
「毎月の借入返済が重く、資金繰りに余裕がない」
「利益は出ているのに、なぜか手元の資金が減っていく」
このような悩みを抱えている経営者の方は、自社の収益力に対して借入金の返済負担が大きくなっていないか、一度確認する必要があります。
借入金は、事業から生み出した利益やキャッシュフローを返済原資として返済していくことが基本です。しかし、十分な返済原資を確保できず、手元資金の取り崩しや新たな借入によって返済を続けていると、資金繰りは徐々に厳しくなる可能性があります。
そのため、資金繰りを安定させるには、事業からどの程度の返済原資を生み出しているのかを確認し、借入金の残高や返済額とのバランスを把握することが重要です。
本記事では、
- 資金繰りと借入金返済の関係
- 利益償還の考え方
- 借入金の返済原資の計算方法
- 債務償還年数の計算方法と目安
- 返済負担が重い場合の資金繰り改善策
について、企業再生の実務を踏まえて分かりやすく解説します。
「現在の収益力で借入金を返済していけるのか」
「借入金が多く、このまま返済を続けられるか不安」
「金融機関に返済条件の見直しを相談すべきか迷っている」
このような不安を抱えている経営者の方は、自社の返済能力や資金繰りを見直すための参考にしてください。
ジーケーパートナーズは、中小企業活性化協議会の外部専門家として、財務・事業デューデリジェンスや再生計画の策定など、数多くの事業再生支援に携わってきました。
資金繰りや借入金の返済にお悩みの企業に対して、財務状況や返済能力を整理したうえで、返済条件の見直しや事業再生、再生型M&Aなど、状況に応じた解決策を検討します。
「このまま借入金の返済を続けられるか不安」
「返済負担が重く、資金繰りが厳しい」
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資金繰りと利益償還の関係
借入金を安定して返済していくためには、本業から生み出した利益やキャッシュフローを返済原資として、無理なく返済できる状態を維持することが重要です。
このように、本業で生み出した利益や減価償却費などを返済原資として借入金を返済していく考え方を「利益償還」といいます。
一方、十分な返済原資を確保できず、手元資金の取り崩しや新たな借入によって返済を続けている場合は、徐々に資金繰りが厳しくなる可能性があります。
また、黒字決算であっても、売掛金の増加や在庫の積み上がりなどによって手元資金が不足すれば、借入金の返済が資金繰りを圧迫することがあります。
そのため、借入金の負担が大きい企業では、単に黒字決算か赤字決算かを見るだけでなく、事業からどの程度の返済原資を生み出せているのかを確認し、借入金の返済額とのバランスを把握することが重要です。
なお、赤字経営が続いていても、手元資金や資金調達の状況などによっては、必ずしもすぐに倒産するわけではありません。
赤字経営でも会社が存続できる理由については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:会社が赤字続きでも潰れない理由は?早期に黒字化させる手順を解説
借入金の返済原資の計算方法
借入金を無理なく返済できるか確認するためには、まず事業からどの程度の「返済原資」を生み出しているのかを把握することが重要です。
返済原資は、簡易的には次の計算式で求められます。
返済原資 = 税引後当期純利益 + 減価償却費
税引後当期純利益に減価償却費を加えるのは、減価償却費が計上時に現金の支出を伴わない費用だからです。
減価償却費は、建物や機械設備などの取得にかかった費用を、耐用年数に応じて複数年に分けて費用計上するものです。
そのため、税引後当期純利益に減価償却費を加えることで、事業から生み出される返済原資を簡易的に把握できます。
ただし、実際の資金繰りは、売掛金や在庫、買掛金などの増減、設備投資などによっても変動します。
そのため、算出した返済原資が、そのまま借入金の返済に使える手元資金と一致するわけではありません。
特に赤字決算となり当期純利益がマイナスの場合は、減価償却費を加えても十分な返済原資を確保できないことがあります。
こうした赤字経営が続くと、借入金の返済負担によって資金繰りが厳しくなる可能性があるため注意が必要です。
赤字決算が経営に与える影響については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:会社が赤字になるとどうなる?税金・融資・従業員への影響と対処法
借入金の返済能力を確認する「債務償還年数」の計算方法
借入金の返済能力を判断する代表的な指標の一つが「債務償還年数」です。
債務償還年数とは、借入金などの債務が、事業から生み出される返済原資の何年分に相当するかを示す指標です。金融機関が企業の返済能力を確認する際にも用いられます。
一般的に、債務償還年数が短いほど返済余力があると考えられ、長いほど返済原資に対する借入金の負担が大きいことを示します。
ここでは、債務償還年数の計算方法と一般的な目安について解説します。
債務償還年数の計算方法
債務償還年数の算出方法には複数の考え方がありますが、簡易的には次の計算式で求めます。
【債務償還年数 = 有利子負債 ÷ 返済原資】
有利子負債とは、金融機関からの借入金や社債など、利息の支払いを伴う負債の合計額です。
例えば、有利子負債が1億円、年間の返済原資が1,000万円であれば、債務償還年数は10年となります。
1億円 ÷ 1,000万円 = 10年
これは、現在の返済原資が今後も続くと仮定した場合に、有利子負債を返済するために何年分の返済原資が必要になるかを示しています。
一方、金融機関などが企業の返済能力を分析する際には、有利子負債の全額をそのまま使用するのではなく、正常運転資金などを考慮して実質的な要返済債務を算出する場合があります。
また、現預金についても、返済に充当できる余剰資金がある場合には考慮することがありますが、事業継続に必要な運転資金まで一律に返済可能資金として扱うことはできません。
債務償還年数の具体的な算出方法は、金融機関や分析目的によって異なるため、単一の計算結果だけで返済能力を判断しないことが重要です。
目安となる年数と返済原資がマイナスの場合
債務償還年数は、一般的に10年以内が一つの目安とされることがあります。
ただし、実際の融資審査は、債務償還年数だけで判断されるものではありません。
金融機関は、業種や事業規模、収益力、資産状況、借入金の使途、今後の事業計画なども含めて、総合的に返済能力を判断します。
そのため、債務償還年数が10年を超えているからといって、直ちに融資を受けられなくなるわけではありません。
一方で、返済原資に対して借入金の負担が大きい状態と考えられるため、資金繰りや今後の返済計画を確認する必要があります。
また、赤字決算などによって返済原資がマイナスの場合、計算上は債務償還年数もマイナスになります。しかし、「マイナス○年」という数値自体に実務上の意味があるわけではありません。
返済原資がマイナスの場合は、現在の収益力では十分な返済原資を確保できておらず、債務償還年数による返済能力の評価が難しい状態と考えるのが適切です。
こうした状態が続く場合は、赤字経営からの脱却に向けた収益改善に加え、資金繰りや借入金の返済条件についても早めに見直すことが重要です。
関連記事:債務超過と銀行の関係は?融資への影響と対応策をご紹介
返済能力を高めるために自社で見直すポイント
債務償還年数が長期化している場合や、借入金の返済によって資金繰りが厳しくなっている場合は、まず自社の収益力や資金繰りを見直すことが重要です。
具体的には、次のような取り組みが考えられます。
- 売上や粗利益率を改善し、収益力を高める
- 不要な経費や固定費を見直す
- 資金繰り表を作成し、将来の資金不足を把握する
- 売掛金の回収条件を見直す
- 支払いサイトを見直す
- 過剰な在庫を圧縮する
- 事業に使用していない余剰資産の売却を検討する
特に重要なのは、一時的に手元資金を確保するだけでなく、本業の収益力を改善し、継続的に返済原資を生み出せる経営体質に改善することです。
また、売掛金の回収条件や支払いサイトの変更には、取引先との交渉が必要になる場合があります。資金繰りへの影響だけでなく、取引関係も考慮しながら慎重に進める必要があります。
すでに借入金の返済負担が大きく、自社での改善だけでは資金繰りの立て直しが難しい場合には、金融機関への返済条件の見直しや事業再生なども検討する必要があります。
資金繰りが厳しくなる原因や特徴については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:資金繰りが厳しいときにまずやるべきことは?今すぐ取るべき対応と再建の選択肢を解説
状況別の具体的な改善策については、以下の記事もご覧ください。
関連記事:資金繰り改善の具体策とは?状況別に取るべき対応と再建のポイントを解説
借入金の返済に不安がある場合の対処法
自社で収益改善や資金繰りの見直しに取り組んでも、十分な返済原資を確保できない場合は、借入金の返済方法や今後の事業再生を含めた対策を検討する必要があります。
特に、借入金の返済によって手元資金が減少している場合や、今後も返済を続けられるか不安がある場合は、資金繰りがさらに悪化する前に対応することが重要です。
具体的には、次のような方法があります。
- 返済条件の見直し(リスケジュール)
- 借り換えによる返済負担の軽減
- 専門家への相談による事業再生の検討
以下で、それぞれ詳しく解説します。
返済条件の見直し(リスケジュール)
リスケジュールとは、金融機関と交渉し、毎月の元金返済額の減額や返済の一時猶予、返済期間の延長など、借入金の返済条件を見直すことです。
事業から生み出す返済原資に対して借入金の返済負担が大きい場合、リスケジュールによって毎月の元金返済額を抑えることで、資金繰りの改善を図ることができます。
ただし、リスケジュールは借入金そのものを減らす方法ではありません。
また、実施後は新規融資を受けにくくなる可能性もあるため、返済負担を軽減している間に、本業の収益改善や経営改善を進めることが重要です。
そのため、単に返済を先送りするのではなく、資金繰りや収益改善の見通しを立て、将来的にどのように返済を正常化していくのかを検討したうえで、金融機関と今後の返済計画について協議する必要があります。
リスケジュールのメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:銀行融資のリスケとは?メリット・デメリットと成功のポイントを解説
借り換えによる返済負担の軽減
借り換えとは、新たな融資を受けて既存の借入金を返済し、金利や返済期間などの借入条件を見直す方法です。
より低い金利の融資へ切り替えたり、返済期間を見直したりすることで、毎月の返済負担や利息負担を軽減できる場合があります。
また、複数の借入金を一本化することも借り換えの方法の一つであり、返済日や返済額をまとめることで資金管理がしやすくなることがあります。
ただし、借り換えには金融機関の審査が必要です。すでに赤字経営や債務超過などによって財務状況が悪化している場合は、新たな融資を受けることが難しいケースもあります。
また、返済期間を延長することで毎月の返済負担を軽減できても、返済期間が長くなることで総支払利息が増える可能性があります。
そのため、借り換えだけで資金繰りの問題を解決しようとするのではなく、本業の収益改善や借入金全体の返済計画とあわせて検討することが重要です。
借入への依存度が高い状態からの立て直し方については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:借金まみれの会社を立て直す方法6選!M&Aによる事業継続法も解説
専門家への相談による事業再生の検討
自社で収益改善や資金繰りの見直しに取り組んでも、借入金の返済負担が改善しない場合は、資金繰りがさらに悪化する前に事業再生に詳しい専門家へ相談することが重要です。
専門家に相談することで、財務状況や今後の資金繰りを整理し、金融機関との返済条件の見直しや再生計画の策定、事業譲渡・M&Aなど、自社の状況に応じた選択肢を検討できます。
ジーケーパートナーズは、中小企業活性化協議会の外部専門家として、財務・事業デューデリジェンスや再生計画の策定など、数多くの事業再生支援に携わってきました。
特に、借入金の負担が大きい企業や債務超過企業に対して、金融機関との調整だけでなく、私的整理ガイドラインを活用した事業譲渡や会社分割、再生型M&Aなど、一般的なM&A仲介会社では対応が難しい再生スキームを含めた支援を行っています。
重要なのは、単に借入金の返済負担を軽減することだけではありません。
財務状況や事業の収益力を確認したうえで、事業や雇用をどのように残していくのかも含めて、状況に応じた再生方法を検討することが重要です。
M&Aを活用した事業再生の手法については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:事業再生の手法を徹底解説!M&Aの活用で早期の立て直しを実現する
「債務償還年数が目安を大きく超えている」「このまま自社対応で改善するか判断がつかない」という方は、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
借入金の返済によって資金繰りが厳しくなっている場合は、まず返済原資や債務償還年数を確認し、自社の収益力に対して借入金の負担が大きくなっていないかを把握することが重要です。
十分な返済原資を確保できず、手元資金の取り崩しや追加借入に頼る状態が続くと、資金繰りがさらに悪化する可能性があります。
返済負担が重い場合は、本業の収益改善や資金繰りの見直しに加え、状況に応じてリスケジュールや借り換え、事業再生なども早めに検討する必要があります。
ジーケーパートナーズは、中小企業活性化協議会の外部専門家として、財務・事業デューデリジェンスや再生計画の策定など、数多くの事業再生支援に携わってきました。
また、私的整理ガイドラインを活用した事業譲渡や再生型M&Aなど、一般的なM&A仲介会社では対応が難しい再生案件にも取り組んでいます。
「このまま借入金の返済を続けられるか不安」
「返済負担が重く、資金繰りが厳しい」
「自社だけで改善できるのか判断できない」
このようなお悩みをお持ちの経営者の方は、まずは無料個別相談会で現在の状況をお聞かせください。




