として残りますが、金融機関の評価上は自己資本に近い性質を持つため、債務超過の解消や新規融資につながる可能性があります。

中小企業に適用されることが多く、新株発行などが不要で比較的スムーズに手続きできる点がメリットです。

DES(Debt Equity Swap

債務を株式に交換」する手法で、借入金を株式化することにより負債が減少し、純資産が増加します。債務超過の解消効果はDDSより大きいものの、金融機関や債権者が株主となるため、経営権の希薄化や意思決定の複雑化といった課題も生じます。

そのため、主に大企業や事業規模の大きい企業に適用されるケースが多いのが実情です。

このように、DDSとDESはいずれも「債務超過を解消する手法」ですが、中小企業にとって現実的かつ活用しやすいのはDDSといえます。

 

DDSの具体的なメリット4選

債務超過に陥った中小企業がDDSを実行することで得られる主なメリットは下記の4つです。

  • 金利を削減して毎月の返済負担を大幅に削減できる
  • 新規融資を受けやすくなる
  • キャッシュフローを改善できる
  • 経営権を維持したまま財務改善を実行できる

それぞれのメリットを詳しく解説するので、参考にしてください。

メリット①金利を削減して毎月の返済負担を大幅に削減できる

DDSでは、既存の借入金を劣後ローンに転換する際に、金利を大幅に引き下げられる点が大きなメリットです。

実際に、0.4%前後と非常に低い金利が設定されることもあり、従来の借入金利に比べて返済負担を大きく軽減できます。

さらに、返済方法が「元利返済」から「利息のみの支払い」に変更されるため、毎月の資金繰りは格段に楽になります。

たとえば、毎月300万円の元利返済を続けていた企業が、DDSを活用することで月50万円程度の利息支払いのみに切り替わるケースもあります。

このように、DDSを活用することで企業の資金繰りが大幅に改善し、再生計画に必要な運転資金や投資資金を確保しやすくなるのです。

ただし、DDSは「返済免除」ではなく「返済猶予」に近い仕組みであるため、将来的な元本返済に備えて実効性ある事業再生計画を策定することが不可欠です。

メリット②新規融資を受けやすくなる

DDSによって既存の借入金を劣後ローンに転換すると、金融機関の査定上は「自己資本」とみなされるため、実質的に債務超過を解消できる点も大きなメリットです。

これにより、企業の財務体質は改善され、金融機関からのリスク評価も見直されます。

その結果、新たな運転資金や設備投資資金の融資を受けやすくなり、再生に必要な資金調達が可能になります。

たとえば、債務超過の状態では銀行からの追加融資がほぼ不可能だった企業でも、DDSを実行することで信用力が回復し、従来なら難しかった追加融資が実現するケースもあります。

これは、経営改善や事業拡大に取り組む上で非常に大きな後押しとなります。

メリット③キャッシュフローを改善できる

DDSにより返済負担が大幅に軽減されると、手元資金に余裕が生まれるのも大きなメリットです。

毎月の元本返済が不要となり、利息も大幅に抑えられるため、企業は余剰資金を戦略的な投資や日常の運転資金に充てることができます。

たとえば、これまで返済に消えていた資金を、仕入れ・人件費・広告費などの経営資源に回せるようになれば、資金繰りに追われる日々から脱却し、前向きな経営に取り組むことが可能です。

また、突発的な資金需要にも柔軟に対応できるようになり、予測困難な経済環境の変化にも迅速に対応できます。

こうした健全なキャッシュフローは、金融機関や取引先からの信頼性を高め、「資金に余裕のある会社」としての評価向上にもつながります。

メリット④経営権を維持したまま財務改善を実行できる

DDSは、債務を株式に転換するDESとは異なり、既存の借入金を劣後ローンへ切り替えるだけの手続きです。

そのため、金融機関が株主になることはなく、経営権を手放す必要はありません

経営者は引き続き会社の主導権を握ったまま、財務改善を進めることができます。

外部株主に経営を左右される心配がないため、自社の判断で経営方針や事業戦略を柔軟に見直しながら企業再生に取り組めるのが大きなメリットです。

DDSだけで、本当に自社の問題が解決できるのだろうか・・

そう不安に感じている経営者の方は少なくありません。

ジーケーパートナーズでは中小企業活性化協議会の外部専門家として、これまでに数多くの債務超過企業の再生を支援してきました。

DDSによる財務改善だけでなく、事業譲渡・会社分割・特別清算といった再生スキームまで、企業の状況に応じて最適な解決策をご提案できます。

まずは、現在の状況をお聞かせください。

無料個別相談会のご予約はこちら

 

DDSを検討すべき企業の特徴3つ

DDSは、すべての企業に適しているわけではありません。

特に以下のような特徴を持つ企業において、有効な再生手段となる可能性があります。

  • 債務超過で返済負担が経営を圧迫している企業
  • 新規融資が困難だが事業継続価値がある企業
  • 経営改善への意思と計画策定能力がある企業

それぞれの特徴を詳しく解説します。

債務超過で返済負担が経営を圧迫している企業

債務超過により毎月の元利返済が重くのしかかり、手元資金が枯渇して本業の収益を圧迫している企業は、DDSの検討を真剣に考えるべきでしょう。

具体的には、次のようなケースが該当します。

  • 債務超過のため、通常の金融機関から新規融資を受けられず、資金繰りが行き詰まっている企業
  • 毎月の返済負担が大きすぎて、売上の大部分が借入金返済に消え、事業投資や成長資金が全く残らない企業

このような状況では、

「毎月の返済に追われて設備投資どころではない」

「売上があっても返済で手元に資金が残らない」

といった悪循環に陥りがちです。

DDSを実行すれば、返済方法が「元利返済」から「利息のみの支払い」に切り替わるため、返済負担を大幅に軽減できます。

結果として、資金繰りの余裕を取り戻し、本業の収益改善や成長戦略に集中できる環境が整うのです。

関連記事|債務超過とは?原因と解決策を解説|債務超過の解決策も紹介

新規融資が困難だが事業継続価値がある企業

債務超過によって新規融資を断られ続けているものの、技術力や顧客基盤といった競合優位性を持つ企業は、DDSによる財務改善で再生の可能性が広がります。

具体的には、次のような企業が該当します。

  • 長年にわたり事業基盤を築いてきたが、過剰債務で資金繰りが悪化し、民間金融機関への返済継続が困難となっている企業
  • 直近2期は黒字化しているにもかかわらず、メインバンクが過去の赤字や債務超過のみを重視し、融資に前向きでない企業

このような状況では、

「事業は順調なのに銀行が相手にしてくれない」

「運転資金が調達できず、取引先への支払いが心配だ」

といった悩みを抱える経営者も少なくありません。

DDSを実行すると、既存の借入金を劣後ローンに転換できるため、金融機関の評価上は資本とみなされ、実質的に債務超過を解消できます。

債務超過が解消されれば、金融機関からの信用力も回復し、新規融資を受けられる可能性が高まるのです。

経営改善への意思と計画策定能力がある企業

DDSは、経営陣が現状を正しく把握し、具体的かつ実現可能な事業再生計画を策定できる企業において効果を発揮します。

具体的には、次のような企業が該当します。

  • 事業自体には競争力があるものの、原価管理や経費管理の不十分さから過剰債務に陥った企業が、経営管理体制の強化と明確な財務改善策を策定したケース
  • 独自の商品やサービスを軸にした成長戦略を盛り込み、外部の専門家の支援を受けながら実効性ある経営計画書を作成した企業

このように、

「このままでは立ち行かないが、改善の道筋は見えている」

「具体的な収益改善策があるのに資金が不足している」

という経営者こそ、DDSを検討すべきです。

DDSを実行することで、金融機関との交渉においても説得力のある再生計画を“武器”とすることができ、結果として低金利での資金調達と返済負担の軽減を実現できます。

 

DDS実行時の注意点

DDSを実行する際は、以下の4点に注意が必要です。

  • 特約事項による経営制約と違反リスク
  • 経営者個人への負担増加
  • 税務・法的要件の事前確認
  • 債権者間の合意形成

以下で詳しい内容を解説します。

特約事項による経営制約と違反リスク

DDSを実行する際には、金融機関のリスク軽減のために特約事項(コベナンツ)が設けられるケースがあります。

具体的には、下記のような条項が含まれることが多く、経営の自由度が制限される可能性があります。

  • 定期的な財務報告義務
  • 赤字決算を出せない制約
  • 新規事業や経営方針変更には事前承認が必要

これらの特約事項に違反した場合、契約違反とみなされ、借入金の即時一括返済を求められるリスクがあるため注意が必要です。

また、経営者の迅速な意思決定が阻害され、新規事業や投資のチャンスを逃すリスクも考えられます。

そのため、DDSを導入する際には、下記事項が非常に重要です。

  • 特約の内容を十分に理解すること
  • 将来の事業展開に支障が出ないか慎重に検討すること
  • 必要に応じて専門家に相談し、交渉によって条件を調整すること

経営者個人への負担増加

DDSは企業にとって大きなメリットがある一方で、金融機関にとってはリスクが増える施策でもあります。

そのため、リスク軽減策として経営者個人に追加の負担が課されるケースが少なくありません。

具体的には、以下のような要請が行われることがあります。

  • 経営者の個人保証の追加
  • 経営者の個人資産を担保として提供
  • 最悪の場合、経営者の退任を条件とされるケースもある

これにより、経営者の個人資産の流動性が制限され、家計や相続を含めた個人の財務計画に深刻な影響を与える可能性もあるのです。

したがってDDSを検討する際には、提示された条件を十分に精査し、金融機関との交渉や専門家のサポートを通じてリスクを最小化する対応策を取ることが不可欠です。

 

まとめ

DDSは、債務超過に苦しむ中小企業が既存の借入金を劣後ローン(資本性借入金)へ転換することで、毎月の返済負担を抑え、金融機関からの新規融資を受けやすくする有効な企業再生手法の一つです。

とくに、返済に追われて資金繰りが逼迫している企業や、事業継続価値はあるのに新規融資が止まっている企業にとって、経営権を維持したまま財務改善を図れる重要な選択肢になります。

一方で、特約条項による経営上の制約、経営者個人の負担増などの注意点もあり、返済免除ではなく再生計画の実行力が求められる点に留意が必要です。

最適なスキーム選定と条件交渉のために、専門家の伴走のもとで慎重に検討しましょう。

ジーケーパートナーズでは、私的整理ガイドラインを活用した事業譲渡・会社分割・特別清算など、企業の状況に応じた包括的な解決策をご提案しています。

特に、一般的なM&A仲介会社では対応が難しい「債務超過を伴うM&A案件」においても、当社の企業再生専門ノウハウを活かし、金融機関との調整から事業再生計画の策定まで一貫して支援することが可能です。

「借入金の返済に追われて将来が見えない」「債務超過で会社を次世代につなげられるか不安」と感じている経営者の方こそ、まずは、無料個別相談会で状況をお聞かせください。

無料個別相談会のご予約はこちら


銀行のリスケ拒否はなぜ起こる?返済猶予を断られたときにとるべき対策

bank-reschedule-rejection

「銀行にリスケ(返済猶予)を申し出たのに、まさかの拒否…」

資金繰りを必死に守ろうとしていた経営者にとって、これは大きなショックです。

特に債務超過や借入負担が重い状況では、「銀行のリスケ拒否」は会社の命運を左右しかねません。

しかし、拒否されたからといって再生の道が閉ざされるわけではありません。

実際、私たちが関わってきた案件の中でも、リスケが通らなかった後に「別の打開策」で再建に成功した事例は数多くあります。

なお、「すぐに自社に合った解決策を知りたい」「具体的な方法を専門家に相談したい」という方は、ぜひ、ジーケーパートナーズ無料個別相談会をご活用ください。

これまで数多くの中小企業再生を支援してきた実務経験を踏まえ、状況に合わせた最適な解決策をご提案いたします。

無料個別相談会の予約はこちら

 

銀行のリスケ拒否はなぜ起こる?その基本構造

銀行がリスケを拒否する主な理由には、下記のようなものがあります。

  • 経営改善計画の内容が弱いこと(実現性や数字の根拠が不足している)
  • 必要な資料や準備が不十分であること
  • 複数行との調整がうまくできていないこと

また、リスケに応じた時点で銀行はその貸出債権の評価を下げざるを得ず、自己資本比率や決算への悪影響というリスクを負います。

そのため、銀行にとってリスケは「簡単に認められる話」ではありません

さらに、直近で新規融資を受けた直後に「やはり返済条件を変えてほしい」と申し出ると、資金計画に信頼性がないと判断されやすくなります。

つまりリスケは、銀行のリスク管理・法律・経営判断が複雑に絡む慎重な決定であり、安易な承諾は期待できないのです。

関連記事|銀行融資のリスケとは?メリット・デメリットと成功のポイントを解説

 

リスケ拒否の主な理由と対策

銀行がリスケに応じない典型的なパターンには、次のようなものがあります。

  • 新規融資を受けた直後にリスケを申請している
  • 他行や他の金融機関との対応が揃っていない
  • 必要な資料や経営改善計画に不備がある
  • 銀行側の事情やタイミングに左右されている

それぞれに対する経営側の実効策を分かりやすく解説します。

新規融資を受けた直後にリスケを申請している

たとえば「つい最近、銀行から新しくお金を借りたばかりなのに、すぐに返済を待ってほしい」と頼むケースは、リスケを拒否されやすい典型例です。

銀行からすると、

「本当に必要な借入だったのか?」

「その資金は何に使ったのか?」

と疑問を持ちやすく、計画性がないと判断されやすくなります。

結果として「きちんと考えて行動していたのか?」という不信感を招き、リスケ承認は難しくなります。

理想は、最低でも半年から1年以上きちんと返済を続けることです。

そうすることで、銀行から「まじめに返済してきた」という信頼を得やすくなり、交渉もしやすくなります。

大切なのは、無計画な借入を繰り返さず資金の使い道と返済計画を明確にしたうえで交渉に臨むことです。

他行や他の金融機関との対応が揃っていない

複数の銀行や金融機関から融資を受けている場合、一つの銀行だけに「返済を待ってほしい」と頼んでも、まず通りません。

リスケジュール(返済条件の変更)を申し込む際の大原則は、「すべての取引金融機関に対して、一律・同条件で同時に申請すること」です。

もし一部の銀行にだけ条件変更を求めれば、不公平感が生まれ、他行との信頼関係を損ない、結果としてリスケ全体が拒否される可能性が高まります。

リスケを検討する際は、

  • 全金融機関に同一条件で一斉に申請する
  • 公平性と透明性を保ち、誠実な姿勢を示す
  • 実現可能な返済計画を提示する

ことが重要です。

本気で再建に取り組んでいる」姿勢を見せることが、金融機関からの理解を得る第一歩となります。

必要な資料や経営改善計画に不備がある

銀行がリスケに応じるかどうかを決める最大のポイントは、下記の2点です。

  • 本当に事業を立て直す計画があるか
  • その裏付けとなる数字や資料が揃っているか

また、リスケを申し込む際には、次のような資料が欠かせません。

  • 現実的な経営改善計画(今後どう会社を良くしていくかを示す)
  • 資金繰り表(入出金の予測を数値で示したもの)
  • 具体的な改善策の内容(売上回復・コスト削減など)
  • すべての借入金の一覧(借入先・金額・返済条件を整理したもの)

これらが十分に揃っていないと、計画の説得力がなくなり、銀行から「再建の見込みがない」と判断されてリスケが断られる可能性が高まります。

銀行側の事情やタイミングに左右される

リスケの交渉がうまくいかない原因の一つに、銀行独自の事情やタイミングがあります。

特に年度末や決算期には、リスケに応じることで貸出債権の評価が下がり、引当金を追加で計上しなければならない可能性があるため、銀行は通常よりも慎重な判断を下す傾向があります。

また、担当者の権限の範囲や、繁忙期による対応の遅れも影響する場合があります。

こうした要因は避けられない部分もありますが、日頃から担当者と良好な関係を築いておくことで状況は変わります。

普段から経営状況を共有し、誠実にコミュニケーションを重ねておけば、いざリスケを相談する際にも銀行の理解を得やすくなります。

 

銀行からリスケを拒否された場合にとるべき対策

リスケを銀行に申し込んで断られたとき、強い不安や落ち込みを感じるのは当然のことです。

しかし、一度の拒否ですべてが終わるわけではありません。

銀行からリスケを拒否された場合に取るべき主な対策は次の通りです。

  • 諦めずに資料・計画を再構築する
    →資金繰り表や経営改善計画を見直し、数字と根拠を強化しましょう。
  • 全金融機関に同時申請・統一条件で対応する
    →一行だけにお願いしても通りにくいため、「他行一律同条件」が原則です。
  • 現状説明と未来のシナリオを丁寧に示す
    →「現状の課題」と「今後の改善策」を具体的に説明することが、銀行の理解を得るカギです。
  • 相談先を広げ、専門家に伴走してもらう
    →経営者だけで交渉を進めるのは難しいケースも多いため、専門家の支援を受けることで成功率 は大きく高まります。

諦めずに資料・計画を再構築する

銀行にリスケを申し込んで断られても、すぐに諦める必要はありません。

大切なのは、「なぜ断られたのか?」をしっかり確認することです。

担当者に理由を聞くと、たとえば

  • 経営改善計画があいまい
  • 必要な資料が足りない
  • すべての銀行の足並みが揃っていない

といった課題が見えてくるはずです。

理由が分かれば、計画や書類を修正して再チャレンジできます。

実際、最初は断られても準備を整え直して再度相談し、結果的にリスケが認められるケースは少なくありません。

リスケは一度の申請で決まるものではなく、粘り強い準備と改善の積み重ねが成功につながります。

全金融機関同時申請・統一条件を徹底する

複数の銀行や金融機関から融資を受けている場合、一つの銀行だけを説得しても意味がありません。

リスケジュールを申し込む際は、すべての融資先に対して、同じタイミング・同じ条件で「返済を待ってほしい」と依頼することが原則です

この方法の目的は、金融機関同士の公平性を確保することです。

もし一部の銀行にだけ返済猶予をお願いすれば、ほかの金融機関は

「自分たちだけが不利益を被るのではないか」

と疑念を抱き、協調的な対応を得にくくなります。

すべての銀行に対して条件とタイミングを揃えることで、不公平感をなくし、各行が安心してリスケに応じやすくなるのです。

現状説明と未来シナリオを丁寧に示す

銀行にリスケをお願いする際は、まずいま会社がどれほど厳しい状況にあるのかを正直に伝えることが大切です。

そのうえで、「リスケを認めてもらえれば、いつまでに立て直せるか」という将来の見通しを、必ず数字や具体例で示しましょう。

説明の仕方の例

「このまま返済を続けると、〇か月後には資金が枯渇してしまう」

「しかしリスケが実現すれば、〇年後には売上や利益が回復し、返済も再開できる見込みがある」

といった形で、現状のリスクとリスケ後の改善シナリオをセットで提示することが信頼を得るポイントです。

信頼を高めるコツ

具体的な数字や事例を交えて説明することで、銀行に「この会社は計画的に再建を考えている」と認識され、リスケ承認の可能性が高まります。

相談先を広げ、専門家に伴走してもらう

リスケや再建の交渉・計画づくりは、経営者ひとりだけで進めるには限界があります。

「どうしても話がまとまらない」「数字や計画に自信がない」と感じたときは、事業再生の専門家や認定支援機関、中小企業に強いコンサルタントなど第三者の力を借りることを検討してください。

専門家が同席することで、銀行との交渉がスムーズに進むケースも多くあります。

不安や迷いを一人で抱え込まず、早めに相談することが再交渉成功の近道です。

「なぜ拒否されたのか分からず困っている」

「現状打開の相談先がない…」

そんな経営者の方は、ジーケーパートナーズ無料個別相談会をご活用ください。

私たちはこれまで、数多くの中小企業の再生支援に携わり、金融機関の審査・判断基準を熟知しています。

  • 資金繰り状況の整理
  • 金融機関が重視する視点を踏まえた戦略立案
  • 実現可能な事業計画の策定サポート

まで、専門家が一貫してサポートします。

無料個別相談会のご予約はこちら

関連記事|M&A仲介会社の選び方!FAとの違いやトラブルの回避方法を徹底解説

 

銀行にリスケ拒否されたあとの「次の一手」となる具体策

銀行にリスケを相談して断られたとき、経営者としては「もう打つ手がない」と感じてしまうかもしれません。

しかし、ここで諦める必要はありません。

むしろ、拒否されたことをきっかけに現状を見直すことで、本質的な経営改善の道筋が見えたり、新たな資金調達の可能性が開けたりするケースも少なくありません。

次に取るべき、以下の4つの行動を意識し、自社の現状や強みに合わせて最適な方法を選びましょう。

  • コストカット・資金流出最小化を徹底する
  • 専門家帯同で再交渉する
  • 他の資金調達・出口戦略を検討する
  • 法的整理・第二会社方式など抜本策も選択する

1.コストカット・資金流出最小化を徹底する

リスケを銀行に断られた場合、最初に取り組むべきは会社から出ていくお金(支出)を減らす努力です。

具体的には、

  • 無駄な経費を徹底的に削減する
  • 毎月赤字が続く不採算事業を思い切って縮小・撤退する

といった対策をすぐに実行しましょう。

こうした積極的なコスト削減によって、

  • キャッシュの減りを抑え、資金ショート(お金が尽きる状況)を防ぐ
  • 「自助努力をしている」という姿勢を示し、次の銀行交渉での説得力を高める

といった効果が得られます。

小さな削減でも積み重ねが大きな成果となり、再建への道を切り開く力になります。

2.専門家帯同で再交渉する

リスケ交渉で一度断られてしまっても、専門家と一緒に再チャレンジすることで状況が変わる場合があります。

たとえば、認定支援機関や中小企業再生に強いコンサルタントなどの専門家がサポートに入ると、

  • 経営改善計画の作成・修正を第三者の視点でチェックしてもらえる
  • 銀行交渉に同席してもらうことで、銀行側も「客観的に検証された計画だ」と納得しやすくなる
  • 必要な書類や資金繰り表の準備を支援してもらえる

といったメリットがあります。

その結果、経営者は不安を減らし、自信を持って銀行との交渉に臨むことができるのです。

3.他の資金調達・出口戦略を検討する

銀行からリスケを断られても、資金調達や経営改善のためには複数の選択肢が存在します。

  • 借り換え(リファイナンス)
    →他の金融機関から借り換えることで、返済条件を有利にし、資金繰りを改善できます。
  • 資本性ローンの活用
    →返済負担が軽く、自己資本とみなされる融資制度を利用して、資金を確保する方法です。
  • M&A(事業譲渡や合併)
    →事業の一部または全部を他社に譲渡することで、新たな資金やノウハウを取り込み、事業を存続させる道が開けます。
  • 私的整理による債務カット
    →裁判所を通さずに金融機関と交渉し、借金の一部を削減してもらう方法です。

大切なのは、自社の状況や将来のビジョンに合った方法を選ぶことです。

そのためには、必ず専門家と一緒に選択肢を検討し、最適な戦略を描くことが成功のカギとなります。

関連記事M&Aにおける売却の価格目安は?計算方法や税金についても解説

4.法的整理・第二会社方式など抜本策も選択する

どうしても今の方法だけでは立て直しが難しい場合、会社を根本から再構築する手法を検討することも必要です。

たとえば、

  • 特別清算:現会社を整理しつつ、必要な事業だけを新会社に引き継ぐ
  • 会社分割:不採算部門と将来性のある部門を切り離し、再生可能な部分に集中する

といった大掛かりなスキームが選択肢となります。

これらは「最終手段」と思われがちですが、早めに検討することで再スタートのチャンスを失わずに済む場合もあります。

大切なのは、必ず専門家と一緒にシミュレーションを行い、自社にとって最も安全で現実的なルートを見極めることです。

 

銀行からリスケを拒否されても道は必ずある

銀行からリスケを拒否されても、それで「終わり」ではありません

まずは断られた理由を具体的に洗い出し、資金繰り表と経営改善計画を作り直す。そのうえで、全行同時・同条件で再申請し、事業再生の専門家と連携して交渉に臨みましょう。

中小企業金融の現場では、準備を整えて複数回の交渉を重ね、リスケが実現した事例が数多くあります。

希望を捨てず、今できる一歩を踏み出してください。

ジーケーパートナーズでは、リスケ拒否に直面した企業の立て直し抜本再生を数多く支援してきた実績があります。

「自分だけの交渉では限界を感じる」「どの選択肢を取ればよいか分からない」

そんな時こそ、無料個別相談会をご活用ください。

貴社の状況や課題を丁寧にお伺いし、最適な一手を分かりやすくご提案いたします。

まずはお気軽にご相談ください。未来への道筋を一緒に描きましょう。

無料個別相談会の予約はこちら