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旅館の債務超過を解決する5つのステップ!原因も徹底解説

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旅館経営は「施設の老朽化」「人手不足・後継者不在」「観光需要の変動」など外部要因の影響を受けやすく債務超過(資産より負債が多い状態)に陥ると、金融機関の評価低下や追加融資の停止、保証人リスクなど深刻な問題が一気に顕在化します。

しかし、債務超過=倒産ではありません

私的整理ガイドラインを活用した事業譲渡・会社分割→特別清算(債務カット)、スポンサー型M&A、DDS/DES、リスケジュールなどを組み合わせれば、事業と雇用を守りつつ財務を健全化する道は十分にあります。

本記事では、債務超過に悩む旅館・ホテルの経営者様に向けて、その克服に必要な「5つのステップ」を実務的な視点から解説します。

中小企業活性化協議会の外部専門家として培った財務・事業デューデリジェンスや再生型M&Aの知見をもとに、すぐ実行できる具体策をご紹介します。

ジーケーパートナーズは、中小企業活性化協議会の外部専門家として、数多くの企業再生支援に携わってきました。

特に、私的整理ガイドラインを活用したスポンサー譲渡や債務カットスキームにおいて豊富な実績があり、事業承継・雇用維持と財務健全化を両立させるご支援を行っています。

まずは無料個別相談会にて、経営者様の状況を丁寧にヒアリングし、最適な選択肢を一緒に探りましょう。

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旅館経営の危険信号「債務超過」とは?

債務超過とは、企業の負債(借入金・未払金など)が資産(現金・土地・建物など)を上回る状態を指します。

貸借対照表で「純資産の部」がマイナスになっていれば、債務超過に陥っていることが分かります。

旅館業は土地や建物、温泉設備など固定資産の比率が高く、改修や維持に多額の借入が必要です。

加えて観光需要の変動や災害・感染症で売上が減少すると、返済が難しくなり債務超過に陥りやすい構造的リスクを抱えています。

債務超過の状態を放置すると、次のような深刻な問題に直結します。

・金融機関からの追加融資が受けられない

・取引先や仕入業者からの信用低下

・従業員の不安増大・離職リスク

・最悪の場合、資金ショートによる事業停止・倒産  

債務超過の危険信号は、貸借対照表で「純資産の部」がマイナスになっていることや、資産を売却しても借入を返済できない状態、営業キャッシュフローの赤字が続く場合などです。

まずは貸借対照表を確認し、兆候があれば早めに専門家へ相談し、再生スキームや金融機関との調整を検討することが大切です。

旅館経営者が実践すべき事業再生に向けた5つのステップ

債務超過と診断されても、事業の終わりではありません。むしろ抜本的な経営改革に踏み出す“サイン”です。大切なのは、迅速かつ計画的に次の打ち手へ進むことです。

本記事では、債務超過の旅館・ホテルを対象に、絶望的に見える状況から再生を実現する「5つのステップ」を実務的な観点から解説します。

ステップ1.財務状況と事業価値の正確な把握と客観的な再生可能性の評価

事業再生は、まず「正しい現状認識」から始まります。

財務状況と事業価値を客観的に把握できなければ、効果的な対策も関係者の信頼も得られません。

まず、BS/PLを徹底分析して債務超過の原因を数値で特定します。

例えば、下記要因が数字に表れているかを整理します。

  • 過大投資による減価償却負担
  • 稼働率低下による固定費の未吸収
  • 返済負担が利益を上回る状態

同時に、事業価値(立地・ブランド・顧客基盤・将来CF)を評価することが不可欠です。

これは金融機関・スポンサー交渉の土台となり、

  • 再生余地の有無
  • 事業承継や雇用維持に適したスキーム

の判断基準になります。             

判断のポイントは下記の通りです。

  • 財務状況=「これまでの数字」
  • 事業価値=「これから稼げる力」

この両方を整理して初めて、金融機関は「再生の可能性がある」と判断してくれます。

ステップ2.実現可能性の高い経営改善計画の策定と具体的な数値目標の設定

次のステップは、現状分析を踏まえた実現可能な経営改善計画の策定です。

強い想いだけでは支援は得られず、数値目標と具体策が必要です。

例えば、下記のような具体的なアクションに落とし込みます。

  • 「3年後に営業利益を黒字化」とゴールを設定
  • KPI(重要業績評価指標):「稼働率10%改善」「原価率5%削減」
  • 施策:「新宿泊プラン開発」「業務効率化」「販売チャネル最適化」

重要なのは希望的観測ではなく、過去実績・市場データ・競合比較に基づく根拠ある計画であることです。

計画のポイントは、下記の通りです。

  • 数値目標+具体的施策を明記
  • 達成根拠を客観的データで示す
  • 金融機関・従業員・取引先が納得できるロジックを備える

緻密で根拠ある計画こそが、関係者を動かし事業再生を成功に導くカギとなります。

ステップ3.経営改善計画を基にした金融機関との交渉と金融支援の獲得

策定した経営改善計画は、金融機関交渉における“実行可能性を示す武器”となります。

すべての取引金融機関と足並みを揃え、返済猶予などの支援を得ることが再生の第一歩です。

金融機関交渉での主なポイントは下記の通りです。

  • 計画の実現可能性を丁寧に説明する(例:営業利益3年後黒字化など)
  • 必要な支援内容を明確化する(返済猶予・金利減免・元金据置きなど)
  • 複数行の協調を図ること

複数行との調整は経営者一人では難しく、中小企業活性化協議会や私的整理ガイドラインを通じた専門家の同席により、透明性や公平性が高まり金融機関の安心感も得られます。

金融機関を「敵」ではなく再生のパートナーと捉え、誠実な対話と数字に基づく説明を重ねることが、協力を引き出す最大の武器です。

銀行との協議では、リスケジュールの注意点やデメリットも把握したうえで交渉方針を決める必要があります。

リスケの影響と拒否された場合の打ち手は、以下で解説しています。

関連記事|銀行融資をリスケするデメリットとは?拒否されたときの対策もご紹介

ステップ4.稼働率と顧客単価を向上させる具体的な収益力強化策の断行

金融機関との交渉と同時に、計画に盛り込んだ収益力強化策を即実行することが不可欠です。金融支援はあくまで時間を稼ぐ手段であり、根本解決は「稼ぐ力」を取り戻すことにあります。

主な施策は以下の通りです。

  • 新たな顧客層の開拓:ワーケーション、インバウンド、シニア向け長期滞在
  • 直予約比率の向上:公式サイト導線改善、SNS発信、リピーター施策でオンライン旅行代理店(OTA)依存を軽減
  • 地域資源を活かす:食材や文化体験、ツアー連携による宿泊外収益の確保
  • 効率化とコスト最適化:予約システム導入、清掃・シフト調整、省エネで固定費削減

さらに、成果を数値で「見える化」することが信頼獲得のカギです。

稼働率直予約比率、部門別損益、顧客満足度などを定期的に報告し、金融機関や従業員に「計画は順調」と示すことが重要です。

ステップ5.M&Aや補助金活用による事業再生に必要な運転資金の確保

経営改善を進めるには、資金の確保が不可欠です。

運転資金や設備改修資金が不足すれば計画を実行できず、既存借入だけでは限界がある場合は外部からの資金注入も検討すべきです。

資金調達の方法は下記の通りです。

  • 金融機関からの追加融資:改善計画を示し、条件付きで調達
  • スポンサー型M&A:債務整理と同時に資本・ノウハウ・販路を導入
  • 事業譲渡・会社分割+特別清算:債務を旧会社に残し、新会社で事業継続と債務カットを実現
  • 補助金・助成金:返済不要の公的資金を活用

資金調達には、金融機関との調整スポンサー探索補助金申請など専門的な知識が不可欠です。

中小企業活性化協議会や私的整理ガイドラインを活用し、最適な手段を組み合わせることが成功の鍵となります。

債務超過でもM&Aで再建を進めるには、売却可否の判断軸と実務の進め方を押さえる必要があります。

債務超過企業の売却に関する要点は、以下を参考にしてください。

関連記事|債務超過の企業でも売却は可能?条件や方法を徹底解説

旅館が債務超過に陥る3つの原因とは?

債務超過には必ず原因があり、多くの場合は複数の経営課題が重なって発生します。

ここでは、旅館業で特に多い代表的な3つの要因を解説します。

まずは自社がどの要因に当てはまるのかを確認し、原因ごとに適切な対策を取ることが、事業再生の第一歩となります。

1.旧態依然の経営による深刻な売上減少

市場の変化に対応できない旧態依然の経営は、売上減少の大きな要因です。

旅行市場はこの10年で大きく変化し、予約方法・顧客層・ニーズも従来とは異なります。

それにもかかわらず従来のやり方に固執すれば、新規顧客を逃すだけでなく、既存顧客も離れてしまいます。

典型的な“対応不足”は以下の通りです。

  • 予約チャネルの遅れ:OTAや自社予約システムが不十分で集客力低下
  • 情報発信の不足:SNSや口コミでの露出がなく「存在しない旅館」とみなされる
  • 顧客層の変化を無視:団体旅行依存のままでは個人客やファミリー層のニーズに対応できずリピート率が低下

経営環境の変化に柔軟に対応できなければ収益基盤は弱体化しますが、OTA最適化・SNS活用・個人客対応プランの導入などを行えば、売上回復の道を切り拓けます。

2.収益に見合わない過剰な設備投資

過剰な設備投資は債務超過の大きな要因です。

リニューアルや改修は必要でも、将来のキャッシュフローに見合わなければ返済負担だけが重くのしかかります。

よくある過剰投資は下記のようなパターンがあります。

  • 市場調査不足:需要を確認せず大規模改修→客足が伸びず回収困難
  • 金融機関任せの融資:低金利や担保余力を理由に過剰借入→資金繰り悪化
  • 見栄え重視の改装:豪華ロビーなど収益に直結しない投資

また、旅館業特有のリスクとして、建物や温泉設備など固定資産の比率が高く投資回収に時間がかかるため、判断を誤れば長期的に財務を圧迫し、債務超過へ直結します。

防ぐためのポイントは下記の通りです。

  • ROI(投資利益率)や回収年数を事前に試算
  • 修繕と収益向上を切り分け、効果ある投資を優先
  • 返済後のキャッシュフローを検証
  • 専門家の第三者チェックを受ける

過剰投資は「未来を守るつもりが経営を圧迫する」典型的な落とし穴です。

投資判断は、“将来の稼ぐ力につながるか”を基準に、無理のない返済計画とともに行うことが不可欠です。

3.高い固定費構造

旅館経営の大きな特徴のひとつは、固定費の比率が非常に高いことです。

具体的には、以下のようなコストが常に発生します。

  • 人件費:フロント・調理・清掃・接客など
  • 光熱費:客室や温泉設備など
  • 維持修繕費:建物や温泉設備は老朽化が避けられず、定期的な修繕が不可欠
  • リース・借地代:施設の一部を賃借している場合や設備リース契約も固定的に発生

これらは宿泊客が減ってもほとんど削減できず、「稼働率に関わらず発生する重いコスト」として経営にのしかかります。

観光需要が旺盛な時期は黒字を確保できますが、コロナ禍や自然災害、景気後退などで売上が落ち込むと、固定費は一気に「赤字の固定化」へと転じます。

稼働率が少し落ちただけで利益が急減し、光熱費や修繕費が重なれば資金繰り悪化から債務超過に直結するリスクがあります。

つまり、高い固定費構造は平時には見えにくいものの、不況期には経営を直撃する“隠れリスク”なのです。

これを防ぐには、収益モデルの多角化、外注活用による可変費化、省エネ投資や計画的な修繕などで固定費をコントロールすることが不可欠です。

一般的なM&A仲介会社では敬遠されがちな“債務超過企業”でも、ジーケーパートナーズなら解決の道があります。

当社は、企業再生コンサルティングに強みを持ち、

  • スポンサー探索
  • 債務削減を前提とした再生スキーム設計
  • 金融機関・取引先との交渉支援

までを一体でご提案することが可能です。

「株式売買のみ」を前提とする仲介では実現できない、再生型M&A×債務整理スキームを組み合わせた実務支援は、当社ならではの強みです。

まずは、無料個別相談会にて、貴社の状況を丁寧にヒアリングし、最適な解決策を一緒に探りましょう。

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自力での事業再生難しいといわれる3つの理由

債務超過からの再生に挑むとき、多くの経営者様が「できる限り自力で乗り越えたい」と考えます。

しかし、事業再生は「経営の外科手術」とも呼ばれるほど専門性が高く、独力での再建は困難です。

再生には、

  • 金融機関との交渉
  • 複雑なスキーム設計
  • 客観的な現状把握

という3つの難所を突破する必要があります。

これらを経営者一人で担うのは現実的ではなく、専門家の支援こそ再生への最短ルートとなります。

1.客観的な経営判断の難しさ

第一の理由は、経営者自身が客観的に再生計画を立てることが難しい点にあります。

長年守り続けてきた事業や従業員への強い想いは尊いものですが、時にそれが足かせとなり、不採算部門の整理や抜本的改革をためらわせてしまうことも少なくありません。

また、金融機関やスポンサーを納得させる計画には、

  • 業界特性を踏まえた収益予測
  • 設備投資とキャッシュフローの分析
  • シナリオ別の資金繰り検証

といった高度な専門知識と冷静な分析力が不可欠です。

ところが実際には「来年は必ず回復するはずだ」といった希望的観測や市場動向の過小評価が混じり、計画の実現性を損なうケースが多く見られます。

そこで重要となるのが、しがらみのない第三者の専門家による客観的な事業分析です

専門家は、

  • 複数金融機関の利害調整
  • 返済猶予や金利減免・債務カットの獲得
  • 法務・会計的裏付けを持つ説得力ある説明

を行い、経営者単独では難しい「対等な交渉」を可能にします。

金融機関交渉は事業再生の成否を左右する最大の関門です。

経験豊富な専門家の支援を得ることで、不利な合意を避けるだけでなく、最善の金融支援を引き出せる可能性が大きく高まります。

2.金融機関との交渉力の差

第二の理由は、金融機関との交渉における圧倒的な経験差です。

金融機関は日常的に融資先との交渉を行うプロフェッショナルであり、一方の経営者にとってはそれが「一生に一度の重大局面」ということも少なくありません。

この情報格差と経験差があるために、

  • 不利な条件で合意してしまう
  • 本来得られるはずの支援を引き出せない
  • 交渉の進め方を誤り、関係を悪化させる

といったリスクが現実に起こり得ます。

しかし、交渉に精通した専門家が代理人・伴走者として関与すれば、

  • 複数の金融機関の利害を調整し、足並みを揃える
  • 返済猶予・金利減免・債務カットなど、最適な支援策を引き出す
  • 法的・会計的な裏付けを持って説明し、説得力を高める

といった形で、経営者単独では難しい「対等な交渉」が実現可能となります。

金融機関交渉は、事業再生の成否を左右する最大の関門です。

経験豊富な専門家の支援を得ることで、「不利な合意を避ける」だけでなく「最善の金融支援を引き出す」可能性が格段に高まります。

3.経営者への過大な負担

第三の理由は、経営者自身にかかる過重な負担です。

日々のオペレーションに加え、事業再生の実務にも対応しなければならず、時間的・精神的な余力を奪われます。

再生の現場では、資金繰り表や事業計画の作成、金融機関や取引先との調整、法務・税務・会計対応など膨大な業務が発生します。

慣れない経営者が独力で担うと、本業であるサービス向上への集中力が削がれかねません。

しかし、専門家に任せれば、金融機関との交渉や資料作成、リスク回避を代行してくれるため、経営者は旅館の魅力向上や顧客満足度の強化といった本来の経営に専念できます。

事業再生は「本業と並行して独力で挑むには負荷が大きすぎる領域」です。

だからこそ、実務はプロに任せ、経営者は自社の強みに集中することが成功への鍵となります。

まとめ

旅館の債務超過は、原因を特定し正しい手順を踏めば必ず乗り越えられます。

まずは自社の経営状況を客観的に分析し、実現可能な再生計画を立てて迅速に行動を始めてください。

ただし、その全工程を経営者が独力で進めるのは極めて困難です。

一人で問題を抱え込まず、早い段階で専門家に相談することこそ、再生への確実な第一歩です。

ジーケーパートナーズは、

  • 資金繰り改善
  • 金融機関交渉
  • スポンサー探索・譲渡
  • 会社分割・特別清算による債務整理

までを一気通貫でサポートできる事業再生の専門家集団です。

債務超過でも諦める必要はありません。

まずは無料個別相談会にて、経営状況を整理し、最適な選択肢を一緒に探ってみませんか。

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事業再生コンサルとは?依頼するメリットや選び方を徹底解説

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経営難や資金繰りの悪化に直面し、「このままでは会社を続けられないかもしれない」と不安を感じていませんか。

債務超過や返済負担の重さに苦しむ経営者は少なくありません。

しかし、事業再生には的確な財務分析と専門的な再生スキームの活用が不可欠であり、誤った判断をすれば企業存続そのものが危ぶまれるリスクがあります。

本記事では、

  • 事業再生コンサルタントの役割
  • 依頼するメリット
  • 費用相場と料金体系
  • 信頼できるコンサル会社の選び方

をわかりやすく解説します。

「資金繰りを改善したい」「債務整理を検討している」「再建計画を立て直すべきか悩んでいる」――

そのような状況にある経営者の方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

ジーケーパートナーズでは、金融機関との強固な信頼関係を基盤として事業再生支援を行っており、P/L改善とB/S改善の両面からアプローチいたします。

無料個別相談会を実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

無料個別相談会のご予約はこちら

事業再生コンサルとは?

事業再生コンサルタントは、経営不振や債務超過に陥った企業の立て直しを、財務(B/S・資金繰り)と経営(P/L・事業モデル)の両面から支援する専門家です。

現状を徹底診断し、根本原因を特定したうえで、実行可能な改善策を設計し、現場での実行まで伴走します。

主な業務内容は、以下のように多岐に渡ります。

  • 財務状況の詳細分析
  • 事業再生計画の策定
  • 金融機関との協議
  • リストラクチャリング(事業再編)
  • 実行支援(ハンズオン)

法的手続きに入る前の私的整理や自主再建の段階で介入し、現場に深く入り込むハンズオン的な支援を行う点が特徴です。

事業再生コンサルは、資金繰りを守りながら財務を立て直す提案も担います。

債務超過の局面で選択肢になりやすいDDSの仕組みと活用場面は、以下で解説しています。

関連記事|DDSとは?務超過企業の再生に活用される金融手法を徹底解説

事業再生コンサルに依頼する5つのメリット

事業再生コンサルに依頼することで、経営者が抱える複雑な問題を客観的かつ戦略的に整理し、具体的な施策を策定できます。

専門家が関与することで、資金繰りや経営改善のスピード・精度が格段に高まり、再生の成功率を大幅に引き上げることが可能です。

主なメリットは以下の5点です。

  1. 財務分析と再生計画立案で「実現性」を高められる
  2. 金融機関との協議を専門家が円滑に進めてくれる
  3. 経営課題を整理し「根本的な改善」を実現できる
  4. 第三者の視点で合理的な経営判断を支援してくれる
  5. 再生の道筋が明確になり心理的負担を軽減できる

以下で、各メリットの詳細を見ていきましょう。

①財務分析と再生計画立案で「実現性」を高められる

事業再生コンサルに依頼する最大のメリットは、実現可能な再生計画を立てられることです。

専門家は財務諸表や資金繰り表、キャッシュフローを詳細に分析し、債務超過や赤字の原因を数値で把握します。

これにより、

  • 資金繰り改善策
  • コスト構造の見直し
  • 債務削減や借入返済計画

といった施策を現実的なデータに基づいて設計できます。

特に、黒字化までの工程を数値目標として具体化することで、再生の道筋が明確になります。

机上の空論に終わらず、数字に裏付けられた計画を立案できるため、事業再生の成功率を大幅に高められる点が大きな利点です。

②金融機関との協議を専門家が円滑に進めてくれる

事業再生の過程で、金融機関との調整は欠かせない重要なプロセスです。

経営者が単独で協議を行うよりも、事業再生コンサルに依頼することで、以下の大きなメリットが得られます。

  • 金融機関の視点を理解している
    →専門家は銀行の融資判断基準やリスク評価を熟知しており、金融機関が納得できる交渉材料を提示できます
  • リスケジュール(返済条件変更)や債務カット交渉をスムーズに進められる
    →過去の実績を踏まえて、実現可能な条件で合意を形成できる
  • 第三者としての客観性と信頼性
    →経営者個人が交渉するよりも、外部専門家が介入することで「合理的な再生計画」として受け止められやすい。

期待できる効果としては、金融支援の合意形成を早期に整えられるため、資金繰りの安定化につながり、再生計画を円滑に進められることがあげられます。

結果として、資金ショートのリスクを回避しつつ再生のスピードと成功率を高められるのが大きな利点です。

③経営課題を整理し「根本的な改善」を実現できる

事業再生コンサルの強みは、単なる資金繰り対応にとどまらず、企業の構造的課題を洗い出し、根本改善を実現できる点にあります。

専門家は第三者の立場から、経営・人材・オペレーションを分析し、利益を生みにくい要因を体系的に整理します。

改善のステップは下記の通りです。

  • 不要部門・不採算事業の整理
  • 業務プロセスの効率化・標準化
  • 組織体制・人員配置の最適化
  • 経営戦略と現場運営体制の再構築

これにより、財務改善だけでなく、持続的に利益を上げられる体質へ転換できます。

結果として、事業再生を単なる「延命措置」ではなく、再建を成長のチャンスへと変えることが可能です。

④第三者の視点で合理的な経営判断を支援してくれる

経営者は日々の業務に追われ、冷静な判断を下すことが難しくなる場面も少なくありません。

事業再生コンサルタントは外部の第三者として現状を客観的に評価し、合理的な意思決定をサポートする役割を担います。

専門家が介入するメリットは下記の通りです。

  • 感情に流されない判断
    →特定の利害関係に縛られず、データと事実に基づいた提案をしてくれる
  • 難しい決断の後押し
    →赤字部門の撤退や事業再編など、経営者にとって重い決断も、客観的な根拠を提示して背中を押してくれる
  • 意思決定の質の向上
    →外部の冷静な視点を取り入れることで、再生方針をより確実に実行に移せる

結果として、経営者は感情に左右されず、合理的かつ実行可能な判断を積み重ねることができ、企業再生のスピードと精度を高められます。

⑤再生の道筋が明確になり心理的負担を軽減できる

経営危機に直面している企業では、将来の見通しが立たないこと自体が経営者に大きなストレスを与えます。

しかし、事業再生コンサルタントに依頼することで、現状分析から再建までの道筋を数値で可視化でき、経営者は「次に何をすればよいのか」を明確に把握できます。

心理的メリットは下記の通りです。

  • 不安の軽減:専門家の伴走により、孤独な経営判断に対する不安が和らぐ
  • 精神的安定:数字に基づいた計画で将来像が描けるため、冷静さを取り戻せる
  • 信頼回復:従業員や取引先に「再生の方向性」を示せることで、社内外の信頼回復につながる

結果として、経営者は精神的な負担を抱え込まず、安定した心持ちで再生計画を進められるのが大きなメリットです。

事業再生コンサル選び5つのポイント

事業再生の成功は、どのコンサルタントを選ぶかにかかっているといっても過言ではありません。

コンサル選びを誤れば、せっかく立てた再生計画が頓挫し、最悪の場合は企業存続そのものが危ぶまれるリスクがあります。

特に債務超過や資金繰りの悪化に直面している中小企業にとって、金融機関交渉・再生スキーム設計・現場実行力を持つ専門家かどうかを見極めることが不可欠です。

本記事では、失敗しない事業再生コンサル選びの5つのポイントをご紹介します。

これらの基準を参考に、自社の状況に合った最適なパートナーを見つけることが、真の再生を実現する第一歩となるでしょう。

➀実績と専門性を確認する

事業再生コンサル選びで最も重要なのは、同業種・同規模の成功実績があるかを確認することです。

製造業とIT企業では業務やコスト構造が異なるため、自社に近い再生経験の有無が成否を左右します。

面談時に確認すべきポイントは下記の通りです。

  • 過去の具体的成果:売上回復率、債務削減額、資金繰り改善効果など
  • 所要期間:どれくらいの期間で改善できたか
  • 再生手法の詳細:私的整理、M&A、リストラクチャリングなどの活用事例
  • 失敗事例と原因分析:成功だけでなく失敗からの学びを語れるか

また、公認会計士・税理士・中小企業診断士などの資格や、事業再生士(CTP)といった専門資格の有無も信頼性を測る判断材料となります。

こうした確認を通じて、実績と専門性を兼ね備えたコンサルタントかどうかを見極められます。

②金融機関との交渉力があるかを評価する

事業再生では、金融機関との資金調達交渉や債務調整が頻繁に発生するため、交渉力は計画立案と同じくらい重要です。

特に中小企業の再生では、金融機関の合意がなければ計画は前に進まないため、コンサルタントが銀行交渉に強いかを必ず確認しましょう。

確認すべきポイントは下記の通りです。

  • 金融機関出身者の在籍有無:融資判断や交渉ノウハウを理解しているか
  • 主要銀行との関係性:地銀・メガバンクとのネットワークや信頼度
  • 過去の交渉実績:リスケジュールや債務削減の成功事例
  • 専門スキームへの対応力:リスケ、DDS(デット・デット・スワップ)、私的整理ガイドラインの活用実績              

③経営者への寄り添う姿勢があるか確認する

事業再生を成功させるためには、経営者が自社の問題をすべて開示し、ときには厳しい決断を下す覚悟が求められます。

その一方で、多くの経営者には「企業理念を守りたい」「従業員を守りたい」という強い想いがあります。

その想いを理解し、経営者に寄り添いながら二人三脚で再生を進めてくれる伴走力が、コンサル選びで非常に重要な基準となります。

面談時に見極めるポイントは下記の通りです。

  • 初回面談での対応:真摯に耳を傾けているか
  • 話を聞く姿勢:一方的に提案するのではなく、現場の声を引き出してくれるか
  • 企業理念や歴史への理解度:数字だけでなく、経営者の想いや従業員への責任感を理解しているか
  • 粘り強さ:困難な局面でも支援を継続する姿勢があるか

事業再生は数か月から数年に及ぶ長期戦になるケースが多く、計画途中で不信感やすれ違いが生じると再生は頓挫しかねません。

だからこそ、コミュニケーションが取りやすく、経営者に寄り添い続けてくれるコンサルタントを選ぶことが成功の分かれ目になります。

④現場への関与深度も確認する

事業再生では、机上の空論ではなく現場に入り込んだ実践的な課題解決が求められます。

単に計画を立てるだけでなく、従業員の声を聞き、業務プロセスやオペレーション改善まで踏み込めるかが重要です。

確認すべきポイントは下記の通りです。

  • ハンズオン(hands-on)型の支援スタイルを取っているか
  • 定期的な現場訪問や従業員面談を実施しているか
  • 具体的な業務改善提案を提示できるか
  • 計画策定後も実行段階に関与し、PDCAを回し続ける体制があるか

現場関与が浅いコンサルでは計画が形だけに終わるリスクがあります。

一方、従業員とともに改善を進めるコンサルなら、計画の実効性が高まり成果につながります。

⑤費用対効果の妥当性もチェックする

事業再生コンサルの費用は、初期費用50〜200万円月額費用50〜150万円程度が一般的な相場です。

高額なため、支払う費用に見合う効果があるかを必ず検証しましょう。

確認すべきポイントは下記の通りです。

  • 料金体系:時間制・月額制・成功報酬制のどれか
  • 追加費用条件:調査・金融機関対応など、範囲は明確か
  • 成功報酬基準:債務カット額や資金調達額を基準にして妥当か
  • 複数社比較:見積もりを取り、費用と提案内容を客観的に評価 

ただし、安さだけで選ぶと再生が頓挫し、かえって高い代償を払う恐れがあります。

一方、経験豊富な専門家を選べば、金融機関交渉や再生スキーム設計で成果が出やすく、企業存続を実現できる投資となります。

事業再生では、再建計画と並行してM&Aを検討する局面もあります。

M&Aアドバイザリー会社の役割や契約の要点は、以下を参考にしてください。

関連記事|M&Aアドバイザリー会社とは?業務内容や契約書についても徹底解説

事業再生コンサル費用の相場と料金体系

事業再生コンサルティングの料金体系は、主に時間制・月額固定制・成功報酬制の3パターンに分かれています。

企業の規模や課題の複雑さによって費用は大きく変動しますが、一般的な相場は以下の通りです。

初期費用(50万円~200万円程度)

事業再生プロジェクト開始時には、初期費用として50〜200万円程度が一般的です。

この費用には以下の基礎調査が含まれます。

  • 財務デューデリジェンス:B/S・P/L・資金繰り表を精査し、債務超過や資金ショートのリスクを把握
  • 事業構造の分析:不採算部門や業務改善余地を特定
  • 再生可能性の判定:金融機関支援やスポンサー型M&Aの実現性を評価
  • 初期コンサルティング:経営者へのヒアリングを行い、資金繰り改善や再建戦略の方向性を提示

この調査結果は、その後の資金繰り改善や債務調整の成否を左右します。

したがって、初期費用は単なるコストではなく、「再生可能性を判断するための投資」と考えることが重要です。

月額費用(50万円~150万円程度)

事業再生コンサルを継続依頼する場合、月額費用の相場は50〜150万円程度です。

単なる助言にとどまらず、再生計画の実行を伴走支援するのが一般的です。

主な支援内容は下記の通りです。

  • 定期面談・進捗管理:資金繰りや施策をチェックし改善をモニタリング
  • 金融機関交渉支援:リスケや債務調整をサポート
  • 計画実行モニタリング:進捗確認と課題修正
  • 報告書作成・追加提案:金融機関や株主への資料、業務改善提案

成功報酬(利益の数%~数十%)

事業再生が成功した場合に発生する成功報酬は、案件の難易度や規模により変動します。

一般的には、利益やコスト削減効果の数%〜数十%が設定されます。

成功報酬の算定基準例は下記の通りです。

  • 債務カット額(金融機関交渉で削減できた借入金)
  • 企業価値の向上分(スポンサー型M&Aや再生施策による評価額の増加)
  • コスト削減・利益改善額(業務改善や構造改革による改善幅)

算定方法や料率は会社ごとに異なるため、契約前に確認が必要です。

費用は高額に見えても、企業存続や雇用維持が実現できれば投資効果は大きいと言えます。

「単なるコスト」ではなく、未来の価値を生む投資と考えることが重要です。

事業再生コンサルのご相談なら「ジーケーパートナーズ」

ジーケーパートナーズは、中小企業の事業再生支援に特化した実務型コンサルティング会社です。

中小企業活性化協議会の外部専門家として、財務・事業デューデリジェンスから再生計画策定、金融機関交渉まで一貫して対応してきました。

≪強み・特徴≫

  • 中小企業再生に特化:資金繰り改善・債務超過解消の実績多数
  • 通常の仲介会社が扱わない案件に対応:赤字や債務超過でも再生可能
  • 再生スキームに強み:私的整理ガイドライン、M&Aによる事業譲渡・会社分割
  • 金融機関との強固な信頼関係を基盤とした交渉力

≪こんな企業におすすめ≫

  • 資金繰りに行き詰まった中小企業
  • 債務超過や赤字で相談先に迷う企業
  • 銀行交渉や再建の見通しに不安を抱える経営者

ジーケーパートナーズは、課題整理から再生スキームの提案・実行まで誠実かつ実践的に伴走いたします。まずは安心してご相談ください。

  • 会社名:株式会社ジーケーパートナーズ
  • 所在地:大阪市中央区安土町3-4-16船場オーセンビル5階(本社)
  • ホームページ:https://www.gkpart.com/

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まとめ

事業再生コンサルタントは、資金繰りや債務超過で苦しむ企業の現状を正確に把握し、再建に向けた具体的で実現可能な解決策を示してくれる存在です。

経営者自身では気づきにくい課題を整理し、金融機関や取引先との調整まで含めてサポートを受けられることで、再建計画の実行力と成功率が大きく高まります。

ジーケーパートナーズでは、債務超過や資金繰りに苦しむ中小企業に特化し、

  • 中小企業活性化協議会での豊富な経験
  • 金融機関との強固な信頼関係
  • M&Aや私的整理ガイドラインを活用した再生スキーム

を強みとして、実践的かつ誠実に事業再生を支援しています。

状況がさらに悪化する前に、まずはお気軽に無料個別相談会をご利用ください。

専門家が現状を丁寧にヒアリングし、再生に向けた具体的な方向性をご提案いたします。

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DESで債務超過を解消!メリットと注意点を専門家が解説

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DES(デット・エクイティ・スワップ)は、債権者が保有する債権を出資(資本)に振り替えることで、負債を資本に置き換え、自己資本を回復させる有力な選択肢です。

うまく設計すれば債務超過の早期解消につながります。

ただし、「すべての借入金を資本金に振り替えられる」わけではありません。

実務では、オーナー(株主)からの貸付金やスポンサーが取得した金融債権を用いるケースが中心です。時価評価(バリュエーション)、株主総会等の手続き、税務(債務免除益・繰越欠損金の活用)、金融機関との交渉設計など、専門論点のコントロールが成否を分けます

本記事では、中小企業の再生局面でDESを活用して債務超過を解消するための具体的な仕組みメリット・デメリット、そして実行ステップを、再生スキームと組み合わせたM&Aの実務とあわせて分かりやすく解説します。

私たちジーケーパートナーズは、DESの実行支援を始め、再生型M&Aや事業譲渡・会社分割、特別清算を組み合わせた複合的なスキームまで、豊富な実績を持っています。

御社の状況(債務超過額・金融機関との関係・スポンサー候補の有無など)に応じて、最適な再建計画をオーダーメイドで設計・提案いたします。

無料個別相談会のご予約はこちら

DES(デット・エクイティ・スワップ)とは?

DESとは、企業が抱える債務(Debt)を株式(Equity)に転換(Swap)する再生スキームの一つです。

債権者が持つ債権を現物出資し、債務者である企業が新株を発行してその対価に充てることで、負債を資本に振り替え、自己資本を増やすことができます。

これにより、財務内容の改善や債務超過の解消につながります。

ただし、実務上は「すべての借入金をそのままDESできる」わけではありません。

一般的には、「オーナー(株主)からの貸付金」や「スポンサーが金融機関から取得した債権」といった性質の債権を用いるケースが多いのが実態です。

この手続きによって、企業の負債は減少し、自己資本が増強されますが、「債務免除益の発生と税務処理」、「既存株主の持分希薄化」、「金融機関や株主との合意形成」など、慎重に検討すべき論点も多くあります。

ここでは、DESの仕組み・特徴・活用場面をわかりやすく解説します。

借入金(Debt)を資本金(Equity)に振り替える手法

DESの核心は、負債である借入金を純資産である資本金へ転換する点にあります。

通常の増資は現金の払い込みによって行われますが、DESでは債権者が持つ「企業への貸付金」という金銭債権を使って、現物出資の形で新株を引き受けることができます。

これにより、企業側は実際に資金を動かすことなく、帳簿上で負債を資本に振り替えることが可能になります。

その結果、返済義務を伴う債務が返済不要の自己資本へと変わり、財務の健全化債務超過の解消につながります。

ただし、実務上はオーナー貸付金やスポンサーが取得した債権が用いられるケースが中心であり、金融機関からの借入金を直接DESに充てることは一般的ではありません。

また、「時価評価の設定」や「債務免除益の税務処理」、「株式の希薄化リスク」など、慎重な検討が必要です。

貸借対照表(BS)の改善イメージ

DESを実行すると、貸借対照表の「負債の部」に計上されていた借入金が減少し、同額が「純資産の部」の資本金へ振り替えられます。

例えば、債務超過の企業が1億円の借入金をDESによって資本金に転換した場合、負債が1億円減ると同時に、純資産が1億円増加します。

その結果、マイナスだった純資産がプラスに転じ、債務超過の解消や自己資本比率の改善につながります。

ただし、実際には全ての借入金をそのまま資本金にできるわけではありません。

オーナー貸付金や、スポンサーが取得した債権など、対象となる債権には一定の条件があります。

金融機関(債権者)側のメリットは?

金融機関(債権者)がDESに応じるメリットは、単純な債権放棄に比べて将来的なリターンが期待できる点にあります。

債権を放棄すれば回収はゼロですが、DESによって株式を取得すれば、企業の再建が成功した場合に配当金を受け取れる可能性や、株価上昇時に売却益(キャピタルゲイン)を得られる可能性が生まれます。

さらに、株主として経営に関与することで、再建計画の進捗を監督し、企業価値の向上を主体的に支援できる点も利点といえます。

もっとも、実務上は金融機関が直接株主となるのは稀です。

銀行法やガバナンス上の制約から、スポンサー企業や特定目的会社(SPC)が債権を取得したうえでDESを行うケースが一般的です。

そのため、関係者の役割分担やスキーム設計が重要になります。

債務超過の解消にDESを活用する3つのメリット

DESを活用することで得られる主なメリットは、次の3点です。

  • 財務体質が改善し信用力が向上する
  • 毎月の返済負担や支払利息がゼロになる
  • 金融機関との関係性が強化される可能性がある

以下で、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

メリット①:財務体質が改善し信用力が向上する

DESを実行する最大のメリットは、財務体質が健全化し、企業の信用力が向上する点にあります。

借入金が資本金に振り替わることで自己資本が増加し、債務超過が解消されると、自己資本比率など主要な財務指標が大幅に改善します。

財務指標が改善することで、金融機関からの評価も変わり、追加融資や条件変更に前向きに応じてもらえる可能性が高まります。

また、取引先や仕入先からの信用も得やすくなり、取引条件が有利になるケースもあります。

もっとも、金融機関は財務指標の改善だけではなく、再建計画の実行可能性や今後の収益力を重視します。

したがって、DESは「信用力回復のための第一歩」であり、事業計画の確実な実行と合わせてはじめて効果を最大化できる点に注意が必要です。

メリット②:毎月の返済負担や支払利息がゼロになる

DESによって株式に転換された借入金は返済義務がなくなり、利息支払いも不要になります。

そのため、これまで資金繰りを圧迫していた元本返済や支払利息の負担が軽減されることは、企業にとって非常に大きなメリットです。

負担がなくなる部分だけキャッシュフローが改善し、手元資金に余裕が生まれます。

創出された資金は、新たな設備投資や事業再構築、成長投資に振り向けることができ、再建と収益力強化に向けた前向きな経営活動を展開しやすくなります。

もっとも、DESの対象となる借入金はオーナー貸付金やスポンサーが取得した債権などに限られるケースが多く、すべての金融機関借入が消えるわけではない点には注意が必要です。

メリット③:金融機関との関係性が強化される可能性がある

DESによって債権者が株主となれば、両者の関係性は「貸し手・借り手」から、企業の成長を共に目指すパートナー関係へと変わります。

株主となった債権者は、経営に一定の影響力を持ち、再建計画の実行や経営改善をサポートする立場になります。

これにより、企業は強力な後ろ盾を得られる可能性が高まります。

もっとも、実務上は金融機関が直接株主になるケースは限定的です。

銀行法やガバナンス上の制約から、スポンサー企業やSPCが金融機関から債権を譲り受け、その債権を用いてDESを実施するケースが一般的です。

いずれにせよ、DESを通じて「資本の提供と経営への関与」が行われることで、再建計画の円滑な実行安定した経営基盤の確立につながる点は、大きなメリットといえます。

DESの実行前に知るべき2つの注意点

DESは債務超過を解消する上で非常に有効な手法ですが、実行にあたっては慎重な検討が欠かせません。

特に、以下の2つは経営者が事前に理解しておくべき重要な注意点です。

  • 株主構成が変化し経営権に影響が出る恐れがある
  • 債務消滅益への課税で税務上のリスクがある

以下でこれらの注意点を解説します。

注意点①:株主構成が変化し経営権に影響が出る恐れ

DESを実行すると、債権者が株主として加わることになり、既存株主の持株比率が低下します。

その結果、会社の意思決定に影響が及ぶ可能性がある点には注意が必要です。

特に、新たに加わった株主が大きな議決権を持つ場合、経営の自由度が制限されたり、株主間で意見が対立したりするリスクがあります。

実務上は、銀行法やガバナンスの制約から金融機関が直接株主になるのは稀であり、スポンサー企業やSPCが債権を譲り受けてDESを行うケースが多く見られます。

いずれの場合も、DESを実行する際には、発行する株式の種類や数、議決権の設計を慎重に行い、経営権の安定性を確保する工夫が不可欠です。

たとえば、議決権制限株式や優先株式を活用する方法などが考えられます。

注意点②:債務消滅益への課税で税務上のリスクがある

DESを実行する際に最も注意すべき点が税務リスクです。

DESでは、振り替え対象となる債権の額面と時価に差がある場合、その差額が「債務消滅益」として認識され、法人税の課税対象となる可能性があります。

例えば、経営状態が悪化している企業の債権は時価が低く評価されるため、DESの実行によって多額の債務消滅益が発生し、結果的に多額の納税資金が必要となるリスクがあります。

もっとも、繰越欠損金が十分にあれば課税負担を相殺できるケースも多く、事前のシミュレーションによって税務リスクを大幅に軽減することが可能です。

そのため、DESを検討する際には、税務に精通した専門家による事前検証と最適なスキーム設計が不可欠です。

 

債務超過からの再生は、常に判断の連続であり、経営者にとって孤独な決断の連続です。

「本当にこの方法で良いのか」と、誰にも相談できずに悩んでいませんか。

私たちジーケーパートナーズは、DESや再生型M&A、事業譲渡・会社分割、特別清算など、幅広い再生スキームを駆使してきた実績があります。

その中から、貴社の状況に最適な再建計画をオーダーメイドで設計し、共に歩むパートナーとなります。

まずは無料相談で、現在のお悩みや不安をお聞かせください。

秘密保持契約の締結も可能ですので、安心してご相談いただけます。

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【実践】DESによる債務超過解消の4ステップ

DESによる債務超過の解消は、法務・会計・税務が複雑に絡み合うため、計画的かつ正確な手順で進めることが求められます。

具体的な実行ステップは、以下の通りです。

  1. 債権者(金融機関など)との合意形成
  2. 現物出資によるDESの実行と登記申請
  3. DESの仕分けなど会計処理
  4. 税務申告と経営改善計画の実行

以下で各ステップの概要を解説します。

ステップ①:債権者(金融機関など)との合意形成

DESの対象債権を保有する債権者(金融機関・スポンサー・SPC等)との合意形成が出発点です。

企業の現状と3〜5年の再建計画資金繰り(13週〜)DES実行による財務指標・キャッシュフローへの効果税務見込み(債務消滅益/繰越欠損金の活用)」をパッケージ(説明資料)として提示し、双方のメリットを明確にします。

交渉では、次の論点を具体化し、NDA(秘密保持契約)→タームシート(基本合意)→最終契約へ落とし込みます。

  • 転換対象債権の範囲と時価評価の方法(第三者評価・フェアネス意見の要否)
  • 発行株式の種類・数・条件(現物出資の手続、優先株・議決権制限株の活用)
  • ガバナンス設計(役員指名権、重要事項の決議要件、情報開示・モニタリング)
  • 希薄化・将来の資本政策(追加増資、アンチディル条項、転換・償還条件)
  • 実行前提条件(CP)(他行同意、担保・保証の取扱い、税務確認など)
  • 将来の出口条件(売却・買戻しの条件、ドラッグ/タグなどの株主間契約)

実務上、金融機関が直接株主になるケースは限定的で、スポンサーやSPCが債権を取得した上でDESを行う形が一般的です。この前提を踏まえたガバナンス・株主間契約の設計が肝になります。

ステップ②:現物出資によるDESの実行と登記申請

債権者との合意が得られたら、会社法に基づく手続きに沿ってDESを実行します。

まず、株主総会で債権の現物出資による募集株式の発行(DESの実行)について決議を行います。

その後、債権者が債権を出資財産として提供し、会社は新株を割り当てる流れとなります。

この際、現物出資の対象となる債権の評価については、裁判所選任の検査役の調査や、公認会計士・弁護士などの証明書が必要になる場合があります。

さらに、DESによって資本金が増加するため、効力発生日から2週間以内に法務局へ変更登記を申請しなければなりません。

登記の際には、登記申請書・株主総会議事録・債権者との契約書・現物出資の証明書類など、複数の書類が必要となります。

ステップ③:DESの仕訳など会計処理

DESの実行後は、適切な会計処理を行う段階です。

借入金の減少と資本金の増加

貸借対照表の「負債の部」に計上されていた借入金を減少させ、同額を「純資産の部」の資本金へ振り替えます。

増加した資本金の一部を「資本準備金」として計上するケースもあり、会社法や会計基準に沿った処理が必要です。

債務消滅益の計上

振り替える債権の額面と時価に差額がある場合、その差額は「債務消滅益」として特別利益に計上されます。

ただし、この利益は実際のキャッシュ流入を伴わず、法人税課税の対象となるため、繰越欠損金の活用による相殺可能性を事前に確認することが重要です。

会計基準に基づく開示

財務諸表には、負債削減と資本増強の効果を正確に反映させる必要があります。

債務免除益や株主構成の変化については、注記情報や開示義務の対象となる場合があるため、慎重な対応が求められます。

ステップ④:税務申告と経営改善計画の実行

会計処理が完了したら、税務申告を行います。

DESによって「債務消滅益」が計上された場合、法人税の課税対象となるため、確定申告で適切に処理し、必要に応じて納税する義務があります。

ただし、繰越欠損金が十分にある場合には課税所得と相殺できるため、実際の納税負担を抑えられるケースもあります。

事前に税務シミュレーションを行うことが重要です。

また、税務申告と並行して、DESの前提となった経営改善計画を着実に実行することが不可欠です。

改善後の財務基盤を維持しながら、収益力の強化やキャッシュフローの安定化を進めていくことで、DESの効果を最大化できます。

さらに、金融機関やスポンサーに対しては、定期的に進捗報告や情報開示を行うことで信頼関係を深め、今後の追加支援や協力を得やすくなります。

そもそも債務超過とは?赤字との違いと放置する危険性

DESを検討する前提として、まずは「債務超過」とはどのような状態かを正しく理解することが重要です。

ここでは、債務超過の基本的な意味と、放置した場合のリスクを解説します。

債務超過は純資産がマイナスの状態

債務超過とは、貸借対照表の「純資産の部」がマイナスになっている状態を指します。

貸借対照表は「資産=負債+純資産」という関係で成り立っていますが、負債が資産を上回ると純資産がマイナスとなり、債務超過に陥ります。

一方で「赤字」とは、損益計算書(PL)上の問題であり、一定期間(通常1年)の収益よりも費用が多かった状態を意味します。

赤字が続けば利益剰余金が減少し、最終的には貸借対照表に波及して債務超過の要因となります。

債務超過に陥ると、単なる帳簿上の問題にとどまらず、

  • 金融機関からの新規融資が難しくなる
  • 既存借入の条件が厳格化される(追加担保・金利引き上げなど)
  • 取引先からの信用低下で取引縮小・前払い要求が増える
  • 破産や特別清算など法的整理のリスクが高まる

といった深刻な経営リスクを招きます。

関連記事>>債務超過とは?原因と解決策を解説|債務超過の解決策も紹介

放置すると融資停止や倒産のリスクが高まる

債務超過を放置することは非常に危険です。

金融機関は、債務超過の企業を返済能力が低いと判断し、新規融資を停止したり、場合によっては既存融資の一括返済を求める可能性があります。

また、取引先からの信用も失われ、前払いを要求されたり、取引を縮小・打ち切られたりするリスクが高まります。

こうした状況が続けば資金繰りは急速に悪化し、事業継続が困難になり、最終的に倒産へ至る危険性も現実のものとなります。

しかし、債務超過は適切なスキームを活用すれば解消可能な問題でもあります。

DES(デット・エクイティ・スワップ)やDDS、債務免除、再生型M&Aなどを組み合わせることで、財務の健全化と事業の立て直しを図る道は存在します。

重要なのは、「放置しないこと」、そして早期に専門家へ相談することです。

DESは単独で完結する手法ではなく、スポンサー探索やM&Aと組み合わせて実行されるケースが多くあります。

再生局面に特化したM&Aの考え方については、以下の記事を参考にしてください。

関連記事|事業承継M&Aとは?メリット・デメリットから成功のポイントまで徹底解説

DESによる債務超過解消は専門家への相談が必須

DESは債務超過を解消するうえで非常に強力な手法ですが、債権者との交渉や法務・会計・税務上の専門的な手続きが複雑に絡み合うため、専門家の支援が欠かせません

また、DESはあくまで事業再生のための選択肢のひとつにすぎません。

企業の状況によっては、スポンサーを見つけて事業譲渡を行う、会社分割や特別清算を組み合わせるといった、M&Aスキームを活用した方が最適解となるケースも少なくありません。

一般的なM&A仲介会社は、財務が健全な企業を前提に株式売買を仲介するのが中心であり、債務超過企業の案件には対応できないことがほとんどです。

私たちジーケーパートナーズは、事業再生コンサルティングを専門として培ってきた経験から、再生スキームを前提とした「再生型M&A」を最も得意としています。

DESの実行支援はもちろん、事業価値を最大化できるスポンサーの探索・交渉まで、ワンストップでサポート可能です。

一般的なM&A仲介会社では対応が難しい債務超過企業や再生案件も、私たちは私的整理ガイドラインや特別清算などのスキームを組み合わせる実務力を強みとしています。

自社にとって最善の再生方法を見つけたい」とお考えでしたら、まずは一度お気軽にご相談ください。

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債務超過になると上場廃止?基準や回避策を徹底解説

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「債務超過になると上場廃止になってしまうのか…?」と、不安を抱えている経営者の方も多いのではないでしょうか。

確かに、東京証券取引所の上場廃止基準において「債務超過」は重要な判断要素の一つです。

しかし、債務超過に陥ったからといって、直ちに上場廃止となるわけではありません。

一定の猶予期間や改善措置が認められているため、正しい対応を取れば回避できる可能性があります。

本記事では、

  • 上場廃止基準における「債務超過」の位置づけ
  • 上場廃止を避けるための具体的な対応策
  • 再生スキームや支援制度の活用方法

について、分かりやすく解説します。

中小企業の経営者にとっても参考になる内容ですので、ぜひ最後までお読みください。

 

ジーケーパートナーズでは、企業再生・事業承継に特化した専門家チームが、これまで数多くの債務超過に陥った上場企業や中小企業の支援を手がけてきました。

金融機関対応や再生スキームの設計M&Aを絡めた事業再編まで、豊富な実績があります。

「このままでは上場廃止になってしまうのでは…」とご不安を抱えている経営者の方は、ぜひ一度ご相談ください。

状況に応じた最適な解決策をご提案いたします。

まずは、お気軽にご相談ください。

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債務超過と上場廃止の基準とは?

債務超過に陥った場合、上場企業にはどのようなリスクや条件が生じるのか——

これは経営者にとって非常に重要な問題です。

特に、上場維持基準への不適合は、企業の存続や資金調達力、さらには株主への説明責任に直結するため、放置できません。

本章では、

  • 東京証券取引所における「債務超過」と上場廃止基準の位置づけ
  • 一定の猶予期間の仕組みとその条件
  • 市場区分(プライム・スタンダード・グロース)ごとの違い
  • 過去の事例から見る、債務超過に陥った企業が迫られる対応の流れ

を分かりやすく解説します。

万が一、自社が債務超過となった場合にどのような対応が必要なのか」を知ることで、事前の備えや経営判断の参考にしていただければ幸いです。

債務超過による上場廃止基準の詳細

東京証券取引所の上場廃止基準において、債務超過は「上場維持基準への不適合」の一つとして明確に定められています。

ここでいう債務超過とは、貸借対照表上の純資産がマイナスとなり、負債が資産を上回った状態を指します。

ただし、重要なポイントは、債務超過=即上場廃止ではないということです。

東京証券取引所では、債務超過に陥った企業に対して原則1年間の改善期間(猶予期間)を設けています。

この間に純資産を再びプラスに回復できれば、上場を維持することが可能です。

つまり、債務超過となった場合でも、

  • 増資による資本注入
  • 不採算事業の整理
  • 事業譲渡や会社分割などの再生スキーム活用

といった対応を適切に行えば、上場廃止を回避できる余地が残されています。

東証プライム・スタンダード・グロース市場別の基準

東京証券取引所の3つの市場区分(プライム市場・スタンダード市場・グロース市場)のいずれにおいても、純資産がプラスであることは上場維持の必須条件とされています。

  • 東証プライム市場:純資産が正であること
  • 東証スタンダード市場:純資産が正であること
  • 東証グロース市場:純資産が正であること

この点においては、市場区分ごとの差異はありません。

ただし、それぞれの市場には、純資産以外にも株主数・時価総額・流通株式比率など、独自の上場維持基準が設けられています。

したがって、債務超過を解消するだけでなく、これらの基準を同時にクリアする必要がある点に注意が必要です。

上場廃止の判断では、純資産の見方が重要です。


債務超過と純資産の関係、赤字との違い、猶予期間の考え方は、以下で解説しています。

関連記事|債務超過と純資産の関係は?赤字との違いや解消法を徹底解説

猶予期間と特例措置の仕組み

債務超過に該当した企業は、3か月以内に「改善計画書」を東京証券取引所へ提出し、原則として1年以内に純資産をプラスへ回復することが求められます。

この猶予期間中、企業は「整理銘柄」には指定されず、通常どおり株式の売買は継続されます。

そのため、投資家や株主との信頼関係を維持しつつ再建のチャンスを確保できる制度といえます。

ただし注意すべきは、

  • 改善の見込みが極めて低いと判断された場合
  • 計画に沿った改善努力が不十分と認められた場合

には、猶予期間が短縮されたり、場合によっては即時に上場廃止となる可能性もある点です。

したがって、単なる計画書の提出にとどまらず、資本増強・金融機関との協議・事業再編など実効性のある対応を早急に進めることが不可欠です。

純資産がマイナスになった場合の実際の流れ

債務超過が判明した場合の具体的な流れは以下の通りです。

債務超過の確認
→決算発表により純資産がマイナスであることが明らかになります

上場廃止の猶予期間入り
→東京証券取引所から「上場維持基準に不適合」の通知を受領し、猶予期間に入ります

改善計画書の提出
→3か月以内に、資本増強や事業再編などを含めた具体的な改善計画書を提出する必要があります

改善期間
→提出した計画に基づき、純資産をプラスに回復させる取り組みを進めます

基準クリアまたは上場廃止
→期限内に基準を満たせば上場維持が可能、改善が不十分であれば上場廃止となります

この期間中も株式の売買は通常通り行われるため、投資家の混乱を最小限に抑える配慮がなされています。

上場廃止を回避するための具体的な対策法

債務超過を解消して上場維持を果たすためには、経営の黒字化はもちろん、資本増強や財務再構築など多角的なアプローチが不可欠です。

代表的な具体的対策には、次のようなものがあります。

  • 黒字化による利益剰余金の改善
  • 増資(第三者割当増資)の活用
  • DES(デット・エクイティ・スワップ)の実施
  • 含み益のある資産売却による財務改善
  • 債務免除の交渉
  • M&A(事業譲渡・会社売却)による再生

これらの手法を組み合わせ、企業の実情に合った再生スキームを設計することが成功のカギとなります。

詳しい内容をみていきましょう。

黒字化による利益剰余金の改善

債務超過を根本的に解決する方法は、事業の黒字化によって利益剰余金を積み上げることです。

メリット デメリット
事業の根本的な改善につながる

持続可能な財務体質の構築が可能

株主価値の向上が期待できる

改善に時間を要する場合が多い

市場環境や競合状況に左右される

1年以内の猶予期間内での実現が困難な場合がある

損益計算書上の当期純利益が黒字化すれば、その分だけ貸借対照表の純資産が増加し、債務超過の解消に直結します。

増資(第三者割当増資)の活用

第三者割当増資とは、会社が新しく株式を発行し、それを特定の投資家に引き受けてもらうことで資金を調達する方法です。

投資家から払い込まれたお金は「資本金」や「資本準備金」として会社に積み上がるため、純資産を直接増やすことができ、債務超過の解消に効果があります。

実行までの目安はおおよそ3〜6か月程度です。

一方で、新しい株主が入ることで既存株主の持ち株比率が下がる(希薄化する)点には注意が必要です。条件によっては株主総会での承認が必要になる場合もあります。

ジーケーパートナーズでは、全国20を超える都府県で中小企業活性化協議会の外部専門家として活動してきた実績を活かし、これまで数多くの債務超過企業の再生支援M&Aを絡めた再建スキームを手がけてきました。

「債務超過により上場廃止のリスクがある」「金融機関への説明に困っている」といったお悩みをお持ちの経営者の方は、どうか一人で抱え込まず、専門家にご相談ください。

御社の状況に合わせて、債務超過の解消・上場維持に向けた具体的なアドバイスをご提供いたします。

無料個別相談会のご予約はこちら

DES(デット・エクイティ・スワップ)の実施

DES(デット・エクイティ・スワップ)とは、金融機関などからの借入金を株式に転換することで、負債を減らしながら資本を増加させる手法です。

DESには下記のようなメリットがあげられます。

  • 債務削減と資本増強を同時に達成できる
  • 金融機関からの支援を得ることで、再建への信頼性が高まる
  • 会社にとって新たな資金流出を伴わない

DESの留意点(税務・実務上の注意)は下記の通りです。

  • 債務免除益が発生する場合があるため、課税リスクを考慮する必要がある
  • 金融機関側では貸倒損失処理が必要となるため、銀行の理解と協力が不可欠
  • 株式の適正な評価額(株価算定)が重要であり、外部専門家の関与が望ましい

DESを実行するには、金融機関との事前協議が欠かせません。

特に、株式評価額や転換条件の妥当性を十分に検討し、双方が納得できる形を構築することが成功のカギとなります。

含み益のある資産売却による財務改善

含み益のある不要資産やノンコア事業を売却して現金を確保し、借入金の返済に充当することで純資産(自己資本)を改善する方法です。

短期の資金確保と財務体質の是正を同時に進められる、債務超過解消の有効策です。

売却対象となる資産は下記の通りです。

  • 本業に直接関係のない不動産(遊休地・社宅・投資用不動産など)
  • 子会社株式・持分(ノンコア事業のカーブアウトも含む)
  • 有価証券(上場・非上場の保有株式、投資持分)
  • 知的財産権(特許・商標・著作権、ソフトウェア資産)
  • 車両・機械設備などの減価償却資産(セール&リースバックも検討可)

売却価格の妥当性や売却による事業への影響を慎重に検討し、適切なタイミングでの実行が重要です。

債務免除の交渉

金融機関や取引先との交渉によって、債務の一部免除を受ける方法もあります。

返済負担を直接的に軽減できるため、資金繰り改善や純資産の改善につながる有効な手段のひとつです。

ただし、債務免除を受けた場合には、その分が「債務免除益」として課税対象となる可能性があります。

税務処理を誤ると一時的に利益が計上され、逆に資金繰りを圧迫するリスクもあるため、税務面での十分な検討と専門家のサポートが不可欠です。

さらに、免除交渉を進める際には、金融機関や取引先に対して経営改善計画書や返済可能性の根拠資料を提示し、誠意を持った交渉姿勢を示すことが重要です。

M&A(事業譲渡・会社売却)による再生

事業の一部または全部を第三者に譲渡(M&A)することで、現金を確保し財務体質を改善する方法があります。

特に、収益性の高い事業を適正な評価額で売却できれば、短期間で大幅な改善が期待できます。

M&Aによる主なメリットは下記の通り。

  • 短期間での財務改善が可能
  • 不採算事業からの撤退による経営資源の集中
  • 買収企業の専門性や資本力を活用した事業価値の向上
  • 適切な買収先選定と交渉戦略による企業価値の最大化

また、事業譲渡は金融機関との調整を伴う場合も多く、債務超過企業に特有の再生スキームを理解したM&A支援が不可欠です。

M&A は単なる売却ではなく、債務超過からの再建スキームとしても有効です。

債務超過企業が M&A を成功させる進め方は以下の記事で解説しています。

関連記事|債務超過企業でもM&Aは可能!成功のための5つのステップ

債務超過企業が活用できる法的手続きと支援制度

債務超過からの企業再生を図るうえでは、法的手続きや公的な支援制度の活用も重要な選択肢となります。

単なる資産売却や借入条件の見直しだけでは限界がある場合、これらの制度を上手に活用することで、抜本的な財務改善と事業再建が可能となります。

本章では、

  • 主な法的再生手続き(民事再生法・会社更生法など)の特徴と流れ
  • 中小企業向けの公的支援制度(中小企業活性化協議会・私的整理ガイドラインなど)
  • 上場企業における再生手続きと上場維持の関係

について詳しく解説します。

民事再生法・会社更生法の適用

債務超過企業が法的手続きを通じて再建を図る際には、民事再生法と会社更生法が代表的な制度です。

民事再生法

  • 事業を継続しながら再建可能
  • 経営陣が引き続き事業運営を行えるため、上場維持の可能性を残せる
  • 手続きが比較的簡潔で、中小企業に広く利用されている
  • 手続期間:申立から認可まで約6〜12か月

会社更生法

  • より厳格な手続きを経て再建を行う制度
  • 裁判所により管財人が選任され、経営陣は事業運営から退く
  • 主に大規模企業での適用例が多い
  • 手続期間:申立から認可まで約1〜3年

私的整理ガイドラインの活用

私的整理とは、裁判所を通さずに金融機関や主要債権者との合意により企業再建を図る手法です。

法的手続きに比べて柔軟性が高く、特に上場企業の場合には株主や投資家への影響を最小限に抑えられるメリットがあります。

主な特徴は下記の通りです。

  • 手続きの迅速性:裁判所の関与がないため、再建スピードが早い
  • 取引先への影響が軽微:信用不安の拡大を防ぎやすい
  • 事業継続の容易性:経営陣が事業運営を続けながら再建を進められる
  • 柔軟な計画策定:法的手続きに比べ、経営実態に即した再建計画を立てやすい

ポイントとしては、

  • 中小企業にとっては特に有効:取引先や従業員に与える影響を抑えつつ、金融機関と協議して債務整理や返済条件の調整を行える
  • 専門家の支援が不可欠:債権者間の調整や計画の妥当性を示すには、中小企業活性化協議会などの公的支援や再生専門家の関与が成功のカギ

事業再生ADRの利用

ADR(AlternativeDisputeResolution:裁判外紛争解決手続き)は、裁判所を通さずに中立的な専門機関の仲介を受けながら、債務整理や再建を進める方法です。

法的整理よりも柔軟で、私的整理よりも透明性・中立性が担保されるのが特徴です。

ADRは、以下の条件を満たす場合に活用が可能です。

  • 事業価値があること(将来の収益回復の見込みがある)
  • 関係者の協力が得られること(金融機関や主要債権者が交渉に応じる姿勢を示している)
  • 再生計画の実現可能性があること(返済可能性を裏付ける計画が策定されている)

ADRのメリットは下記の通り。

  • 中立的な専門機関が仲介することで、債権者との交渉を円滑に進めやすい
  • 裁判所を通さないため迅速に手続きが進む
  • 企業の信用不安を最小限に抑えつつ事業継続を目指せる

地域経済活性化支援機構による支援

地域経済活性化支援機構REVIC:RegionalEconomyVitalizationCorporationofJapan)は、地域の中核企業や雇用・産業に大きな影響を与える企業の再生を目的とした官民ファンドです。

主に以下のような内容を支援します。

  • 資金支援(出資・融資による資本注入や資金繰り改善)
  • 経営支援(経営改善計画の策定支援、専門人材の派遣)
  • 事業再編支援(M&A・事業譲渡・事業分割などの再編スキーム活用)

REVICは、金融支援だけでなく経営面・事業面での包括的なサポートを行うのが特徴です。

特に、地域経済への影響が大きい企業に対しては、官民一体となった体制で再建を後押しします。

債務超過からの事業再生を成功させるポイント

債務超過から抜け出すうえで最も重要なのは、早期に対応することです。

問題が深刻化する前に専門家へ相談すれば、選択肢の幅を広げ、資金繰り悪化や取引停止といった致命的な事態を回避できる可能性が高まります。

相談先を選ぶ際のポイントは、次の通りです。

  • 企業再生の実績が豊富であること
  • 上場企業を含む支援経験があること
  • 金融機関との交渉力があること
  • 税務・法務に関する専門知識を有すること

企業再生には、弁護士・公認会計士・経営コンサルタントなど各分野の専門家の協力が欠かせません。

また、M&Aや事業再編を検討する場合には、実績豊富な専門機関と連携することで、より効果的な解決策を見つけられます。

まとめ

債務超過に陥った場合でも、適切な対策を講じれば上場廃止は回避可能です。

重要なのは、東京証券取引所の上場廃止基準(債務超過の解消要件など)を正しく理解し、期限内に改善策を実行することです。

≪主な回避策の例≫

  • 黒字化による純資産の回復(収益性改善・コスト削減・事業再編)
  • 増資による自己資本の強化(第三者割当増資・公募増資)
  • 資産売却による債務返済(遊休不動産・子会社株式・有価証券)
  • M&Aを活用した再建(事業譲渡・資本提携・スポンサー支援)

さらに、民事再生法や私的整理ガイドラインなどの法的手続きや公的支援制度を活用することで、事業を継続しながら再建を進める道も開かれています。

 

ジーケーパートナーズでは、企業再生・事業承継に特化した専門家チームが、これまでに数多くの債務超過に陥った上場企業の再建支援を手がけてきました。

債務超過は深刻な問題ですが、早期にご相談いただければ選択肢は広がり、黒字化・増資・資産売却・M&A・公的支援の活用など、多角的な解決策をご提案できます。

もし現在、上場廃止の危機に直面している経営者の方は、一人で悩む必要はありません。

専門家とともに最適な道を見つけ、事業を継続しながら財務改善を実現しましょう。

一人で悩まずお気軽にご相談ください。

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債務超過企業が借入できない理由5つ!融資を受けるための対策もご紹介

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債務超過とは、企業の負債総額が資産総額を上回る状態を指します。

帳簿上は純資産がマイナスとなり、金融機関からは「返済能力が乏しい企業」と見られてしまいます。

債務超過に陥った企業は、銀行をはじめとする金融機関から新規融資を受けることが非常に困難になり、資金繰りに深刻な影響を与えます。

しかし、債務超過だからといって必ずしも打つ手がないわけではありません。適切な対策を講じることで債務超過状態でも資金調達できる場合があるのです。

本記事では、債務超過で借入できない理由具体的な解決策について詳しく解説いたしますので、参考にしてください。

「借入が多くて事業継続が心配」「債務超過でも再生の道はあるのか」とお悩みではありませんか?

ジーケーパートナーズでは、中小企業活性化協議会の外部専門家として培った豊富な実績をもとに、債務超過企業に特化した再生型M&Aや私的整理を通じて、事業の継続・再建をサポートしてきました。

一般的なM&A仲介会社では対応が難しい債務超過や金融機関調整を伴う複雑なケースにも、企業再生のプロフェッショナルが一社ごとに最適な解決策をご提案いたします。

まずはお気軽に、無料個別相談会をご利用ください。貴社の状況に合わせた具体的な改善策を、専門家が直接ご提案いたします。

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債務超過企業が借入できない5つの理由

債務超過に陥った企業が金融機関から融資を受けにくい理由には、いくつもの要因が複雑に絡み合っています。

「なぜ借入ができないのか」を正しく理解することが、資金繰り改善や再生の第一歩となります。

本記事では、金融機関が債務超過企業への融資を避ける主な理由と、その乗り越え方(具体的な対策)について詳しく解説します。

資金調達に悩む経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

1.将来の収益性に対する銀行の疑念

債務超過に陥った企業は、過去の業績悪化から金融機関に「今後も安定的に利益を生み出せるのか」という疑問を持たれやすくなります。

特に複数年にわたって赤字が続いている場合には、事業モデルそのものに構造的な問題があると見なされ、返済原資を確保するのは難しいと判断されがちです。

さらに、キャッシュフローが安定しない企業では、毎月の返済に必要な資金を継続的に確保できないリスクが高まります。

その結果、金融機関にとっては「貸した資金を回収できない可能性が高い企業=高リスク先」と評価され、新規の借入が難しくなるのです。

2.十分な担保価値を持つ資産の欠如

金融機関は融資を実行する際、万が一返済が滞った場合に備えて担保を設定するのが一般的です。

しかし、債務超過の企業では負債が資産を上回っているため、実質的な価値を持つ担保資産を差し出すことが難しいという大きな課題があります。

さらに、保有している不動産の市場価値が下落しているケースや、換金性の低い機械設備などしか所有していない場合、金融機関は「回収が難しい」と判断し、融資を見送る傾向が強まります。

つまり、担保不足や担保価値の低下は、債務超過企業が新規融資を受けられない大きな理由のひとつなのです。

3.企業評価の著しい低下による審査厳格化

債務超過の状態は、企業の信用スコアや格付けに深刻な悪影響を及ぼします。

金融機関が内部で用いる格付けシステムにおいて低評価となり、新規融資の審査が不利に働く大きな要因となるのです。

特に、過去に支払遅延などの履歴がある企業では、信用度がさらに低下し、融資のハードルは一層高くなります。

また、既存の融資であっても、金融機関から金利引き上げや追加保証の要求、融資枠の縮小といった不利な条件変更を迫られるリスクが高まります。

その結果、資金繰りが一段と厳しくなり、経営者にとって大きなプレッシャーとなってしまいます。

4.具体性に欠ける経営戦略の提示不足

債務超過に陥った企業の多くは、現状分析や将来ビジョンが曖昧で、金融機関に対して納得感のある事業再建計画を提示できないケースが目立ちます。

銀行は融資判断において、

  • 「どのように収益を回復させるのか」
  • 「いつまでに黒字転換を実現できるのか」
  • 「資金繰りはどのように安定させるのか」

といった具体的な道筋を重視します。

したがって、説得力のある再建計画書を用意できなければ、新規融資の承認を得ることは極めて難しいのです。

5.事業継続性への懸念による総合的な評価低下

債務超過の状態は、金融機関だけでなく取引先や仕入先との関係にも大きな影響を及ぼします。

取引先からは「経営が不安定な会社」と見られ、新規受注の減少や既存契約の打ち切りリスクが高まります。

また、仕入先からは支払条件の厳格化(前払い・現金決済の要求など)を迫られるケースも少なくありません。これにより運転資金の需要が増大し、資金繰りがさらに逼迫する悪循環に陥りやすくなります。

こうした事業環境の悪化は、金融機関に対しても「継続的に事業を続けることが難しい企業」という印象を与え、結果として融資判断にマイナス影響を及ぼすのです。

債務超過でも融資を受ける3つの方法

債務超過の状態にあっても、適切なアプローチと十分な準備を行えば、金融機関から融資を受けられる可能性は残されています。

大切なのは、「債務超過=融資不可能」と思い込まず、将来の収益回復や返済可能性を数字と計画で明確に示すことです。

金融機関は、単に現在の財務内容だけでなく、下記のような「将来性」を重視します。

  • 事業再建計画の実現性
  • キャッシュフロー改善の道筋
  • 黒字化の見通しと時期

したがって、これらを的確に伝える工夫が、融資承認を得るための大きなカギとなります。

1.経営改善計画書の策定と提示

債務超過の企業であっても、原因の分析と解消の見込みを明確に示した経営改善計画書を金融機関に提出すれば、将来的な返済可能性をアピールできます。

金融機関は「現状は債務超過でも、将来的には返済してくれる企業かどうか」を重視します。

したがって、返済可能性の根拠を裏付けるデータやシナリオを示すことが重要です。

経営改善計画書には、

  • 具体的な数値目標(売上高、利益率、キャッシュフロー改善額など)
  • 実現可能な施策(コスト削減、事業再編、M&A、私的整理など)
  • 実行スケジュールと黒字化の見通し

を盛り込み、金融機関が納得できる説得力を持たせる必要があります。

経営改善計画の中でM&Aを選択肢にするなら、債務超過企業でも実行可能なステップを押さえておくことが大切です。

債務超過企業がM&Aで再生を目指す具体手順は、以下の記事で解説しています。

関連記事|債務超過企業でもM&Aは可能!成功のための5つのステップ

2.公的融資制度の積極的活用

民間の金融機関からの融資が困難な場合でも、公的な融資制度を利用することで、債務超過状態にあっても資金調達できる可能性があります。

経営者の方は、「融資はもう無理だ」と諦める前に、以下のような制度を検討してみてください。

  • 地方自治体による制度融資
  • 中小企業庁による金融サポート
  • 中小企業成長促進法に基づく経営革新支援
  • 各種経済安定対策
  • 各都道府県の中小企業活性化協議会への相談

これらの制度を活用するうえで大切なのは、経営改善に向けた具体的な取り組み姿勢を示すことです。

そのためにも、事前に事業計画書や資金繰り表をしっかりと準備しておく必要があります。

準備の段階から金融機関や専門家に相談しながら進めることで、申請の承認可能性を高めることができます

3.資金繰りの可視化で信頼性向上

債務超過の原因を把握するには、まず自社の資金繰りを可視化することが不可欠です。

資金繰り表を作成することで、金融機関に対して数値的な根拠を持った説明ができるようになります。

資金繰り表には、

  • 一定期間の収入と支出の結果
  • 月末時点の現預金残高
  • 今後必要となる資金需要の見通し

といった情報が整理されます。

これにより、資金繰りを効率的に管理できるだけでなく、融資の必要性や返済可能性について合理的に説明することが可能となります。

つまり、資金繰り表は「融資を受けるための説明資料」であると同時に、経営者自身が経営改善の道筋を把握するためのツールにもなるのです。

債務超過を放置するリスク

債務超過かどうかの判定は、貸借対照表における純資産の金額によって決まります。

純資産がマイナスであれば「債務超過」と判定され、これは単なる会計上の数字にとどまらず、企業経営のさまざまな側面に深刻な影響を与えます。

債務超過は、資金調達や取引関係など経営の根幹に直結する問題です。

だからこそ、正確な判定基準を理解し、その影響範囲を把握した上で適切な対策を講じることが、経営再建への第一歩となるのです。

1.返済条件の一方的な悪化で資金繰りが圧迫

債務超過の状態が長引くと、既存の借入金についても金融機関から金利の引き上げや返済期間の短縮など、不利な条件変更を迫られるケースが増えていきます。

銀行は「滞納リスクが高まった」と判断し、場合によっては早期返済(回収)を要求することもあります。

その結果、月々の返済負担が急激に増加し、事業運営に必要な運転資金が圧迫されるという悪循環に陥りやすくなります。

特に、売上に季節変動がある業種(観光業・小売業・製造業など)では、資金ショートのリスクが一気に高まるため注意が必要です。

2.新規事業展開や設備投資の機会を完全に失う

債務超過企業は新規融資を受けにくいため、競合他社が設備投資や新規事業で成長していく中、自社だけが取り残されるという状況に陥りがちです。

その結果、

  • 技術革新や市場変化に対応できない
  • 新しい顧客ニーズを取り込めない
  • 既存事業の競争力が徐々に低下する

といった悪循環が進みます。

売上の減少は財務悪化をさらに加速させ、債務超過状態からの脱却を一層困難にします。

つまり、融資が受けられないことが経営再建を阻む構造的な問題となってしまうのです。

3.仕入先との取引条件が著しく悪化

債務超過の状態は、信用情報機関などを通じて取引先に共有される可能性もあるため、仕入先から現金払いや前払いを要求されるケースが増えてきます。

その結果、通常よりも支払いサイクルが短縮され、運転資金の需要が急増。資金繰りがさらに悪化する悪循環に陥るリスクがあります。

さらに深刻なのは、優良な仕入先から取引を敬遠されることです。

やむを得ず条件の悪い仕入先との取引を余儀なくされ、結果として商品やサービスの品質低下につながる懸念も否めません。

つまり、債務超過は単なる財務上の問題にとどまらず、資金繰りと事業の競争力そのものを脅かす要因となるのです。

4.従業員の士気低下と優秀な人材の大量流出

債務超過の状態は、金融機関や取引先だけでなく、従業員にも大きな不安を与えます。

会社の将来に対する期待が損なわれることで、特に管理職や優秀な技術者など、転職市場で需要の高い人材から順に離職していく傾向があります。

その結果、

  • 組織の中核となる人材の喪失
  • 新規採用の困難化
  • 残された従業員への業務負担増加→さらなる離職

といった負のスパイラルが発生します。

人材の流出は単なる人手不足にとどまらず、企業の技術力やノウハウの流出にも直結し、事業継続や競争力低下のリスクを加速させるのです。

5.経営者の精神的負担と判断力の低下

債務超過の状態が長期化すると、企業経営だけでなく経営者個人にも深刻な影響が及びます。

常に倒産リスクを意識し続ける精神的ストレスから、冷静な経営判断ができなくなり、判断ミスを誘発する危険があります。

また、多くの中小企業経営者は借入に個人保証を付けているため、万一の場合には自宅や私財までもが危険にさらされることになります。

こうしたプレッシャーは、家庭や家族関係にも悪影響を及ぼしやすいのが現実です。

このような状況に陥ると、本来必要な抜本的な経営改革を先送りしてしまい、場当たり的な資金繰り対応に追われる結果、問題をさらに深刻化させてしまうリスクが高まります。

債務超過を根本解決する5つの対策

債務超過状態を抜け出すためには、資産を増加させる取り組みと、負債を減少させる取り組みを並行して進めることが欠かせません。

どちらか一方だけでは根本的な改善につながりにくく、両輪で進めてこそ確実な効果が期待できます。

ここからは、債務超過を根本的に解消するための5つの具体的な対策をご紹介します。

「借入が多く資金繰りが苦しい」「黒字転換の道筋が見えない」と悩む経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

1.継続的な収益改善で根本解決

債務超過を解消するために最も重要なのは、事業自体の収益性を改善し、継続的に利益を積み上げていくことです。

  • コスト削減
  • 無駄な経費の徹底的な見直し
  • 仕入先や外注先の再選定による調達コストの削減
  • 業務プロセスの効率化(IT活用・アウトソーシングなど)
  • 粗利益向上
  • 市場調査に基づいた商品・サービスの見直し
  • 効果的なマーケティング戦略(デジタル活用・新規販路開拓)
  • 既存顧客との関係強化によるリピート受注の拡大

収益改善は即効性に欠ける場合もありますが、地道な取り組みの積み重ねが金融機関からの信頼回復につながり、将来的な融資承認を受けやすくする大きな要因となります。

2.含み益のある資産の売却で即効性のある改善

債務超過を解消するための有効な手段のひとつが、含み益のある資産の売却です。

土地や有価証券などの含み益を抱えている資産を売却し、その売却益を債務の返済に充てることです。

また、車両や機械設備といった減価償却資産の売却も、資金繰り改善の有効な手段となります。

ただし、非上場企業の株式など流動性の低い資産は、買い手を見つけるまでに時間がかかるケースが多いため、計画的に売却を進めることが重要です。

3.借入条件の見直しで返済負担軽減

債務超過の企業であっても、金融機関に相談し、金利の引き下げ返済期間の延長(リスケジュール)が認められれば、毎月の返済額を減らすことが可能です。

このような借入条件の改善は、資金繰りの余裕を生み出し、経営再建に向けた時間的猶予を確保する有効な方法です。

ただし、そのためには現実的かつ実行可能な返済計画を提示することが不可欠です。

無理のない計画を立てることで、金融機関の信頼を維持しながら、長期的な経営安定を目指すことができます。

4.増資による自己資本の強化

債務超過を直接的に解消する方法のひとつが、外部の投資家などから出資を受けて自己資本を増やすこと(増資)です。

増資により貸借対照表上の純資産が改善され、債務超過状態を即効的に解消できる可能性があります。

ただし、増資には注意点もあります。

新規株主を受け入れることで、既存株主の持分比率が希薄化する可能性があるため、株主構成や経営権への影響を十分に考慮したうえで慎重に検討することが重要です。

5.DESによる負債の資本化

債務超過を解消する手段のひとつに、DES(DebtEquitySwap:デット・エクイティ・スワップ)があります。

これは、債務を株式に転換することで負債を削減し、同時に自己資本を増やす方法です。

特に金融機関からの借入金をDESで処理する場合、債権者である銀行が株主となるため、経営再建への協力が得られる可能性があります。

金融機関の理解と協力が前提となりますが、債務者と債権者の双方にメリットがある解決策として注目されています。

ただし、DESを実行する際には税務上の留意点や会計処理の複雑さが伴うため、必ず企業再生に詳しい専門家と連携しながら進めることが重要です。

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まとめ

債務超過状態にある企業が銀行からの融資を断られる主な理由は、返済能力への懸念だけでなく、担保不足・信用情報の悪化・事業計画の欠如・取引先からの信用低下など、多岐にわたります。

しかし、

  • 経営改善計画書の策定
  • 公的融資制度の活用
  • 資金繰りの可視化(資金繰り表の作成)

といった取り組みにより、金融機関からの融資を受けられる可能性を高めることができます。

さらに根本的な解決には、

  • 含み益のある資産の売却
  • 借入条件の見直し(リスケジュール)
  • 増資やDES(デット・エクイティ・スワップ)
  • 継続的な収益改善

などの対策を組み合わせ、段階的に進める姿勢が重要です。

債務超過は確かに深刻な課題ですが、適切な対策を講じれば改善の道筋を見つけることは可能です。

もし「どこから手をつけていいかわからない」とお悩みであれば、ぜひジーケーパートナーズ無料相談をご活用ください。

豊富な再生案件の実績を持つ専門家が、貴社の状況に応じた最適な解決策をご提案いたします。

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債務免除の進め方は?専門家と連携する方法もご紹介

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企業経営において、借入金の返済が難しくなることは決して珍しいことではありません。

特に中小企業では、景気変動や取引先の減少、原材料価格の高騰、コロナ禍以降の資金繰り悪化などにより、返済に行き詰まるケースが増えています。

こうした状況に陥った際に、経営者の頭に浮かぶ選択肢のひとつが「債務免除」です。

ただし、実務の現場では、単純に債務を免除してもらうことは非常に難しいのが実情です。

金融機関や債権者が債務免除に応じるのは、再生計画が合理的であり、将来的な事業継続の見込みがあると判断された場合に限られます。

本記事では、下記項目について詳しく解説していきます。

  • 債務免除の基本的な仕組み
  • 実際に行われる手続きの流れ
  • 専門家に相談すべきタイミング

借入金の返済に悩む経営者の方は、現実的な再生の方向性を見極めるための参考にしてください。

債務超過や資金繰りにお困りの企業様は、ジーケーパートナーズまでお気軽にご相談ください。

企業再生の専門家として、債務免除を含む最適な解決策をご提案いたします。

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債務免除とは?

債務免除とは、債権者が債務者に対して「もう返済しなくてよい」と認めることで、返済義務をなくすことをいいます。

民法第519条では「債権者が債務者に対し債務を免除する意思を表示したときは、その債権は消滅する

と定められており、法律上も債務免除によって債務が消えることが明確にされています。

債務免除が実行されると、債務者には本来返済すべき金額に相当する経済的利益が発生します。

その結果、下記のような効果が得られます。

  • 負債が減少する
  • 純資産が回復する
  • 財務状況が大幅に改善する

これは単に「借金をなくす」ことを目的としたものではなく、企業が事業を続けるため、または個人が生活を立て直すための大切な手段といえます。

中小企業経営者が知っておくべきポイントは下記の通りです。

  • 債務免除は、債権者の協力があって初めて成立するため、金融機関や取引先との関係性が重要
  • 実務では「私的整理」や「特別清算」、「事業譲渡・会社分割」といった再生スキームの一環として用いられるケースが多い
  • 会計・税務上の取り扱いも発生するため、専門家の支援が不可欠
  • 特に債務超過状態にある企業にとっては、再生の第一歩となる重要な手段

以下の記事でも、債務免除とは何かを詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

関連記事|債務免除益とは?中小企業の税務実務のポイントを徹底解説

 

債務免除の進め方

債務免除を実現するためには、法的な要件を満たすだけでなく、税務や会計の影響を正しく把握し、適切な手続きを踏むことが不可欠です。

また、債権者の理解と合意が得られなければ実行は難しく、慎重な準備と専門的な支援が求められます。

その上で、一般的な進め方は次の通りです。

  1. 事前準備と状況確認
  2. 債務免除の意思決定と合意形成
  3. 債務免除証書・通知書の作成
  4. 配達証明付き内容証明郵便での送付
  5. 会計処理と税務申告

以下で詳しい内容を解説します。

【ステップ1】事前準備と状況確認

債務者が債権者に債務免除を求める場合、まずは自社の財務状況を客観的に示すことが必要です。
特に、「すでに返済が難しい状態(弁済不能)」であることを裏付ける資料を整えることが欠かせません。

準備すべき主な資料は、次のとおりです。

  • 財務諸表(直近3期分の貸借対照表、損益計算書など)
  • 資金繰り表(向こう6ヶ月〜1年分の予測)
  • 債権債務一覧表(全ての借入金と返済条件)
  • 事業再生計画書(可能な範囲で)

資料を作成する際のポイントは、債務超過の期間や今後の見通しを数値で明確に示すことです。

債権者に対して「今すぐ債権を回収するよりも、事業再生を支援した方が結果的に合理的である

と客観的に説明できれば、債務免除に応じてもらえる可能性が出てきます。

【ステップ2】債権者との交渉準備

債務免除の成否は、実際の交渉に入る前の準備段階でほとんど決まるといっても過言ではありません。
十分な準備をせずに交渉に臨むと、債権者からの信頼を失い、結果的に交渉が決裂するリスクが高まります。

交渉をスムーズに進めるためには、次のポイントを事前に整理しておきましょう。

  • 債権者ごとの優先順位の設定(金融機関、取引先、役員など)
  • 債務免除を求める理由の整理(経営不振の原因、改善策など)
  • 事業継続による債権者メリットの説明準備
  • 今後の取引関係に関する方針の明確化

取引先や金融機関に対して、今後どのような関係を築きたいのかを具体的に伝えることが、信頼回復の第一歩となります。

また、債権者にとって、債務免除は単なる「損失」ではありません。

次のような「社会的・経済的な意義」も含まれており、交渉の際にこれらの点を丁寧に伝えることで、理解を得やすくなることがあります。

  • 事業継続による雇用維持
  • 取引先や地域経済への影響回避
  • 企業の社会的責任(CSR)の一環としての再生支援

このように、債務免除を「共倒れを防ぐための合理的な判断」として説明できれば、債権者も前向きに検討する可能性が高まります。

【ステップ3】債務免除の合意形成

債権者が金融機関や取引先ではなく、経営者本人や親族などの個人である場合には、合意形成において特有の注意点があります。
一律の対応ではなく、税務と法務の両面から慎重に進めることが大切です。

主な確認事項は次のとおりです。

  • 書面での合意書作成(口頭約束は避ける)
  • みなし贈与税のリスク確認
  • 相続税対策としての影響検証
  • 税理士への事前相談(債務者が資力喪失状態に該当するかの判断など)

個人からの債務免除は、金融機関や取引先の場合と異なり、家族関係・相続・贈与税リスクが複雑に絡むのが特徴です。

単なる「借金の帳消し」では済まないため、必ず専門家と連携して進めることが安全です。

債務免除において、金融機関との交渉は最も重要であり、かつ難易度の高いステップです。

一つでも準備不足があると、交渉が停滞し、再生のチャンスを失うおそれがあります。

効果的に進めるためには、次の流れを意識しましょう。

  • 正式な債務免除依頼書の提出
  • 事業再生計画の詳細説明
  • 他の債権者との公平性確保
  • 私的整理ガイドラインの活用検討

金融機関は常に「債権回収の最大化」を目指しています。

したがって、交渉では以下の2点を明確にすることが重要です。

  • 清算した場合よりも、債務免除を行ったほうが合理的であること
  • 事業再生によって、将来的に取引や回収の見込みが残ること

経営者はこの「経済的合理性」を数字で裏付けて説明することが求められます。

また、複数の金融機関が関与している場合には、公平な負担配分(債権カット率の整合性など)を図り、全体の合意を形成することが不可欠です。

【ステップ4】債務免除証書の受領

債権者から届く「債務免除の通知書(債務免除証書)」は、法的な効力と税務処理の根拠となる、非常に重要な書類です。
一度効力が発生すると、簡単に訂正することはできません。
そのため、受け取った際は内容を慎重に確認する必要があります。

債務免除証書には、次の項目が正確に記載されているかを確認しましょう。

  • 債権者と債務者の正式な名称・住所
  • 免除される債権の内容(債権額、発生原因、契約日など)
  • 免除する金額と対象期間
  • 免除の理由
  • 効力発生日
  • 債権者の署名または記名押印

債務免除証書は、通常、内容証明郵便(配達証明付き)で送付されます。
これは、「債権者が正式に免除の意思を示した」ことを客観的に証明するための手続きです。

受け取った後は、記載内容に誤りがないか必ず確認することが重要です。
特に、金額や対象となる債権に疑問がある場合は、そのままにせず、速やかに債権者へ確認してください。
わずかな記載ミスでも、将来的に大きなトラブルにつながる可能性があります。

【ステップ5】会計処理と税務申告

債務免除を受けた企業は、正しい会計処理と税務申告を行う必要があります。

これを誤ると、思わぬ税金が発生する恐れがあるため、必ず専門家と連携して進めましょう。

債務免除を受けると、帳簿上では次のような処理が行われます。

  • 負債の帳簿価額を減少させる
  • 減少分を「債務免除益(特別利益)」として計上する

 仕訳例:(借方)借入金 1,000万円/(貸方)債務免除益 1,000万円

この処理により、決算書上は負債が減少し、純資産が改善します。

一方で、この「債務免除益」は課税対象となるため、税務面での注意が必要です。

債務免除によって発生した債務免除益は、原則として益金に算入され、法人税の課税対象となります。

ただし、一定の条件を満たせば、課税を回避または軽減できる場合があります。

(1)繰越欠損金との相殺

  • 多くの債務超過企業は、過去の赤字による繰越欠損金を有しています
  • 債務免除益と相殺することで、実質的に法人税の負担をゼロまたは軽減できるケースがあります
  • ただし、繰越欠損金の使用には制限(控除限度額や期間制限)があるため、適用条件を事前に確認する必要があります

(2)企業再生税制の活用

  • 「合理的な再生計画」が策定され、かつ債務免除が正式な手続きを経て実行された場合、期限切れの欠損金であっても損金算入が認められる特例があります。
  • これにより、通常は使えない過年度の欠損金を活用し、税負担を軽減できる可能性があります。
  • ただし、この特例を受けるためには、下記要件を満たす必要があります。

1)再生計画の妥当性

2)債権者(金融機関)との正式な合意

3)適切な手続きを経た債務免除の実行

  • 単に計画を立てただけでは適用されず、要件を満たさなければ認められません。

そのため、手続き面も含めて専門家が関与しながら進めることが不可欠です。        

(3)資力喪失状態の特例

  • 債務者が「資力を喪失し、弁済が著しく困難な状態」にあると認められる場合、債務免除益が課税対象から除外されることがあります。
  • ただし、この「資力喪失」の判断は非常に複雑で、債務超過の程度や資金繰りの状況などを詳細に検討する必要があります。
  • 自己判断は避け、必ず税理士などの専門家に確認しましょう。

債務免除は、企業の財務体質を大きく改善できる一方で、税務リスクを伴う諸刃の剣でもあります。

次の3点を意識しながら、慎重に進めることが重要です。

  • 自社の財務状況を正確に把握する
  • 適用可能な税務特例を検討する
  • 公認会計士・税理士など専門家と連携して進める

これらを踏まえて計画的に対応すれば、債務免除を企業再生の確かな一歩に変えることができます。

 

債務免除の相談先

債務免除は、法務・税務・会計・金融機関との調整が複雑に絡み合う手続きです。

自己判断で進めると、後々のトラブルや予期せぬ税負担につながるリスクがあります。

そのため、早い段階で適切な専門家に相談することが成功への近道です。

法務・金融機関対応に強い専門家:弁護士

債務免除を法的な観点から検討する場合は、弁護士への相談が基本です。

弁護士に相談すべきケース

  • 金融機関が複数あり、交渉が難航している
  • 法的紛争や訴訟の可能性がある
  • 債権者間で意見が分かれている

弁護士は交渉代理権を持ち、訴訟や複雑な調整を伴うケースに対応可能です。

債務総額が大きい、金融機関が複数関与している、といった中小企業の典型的な状況では、弁護士への相談が最適です。

税務・会計に関する専門家:税理士・公認会計士

債務免除では、税務上の扱いが極めて重要です。

債務免除益の課税」や「繰越欠損金の活用」など、専門知識がなければ大きな負担につながることがあります。

税理士に相談した場合

  • 債務免除益の税務処理、繰越欠損金の活用、企業再生税制の適用判断などをサポート
  • 中小企業に最も身近で、実務的な支援が可能

公認会計士に相談した場合

  • 大規模な財務改善やM&Aを伴うケースで、財務の信頼性を担保
  • 金融機関や投資家に対して説得力ある説明資料を作成

事業再生・M&Aに強い専門機関

債務免除は単独で進めるよりも、事業再生や事業譲渡と組み合わせることで効果的に進められるケースが多くあります

再生に強い専門会社であれば、財務改善と同時に事業の存続や雇用の維持を考慮したスキーム設計が可能です。

≪M&A・企業再生の専門会社≫

  • 再生型M&Aの支援、スポンサー企業の探索、再生スキームの設計
  • 一般的なM&A仲介会社では扱えない債務超過案件にも対応可能

中小企業活性化協議会

  • 各都道府県に設置された公的な再生支援窓口
  • 専門家が金融機関との協議や再生計画の策定を中立的にサポート

以下の記事では、M&Aの相談先について詳しく解説しています。

ぜひ参考にしてください。

関連記事|M&Aの相談先・窓口・センターを徹底比較!無料相談の活用方法も解説

公的な相談窓口

営利を目的としない中立的な立場で支援を受けられる窓口もあります。

事業承継・引継ぎ支援センター

  • 後継者不在や廃業を検討している企業の相談窓口
  • M&Aや事業承継の選択肢を提案

≪経営安定特別相談室≫

  • 資金繰りの悪化や債務超過などの経営危機に対応
  • 弁護士・税理士・中小企業診断士らがチームで助言

公的機関は中立的で安心感のある窓口ですが、実際には一般的な経営相談や制度紹介が中心となります。

一方で、債務超過企業の抜本的な再生には次のような高度な専門性が不可欠です。

  • 私的整理ガイドラインを活用した金融機関との調整
  • スポンサー探索による新たな資金・経営資源の導入
  • 事業譲渡・会社分割と組み合わせたスキーム設計
  • 債務免除とM&Aを組み合わせた再生戦略

これらは、公的機関単独では対応が難しく、企業再生の専門会社だからこそ実行可能な領域です。

ジーケーパートナーズは中小企業活性化協議会の外部専門家として数多くの再生支援実績を有し、債務超過案件にも対応できる数少ない専門機関です。

一般的なM&A仲介会社が敬遠する「債務超過案件」でも、再生スキームを絡めることで事業の存続と債権者への合理的な配当を両立できます。

借入金に悩み、資金繰りに行き詰まっている経営者の方は、ぜひ一度ご相談ください。

状況を丁寧にお伺いし、御社にとって最適な再生スキームをご提案いたします。

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まとめ

債務免除は、企業の財務改善において非常に有効な手段ですが、正しい手続きと専門家の支援がなければ大きなリスクを伴います。

まずは自社の財務状況を客観的に整理し、弁済不能状態を示す資料を準備することです。

その上で、債権者との交渉を計画的・戦略的に進めることが求められます。

さらに、債務免除を単独で行うのではなく、事業再生や事業譲渡と組み合わせることで、より効果的な解決策を実現できます。

資金繰りや借入金でお悩みの経営者の方、ひとりで抱え込まずに、ぜひ専門家にご相談ください。

ジーケーパートナーズは、下記を強みとしています。

  • 中小企業活性化協議会の外部専門家としての豊富な再生支援実績
  • 債務超過案件にも対応可能な数少ない専門機関
  • 私的整理ガイドラインの活用からスポンサー探索、事業譲渡まで包括的にサポート

一般的なM&A仲介会社が敬遠するような難しい案件でも、最適な再生スキームをご提案いたします。

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債務免除とは?仕組み・メリット・デメリット・手続き方法をわかりやすく解説

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債務免除とは、企業や個人が抱えている借入金や負債の返済義務の一部または全部を、債権者(金融機関など)の同意によって免除してもらうことを指します。

実際にこれを実現するには、債権者の理解や交渉、再生計画の妥当性など複数の条件を満たす必要があり、容易ではありません。

しかし、実現できれば債務が減少し、財務状況が改善します。

一方で、税務上の課税リスク取引先からの信用低下といったデメリットも発生します。

それでも、適切な方法とタイミングで実施できれば、企業の再生や事業の継続に大きく貢献し得る有効な手段です。

特に債務超過や過大な借入金に悩む中小企業にとっては、再起の可能性を拓く重要な選択肢の一つとなります。

債務免除や事業再生について具体的な解決方法を知りたい方は、ジーケーパートナーズの「無料個別相談会」をご活用ください。

金融機関対応や債務免除を含む再生スキームM&Aを絡めた事業再生など、経験豊富な専門家が御社の状況を丁寧にヒアリングし、最適な解決策をご提案いたします。

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債務免除とは?

債務免除とは、金融機関や取引先などの債権者が、債務者(企業や個人)が返済困難に陥った借金や負債について、返済義務の全部または一部を免除することを指します。

会計処理の面では、次のような効果が現れます。

  • 貸借対照表(B/S):免除された債務の分だけ負債が減少→財務体質が改善される
  • 損益計算書(P/L):債務免除により発生した利益は「特別利益」として計上される

債務免除の実現は簡単ではなく、金融機関や取引先の同意、再生計画の妥当性、経営者の再建意欲など複数の条件を満たす必要があります。

それでも、これらをクリアできれば、一時的に財務指標が改善し、資金繰りの見通しが立てやすくなる有効な手段となります。

債務免除の主なメリットは下記の通りです。

  • 債務超過の解消→自己資本比率の改善
  • 金融機関との関係改善→新規融資の可能性が高まる場合もある
  • 事業継続の余力確保→本業再建に集中できる

一方、リスクについては下記の通りです。

  • 法人税の課税:「債務免除益」として課税対象となる場合がある
  • 信用低下:取引先や市場からの信用不安を招く可能性がある
  • 債権者の合意が不可欠:一方的には実行できず、丁寧な交渉と信頼関係の構築が必要

また、債務免除は、「債務整理」や「債権放棄」と混同されることもあります。

それぞれ手続きの仕組みや法的効果が異なるため、自社にとってどの方法が最適かを理解することが重要です。

 

債務免除と類似する債務整理の違い

債務免除は、債権者と債務者の合意によって返済義務の一部または全部を免除してもらう手法です。

一方、これと混同されやすい「債務整理」は、より広い概念で、返済負担を軽減・再編するための一連の手続きの総称を指します。

  • 債務整理|返済条件の変更や利息減免など、負担軽減のための包括的な手続き
  • 債務免除(債権放棄)|返済義務を免除してもらう行為 

以下で詳しい内容を解説しますので、参考にしてください。

債務整理|返済条件の変更や利息減免などを含む包括的な再生手続き

債務整理は、返済負担を軽減し、事業を継続するための包括的な調整手続きです。

主に次の2種類に分かれます。

  • 私的整理(任意整理):金融機関との交渉により返済条件を変更する方法
  • 法的整理:裁判所の関与のもとで債務を再編・圧縮する方法

債務整理は、債権者との信頼関係を保ちながら現実的な返済計画を立てられる点がメリットです。

ただし、根本的な債務超過を解消するには、債務免除や債権放棄、事業譲渡・会社分割を組み合わせた再生スキームを検討する必要があります。

債務免除(債権放棄)|返済義務を免除してもらう行為

債務免除とは、債務者(借入企業)が債権者から返済義務の一部または全部を免除してもらう行為を指します。

一方で、同じ取引を債権者の視点から表現した場合は「債権放棄」と呼ばれます。

実態は同じでも、立場によって呼び方が次のように変わります。

  • 債務免除:債務者(借り手)から見た「返済義務を免除してもらう」こと
  • 債権放棄:債権者(貸し手)から見た「返済請求権を放棄する」こと

また、税務処理には立場ごとに以下のような違いがあります。

  • 債務者側:債務免除益(特別利益)として課税対象となることが多い
  • 債権者側:放棄した債権を損失計上できるが、寄附金扱いとなる可能性があり注意が必要

 

債務免除が検討される主な原因3選

債務免除は、実務的には実現ハードルが高い手法ですが、条件が整えば、事業再建・事業承継・相続対策など幅広い場面で活用される可能性があります。

債権者の同意や合理的な再生計画が必須であるものの、適切に進めれば企業再生の大きな転機となり得ます。

ここでは、債務免除が検討されやすい代表的な3つのケースを紹介します。

  • 返済能力の不足(投資の失敗・収益不足)
  • 資産価値の下落(評価損・減損の発生)
  • 突発的損失の発生(自然災害・訴訟・構造改革など)

1.返済能力の不足(投資の失敗・収益不足)

設備投資や新規事業への資金投入が思うように回収できず、借入金だけが膨らんでしまうケースがあります。

このような場合、資金繰りが悪化し、追加融資も受けづらくなるため、債務免除が再生策の選択肢となることがあります。

債務免除は単独では実施しにくく、次のようなスキームと併用されることが多い点が特徴です。

  • 再生型M&A:スポンサーが事業を引き継ぐ前提で、旧会社の債務を整理する方法
  • 第三者割当増資:債務整理後に投資家から出資を受け、資金繰りを安定化させる方法

これらを組み合わせることで、企業価値の改善や再生の実現可能性が高まります。

2.資産価値の下落(評価損・減損の発生)

保有する不動産や設備に評価損が生じると、帳簿上の純資産がマイナスとなり債務超過へ転落することがあります。

主な要因は、以下のようなものが挙げられます。

  • 不動産市況の悪化
  • 設備の陳腐化
  • 減損会計の適用

資産価値が大きく下がると、返済能力とのバランスが崩れ、事実上の返済困難に陥ることがあります。

このような場合、債務免除によって負債を削減し、自己資本比率の改善や、金融機関との関係修復につなげる方法が検討されます。

ただし、財務改善だけでは再生は不十分であり、事業モデルの見直しや再生計画の策定とセットで実行することが不可欠です。

3.突発的損失の発生(自然災害・訴訟・構造改革など)

企業経営では、予期しない損失によって返済資金の確保が難しくなることがあります。

代表的なケースとしては、次のようなものが挙げられます。

  • 自然災害:地震・水害・火災などによる設備や在庫の損失
  • 訴訟対応:損害賠償や和解金の発生による突発的支出
  • リストラ費用:人員整理や構造改革に伴う一時的な巨額コスト

こうした損失は一時的であっても、資金繰りを大きく圧迫するため、債務免除やリスケで負担を軽減し、財務基盤を維持する方法が検討されることがあります。

もっとも、下記のような複数の条件が揃わなければ、債務免除の実現は簡単ではありません。

  • 金融機関の理解
  • 再生計画の妥当性
  • 税務面の整理

突発的損失への対応は複雑な判断が求められるため、企業再生に詳しい専門家と早期に連携することが事業継続の大切なポイントとなります。

借入金や債務負担にお悩みの経営者の方は、ぜひ一度ジーケーパートナーズの「無料個別相談会」にご参加ください。

私たちは、企業再生やM&Aに強みを持つ専門家として、これまで数多くの中小企業の再生をサポートしてきました。

  • 債務超過や資金繰りに苦しむ中小企業の実情を熟知
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御社の状況に合わせて、最適で効果的な再生の道筋をご提案いたします。

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債務免除を行うメリット

財務改善や企業再生を目指す企業にとって、債務免除は大きな効果をもたらす有効な手段です。
ただし、債権者の同意や再生計画の整備などが必要で、実現は決して容易ではありません。
それでも、適切に進めれば企業再生の転機となる可能性があります。

ここでは、債務免除によって得られる代表的な3つの効果を見ていきましょう。

  • 資金繰りの改善
  • 財務体質の改善と債務超過の解消
  • 法人税・相続税対策

1.資金繰りの改善

債務免除が実現されると、毎月の資金流出(返済)がなくなるため、キャッシュフローが一気に改善します。

その結果、これまで返済に充てていた資金を次のように有効活用できるようになります。

  • 事業投資:新規顧客獲得、設備更新、マーケティングなど成長分野への投資
  • 運転資金:仕入れ、人件費、研究開発費など、本業の継続に直結する資金確保

これにより、経営者は「目先の支払い」や「金融機関への返済」に追われる状況から解放され、中長期的な経営戦略に専念できる環境が整います。

つまり、債務免除は単なる債務削減にとどまらず、経営の自由度を高め、再生のための前向きな一手となるのです。

2.財務体質の改善と債務超過の解消

債務免除が実現すると、借入金や負債を減額すると、債務超過が解消されて再び資本がプラスの状態に戻る場合があります。

この財務改善は、社内の経営判断だけでなく、外部からの評価にも大きな影響を与えます。

  • 金融機関の目線:危機的状況から脱却した企業と評価され、追加融資やリスケ交渉が進めやすくなる
  • 取引先の目線:仕入れ先や顧客からの信用不安が和らぎ、取引関係の継続が可能になる

このように、債務免除は企業再生の強固な土台となり、将来の成長戦略に向けて新たなスタートを切るためのきっかけとなります。

3.法人税・相続税対策

債務免除は一見すると課税のリスクを伴うように見えますが、繰越欠損金や中小企業向けの税制を活用すれば、実質的な税負担を抑えられる場合があります。

また、経営者が会社への貸付金を免除する場合には、事業承継や相続税対策としての効果も期待できます。

こうした税務上の取り扱いは複雑なため、専門家に相談しながら戦略的に進めることが大切です。

 

債務免除が引き起こす3つのリスク

債務免除を受けることで財務体質は改善しますが、同時に次の3つのリスクにも注意が必要です。

  • 税務上のリスク(課税・贈与認定など)
  • 信用低下のリスク(金融機関・取引先)
  • 債権者側の損失

以下でそれぞれのリスクを解説します。

1.税務上のリスク(課税・贈与)

債務免除が実現すると、企業では「債務免除益」が発生します。

この金額が大きい場合、法人税の課税対象となり、結果的に税負担が増えるリスクがあります。

さらに、税務上は次のようなリスクにも注意が必要です。

  • 法人税負担の増加
    →債務免除益は原則として課税対象です。繰越欠損金で相殺できる場合もありますが、欠損金が少ないと多額の法人税が発生することがあります。
  • みなし贈与のリスク
    →特定株主や関係者だけが有利になる形で債務免除を行うと「みなし贈与」と判断され、贈与税の課税対象になる場合があります。
  • 寄附金認定による損金否認
    →免除の理由や手続きが不十分な場合、債権者側の会計処理で「寄附金」とみなされ、損金として認められないリスクがあります。

債務免除は企業再生の有効な手段ですが、税務処理を誤ると法人税・贈与税・寄附金認定といった予期せぬ課税リスクにつながるおそれがあります。

そのため、実行の際は専門家による事前の税務シミュレーションと適切な手続きが欠かせません。

2.金融機関・取引先からの信用低下

債務免除を受けると、金融機関や取引先といった外部関係者から「経営が厳しい会社」と見られやすくなります。

このような信用不安は、今後の資金調達や取引条件に直接的な影響を及ぼす可能性があります。

想定される金融機関からの影響は下記の通りです。

  • 新規融資が通りにくくなる
  • 既存融資の金利引き上げや追加担保を求められる
  • 借入条件(返済期間や返済額)の見直しを迫られる

また、想定される取引先からの影響は下記の通りです。

  • 支払サイトの短縮を要求される
  • 前払い取引や保証金を求められる
  • 継続的な取引を敬遠される可能性

こうした信用低下は、追加資金の調達や安定した取引関係の維持を難しくする要因となります。

結果的に、経営改善を目的として行った債務免除が、かえって資金繰りを圧迫するリスクにつながることもあります。

債務免除は財務改善に有効な手段ですが、信用低下リスクをどう管理するかが極めて重要です。

そのためには、金融機関や取引先に対して、「債務免除後の再生計画」や「将来の収益モデル」を明確に示し、信頼回復を並行して進めることが不可欠です。

金融機関からの信用に関しては、以下の記事でも解説しています。

関連記事|銀行のリスケが信用情報に与える影響とは?対処法も紹介

3.債権者側の損失

債務免除は、債務者(借入企業)にとって財務改善につながる一方で、債権者側にも無視できないリスクが存在します。

≪財務への影響≫ 

債権者は、免除した金額を損失として計上しなければなりません。

そのため、短期的には自己資本の減少や利益の圧迫につながり、債権者自身の財務体質を悪化させるおそれがあります。

≪税務上のリスク≫ 

債務免除の正当性や合理的な理由が十分に示されていない場合、税務上「寄附金」とみなされ、損金算入が否認される可能性があります。

特に、親子会社間や取引先間など関係会社間での債務免除は、税務当局から厳しくチェックされやすいため注意が必要です。

債務免除を行う際は、次のような記録をしっかり残しておくことが重要です。

  • 経営合理性の根拠(事業再生計画、スポンサー支援の有無など)
  • 債権者会議や取締役会での決議記録
  • 関連当事者間の契約書類や議事録の整備

これらを整えておくことで、後日の税務調査におけるリスクを大幅に軽減できます。

債務免除は債務者にとって再生のチャンスである一方、債権者には財務悪化や税務上のリスクが伴う取引です。

したがって、実行にあたっては、双方にとって合理的で説明可能なスキーム設計を行い、適切な記録を残すことが欠かせません。

 

債務免除とあわせて検討したい「M&A」という選択肢

債務免除は、財務の健全化や資金繰りの改善に大きな効果をもたらす手法です。

しかし、企業の将来をより確実に再生させたい場合には「M&A」という選択肢も非常に有効です。

M&Aを活用することで、債務免除だけでは得られない、次のような経営資源や成長機会を手に入れることができます。

  • スポンサー企業からの支援:経済的・人的リソースの提供により、事業基盤を強化
  • 経営ノウハウ・ネットワークの獲得:新たな営業ルートや顧客基盤を取り込み、売上拡大につなげる
  • 従業員・取引先の保護:雇用や取引関係の維持により、事業の安定を確保
  • 成長戦略への転換:単なる負債整理にとどまらず、「事業の発展」につながる再生が可能

債務免除によって一時的に負担を軽減することはできますが、将来の安定経営や持続的成長を目指すなら、M&Aと組み合わせた再生スキームが効果的です。

たとえば、

  • 債務免除により財務基盤を整理
  • M&Aによってスポンサー企業の資金・ノウハウを導入

といった形で、財務面と事業面の両立による再生を実現することが可能です。

ジーケーパートナーズは、「債務超過案件を含むM&Aの実績」と「企業再生の現場で培った交渉力とスキーム設計力」を強みとして、次世代へつながる事業再生を強力にサポートいたします。

M&Aについては、以下の記事でも解説していますのであわせて参考にしてください。

関連記事|債務超過企業でもM&Aは可能!成功のための5つのステップ

 

まとめ

債務免除は、財務改善や資金繰り対策として有効な手段の一つです。ただし、債権者の同意や再生計画の妥当性など、複数の条件を満たす必要があり、実現は決して簡単ではありません。
さらに、税務面や信用面でのリスクも伴うため、慎重な検討が求められます。

企業の存続や将来の成長を目指す場合は、M&Aや私的整理、事業承継対策など、他の再生策も含めて幅広く検討することが重要です。
自社の状況に合った最適な方法を選ぶことで、経営再生の具体的な道筋が見えてきます。

ジーケーパートナーズでは、中小企業の債務超過や事業再生に関する「無料個別相談会」を実施しています。

企業再生コンサルティングや再生型M&A支援に強みを持つ専門家が、御社の現状を丁寧にヒアリングし、事業ごとの最適な解決策をわかりやすくご提案いたします。

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ビジネスローンは債務超過企業でも利用できる?

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債務超過とは、会社の負債が資産を上回る状態を指し、多くの中小企業が直面する深刻な経営課題です。

このような状況では、金融機関から新たな融資を受けることが難しく、資金繰りに大きな制約が生じます。

しかし、適切な対策を講じれば、ビジネスローンなどを活用して一時的な資金調達の可能性を広げることもできます。

とはいえ、ビジネスローンの利用はあくまで応急処置であり、根本的な債務超過の解消には至りません。

本記事では、債務超過企業がビジネスローンを活用する際の注意点と、資金繰り改善のために検討すべき具体的な手段、さらに長期的に経営を再建するための根本的な改善策について解説します。

債務超過や借入金の問題は、経営者様お一人で抱え込む必要はありません。

企業再生の専門家であるジーケーパートナーズが、状況に応じた解決策をご提案します。

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債務超過企業がビジネスローン融資を受ける3つの方法

債務超過の状況にある企業でも、戦略的に準備を行えば融資を受けられる可能性は残されています。

特に、銀行融資と比べて審査基準が柔軟なビジネスローンは、資金繰りに悩む中小企業にとって有効な選択肢となり得ます。

代表的な方法には次のようなものがあります。

      • 決算書不要型ビジネスローンの活用
      • AGビジネスサポートなど独自審査型の活用
      • 有担保型ビジネスローンの検討

これらの方法を正しく組み合わせることで、債務超過の企業でも一時的な資金調達の道を開くことができます。

ただし、ビジネスローンは根本的な債務超過の解消策ではないため、必ず経営改善と並行して検討することが重要です。

1.決算書不要型ビジネスローンの活用

決算書不要型のビジネスローンは、債務超過状態そのものを直接審査されないというメリットがあります。

審査では、売上データや今後の事業計画といった「将来の収益力」に重点が置かれるため、決算が赤字でも利用できる可能性があるのです。

特に、ネット銀行やノンバンク系の金融機関では、以下のような点を重視するケースが多く見られます。

      • 売掛金の回収状況が安定しているか
      • 今後の取引や契約から、収益が見込めるか
      • 営業実績やキャッシュフローが改善傾向にあるか

このように、過去の財務内容ではなく「事業の将来性」で評価されるため、債務超過企業にとって一時的な資金調達の突破口となる可能性があります。

ただし、金利や返済条件が銀行融資より厳しいケースもあるため、利用の際には慎重な検討が必要です。

2.AGビジネスサポートなど独自審査型の活用

AGビジネスサポートは、債務超過だからといって一律に融資を断ることはありません。

過去の財務内容だけでなく、現在の業況や今後の収益性を重視し、1〜2年以内に債務超過を解消できる見込みがあれば前向きに審査してくれるのが特徴です。

主な条件は以下の通りです。

      • 金利:3.1%〜18.0%
      • 融資額:50万円〜1,000万円
      • スピード対応:最短で即日融資にも対応

そのため、「銀行融資を断られたが、当面の資金繰りを確保したい」という企業にとって、有力な選択肢となり得ます。

ただし、金利は幅が広いため、自社の返済可能性や資金計画と照らし合わせて慎重に検討することが重要です。

3.有担保型ビジネスローンの検討

事業用不動産や設備、売掛金などを担保として差し入れることで、債務超過の企業でも融資を受けやすくなります。

担保価値が借入希望額を上回る場合、金融機関にとってリスクが軽減されるため、審査に通過できる可能性が大幅に高まるのです。

また、一般的な銀行融資に加え、MRFやファンドワンといった担保付き大口融資に対応するビジネスローン会社を選択肢に入れることも可能です。

特に「短期間でまとまった資金が必要」というケースでは、有効な調達手段となり得ます。

ただし、担保を差し入れる場合は以下の点に注意が必要です。

      • 担保評価は市場価格よりも低めに見積もられる傾向がある
      • 返済が滞ると担保を失うリスクがある
      • 金利や諸費用が高くなるケースもある

担保付き融資は有効な資金調達策ですが、返済計画とリスク管理を慎重に行うことが重要です。

債務超過企業における資金調達の実際や、融資以外の解決策について網羅的に知りたい方は、以下の記事も参考になります。

関連記事|債務超過企業でもM&Aは可能!成功のための5つのステップ

 

債務超過を根本的に解消する6つの対策

ビジネスローンによる一時的な資金調達だけでは、債務超過を根本的に解消することはできません。

企業が持続的に成長していくためには、財務体質そのものを改善する取り組みが不可欠です。

代表的な対策として、以下のような方法が挙げられます。

      • 売上増加と利益改善による資産増強
      • 増資による資本金の増額
      • 債務免除交渉の実施
      • DES(デット・エクイティ・スワップ)の活用
      • 資産売却による負債削減
      • 法的整理手続きの検討

これらの施策を状況に応じて組み合わせることで、財務改善と企業価値の向上を同時に図ることが可能です。

なお、ジーケーパートナーズでは、中小企業活性化協議会の外部専門家として培った豊富な実績をもとに、債務超過解消に向けた最適な方法をご提案しています。

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1.売上増加と利益改善による資産増強

債務超過は、負債が資産を上回る状況を指しますが、資産を増やし純資産を改善することで解消につなげることが可能です。

そのためには、経営状況を見直し、売上増加と支出削減によって利益を積み上げ、貸借対照表を改善していくことが重要です。

具体的な取り組みとしては、以下のような方法が挙げられます。

      • マーケティング戦略の見直し
        →既存顧客のリピート強化や新規顧客開拓により、売上基盤を拡大する。
      • 新商品・新サービスの開発
        →高収益モデルを確立し、利益率の改善を図る。
      • 業務効率化の推進
        →IT導入やプロセス改善により、固定費・人件費を削減し、利益体質を強化する。

こうした取り組みを継続的に実行することで、持続的な利益創出体制を構築し、債務超過の解消へとつなげることができます。

2.増資による資本金の増額

新株発行や経営陣からの追加出資、役員借入金の資本組み換えなどによって、自己資本を増強する方法があります。

また、場合によっては投資ファンドからの出資を受け入れることも選択肢となります。

ただし、ファンド出資には経営権移転や経営方針の制約といったリスクが伴うため、慎重な判断が不可欠です。

このような資本増強策は、一時的に債務超過を解消する効果がありますが、同時に根本的な収益改善との組み合わせがなければ、再び債務超過に陥る可能性もあります。

したがって、財務の安定化と収益力強化を並行して進めることが不可欠です。

3.債務免除交渉の実施

債権者に債務免除を依頼し、負債を減らすことで債務超過を解消する方法も有効です。

特に、債務超過額以上の免除を受けられれば、バランスシートの改善効果は大きくなります。

ただし、当然ながら債権者の承諾が不可欠であり、容易に合意が得られるわけではありません。

交渉を進める際には、以下の要素が求められます。

  • 経営改善計画の提示(再建シナリオの明確化)
  • 将来的な返済能力の証明(キャッシュフロー改善の裏付け)
  • 誠実な情報開示と信頼関係の構築

これらを備えた上で専門家が交渉に入ることで、債務免除が現実的な選択肢となります。

そのため、債権者との調整や交渉には企業再生に精通した専門家のサポートを受けることを強くおすすめします。

4.DES(デット・エクイティ・スワップ)の活用

DES(デット・エクイティ・スワップ)とは、借入金などの債務を株式に転換することで、負債を削減し自己資本を増強する手法です。

これにより、バランスシート上で資本構成の改善(負債比率の低下・自己資本比率の向上)を実現できます。

DESを行う場合、債権者が債権の一部を株式として引き受けることになるため、金融機関や取引先との協議・同意が不可欠です。

特に、企業の将来性を信じている債権者が存在する場合に、実現可能性が高まります。

ただし、以下のような点に注意が必要です。

  • 既存株主との持株比率が変動し、経営権に影響を与える可能性がある
  • 債権者にとっては「株式保有リスク」を伴うため、十分な将来収益の裏付けが求められる
  • 法的手続きや専門的なスキーム設計が必要になる

DESは資本増強に効果的な手法ですが、慎重な検討と専門家の支援が不可欠です。

5.資産売却による負債削減

会社が保有する含み益のある資産を売却し、その資金を負債返済に充てることで、債務超過を早期に改善できる場合があります。

土地・建物、設備、有価証券といった含み益のある資産を現金化すれば、即効性のある債務削減手段となり得ます。

ただし、資産売却を検討する際には以下の点に注意が必要です。

  • 将来の事業展開に必要な資産まで手放さないようにする
  • 継続的な収益改善につながらなければ、一時的な効果にとどまる

含み益のある資産の売却は短期的に債務超過を解消する有効な手段ですが、中長期的な収益改善策と組み合わせて検討することが重要です。

6.法的整理手続きの検討

民事再生法や会社更生法といった法的整理も、債務超過を解消するための選択肢のひとつです。

これらの再建型手続きでは、事業継続を前提に債務の一部免除や返済条件の緩和が可能となります。

そのため、資金繰りが限界に達し、私的整理や自主的な改善策だけでは再建が難しい場合に活用されます。

ただし、法的整理には以下のようなリスクも伴います。

  • 取引先や金融機関からの信用失墜
  • 仕入先・顧客との関係悪化
  • 手続きに時間とコストがかかる

このため、法的整理はあくまで「最終手段」と位置づけるべきであり、まずは私的整理や経営改善策を十分に検討することが重要です。

M&Aや企業再生時に利用できる資金調達策や、事業再生の現場で活用されている融資・補助金制度を詳しく押さえたい方には、下記の記事も参考にしてください。

関連記事|M&A資金調達とは?融資から補助金までを徹底解説

 

債務超過解消に向けた改善の3ステップ

債務超過からの脱却には、時間軸に沿った計画的な取り組みが欠かせません。

短期的な資金繰りの改善だけでなく、中長期的な財務改善の道筋を描くことが重要です。

一般的には、5年以内に債務超過を解消することを目標とし、段階的に以下のアプローチで進めます。

フェーズ1(1年目〜2年目):現状分析と緊急対策

まずは現状を正確に把握し、債務超過の原因を数値で特定します。

  • 月次試算表や資金繰り表を用い、売上高・粗利益率・営業利益率・経常利益率の推移を確認
  • 借入金の内訳(金融機関別・金利・返済条件・リスケ有無)や資産内容(回収可能性、棚卸評価)を分析
  • 同時に、税金・社会保険料の納付状況や担保余力を確認し、資金繰り悪化のボトルネックを特定

この段階では、資金繰り改善・コスト削減・遊休資産売却など、短期的な財務安定化を優先します。

フェーズ2(2年目〜3年目):経営改善計画の策定と実行

次のステップは、認定支援機関の協力を得て経営改善計画書を策定し、金融機関と合意形成を図ることです。

この計画は「数字を作る」だけでなく、事業・業務・財務の三位一体改革として進めます。

  • 事業内容の見直し:主力事業の強化、不採算事業の整理
  • 業務内容の改善:生産性向上、業務効率化によるコスト削減
  • 財務内容の改善:借入金の返済計画、資金繰りの安定化

加えて、バンクミーティングを開催してリスケ交渉や支援制度申請を進めることで、金融機関との信頼関係を再構築します。

このフェーズで、売上拡大・利益率改善・経営改善計画の実行を重点的に進めます。

フェーズ3(3年目〜5年目):持続的成長体制の構築と資本強化

経営改善計画を実行しながら、モニタリングと軌道修正を繰り返す段階です。

計画実績差異分析(予実管理)を行い、課題を早期に発見して対応します。

必要に応じて、増資・DES(デットエクイティスワップ)・債務免除交渉などの資本強化策を実施します。

また、認定支援機関の伴走支援を受けながら、「計画の実行→モニタリング→修正→再実行」のPDCAサイクルを継続することで、5年以内の債務超過解消を現実的に達成できます。

 

まとめ

債務超過の企業であっても、適切な戦略を取れば資金調達の可能性は残されています。

決算書不要型ローンや、AGビジネスサポートなど独自審査を行う金融機関、さらには不動産や設備を担保にしたローンを活用することで、短期的な資金繰り改善を実現できる可能性があります。

しかし、資金調達はあくまで「時間を稼ぐための手段」に過ぎません。

本当に重要なのは、売上改善やコスト削減、増資、債務免除交渉やDES、法的整理などを組み合わせた根本的な債務超過解消の取り組みです。

段階的なロードマップに沿って計画的に取り組めば、財務体質の改善と企業価値の向上、そして持続的な成長を実現できるでしょう。

ジーケーパートナーズは、債務超過企業の再生スキームを組み込んだM&Aや、私的整理ガイドラインを活用した事業譲渡など、一般的なM&A仲介会社では対応が難しい案件も数多く手がけてきました。

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事業承継における債務免除とは?債務超過企業が事業承継を実現するポイント

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「多額の借入金があるため、自分の代で廃業するしかない」と考えてしまう経営者の方は少なくありません。

しかし、債務超過の状態であっても「債務免除」を受けることで、事業承継を実現できる可能性があります。

本記事では、

  • 債務超過企業における事業承継の課題
  • 債務免除の仕組みと活用方法
  • 事業を引き継ぐための具体的なポイント

について、専門家の視点から分かりやすく解説します。 

債務超過の企業では、後継者や買い手にとって「債務の引継ぎ」が最大の障害になります。

そのため、一般的なM&A仲介会社では債務超過案件を取り扱わないことも多く、承継の選択肢が限られてしまいます。

しかし、再生スキームを組み合わせることで、「負債の処理」と「事業の承継」を両立させる可能性が生まれます。          

近年は「私的整理ガイドライン」を活用し、

  • 事業譲渡や会社分割によって事業を新会社へ移転
  • 旧会社は特別清算を行い、債務を免除

といった手法が増えています。

これが実現できれば、後継者や買い手が債務を背負わずに事業を引き継げる可能性が生まれ、会社の未来を繋ぐ選択肢となります。

債務超過での事業承継は、法務・税務・金融機関調整など複雑な知識と経験が求められます。

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債務超過とは何か詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。

関連記事|債務超過とは?原因と解決策を解説|債務超過の解決策も紹介

 

債務超過企業でも債務免除をすれば事業承継が可能

事業承継において最大の壁となるのが、過大な借入金や債務超過の状態です。

後継者にとって、債務まで引き継ぐことは大きな負担となり、承継を断念せざるを得ないケースも少なくありません。

そこで検討すべき可能性のある選択肢の一つが、「債務免除」という手続きです。

債務免除とは、債権者(金融機関など)の同意を得て、会社の債務の全部または一部を免除してもらう仕組みを指します。

この制度が活用できれば、

  • 後継者が過大な借入金や個人保証のプレッシャーから解放される
  • 財務内容を健全化した状態で事業を引き継げる
  • 債務超過でも廃業を回避し、事業存続の道を確保できる

といった大きなメリットがあります。 

ただし、債務免除を伴う事業承継は、

  • 債権者(金融機関)との調整
  • 法務・税務の知識
  • M&Aや私的整理のスキーム設計

といった高度で専門的なノウハウを要します。

そのため、専門家の支援を受けることで、承継後の安定経営につながる「最適な解決策」を選択できる可能性が高まります。

M&A支援機関を利用するメリットは、以下の記事で解説しておりますのであわせて参考にしてください。

関連記事|M&A支援機関とは?M&A支援機関を利用するメリットをご紹介

金融機関はなぜ債務免除に応じるのか

債務免除」と聞くと、金融機関が損をしてまで会社を助けているように思われる方も多いかもしれません。

しかし、金融機関が債務免除に応じる背景には、経済的な合理性が見込まれる場合に限られることが多いです。

金融機関にとって、企業が破産・倒産してしまうと、

  • 債権の大半が回収不能になる
  • 担保を処分しても回収額は限定的
  • 取引関係の断絶による経済的損失

といった大きなリスクが生じます。

一方で、事業再生を前提に一部の債務を免除することで、企業が存続し、一定の債権を回収できる可能性が高まります。

つまり、金融機関が債務免除に応じるのは「損をしている」のではなく、より大きな損失を避け、長期的に合理的な回収が見込めると判断する場合があるためです。

この金融機関の考え方を理解することで、経営者は次のようなポイントを押さえる必要があります。

  • 債務免除は「特別な救済」ではなく、経済合理性に基づく調整手段である
  • 金融機関と協調しながら事業再生スキームを構築することが重要
  • 専門家を介することで、金融機関との交渉を有利に進められる可能性がある

金融機関が債務免除に応じるのは、決して情けや特別待遇ではなく、「破産よりも再生の方が合理的」という冷静な判断に基づくものです。

その仕組みを理解することが、経営者にとって事業承継・再生の可能性を広げる第一歩となります。

破産による回収不能を避けるため

金融機関が債務免除に応じるかどうかを判断する際の基準は、「清算した場合の回収額(清算配当)」と「再生を支援した場合の回収額」を比較して、どちらが合理的か、という点にあります。

もし企業が事業承継を断念し、破産・清算の道を選んだ場合、

  • 会社資産の多くはすでに担保として差し押さえられている
  • 担保権のある一部金融機関しか優先的に回収できない
  • 一般の金融機関が回収できる金額はごくわずかにとどまる

といった状況が多く見られます。

一方で、債務の一部を免除してでも優良事業を存続させ、事業承継や再生を図った方が、将来的な返済原資を確保できる可能性があります。

その結果、金融機関にとっても最終的な回収総額が大きくなることが期待できるのです。

経営者としては、金融機関に対して以下の点を理解し、伝えることが重要です。

  • 「清算より再生の方が合理的である」ことを示す資料や計画を提示する
  • 再生後の収益見込みや返済可能性を具体的に説明できる事業計画を用意する
  • 金融機関の立場を理解し、交渉の場を「協力関係」に変える視点を持つ

これにより、金融機関との交渉は単なるお願いベースではなく、経済合理性に基づく提案となり、債務免除に応じてもらえる可能性が生まれます。

金融機関が債務免除に応じる理由は、感情的な「支援」ではなく、「清算よりも再生の方が合理的である」という判断基準にあります。

事業の将来性や社会的価値を評価するため

金融機関が再生支援や債務免除を検討する際、注目するのは過去の財務数値だけではありません。

事業そのものが持つ将来性や社会的価値も重要な判断材料になります。

たとえば、以下のような要素は「将来的に収益を生み出す力」として高く評価されます。

  • 独自の技術力やノウハウ
  • 長年培ったブランド価値
  • 安定した顧客基盤やリピーターの存在
  • 地域社会における雇用の維持や貢献

これらの無形資産は、現状の債務超過を乗り越え、再生後の成長を支える源泉となります。

たとえ現在は債務超過であっても、

  • 事業が持つ競争力
  • 社会的に存続させる意義
  • 将来的に利益を生み出す可能性

が明確に示されれば、金融機関も「この会社を存続させた方が合理的だ」と判断しやすくなります。

結果として、債務免除や再生支援に前向きな姿勢を引き出せる可能性が高まるのです。

経営者に求められるのは、下記です。

  • 財務改善策だけでなく、事業の強みや無形資産を言語化して伝えること
  • 金融機関が納得できる形で、将来の収益可能性を示す事業計画を提示すること

金融機関に「未来への伸びしろ」を理解してもらうことこそ、債務超過からの事業承継・再生を成功させる鍵となります。

 

債務超過企業が事業承継を実現するための3つのポイント

債務超過の企業が「債務免除」を活用して事業承継を実現させることは容易ではありません。

そのためには、いくつかの重要な仕組みを正しく理解し、慎重に実行していくことが求められます。

特に押さえるべき要素は次の3つです。

  • 第二会社方式で優良事業を切り出す
  • 旧会社を特別清算して債務を整理する
  • 繰越欠損金で債務免除益の税金を回避する

これら3つのポイントを押さえることで、

  • 債務超過であっても廃業せずに事業承継を実現できる
  • 金融機関との交渉も合理的なスキームに基づいて進められる
  • 承継後の事業運営をスムーズにスタートできる

といったメリットを得られる可能性が生まれます。

詳しい内容をみていきましょう。

ポイント1:第二会社方式で優良事業を切り出す

事業再生の有効な手法のひとつに、「第二会社方式」と呼ばれるスキームがあります。

これは、債務超過にある企業が事業承継を進める際にも多く活用される方法です。

具体的には、会社の事業を以下のように分けます。

  • 優良事業…将来性があり収益を生む事業
  • 不採算事業・過大債務…継続すると赤字や負債の増加につながる部分

このうち、優良事業だけを新設会社(第二会社)やスポンサー企業へ事業譲渡などの形で移転させます。

第二会社方式を活用するメリット

  • 後継者は、債務を切り離したクリーンな状態で事業を引き継げる
  • 金融機関も、再生を前提とした債務免除に応じやすくなる
  • 会社にとっても、将来性のある事業を存続できるため雇用や取引先との関係を維持しやすい

第二会社方式は、債務超過や多額の借入金に悩む企業であっても、優良事業を守りつつ事業承継を実現できる方法です。

ただし、この手法を実行するには、法務・税務・金融機関との調整など高度な専門知識が必要となるため、早い段階で専門家に相談することが成功のカギとなります。

ポイント2:旧会社を特別清算し債務を整理する

第二会社方式などで優良事業を切り出した後、旧会社にはどうしても不採算事業や過大な債務が残ります。

この旧会社を整理する有効な手法が、「特別清算」です。

特別清算は、会社法に基づく法的な清算手続きの一つで、債権者の協力のもとで柔軟に進められる点が特徴です。

破産手続きと異なり、

  • 債権者との合意形成を前提に進められる
  • 企業や経営者の信用毀損リスクを比較的抑えられる
  • 柔軟な条件調整が可能

といったメリットがあります。

特別清算の過程で、金融機関から債務免除の同意を得られれば、旧会社に残った債務を整理できる可能性が高まります。

これにより、優良事業を引き継いだ新会社は「債務の重荷から解放された状態」で事業を継続でき、事業承継をスムーズに進めることができます。

特別清算は、

  • 不採算事業と過大債務を抱えた旧会社を整理する方法
  • 金融機関との協力を前提とした柔軟な清算手続き
  • 債務免除を実現し、事業承継を成功させるための重要なステップ

として活用される有効な再生スキームです。

ポイント3:繰越欠損金で債務免除益の税金を回避する

事業承継において債務免除を受ける際、忘れてはならないのが税務上の取り扱いです。

債務免除を受けた場合、その金額は会計上「債務免除益」として利益計上されます。

その結果、巨額の法人税が発生し、せっかく債務整理をしても新たな資金負担を抱えてしまう危険性があります。

しかし、多くの債務超過企業は、過去の赤字による「繰越欠損金」を保有しています。

この繰越欠損金と債務免除益を相殺することで、実質的に課税を回避できる場合があります。

つまり、適切に繰越欠損金を活用すれば、債務免除を受けても法人税の負担を最小限に抑え、承継後の財務基盤を守ることが可能になるのです。

債務免除を含む事業再生スキームでは、下記が欠かせません。

  • 法務・金融の調整だけでなく、税務処理を含めた総合的な設計
  • 専門家によるシミュレーションと計画的な実行

税務上の落とし穴を回避できるかどうかが、事業承継スキーム全体の成否を分けるといっても過言ではありません。

第二会社方式や特別清算をはじめとする事業再生スキームは、法務・税務・金融機関との調整を要する高度な手続きです。

そのため、専門家なしでスムーズに進めるのは極めて困難です。

「自社の場合、具体的にどう進められるのか?」

「どの再生スキームを選べば最も負担が少ないのか?」

といった疑問や不安をお持ちの経営者様は、ぜひ再生型M&Aに実績豊富ジーケーパートナーズにご相談ください。

当社は、

  • 第二会社方式や特別清算を組み合わせた再生スキームの設計
  • 金融機関との交渉サポートと債務免除の実現
  • 税務面も含めた最適な事業承継プランの提案

を通じて、貴社にとって最適な解決策を立案から実行までワンストップで支援します。

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事業承継における経営者保証の整理

事業承継を進める際は、会社の債務だけでなく、経営者個人の保証債務も同時に解決することが重要です。

債務超過の企業では、経営者自身が金融機関へ個人保証をしているケースが多く、これを放置すると承継後も経営者に重い負担が残る可能性があります。

そのため、事業承継や再生を進める際には、「会社の債務」と「経営者の保証債務」を一体で整理することが原則です。

会社と経営者の債務整理に使える主な制度

①経営者保証ガイドライン(経営者個人の保証整理)

経営者が過大な個人保証を抱えている場合に、生活の再建を支援するためのルールです。

金融機関との交渉を通じて、生活に必要な資金や自宅(華美でないもの)を残せる可能性があります。

このガイドラインは、日本商工会議所と全国銀行協会が策定した自主的ルールで、経営者の破産を回避し、再挑戦を促すことを目的としています。

②私的整理ガイドライン・中小企業活性化協議会(会社の債務整理)

会社の再生を支援する枠組みで、金融機関と協議しながら債務免除や再生計画の実行を進める仕組みです。

このスキームでは、会社の債務整理と同時に、経営者保証ガイドラインの考え方に沿って個人保証の整理も進められます。

原則として経営者の保証債務も整理の対象になる

会社の債務免除を金融機関と交渉する際には、経営者個人の保証債務も同時に整理の対象とするのが原則です。

なぜなら、会社の債務だけを整理しても、経営者に多額の保証債務が残れば、

  • 経営者本人の生活が成り立たない
  • 再起の意欲や余力が奪われる
  • 結果的に事業再生そのものが頓挫する

といった事態に陥る可能性が高いからです。

金融機関にとっても、経営者が過大な負担を抱えたままでは再生計画の実行が不安定になるため、保証債務を含めた包括的な調整を行う方が合理的です。

 

債務免除を活用した事業承継の注意点

債務免除を組み込んだ事業承継は、債務超過の企業が廃業を回避し、事業を未来へつなぐための有効な手法の一つです。
ただし、その実行には高度な専門知識と慎重な手続きが求められるため、容易ではありません。
法務・税務・金融機関との調整など、複雑な要素が絡むことを踏まえて、あらかじめ注意点を理解しておくことが大切です。

事前にリスクや課題を把握し、適切な対策を講じることで、実現の難易度が高い中でも、事業承継を成功に導ける可能性を高めることができます。

後継者や従業員への丁寧な説明と合意が求められる

債務免除を伴う事業承継は、法務・財務の手続きだけでなく、後継者・従業員・取引先などステークホルダーの心情への配慮が不可欠です。

なぜこの手続きが必要なのか、会社と雇用・取引にどんな影響があるのかを丁寧に説明し合意を得ることで、不信感や噂の拡散を防ぎ、承継後の事業継続性を高められます。

逆に、たとえスキームが形式上成功しても、関係者の不信感が残ればオペレーションが崩れ、業績悪化を招くリスクがあります。

許認可の再取得や取引契約の再締結が必要になる

第二会社方式を用いて事業譲渡を行う場合、単に優良事業を切り出すだけではなく、許認可契約関係の引き継ぎに関する実務上の対応も必要になります。

旧会社が保有していた各種許認可(例:建設業許可、古物商許可、宅建業免許など)は、原則として新会社ではそのまま使えません。

そのため、新会社で改めて再取得の申請手続きを行う必要があります。

  • 業種によっては審査に数週間から数か月を要することもある
  • 許認可がないと営業ができない業種では、承継直後に事業が止まってしまうリスクがある

主要な取引先との基本取引契約・代理店契約・販売契約なども、旧会社から新会社へ自動的に承継されるわけではありません

原則として、新会社との間で契約を締結し直す必要があります

そのため、

  • 取引継続への不安から先方が再検討する可能性
  • 交渉や契約更新の手間と時間

といった課題が生じる場合があります。

許認可や契約関係の問題を軽視すると、事業の空白期間(営業停止期間)が発生するリスクがあります。

これを防ぐためには、

  • 承継対象事業に必要な許認可の洗い出しと再取得スケジュールの事前策定
  • 主要取引先との事前説明と契約再締結の準備
  • 必要に応じて承継前から新会社設立を並行して進める体制づくり

といった事前の確認と準備が不可欠です。

専門家選びで成否がわかれる

債務免除を組み込んだ事業承継は、極めて専門性の高い分野です。

金融機関との交渉力、再生スキームの設計力、M&Aの実績といった幅広い知見を持つ専門家を選べるかどうかが、プロジェクト全体の成否を大きく左右します。

実績や経験が不十分な専門家に依頼してしまうと、下記のようなリスクが現実化する恐れがあります。

  • 金融機関との交渉が難航して、債務免除が得られない
  • 税務処理の見落としによって、債務免除益への課税問題が発生する
  • スキーム設計の不備により、承継後の経営に支障が出る

専門家を選ぶ際のチェックポイントとして、

  • 類似案件の実績があるか
  • 金融機関との交渉事例を持っているか
  • M&Aを絡めた事業再生スキームに精通しているか
  • 初回の無料相談を通じて信頼できる相手かどうかを見極める

これらを確認することで、安心して任せられる専門家かどうかを判断できます。

 

まとめ

金融機関の同意のもとで債務免除を受けられれば、債務超過の企業でも事業承継を実現できる可能性があります。
ただし、これは実行の難易度が高い手続きであり、慎重な準備と専門的な支援が欠かせません。

実務では、次の「3ステップ」を順序立てて進めるのが一般的です。

  • 第二会社方式:優良事業を新会社(またはスポンサー企業)へ切り出し、クリーンな財務で承継開始
  • 特別清算:旧会社に残る不採算事業・過大債務を、債権者の協力のもと法的手続で整理
  • 繰越欠損金の活用:発生する債務免除益と相殺し、法人税負担を最小化(適用要件・上限に留意)

ポイントは、私的整理ガイドラインなどの公的枠組みを活用し、金融機関が納得できる合理的な回収シナリオを提示できるかどうかが、成功の分かれ目となります。

実行を成功させるための要点は、下記のようなものがあります。

  • 計画の整合性:財務・法務・税務・労務・許認可を一体で設計
  • ステークホルダー対応:従業員・主要取引先・金融機関への説明と合意形成を段階設計
  • 許認可・契約の事前手当:再取得や契約再締結のタイムラグで“空白期間”を作らない
  • 税務の検証:繰越欠損金の適用可否・上限、グループ内取引の時価性等を事前にチェック

これらの手続きは高度に専門的で、設計・交渉・実行のすべてに熟達が必要です。

経験不足のまま進めると、

  • 金融機関交渉の難航
  • スキーム不備による税務リスク顕在化
  • 許認可・契約対応漏れによる営業停止

といった重大なリスクにつながります。

「借入金が重く、債務超過だから事業承継は不可能だ」と思い込んでいませんか?

しかし、再生スキームを活用すれば、債務超過の状態でも事業承継を実現できる可能性があります。

債務免除を絡めた事業承継は、「金融機関との交渉経験」「再生スキームの設計ノウハウ」「M&A・事業再生の実績」が求められる高度な分野です。

誤った進め方をすると、承継が頓挫したり、余計な税務負担が発生したりするリスクもあります。

ジーケーパートナーズは、

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といった経験を活かし、貴社の状況に合わせた最適な解決策をご提案します。

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債権放棄と債務免除の違いは?税務処理から手続きまで解説

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企業経営において不良債権の処理を検討する際、「債権放棄と債務免除の違いがよく分からない」と感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。

一般的に、債権放棄と債務免除は法的には同じ効果を持ち、表現の違いにすぎません。

ただし、実務上は立場によって意味合いが異なります。

つまり、同じ出来事を債権者側から見るか、債務者側から見るかの違いですが、実務においては手続き方法や税務処理が異なるため注意が必要です。

本記事では、

債権放棄と債務免除の基本的な考え方

・実際の手続きの流れ

・税務上の注意点と債務超過企業が押さえるべきポイント

について分かりやすく解説します。

適切な債権処理を行うことで、資金繰り改善や債務超過解消につなげることが可能です。

ぜひ参考にしてください。

債務超過企業のM&Aや企業再生に関するご相談は、ジーケーパートナーズにお任せください。

私的整理ガイドラインを活用した事業譲渡や、債権放棄を含む再生スキームなど、一般的なM&A仲介会社では取り扱いが難しい案件にも数多く対応してきた実績があります。

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債権放棄と債務免除の違い

債権放棄と債務免除は、基本的には同一の法律行為を異なる立場から表現したもので、いずれも債務を消滅させる効果を持ちます。

以下のようにどちらの立場から見るかによって呼び方が以下の通り変わります。

視点 用語 意味
債権者の視点 債権放棄 自分が持つ債権を放棄する行為
債務者の視点 債務免除 債務の返済義務を免除してもらう行為

どちらも債権者による単独行為であり、債権者の意思によって債務を消滅させられる点は共通しています。

法的効力や基本的な手続きの流れは同じですが、実務上は債権者側と債務者側で必要となる社内手続きや税務上の取り扱いに差が生じる場合があるため、注意が必要です。

債権放棄とは(債権者の視点)

債権放棄とは、債権者が自らの債権を放棄し、返済を求めないことを意思表示する行為です。

たとえば、A社がB社に1000万円を貸している場合、A社が「この1000万円は返済不要とします」と表明すれば、それが債権放棄にあたります。

債権者にとっては貸付金を回収できなくなる一方で、税務上の要件を満たせば貸倒損失として損金算入できるというメリットがあります。

ただし、次のような場合には注意が必要です。

  • 経済合理性が認められない債権放棄
    →単に取引先を救済する目的で行った場合は「寄附金」とみなされ、損金算入に制限がかかる。
  • 債務者の再建可能性が不透明なケース
    →債務者の事業再生につながらないと判断されれば、税務上認められない可能性がある。

つまり、債権放棄は単なる「免除」ではなく、債務者の再建や取引維持といった合理性が求められる行為です。

実務で検討する際には、必ず専門家の確認を得ながら進めることが重要です。

債務免除とは(債務者の視点)

債務免除とは、債務者が債権者から借入金の返済義務を免除してもらう行為です。

前述の例でいえば、B社が「A社から1,000万円の借金を免除してもらった」という状況が債務免除にあたります。

債務者にとっては、負債が減少して財務体質が改善するメリットがあります。

一方で、免除を受けた金額は「債務免除益」として益金に算入され、法人税の課税対象となる可能性があります。

ただし、以下のようなケースでは課税が軽減または回避できることがあります。

  • 繰越欠損金がある場合:免除益と相殺することで課税されないことが多い
  • 資本金等の額を限度とする免除:一定の範囲内であれば課税対象外となる
  • 会社更生法・民事再生法等の法的整理に基づく免除:課税が限定的になる場合がある

つまり、債務免除は財務改善効果が大きい一方、税務処理を誤ると予期せぬ課税負担が生じるリスクもあるため、専門家の確認が不可欠です。

 

債権放棄と債務免除の実務手続の違い

債権放棄と債務免除は、法的には同じ行為ですが、実務においては債権者側と債務者側で求められる対応が異なります。

債権放棄はあくまで債権者が主体となる単独行為ですが、債務者側にとっては「債務免除益」として課税対象になり得るなど、双方に異なる影響が生じる点に注意が必要です。

そのため、実務で対応する際には以下の観点が重要となります。

  • 税務上の取り扱い:債権者側では損金算入要件、債務者側では債務免除益課税の有無
  • 証拠保全の徹底:契約書・覚書・議事録などを残し、後日のトラブルや税務調査に備える
  • 合理性の確保:債務者の再建可能性や取引継続の必要性が説明できること

つまり、債権放棄と債務免除は単なる「表現の違い」ではなく、実務上は手続きや税務処理の観点から正しい対応が不可欠です。

以下で、それぞれの立場からの具体的な手続きや注意点を詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

債権者側の手続き

債権者側が債権放棄を行う場合、次のような手続きが必要です。

  • 支払い催促の実施
    →まずは督促を行い、債務者が本当に返済困難な状況かを確認する
  • 債務者の経営・財務状況の調査
    →決算書・資金繰り表などを精査し、放棄に経済合理性があるかを判断する
  • 債権放棄通知書の作成と送付
    →内容証明郵便(配達証明付き)で送付することが必須

 この通知により、債権者の一方的な意思表示で債権は消滅し、債務者の同意は不要となる

  • 証拠保全と保管
    →通知書は税務申告にも必要となるため、同一内容を3通作成し「債権者控え」「債務者控え」「郵便局控え」として保管する

さらに、債権放棄の実行にあたっては、債権者側で取締役会決議など社内承認手続きを経ておくことが望ましく、税務調査においても合理性の根拠として有効です。

債務者の対応

債務者側は、債権者からの債権放棄通知を受け取る受動的な立場にあります。

通知書が到達した時点で債務は自動的に消滅するため、特別な承諾や手続きは不要です。

ただし、受け取った通知書は税務処理における「債務免除益」計上の根拠資料となるため、必ず適切に保管しておきましょう。

また、債務免除益は法人税法上の益金に算入されるため、課税対象となる可能性があります。

ただし、以下のようなケースでは課税が軽減または回避される場合があります。

  • 繰越欠損金がある場合:免除益と相殺して課税されないことが多い
  • 再生・更生などの法的整理に基づく免除:特例により課税が制限されるケースがある

したがって、債務免除は財務改善に有効な手段である一方、税務面で思わぬ負担が生じるリスクもあります。

実務上は、必ず税理士などの専門家に相談し、最適な処理方法を検討することをおすすめします。

必要書類と通知方法

債権放棄・債務免除において最も重要な書類が「債権放棄通知書」です。

この通知書には、以下の内容を必ず明記する必要があります。

  • 免除する債権の詳細(具体的な金額、契約の内容、発生時期)
  • 債務免除を行う理由(債務者の再建可能性や取引継続の必要性など、経済合理性が分かる記載が望ましい)
  • 債権者の署名または記名押印

送付方法は、配達証明付き内容証明郵便が必須であり、普通郵便では税務上認められません。

確実な証拠保全のため、同一文面を3通作成し、債権者・債務者・郵便局でそれぞれ保管します。

さらに、債権者側では取締役会決議社内稟議書などの承認手続きを整えておくことで、税務調査時に「経済合理性を持った債権放棄」として説明しやすくなります。

これらの書類は税務調査時の重要な証拠書類となるため、長期間にわたって適切に保管することが不可欠です。

 

税務上の取り扱いと注意点

債権放棄と債務免除は法的には同じ行為ですが、税務上の取り扱いは債権者側と債務者側で大きく異なります。

適切な税務処理を怠ると、予期せぬ税負担税務リスクが生じる可能性があるため、事前の検討が不可欠です。

  • 債権者側の処理
    →債権放棄した金額は原則として「貸倒損失」として損金算入可能

ただし、経済合理性が認められない場合は「寄附金」とみなされ、損金算入に制限がかかる

  • 債務者側の処理
    →免除された金額は「債務免除益」として益金算入され、法人税の課税対象となる可能性がある

ただし、繰越欠損金との相殺や法的整理に基づく場合など、課税が軽減・回避されるケースもある

このように、同じ「債務免除」であっても、立場によって税務処理が異なるため、必ず専門家の助言を受けながら対応することが重要です。

債権放棄の税務処理

法人が債権を放棄した場合、その金額を「貸倒損失」として損金算入できる可能性があります。

ただし、税務上は経済合理性の有無が厳しく問われ要件を満たさなければ損金算入が認められません。

貸倒損失として認められるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 債務者が弁済不能であること(破産・清算・経営再建困難など)
  • 債権回収のための適切な手続きが行われていること(督促、調査、金融機関との協議など)
  • 書面による債権放棄が実行されていること(内容証明郵便などで証拠保全されている)

また、親子会社間の債権放棄については注意が必要です。

完全支配関係がある場合には、原則として寄附金扱いとなり損金不算入となる特殊ルールが適用されます。

つまり、債権放棄を損金算入できるかどうかは、形式だけでなく合理性・手続き・関係性によって大きく左右されるため、必ず専門家の確認を得ることが重要です。

債務免除の税務処理

債務免除を受けた法人は、免除された金額を「債務免除益」として益金算入しなければなりません。

この債務免除益は法人税の課税対象となります。

ただし、多くの債務超過企業は繰越欠損金を抱えているため、免除益と相殺することで課税が発生しないケースもあります。

一方で、債務免除益が繰越欠損金を上回った場合には、その超過分に法人税が課税される点に注意が必要です。

また、親子会社間の債務免除では、完全支配関係(100%子会社など)がある場合には原則として益金不算入とされ、課税対象から除外されます。

つまり、債務免除は財務体質の改善に有効な手段ですが、税務上の取扱いはケースによって大きく異なるため、必ず事前に専門家へ確認することが重要です。

債務超過については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

関連記事|債務超過になるとどうなる?倒産・株価の影響も徹底解説

 

実際の活用場面

債権放棄と債務免除は、企業経営の実務においてさまざまな場面で活用されています。

特に中小企業では、経営者と会社の関係が密接であるため、多様な活用パターンが見られます。

企業の事業再生・経営改善

業績悪化により債務超過に陥った企業の財務健全化において、債権放棄(債務免除)は有効な手段のひとつです。

たとえば、10億円の負債を抱える企業が8億円の債務免除を受ければ、負債を2億円まで圧縮し、再建のための体制を整えることが可能となります。

この場合、企業側には債務免除益8億円が発生します。

過去の繰越欠損金と相殺できる場合には課税が生じないケースもありますが、繰越欠損金を上回る部分については法人税が課税されるため注意が必要です。

一方、金融機関や債権者側にとっても、回収が困難な債権を整理し「貸倒損失」として損金算入することで、自社の財務健全性を維持する効果があります。

ただし、債権放棄・債務免除が税務上認められるためには、経済合理性の証明や適切な手続き(内容証明での通知、社内承認、証拠保全など)が欠かせません

したがって、実務においては必ず専門家の助言を得ながら進めることが重要です。

親子会社・グループ企業間の債権整理

親会社が子会社の経営支援を目的として債権放棄を行うケースもあります。

たとえば、グループ全体の事業戦略として不採算事業から撤退する場合や、事業統合を行う際に親子会社間の債権債務を整理する手段として用いられます。

特に完全支配関係(親会社が子会社株式を100%保有)にある場合には、税務上特別な取扱いが適用される点が特徴です。

  • 債権者側(親会社):債権放棄損失は原則として損金不算入
  • 債務者側(子会社):債務免除益は原則として益金不算入

このため、親子間での債権放棄・債務免除は、グループ全体での税負担に影響を与えず、財務体質の改善を純粋に進めることが可能です。

ただし、この取扱いが適用されるには完全支配関係の有無合理的な事業目的の存在が前提となるため、実行にあたっては事前に税務専門家の確認を受けることが不可欠です。

役員借入金の整理・相続対策

経営者個人が会社へ貸し付けている貸付金を整理する場面でも、債権放棄を活用することが可能です。

中小企業では、経営者が資金繰りのために個人資金を会社に貸し付けているケースが少なくありません。これらの債権を放棄することで、次のようなメリットがあります。

  • 会社側のメリット
    →負債が減少し、貸借対照表が改善されることで財務体質が強化される
  • 経営者個人のメリット
    →将来回収の見込みが薄い債権を生前に整理でき、相続財産を減らすことで相続税負担を軽減できる可能性がある

債務免除により会社側では債務免除益が発生し、法人税の課税対象となる可能性があります。

そのため、実行前に繰越欠損金の残高を確認し、免除益と相殺して課税負担を抑えられるかどうかを検討することが重要です。

M&A・企業買収時の債権整理

企業買収やM&Aのプロセスにおいては、対象企業の財務体質を改善する目的で債権放棄が行われる場合があります。

たとえば、買収前に金融機関や親会社などの債権者が一部の債権を放棄することで、対象企業の純資産を改善し、買収価格の調整や買収後の事業運営を円滑に進めやすくなるのです。

このような債権放棄は、債権者にとっては戦略的な判断となります。

短期的には損失を受け入れることになりますが、以下のようなメリットを期待できるケースがあります。

  • 買収企業との長期的な取引関係の維持
  • グループ全体の再編による効率化
  • 新たなビジネスチャンスや市場機会の獲得

ただし、すべてのM&Aで債権放棄が行われるわけではなく経済合理性再建可能性が前提です。

そのため、実務上は金融機関・債権者・買収企業の三者で十分な協議を行い、税務上の取扱いや将来の事業計画を踏まえたうえで進める必要があります。

 

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債権放棄や財務改善を伴うM&Aについて詳しく知りたい方は、債務超過企業の場合の実際の進め方や注意点を解説した下記の記事も参考になります。

関連記事|債務超過企業でもM&Aは可能!成功のための5つのステップ

 

私的整理・法的整理での活用1

企業の債務整理において、債権放棄は重要な役割を担います。

(1)私的整理

  • 金融機関などの債権者が自主的に債権の一部を放棄することで、企業の資金繰り改善や事業継続を支援する方法です
  • 裁判所を通さず合意形成で進められるため、柔軟でスピード感のある対応が可能ですが、全債権者の同意が必要というハードルもあります

(2)法的整理民事再生法会社更生法

  • 裁判所の関与のもとで手続きが進められ、強制的に債権放棄が実行される仕組みです
  • 債権者の一部が反対しても裁判所の認可によって再建計画を実行できるため、大規模案件や利害関係者が多数いるケースで利用されます

いずれの手続きも、「事業の継続価値>清算価値」と判断される場合に、債権放棄を含む事業再生スキームが選択されるのが一般的です。

一方で、再建可能性が低いと判断されれば、清算手続きが選択されることもあるため、早期に専門家へ相談し、最適な再生スキームを検討することが不可欠です。

 

まとめ

債権放棄と債務免除は、法的には同じ効果を持つ手続きであり、立場の違いによって呼び方が変わるだけです。

  • 債権者の立場から見れば「債権放棄」
  • 債務者の立場から見れば「債務免除」

いずれも債権者の一方的な意思表示によって債務が消滅する単独行為であり、企業の再生や財務改善において重要な役割を果たします。

実務においては、次のような場面で戦略的に活用されます。

  • 企業再生:資金繰り改善や債務超過解消を目的とした債権調整
  • 親子会社間の債権整理:グループ再編や不採算事業からの撤退に伴う処理
  • 役員借入金の相続対策:経営者個人の貸付金を整理し、相続財産を圧縮
  • M&A時の財務改善:買収前に債務を圧縮し、純資産を改善

ただし、税務リスクや手続きの複雑さが伴うため、安易に実行することは危険です。

債権放棄・債務免除を検討する際は、必ず税理士や弁護士など専門家に相談し、適切な手続きを踏むことが不可欠です。

 

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信用保証協会の債務免除は可能?適用されるケースと条件をわかりやすく解説

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「融資の返済が困難になってしまった…信用保証協会の保証がついているが、債務を免除してもらうことはできるのだろうか?」

このようにお悩みの経営者の方も多いのではないでしょうか。

代位弁済を受けたあとは、金融機関との関係も断たれ、「もう打つ手がない」「事業を諦めるしかない」と感じてしまい、絶望的な状況に陥る経営者の方も少なくありません。

しかし、信用保証協会の債務免除は決して不可能ではありません

実際に免除が認められた事例も存在し、一定の条件を満たせば実現できる可能性があります。

ただし、必ずしも全てのケースで認められるわけではなく、事業の再生可能性誠実な対応姿勢が大きなポイントとなります。

本記事では、

信用保証協会の債務免除が適用される具体的なケース

・手続きの流れと注意点

・債務免除以外の選択肢私的整理ガイドラインを用いた債務整理や、M&Aを絡めた事業承継・再生スキームなど

について、わかりやすく解説します。

返済が難しくても、必ずしも「倒産しか道がない」というわけではありません。

信用保証協会との交渉や、再生スキームを活用した解決策を取ることで、事業を守りながら借入問題を整理する道が開けることもあります。

借入金に悩む経営者の方にとって、少しでも希望が見える内容になれば幸いです。

債務超過に陥った企業であっても、必ずしも事業を諦める必要はありません。

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債務超過については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひあわせてお読みください。

関連記事|債務超過になるとどうなる?倒産・株価の影響も徹底解説

 

そもそも信用保証協会とは?

まず「信用保証協会」の基本的な仕組みを知ることが重要です。

信用保証協会は信用保証協会法に基づいて設立された公的機関で、全国に51協会(47都道府県と、横浜市・川崎市・名古屋市・岐阜市の4市)が設置されています。

中小企業や小規模事業者が金融機関から融資を受ける際に、公的な保証人の役割を果たすのが信用保証協会です。

信用保証協会の主な役割は下記の通りです。

  • 信用補完機能
    →中小企業の信用力を補い、金融機関からの融資を受けやすくする
  • 代位弁済機能
    →借入企業が返済不能になった場合、信用保証協会が代わって金融機関に返済を行う
  • 経営支援機能
    →相談・経営診断・情報提供など、中小企業の経営改善を支援するサービスを提供

この信用保証制度は、

  • 中小企業者(資金を必要とする企業)
  • 金融機関(融資を行う銀行など)
  • 信用保証協会(保証を引き受ける公的機関)

という三者の関係で成立しています。

経営者にとって重要なのは、信用保証協会が「代位弁済」した後の取り扱いです。

 

信用保証協会における債務免除の基本

信用保証協会の債務免除は本当に不可能なのか?

「信用保証協会の債務免除なんて、絶対に無理だろう…」

多くの経営者がそう考えがちですが、実際には一定の条件を満たせば債務免除を受けられる可能性があります。

ここでは、なぜ債務免除が難しいとされるのか、その背景基本的な考え方を解説します。

信用保証協会は、信用保証協会法に基づく公的機関であり、国や地方自治体の出資・負担金、さらには保証料(中小企業が保証を受ける際に支払う手数料)を財源としています。

このため、民間金融機関と比べて、債務免除に対して極めて慎重であり、厳格な基準が設けられています。

「国や自治体のお金(税金等)を原資にしている以上、安易な債務免除は認められない」という仕組みになっているのです。

とはいえ、実際には信用保証協会でも、事業再生の可能性がある場合や、誠実に対応してきた場合には、債務免除が認められた事例もあります。

また、日本政策金融公庫などの政府系金融機関においても、同様に債務免除が行われたケースは存在します。

ただし、実例が多くはないため「債務免除は不可能」という誤った認識が広まりやすいのが現状です。

信用保証協会の債務免除が困難とされる理由

信用保証協会が債務免除を認めるかどうかは、非常に厳格な基準に基づいて判断されます。

主なポイントは以下の通りです。

  • 債務者の支払能力の完全な喪失
    →一時的に資金繰りが苦しいだけではなく、将来にわたって返済できる見込みがないと判断される場合
  • 事業継続の見込みがないこと
    →事業を再生・継続できる可能性がない、または既に廃業・清算を余儀なくされている場合
  • 他の債権者との公平性の確保
    →信用保証協会だけが特別扱いされるのではなく、金融機関や取引先など他の債権者とのバランスを保つ必要がある
  • 社会的影響の最小化
    →債務免除が認められることで、地域経済や取引先への悪影響を最小限に抑えられるかどうか

これらの基準は、信用保証協会が国や自治体の資金(税金や保証料)を原資とする公的機関であることを反映しています。

つまり、単に「支払いが困難」という状況では足りず、「将来にわたり返済能力が完全に失われている」ことが求められるのです。

そのため、債務免除は誰でも簡単に受けられるものではありません。

しかし逆に言えば、これらの基準を満たすケースでは、実際に債務免除が認められた事例が存在するということです。

債務免除が認められる基本的な考え方

信用保証協会が債務免除を検討する際の基本的な判断基準は以下の通りです。

  • 債務者の支払能力の完全な喪失
  • 事業継続の見込みがないこと
  • 他の債権者との公平性の確保
  • 社会的影響の最小化

これらの基準は、信用保証協会が税金を原資として運営される公的機関である特性を反映しています。

単に「支払いが困難」という状況ではなく、将来にわたって支払能力が完全に失われていることが求められます。

 

信用保証協会の債務免除が適用される具体的なケース

信用保証協会は、税金や自治体の負担金を原資とする公的機関であるため、債務免除については民間金融機関以上に厳格な基準が設けられています。

しかし、だからといって債務免除が「絶対に不可能」というわけではありません。

実際には、以下のような条件を満たす場合に、債務免除が認められたケースがあります。

  • 代位弁済後の求償権免除
  • 特別な事情による免除

代位弁済後の求償権免除

信用保証協会が金融機関に代位弁済を行った場合、債務者企業は金融機関への返済義務を免れる代わりに、信用保証協会に対して「求償債務」を負うことになります。

この求償債務は多くの経営者にとって大きな負担となりますが、一定の条件を満たせば債務免除が検討される可能性があります。

事業継続が不可能な状況

  • 経営者が重篤な疾病にかかり、事業の継続が困難になった場合
  • 経営者の死亡により事業承継が不可能な場合
  • 自然災害により事業基盤を完全に失った場合
  • 市場環境の激変でビジネスモデルそのものが成立しなくなった場合

支払能力の完全な喪失

  • 個人資産を含めた全財産を処分しても債務が残る場合
  • 今後の収入獲得能力が見込めず、将来にわたり返済が不可能な場合
  • 他の債務整理手続き(私的整理や破産手続き等)との一体的処理が必要な場合

信用保証協会が債務免除を判断する際の大前提は、「求償権元本を放棄しなければ、ほぼ確実に経営が破綻すること」です。

したがって、単に一時的な経営難や資金繰りの悪化といった状況では対象となりません。

さらに「遊休資産の売却」「コスト削減」「経営改善努力」など、債務者側が誠実に自助努力を尽くしていることも必須要件となります。

特別な事情による免除

信用保証協会は、通常の厳格な基準だけでなく、個別の事案において特別な事情がある場合には債務免除を検討することもあります。

考慮される主な要素は以下の通りです。

  • 社会的影響の大きさ
    →その企業の倒産が地域経済や雇用に重大な影響を及ぼす場合
  • 政策的配慮
    →災害復興支援や特定業種の再建など、国の政策目的に合致する場合
  • 債権回収コストとの比較
    →債権回収に要するコストが、残存債務額を上回ると見込まれる場合

このような「特別事情による債務免除」は、通常の基準ではカバーできない社会的・経済的な要因を考慮した判断となります。

ただし、実際にこのような免除が認められるケースは極めて稀であり、十分な根拠や客観的な説明資料が不可欠です。

そのため、経営者が自ら判断するのではなく、専門家のサポートを受けて信用保証協会と交渉することが極めて重要です。

 

債務免除の手続きと必要な条件

信用保証協会に債務免除を申請するためには、全国統一基準に基づいた要件を満たす必要があります。

これは「債務免除の妥当性を客観的に判断するため」に設けられており、経営者の主観的な訴えだけでは認められません。

➀財務状況の完全な開示

  • 個人・法人の全資産状況の詳細な報告
  • 収入・支出の実態を示す資料の提出
  • 将来の収入見込みに関する合理的な説明

単に現在の財務状況を示すだけでは不十分で、

  • 隠し資産がないことの証明
  • 処分可能な資産をすべて換金した実績

を提示することが求められることもあります。

②事業状況の客観的な説明

  • 事業継続の可能性についての客観的な分析
  • 市場環境や競合状況に関する詳細な説明
  • 事業再生計画の実現可能性に関する検証

債務免除の前提条件は、

求償権元本を放棄しなければ、ほぼ確実に経営が破綻すること

を証明することです。

そのためには、事業の現状と将来の見通しを、第三者も納得できる形で示さなければなりません。

③専門家による調査報告書の提出

事業継続を前提とする場合には、弁護士、公認会計士、税理士といった専門家による財務面・事業面のデューデリジェンス(調査報告書)の提出が求められます。

 

債務免除以外の選択肢

債務免除には非常に厳しい条件が課されるため、実際に認められるケースはごく限られています。

そのため、多くの場合は債務免除に固執するのではなく、他の解決策を検討することが現実的です。

特に「事業を継続したい」と考える経営者にとっては、債務免除よりも実現可能性が高く、かつ将来の事業発展につながる選択肢があります。

具体的には、

  • 私的整理ガイドラインを活用した債務整理(金融機関や保証協会と協議し、返済条件の変更や債務カットを実現)
  • 事業再生計画の策定(専門家による支援を受け、金融機関の理解を得ながら再建を進める)
  • M&Aを絡めた事業承継・再生スキーム(債務超過でも事業価値を活かして新しい承継先を見つける)

といった方法が挙げられます。

これらのスキームは「単に債務を減らす」だけではなく、事業を存続させ、次の成長につなげる道を開くことができます。

求償権消滅保証制度の活用

信用保証協会では、代位弁済から一定期間が経過した後に新たな保証を受けられる制度として、求償権消滅保証制度を設けています。

この制度は、2023年9月に中小企業庁が発表した「挑戦する中小企業応援パッケージ」の一環として新設されました。

従来は相対的な取引として一部で行われていた「求償権の消滅手続き」が、制度として明確に位置づけられた点が特徴です。

求償権消滅保証制度は、従来の債務免除とは異なるアプローチで、以下のような特徴があります。

  • 一定期間の返済実績が必要
    →代位弁済後、一定の返済実績を積み重ねることが前提となります
  • 新規事業への資金調達が可能
    →新たな保証付融資を受けることができ、事業再生や新規事業の展開に活用できます
  • 信用回復への道筋が明確
    →単なる免除ではなく、新たな融資枠を得る仕組みのため、企業にとって「再挑戦の機会」となります

この制度では、信用保証協会が旧債務(求償権)と同額以上の保証付融資を新たに実行することで、旧債務が実質的に消滅します。

結果として債務者は同額の新しい債務を負うことになりますが、

  • 新しい債務は通常の健全な借入として扱われる
  • 金利は遅延損害金ではなく、一般的な貸出金利が適用される

ため、実質的に「債務免除に近い効果」を持ちながら、信用の再構築にもつながります。

M&Aによる事業再生という選択肢

信用保証協会への債務問題を抱える企業にとって、M&Aは有効な解決策の一つとなります。

単に債務を減らすのではなく、事業の価値を引き継ぎ、従業員や取引先を守りながら再スタートできる可能性があります。

M&Aを検討すべき典型的なケースは下記となります。

  • 事業自体には価値があるが、資金繰りが困難な場合
  • 後継者不在で将来に不安を抱えている場合
  • より信用力のある企業グループに参加することで、事業継続の基盤を強化したい場合

こうしたケースでは、M&Aによって信用保証協会への債務問題を根本的に解決できる可能性があります。

M&Aでは、単に会社の株式や事業を譲渡するだけでなく、経営者個人の保証債務についても、買い手企業との交渉によって解決の道をつけられる場合があります。

これは、後継者問題や債務超過を抱える中小企業にとって大きなメリットです。

条件変更と事業承継の組み合わせ

債務免除が困難な場合でも、返済条件の変更(リスケジュール)と将来的なM&Aを組み合わせることで、段階的に解決を図る戦略があります。

具体的には、以下のような方法が考えられます。

  • 返済期間の延長:返済スケジュールを長期化し、月々の負担を軽減する
  • 据置期間の設定:一定期間は元金返済を猶予し、事業再生に集中する
  • 返済額の減額:金融機関や保証協会と協議し、実際のキャッシュフローに即した返済額に調整する
  • 将来のM&Aを前提とした計画策定:当面は負担を抑えつつ、将来的に事業価値を高めてM&Aによる最終解決を目指す

これらの条件変更を組み合わせることで、返済負担を抑えることも可能です。

その間に事業を立て直し、企業価値を高めた上でM&Aを実行することで、債務問題を根本的に解決できる可能性があります。

M&Aについては、以下の記事でも詳しく解説しておりますのであわせて参考にしてください。

関連記事|事業承継M&Aとは?メリット・デメリットから成功のポイントまで徹底解説

 

まとめ

信用保証協会の債務免除は、不可能ではありませんが、実現には多くの条件を満たす必要があり、そう簡単な道ではありません。

そのため、申請を検討する際には「客観的な資料の準備」と「専門家との連携」が不可欠です。

同時に、債務免除だけに固執するのではなく、

  • 求償権消滅保証制度
  • 返済条件の変更(リスケジュール)
  • M&Aや私的整理ガイドラインを活用した再生策

といった選択肢を含め、総合的に検討することが大切です。

特に「事業を継続したい」と考える経営者にとっては、債務免除よりもこれらの制度やスキームを活用した方が、将来の事業発展につながる可能性が高いことを念頭に置いて判断することをおすすめします。

債務問題の解決には、法律・財務・事業の知見が必要となり、経営者だけで判断するのは危険です。

一般的なM&A仲介会社は「債務超過案件」を取り扱わないことが多いですが、私たちジーケーパートナーズは、中小企業活性化協議会の外部専門家として、数多くの中小企業の再生支援に携わってきました。

その豊富な実績をもとに、債務超過企業でも対応可能なM&Aや事業再生支援を専門的にサポートしています。

  • 信用保証協会との交渉支援
  • 私的整理ガイドラインを活用した債務整理
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債務超過の製造業が会社を再生するための5ステップ!

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製造業では、支払いが先行し入金が遅れることが多く、資金繰りが厳しくなりやすい構造です。

この状態が続けば、経営の余力を失い、最終的に債務超過へ陥るケースも少なくありません。

債務超過を放置すれば、倒産や廃業のリスクが一気に高まり、従業員や取引先にも大きな影響を及ぼします。

経営者にとっては非常に危険な状態です。

しかし、適切な手順で早めに対処すれば、事業再生の道は必ず開けます。

本記事では、債務超過に悩む製造業が会社を立て直すための5つのステップを具体的に解説します。

倒産リスクや再生計画に不安を抱えている経営者の方は、ぜひジーケーパートナーズ無料個別相談会をご活用ください。

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製造業が債務超過に陥る原因3選

製造業が債務超過に陥るのは、業種特有の資金繰り構造が原因となるケースが多くあります。

中小企業の経営者にとって「売上は伸びているのに資金が足りない」という状況は珍しくなく、その裏側には以下のような要因が潜んでいます。

  • 支払が先行し、入金が遅れる資金繰り構造
  • 多額の設備投資による資金繰りの悪化
  • 高い固定費による継続的な利益の圧迫

これらの要因が重なることで、製造業は債務超過に陥りやすくなります。

もし自社がどの要因に当てはまるのか早めに把握し、対策を講じることができれば、債務超過からの再生の可能性は大きく広がります。

関連記事|債務超過とは?原因と解決策を解説|債務超過の解決策も紹介

支払いが先行し、入金が遅れる資金繰り構造

製造業では、材料の仕入れや人件費などの支払いが先行し、取引先からの入金は後回しになるのが一般的です。

このため、常に運転資金に余裕を持った資金繰り管理が求められます。

入金までのタイムラグがある中で、仕入・人件費・外注費などの支払いは毎月発生するため、一時的に資金が不足する「資金ギャップ」が生じやすい構造です。

特に自動車関連や電子部品など、支払いサイトが長い業界では、この影響が顕著です。

さらに、売掛金の回収が遅れたり、取引先の支払い条件が変更されたりすると、資金繰りは一気に悪化します。

「売上は計上されているのに現金が入ってこない」という状況が続けば、仕入や給与などの支払いに支障をきたし、一時的な資金ショートを回避するために短期借入でつなぐケースも増えていきます。

その結果、借入依存度が高まり、利息や返済負担が増加します。

資金の流れが安定せず、利益を圧迫していくうちに財務体質が弱まり、最終的には債務超過に陥る可能性が高まります。

こうした資金繰りの連鎖的悪化は、製造業が抱える最も典型的なリスクの一つです。

多額の設備投資による資金繰りの圧迫

多額の設備投資は、製造業にとって成長のために欠かせない一方で、債務超過を招く大きなリスク要因となります。

製造業では、生産効率を上げたり新規受注に対応するために、最新の機械や生産ラインを導入する必要があります。

これらの設備は数千万円から億単位の資金が必要となり、その多くを銀行借入に依存せざるを得ないのが現実です。

設備は長期的には利益を生み出す資産ですが、購入直後から減価償却費や利息、元金返済が発生します。

売上が想定どおりに伸びなければ返済負担が重くのしかかり、資金繰りを悪化させ、最終的には債務超過へ陥る危険があります。

高い固定費による継続的な利益の圧迫

高い固定費は、製造業において利益を圧迫し、債務超過に直結する要因のひとつです。

工場の維持費、機械の減価償却、人件費、エネルギーコストなど、製造業特有の固定費は売上が減少しても必ず発生します。

受注が落ち込むと、その固定費がそのまま赤字に直結し、利益を圧迫します。

固定費の大きさは、企業の「コスト体質の硬直性」を示しています。

景気変動や需要減少に直面したときに、すぐには工場閉鎖や人員削減ができないため、赤字を垂れ流し続ける構造になりやすいのです。

その結果、利益を積み上げる余力を失い、累積損失が拡大。最終的には純資産を食いつぶし、債務超過から抜け出せない状況に陥ります。

経営者が見直すべきポイントは下記の通りです。

  • 固定費比率(売上に対する人件費・地代家賃・減価償却費など)の把握
  • 変動費化できるコストがないかの検討(外注化やリース活用など)
  • 需要減少時に備えたシナリオ別の損益シミュレーション

債務超過の製造業が直面する3つの経営リスクとは

債務超過に陥った企業は、単に数字上の問題にとどまらず、経営のあらゆる面で深刻なリスクに直面します。

放置すれば、資金調達が困難になるだけでなく、取引関係や組織そのものに悪影響を及ぼし、事業継続が危うくなります。

以下に、製造業が債務超過状態で抱える代表的なリスクを解説します。

  • 金融機関の信用を失い、新たな融資を断られる
  • 取引先の信用を失い、取引条件が悪化する
  • 将来を悲観した優秀な従業員が退職する

債務超過は「数字上の問題」ではなく、下記のような経営全体に波及するリスクを伴います。

  • 融資が受けられない
  • 取引条件が厳しくなる
  • 人材が流出する

こうしたリスクが現実化する前に、早期に再生計画を立て、専門家に相談することが債務超過からの脱却につながります。

金融機関の信用を失い新たな融資を断られる

債務超過に陥った企業は、金融機関からの信用力が大きく低下します。

銀行は自己資本比率の低い企業を「返済不能リスクが高い」と判断するため、新規融資や追加借入はほぼ不可能になります。

特に製造業の場合、仕入・人件費・外注費など毎月の運転資金需要が大きいため、資金調達が途絶えると一気に資金繰りが行き詰まります。

結果として、下記のような悪循環に陥るのです。

  • 必要な運転資金を確保できない
  • 短期的な資金ショートが発生する
  • 仕入先や従業員への支払いが滞る

金融機関からの資金調達手段を失うと、経営者が取り得る選択肢は大きく制限されます。

  • 設備投資の見送り
  • 新規事業や販路拡大の断念
  • 運転資金不足による倒産リスクの高まり

つまり、金融機関の信用を失うことは、単に借入ができないという問題にとどまらず、倒産回避の選択肢を狭め事業継続そのものを危うくする要因となります。

取引先の信用を失い取引条件が悪化する

債務超過に陥った企業は、金融機関だけでなく取引先からの信用も失うリスクを抱えています。

決算公告や業界内の情報を通じて「債務超過の事実」が取引先に伝わると、相手は「支払いが滞るのではないか」と不安を抱きます。

その結果、取引条件が次のように悪化するケースが少なくありません。

  • 支払いサイトの短縮(30日→現金払いなど)
  • 前払い・保証金の要求
  • 取引金額の縮小や取引打ち切り

こうした条件変更は、資金繰りの負担を一層大きくし、資金ショートを加速させる要因となります。

また、債務超過企業は、新規の取引先からも「リスクが高い」と見られやすく、新規受注の獲得が難しくなる可能性があります。

このように販売機会が減少すると、固定費を賄うだけの売上確保が困難となり、結果として債務超過を深刻化させる悪循環に陥ります。

また、企業の信用低下は、単なる「1社との関係悪化」にとどまりません。

仕入先・外注先・販売先など、サプライチェーン全体に影響が広がり、経営環境全体を悪化させるリスクがあります。

将来を悲観した優秀な従業員が退職する

債務超過に陥った企業が直面する深刻なリスクのひとつが、人材の流出です。

経営不安が社内に広がると、従業員は「この会社に未来はあるのか」と将来を悲観し、特に優秀な人材ほど先に転職を決断してしまいます。

製造業において、熟練の技術者や設計・開発を担う人材は企業の競争力の源泉です。

しかし、債務超過によって人材が流出すると、下記のような深刻な経営リスクを招きます。

  • 技術承継の断絶
  • 製品品質や生産効率の低下
  • 競合他社へのノウハウ流出

優秀な人材が退職することで残された従業員の士気も低下し、「この会社もいずれ辞めた方がよいのでは」という連鎖的な不安が広がります。

その結果、組織全体の生産性が低下し、企業再生の大きな妨げとなります。

債務超過の本質は財務の悪化ですが、人材を失うことはそれ以上に取り返しのつかないダメージを企業にもたらします。

財務再建の道筋を描くことと同時に、従業員に安心感を与える経営姿勢が不可欠なのです。

 

債務超過の製造業が会社を再生するための5ステップ

債務超過に陥った製造業が企業再生を実現するには、正しい手順を踏むことが重要です。

焦って場当たり的な対応をしても問題は解決せず、むしろ状況を悪化させてしまうケースも少なくありません。

ここでは、再生に向けて取り組むべき5つのステップを解説します。

  1. 資産と負債の現状を正確に把握する
  2. 金融機関を納得させる経営改善計画を作成する
  3. 返済猶予を実現するため金融機関と協議する
  4. M&Aやスポンサー支援など外部活用を検討する
  5. 最短での解決を目指し専門家に相談する

債務超過の解消は、決して一朝一夕でできるものではありません。

しかし、

  • 現状把握
  • 改善計画の策定
  • 金融機関交渉
  • 外部支援の活用
  • 専門家相談

という正しいステップを踏めば、再生の道は必ず見えてきます。

早期に行動を起こし、倒産リスクを回避することが何より重要です。

以下で各手順の詳細を解説します。

➀資産と負債の現状を正確に把握する

企業再生の第一歩は、自社の財務状況を正確に把握することです。

「売上は上がっているのにお金が残らない」「資金繰りに追われて先が見えない」といった状況の背景には、必ず数字上の原因があります。

貸借対照表や損益計算書をもとに、

  • 保有する資産の実態価値(換金可能性)
  • 負債総額と返済スケジュール
  • キャッシュフローの流れ(入出金のズレ)

を整理することで、資金不足を引き起こしている真の要因が見えてきます。

また、この現状把握は単に社内管理のためだけでなく、金融機関や専門家への説明資料としても必須です。

数字を客観的に示すことで、改善可能な余地を明確に伝えられ、信頼性のある再生計画づくりの基盤となります。

②金融機関を納得させる経営改善計画を作成する

事業再生の次のステップは、説得力のある経営改善計画を作成することです。

金融機関は「この会社に返済能力が戻るのか」を最も重視しており、改善見込みを示した数字がなければ支援には動きません。

改善計画には以下の要素を盛り込むことが求められます。

  • 売上回復策(新規取引先開拓・製品ラインナップ見直し)
  • コスト削減策(不採算部門の整理・固定費削減)
  • 損益計画(利益がどの時点で黒字化するかの明示)
  • 資金繰り表(返済可能額や資金不足額の具体的な見通し)

特に金融機関は「実現可能性」を厳しく見ています。

希望的観測ではなく、現実的かつ数字に裏付けられた計画でなければ信用を得ることはできません。

計画の精度が高いほど、金融機関の信頼を得やすくなり、

  • 返済条件の見直し(返済猶予)
  • 必要に応じた追加支援の検討

といった協議を前向きに進めやすくなります。

つまり、改善計画は単なる書類作成ではなく、事業再生の成否を左右する要の工程なのです。

③返済猶予を実現するため金融機関と協議する

返済猶予(リスケジュール)は、債務超過に陥った企業にとって資金繰りを安定させるための最重要施策です。

一定期間、元本返済を猶予してもらったり、返済額を減額してもらうことで、資金ショートを回避し再建に向けた余裕を生み出せます。

金融機関を納得させるためには、以下の準備が欠かせません。

  • 実効性のある改善計画を提示すること(売上回復・コスト削減の根拠を数字で示す)
  • キャッシュフローシミュレーションを用意すること(返済猶予期間にどのように資金を運用するかを明確にする)
  • 経営者自身の姿勢を示すこと(リスクを共有し再生に取り組む姿勢を見せる)

金融機関は「再建の見込みがあるのか」「経営者にやる気があるのか」を慎重に見極めます。

単なる「返済できません」ではなく、具体的な改善計画を裏付けにした交渉が不可欠です。

また、資金ショートが目前に迫ってからでは、とりえる手段が大きく限られてしまいます。

早めに金融機関と相談し、協調的な関係を築くことが再建の第一歩です。

金融機関からの協力を得ることができれば、資金繰りに余裕が生まれ、再生計画を実行するための時間を確保できます。

④M&Aやスポンサー支援など外部活用を検討する

自力での再建が難しい場合、外部の資金や経営支援を取り入れることも有効な選択肢です。

製造業では特に、追加融資だけでは根本的な解決が難しいケースも多く、M&Aやスポンサー支援を組み合わせることで、再生の道が開けます。

活用できる外部支援は下記の通りです。

再生型M&A

株式譲渡だけでなく、事業譲渡や会社分割を活用しながらスポンサー企業から資本注入を受ける方法。

債務超過でも実行可能なスキームがあり、一般的なM&A仲介会社では扱えないケースも専門家なら対応できます。

関連記事|M&Aの相談先・窓口・センターを徹底比較!無料相談の活用方法も解説

スポンサー支援

資金支援に加え、販路・技術・経営ノウハウを提供するスポンサー企業と提携することで、短期的な資金繰り改善にとどまらず、長期的な競争力強化につなげられます。

公的支援機関の活用

中小企業活性化協議会や地域経済活性化支援機構など、公的な枠組みを通じて金融機関と協調的に再生を進めることも可能です。

外部の資金や経営資源を取り入れることで、下記のような効果が期待できます。

  • 取引先や金融機関の信用回復
  • 事業承継や技術承継の円滑化
  • 長期的な企業価値の向上

一時的な資金繰り対策に終わらせず、将来の競争力を高める選択肢として外部支援を検討することが、事業再生の成功率を大きく高めるのです。

⑤最短での解決を目指し専門家に相談する

債務超過からの再生において、最も効果的なステップは専門家への早期相談です。

「何とか自力で解決できるのでは」と経営者が一人で抱え込むケースも多いですが、その間にも資金繰りは悪化し、選択肢はどんどん狭まっていきます。

再生手続きや法的整理に精通した専門家は、下記のような幅広い解決策を客観的に提案できます。

  • 金融機関との交渉支援(リスケジュール・債務カットの合意形成)
  • 事業再生計画の策定(実現可能性を示す収益改善シナリオの作成)
  • M&Aやスポンサー支援の活用(債務超過でも実行できるスキームの提示)

また、早期相談には下記メリットがあげられます。

  • 対策を迅速に打てるため、資金ショートや倒産リスクを回避できる
  • 金融機関からの理解を得やすく、協力的な姿勢を引き出せる
  • 自社に適した再生スキームを早めに検討できる

経営者が一人で悩み続けるよりも、早期に専門家を巻き込むことで時間的損失を防ぎ、再生の可能性を最大化できるのです。

 

製造業の事業再生で専門家への相談が必要な理由

製造業の事業再生には、複雑な財務改善や金融機関交渉が必ず伴います。

製造業は多額の設備投資や固定費を抱える構造的な特徴があり、資金繰りの悪化が深刻化しやすい業種です。

経営者だけで対応しようとしても、数字の分析や金融機関への交渉準備に時間を取られ、本業の立て直しが疎かになるリスクがあります。

そのため、専門家に相談することで、以下のような幅広い支援が可能になります。

  • 金融機関に納得されやすい改善計画の作成(損益計画・資金繰り表を含む)
  • 返済条件の交渉支援(返済猶予・条件変更の合意形成)
  • M&Aやスポンサー支援など外部資源の活用(債務超過でも可能な再生型M&A・事業譲渡・会社分割)
  • 金融機関や取引先への信頼確保(第三者の立場で客観的に関与)

また、債務超過を放置すれば、資金ショート・倒産リスク・人材流出といった問題が次々と表面化します。

早期に専門家へ相談することで、選べる選択肢は大きく広がり、再生の可能性も格段に高まります

ジーケーパートナーズは、

  • 中小企業活性化協議会の外部専門家としての実績
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を強みとし、数多くの製造業の再生を支援してきました。

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まとめ

債務超過に陥った製造業でも、原因を正しく把握し、金融機関との交渉や外部支援を組み合わせれば、事業再生は十分に可能です。

多額の設備投資や売掛金の回収遅延といった製造業特有の構造的な問題があっても、改善計画と実行力次第で乗り越える道はあります。

重要なのは、債務超過を放置せず、早めに対策へ踏み出すことです。

状況が悪化する前に専門家へ相談すれば、選べる手段は広がり、再生成功の確率も高まります。

倒産リスクや再生計画に不安を感じている経営者の方は、ぜひジーケーパートナーズの無料個別相談会をご活用ください。

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一歩踏み出すことが再生への第一歩です。どうぞお気軽にご相談ください。

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