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事業承継のマッチングとは?債務超過でも実現できる事業再生マッチングをご紹介

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「後継者がいない」「借金を継がせたくない」

そんな悩みを抱える中小企業が年々増えています。

特に、債務超過や借入金の多い企業にとっては、事業承継そのものが難しく、「譲る相手がいない」「マッチングしても断られる」といった課題も少なくありません。

近年、親族や社内に後継者がいない企業の間で、第三者承継(M&A)を支援するマッチングサービスが注目されていますが、従来のサービスは財務内容の良い企業を前提としたものが多く、債務超過企業の対応は後回しにされがちでした。

本記事では、こうした従来型マッチングの限界とともに、債務超過企業でも活用可能な「再生スキームを組み込んだ新しいマッチングのアプローチ」について、具体的に解説します。

ジーケーパートナーズでは、債務超過企業のためのM&Aと企業再生コンサルティングを組み合わせた、独自の事業承継支援を提供しています。

私的整理ガイドラインの活用により、金融機関との調整を図りながら円滑な承継を実現することも可能です。

「うちのような会社でも引き継げるのか?」とお悩みの方は、ぜひ無料の個別相談会でお話をお聞かせください。

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事業承継のマッチングとは何か?

事業承継のマッチングとは、事業を譲り渡したい経営者と、譲り受けたい第三者を結びつける仕組みのことです。

親族や従業員に後継者がいない中小企業の経営者が、外部の個人や企業へ事業を引き継ぐ「第三者承継」の手段として、今では一般的になりつつあります。

具体的には、譲渡希望者がマッチングサイトや支援機関に自社情報を登録し、それを見た譲受希望者がコンタクトを取って、交渉・引継ぎへと進んでいくのが一般的な流れです。

従来は大企業を中心に活用されてきた手法ですが、近年では中小企業においても事業承継の有力な手段として広く利用されるようになりました。

日本政策金融公庫や事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的機関に加え、民間のM&Aプラットフォームや専門仲介会社による支援も充実しています。

ただし、債務超過や経営難を抱える企業では、通常のマッチングサービスでは受け入れ先が見つからないことも多く、再生型スキームを活用した特別な支援が必要です。

次章では、そうしたケースにも対応可能な「再生支援型マッチング」について詳しく解説します。

関連記事|事業承継とは?基本的な仕組みから成功のポイントまで徹底解説

 

事業承継のマッチングの種類と特徴

事業承継マッチングサービスは、公的機関型から民間仲介型まで提供機関によって5つのタイプに分類でき、それぞれに異なる特徴と活用メリットがあります。

ここでは、各マッチングタイプの違いや、どのような企業に向いているかを比較しながらご紹介します。

公的機関型

事業承継・引継ぎ支援センター日本政策金融公庫など、国や自治体が運営する公的機関でも、無料で利用できる事業承継マッチングサービスが提供されています。

全国47都道府県に設置されている事業承継・引継ぎ支援センターでは、中小企業診断士・税理士・公認会計士などの専門家が、マッチングから成約後のフォローまでを一貫して支援してくれます。

相談料は完全無料。また、公的機関であるため中立的な立場からのアドバイスを受けられることも、大きな安心材料となっています。

初めて事業承継を考える経営者や、相談先がわからない方にとって、最初の相談窓口として非常に有効です。

特に、地域の中小企業の事業承継支援に重点が置かれており、後継者人材バンクでは「創業希望者」と「後継者不在企業」とを引き合わせる仕組みも整備されています。

ただし、債務超過や事業再生を伴うような複雑な案件では、金融機関との調整や保証債務の処理などが必要となるケースもあり、再生支援やM&Aスキームに対応できる専門家との連携が重要になる場合もあります。

民間プラットフォーム型

民間企業型の事業承継マッチングプラットフォームは、オンラインで利用できる利便性の高さが特徴です。

大きく分けて、以下の2つのタイプがあります。

健全企業向けを中心とするマッチングサービス

  • バトンズ(BATONZ):累計掲載案件3万件超を誇り、幅広い業種・地域に対応。
  • TRANBI:登録ユーザー10万人以上で、案件検索や買い手とのマッチングがオンラインで可能。

債務超過企業に特化したマッチングサービス

  • ResetM&A:日本初の債務超過企業専門のM&Aプラットフォーム。

私的整理ガイドラインを活用した再生型事業承継を可能にし、借入金や保証債務の引継ぎを避けながらの事業譲渡にも対応しています。

これらのサービスの多くは、売り手側は無料で登録・利用可能で、全国から多くの買い手候補を募ることができます。

特にResetM&Aでは、仲介会社を通さずに買い手と直接交渉する形態に近いため、コストを抑えながらスピーディな承継を実現できる点が特徴です。

「債務超過でも売れるのか?」「後継者が見つからない」といった悩みを抱える企業にとって、再生支援とマッチングを両立したこうした民間型プラットフォームは、現実的な解決策の一つとなり得ます。

専門仲介・コンサル型

M&A仲介会社や企業再生コンサルティング会社が提供するマッチング支援サービスは、専門家による高度なサポートが受けられる点が大きな特徴です。

通常は株式譲渡を前提とした健全企業のM&Aが中心となりますが、財務・事業デューデリジェンスから契約交渉、成約後のフォローまで、一貫して支援が受けられる“フルサポート型”のサービスです。

主な特徴として

  • 着手金、仲介手数料、成功報酬などの費用は高め(数百万円~数千万円規模)
  • 成約率を高めるための買い手ネットワークやノウハウの蓄積が豊富
  • 高額案件・複雑案件での専門家介在の安心感が得られる

中堅・中小企業を対象とするM&A仲介会社から、大企業案件を扱う投資銀行系ファームまで、規模や業種に応じて多様な選択肢が存在します。

ただし、債務超過や財務内容に課題がある企業の場合、通常の仲介会社では対応が難しいケースもあります。

そのような場合には、企業再生とM&Aの両面に対応できる専門機関との連携が有効です。

関連記事|M&Aの相談先・窓口・センターを徹底比較!無料相談の活用方法も解説

業界・地域特化型

特定の業界や地域に特化したマッチングサービスも、近年注目を集めています。

一般的な全国型サービスとは異なり、業界知識や地域の人脈を活かした「密着型支援」が可能で、より高いマッチング精度が期待できます。

業界特化型のマッチングサービス

医療・介護、不動産、建設、ITなど、専門性の高い業種では、業界特有の法律・許認可・資産管理が関係することも多く、一般的なマッチングでは不十分な場合があります。

業界特化型サービスでは、その分野に精通したアドバイザーが対応し、よりスムーズかつ的確な承継支援が可能です。

地域密着型のマッチングサービス

地域に根ざした中小企業や店舗の承継には、地元のネットワークや信用を活かした支援が効果的です。

relay(リレイ)のように、地方の小規模事業者の“想い”に共感する買い手とのマッチングに強みを持つサービスも登場しています。

特に、地元金融機関や自治体、商工会議所などと連携した支援体制が整っているケースも多く、地域経済の活性化にもつながる事業承継が実現できます。

「業界特有の制約がある」「後継者は地域に根ざした人が望ましい」といったニーズを持つ企業にとって、こうした特化型サービスは有力な選択肢となります。

金融機関連携型

地方銀行や信用金庫などの金融機関が、民間のオンラインマッチングプラットフォームと連携して提供する「ハイブリッド型」の事業承継支援サービスも広がっています。

代表例としては、地域金融機関専用のプラットフォームである「事業引継ぎ.net」が挙げられます。

このサービスでは、参画する各金融機関が保有する顧客情報をクローズドなネットワーク上で共有し、より広域で買い手候補を探索することが可能です。

この仕組みの特徴は

  • 金融機関による対面型サポートで安心感が高い
  • オンライン型プラットフォームとの連携により、マッチングのスピードと範囲が拡大
  • 既存の融資・保証情報を踏まえた実践的アドバイスが可能
  • 売り手・買い手の双方にとって、信頼性の高い選定・交渉が行える

また、取引のある地元金融機関が直接対応してくれるため、融資相談や返済計画の見直しと並行して進めやすいのも、大きなメリットです。

借入金を抱えた企業でも、金融機関と連携した承継支援を受けることで、より現実的な解決策を見出せる可能性があります。

特に債務整理や保証債務の引き継ぎを避けたい場合は、金融機関と連携した再生型M&Aを検討することが重要です。

 

事業承継でマッチングを利用するメリット・デメリット

事業承継マッチングサービスの活用を検討する際は、その「メリット」と「デメリット」の両面を正しく理解しておくことが大切です。

売却や承継という重要な意思決定を伴うため、情報不足や思い込みによる判断ミスを防ぐことが、成功のカギになります。

実際、マッチングサービスには「幅広い買い手候補と出会える」「専門家のサポートが受けられる」といった大きなメリットがある一方で、

「交渉に時間がかかる」「希望条件でまとまらない」「情報漏洩のリスクが気になる」といった課題もあるのが実情です。

特に、債務超過や借入金がある企業では、マッチングだけでなく、再生スキームや金融調整の検討も必要になるケースが多くあります。

ここでは、事業承継マッチングのメリット・デメリットを整理し、それぞれの特徴と注意点を詳しく解説します。

メリット①幅広い候補者の中から最適な承継先を選択できる

事業承継マッチングサービスの最大のメリットは、地域や業種を問わず、全国規模で多様な承継候補者と出会えることです。

これまでの親族内承継や従業員承継では、「引き継ぐ人がいない」「経営の意思がない」といった理由から承継が進まず、やむなく廃業という選択を迫られるケースも少なくありませんでした。

一方、マッチングサービスを活用すれば、都市部の成長企業や同業他社、異業種の事業拡大を目指す企業など、多様な買い手候補にアプローチすることが可能になります。

特に地方の中小企業にとっては、自社では接点を持ちにくい買い手と出会える貴重な機会となり、

「後継者不在による廃業」から、「事業の継続・発展」へとつなげる選択肢が広がります。

メリット②:専門家によるサポートで安心して事業承継を進められる

事業承継は一生に一度の重大な決断であり、経営者一人で全てを判断するのは非常に難しいものです。

その点、マッチングサービスを活用することで、M&Aの専門家や中小企業診断士など、経験豊富なプロフェッショナルによる支援を受けることができるのは、大きなメリットです。

公的機関である「事業承継・引継ぎ支援センター」では、無料で専門家の個別相談を受けることが可能ですし、民間のM&Aマッチングサービスでも、成約まで伴走してくれるアドバイザーが在籍しており、安心して進められます。

特に以下のような専門的な判断が求められる場面では、専門家の存在が非常に心強くなります。

  • 財務・事業デューデリジェンス(DD)の実施方法
  • 企業価値・株式価値の正確な算定
  • 契約条件(譲渡価格・引継ぎ条件等)の交渉支援
  • 法務・税務面のリスク把握

また、債務超過や借入金の多い企業の場合、こうした支援に加え、企業再生に関する知見を持つ専門家の存在が不可欠になります。

メリット③:事業継続による雇用維持と地域経済に貢献できる

事業承継マッチングの成功は、単なる企業存続にとどまらず、従業員・地域社会・取引先にとっても大きな価値をもたらします。

まず、後継者不在による廃業を防ぐことで、長年培ってきた技術・ノウハウ・顧客基盤を次世代に継承することができます。

これは、会社の財産を守るだけでなく、従業員の雇用を安定的に維持し、取引先との関係も継続できるという意味でも非常に重要です。

また、譲渡先の企業が持つ資本力や経営ノウハウを活かすことで、事業の拡大・新規分野への進出といった成長のチャンスも広がります。

その結果として、以下のような波及効果が期待できます。

  • 従業員にとってのキャリアアップやスキル向上の機会
  • 地元雇用の維持・創出による地域経済の活性化
  • 技術やブランドの継承による中小企業の価値保持

こうしたプラスの連鎖が生まれることで、事業承継は「終わり」ではなく、「新たな発展のスタート」となり得ます。

デメリット①:候補者選定と交渉に多大な時間と労力が必要となる

事業承継マッチングの課題として、承継先候補の選定にかかる「時間」と「労力」の負担は非常に大きなポイントです。

特に複数の買い手候補と同時並行で交渉を進める必要がある場合、以下のようなプロセスを何度も繰り返すことになります。

  • マッチングサービスへの登録・プロフィール作成
  • 問い合わせを受けた候補者との面談調整
  • 資料(決算書・事業計画など)の提供と対応
  • 条件交渉や質疑応答への対応

人気のある案件では、十数社から数十社の問合せを受けるケースもあり、1社ずつ丁寧に評価・比較していくには膨大な時間と労力がかかります。

経営者にとっては、本業の傍らでこれらの対応を行う必要があり、精神的・体力的な負担が大きくなるのは避けられません。

忙しい日常の中で、「本当にこの相手に任せて良いのか?」と迷いながら進めることは、相当なストレスにもつながります。

デメリット②:交渉決裂や条件不一致により成約に至らないリスクがある

事業承継マッチングは、すべてが順調に進むとは限らず、「最終的に成約に至らない」というリスクも存在します。

初期段階では興味を示していた候補者でも、以下のような要因により交渉が中断・決裂するケースがあります。

  • 財務情報の開示後、買い手がリスクを過大に評価してしまう
  • 譲渡価格や債務引継ぎ条件などで双方の意見が対立
  • 経営方針や人材承継に関する価値観の相違

実際、事業価値評価のズレや債務条件に関する交渉が難航することで、候補者が離脱する例は少なくありません。

特に債務超過の企業では、金融調整や保証債務の処理も関係してくるため、より高度な調整力が求められます。

また、成約に至らなかった場合には、以下のようなデメリットも考慮すべきです。

  • 複数候補との交渉にかかった時間と費用が無駄になる可能性
  • 提供した決算書・顧客情報などの機密情報が漏洩するリスク
  • 従業員や取引先に交渉中の噂が広まり、社内不安や信用低下につながるリスク

このように、事業承継マッチングには「失敗する可能性」もあることを理解し、最初からリスクに備えた体制を整えておくことが大切です。

デメリット③:仲介手数料や各種費用による経済的負担がある

事業承継マッチングを利用する際には、さまざまな費用が発生する可能性があるため、事前の理解と予算確保が重要です。

特に民間のM&A仲介会社や専門機関を利用する場合、以下のような料金体系が一般的です。

  • 着手金:マッチング業務の開始時に必要(数十万円〜)
  • 月額報酬:活動期間中に発生する定額料金(非公開のことも多い)
  • 成功報酬:成約時に支払う成果ベースの報酬(譲渡価格×5〜10%が目安)

さらに、以下のような専門サービス利用料も加算されるケースがあります。

  • 財務・事業デューデリジェンス(DD)費用
  • 契約書作成・法務チェックの弁護士費用
  • 株価算定や企業評価レポート作成費用

一方で、オンライン型プラットフォームサービス(例:BATONZやTRANBIなど)では、基本利用料が無料のものもあれば有料のものもあり、さらにオプション支援(アドバイザー相談、書類作成代行など)や成約時の手数料(数%〜)が発生するプランなど、その機関ごとに多様な仕組みが用意されています。

ジーケーパートナーズが運営する「ResetM&A」は、債務超過企業に特化した先駆的なM&Aプラットフォームです。

通常のM&Aプラットフォームでは対応が難しい債務超過案件に特化しており、売り手・買い手のどちらも利用料は完全無料でご利用いただけます。   

                     

事業承継のマッチングで気をつけるべきポイント3選

事業承継マッチングを成功させるためには、早期かつ入念な準備が欠かせません。

単に候補者を探すだけでなく、事前に「何を・どのように引き継ぐのか」を明確にしておくことで、スムーズな交渉・成約につながります。

以下のようなポイントを参考に、計画的に準備を進めていきましょう。

ポイント①:自社の状況に適したマッチングサービスを選ぶ

事業承継マッチングサービスは、自社の経営状態や目的に応じて適切なものを選ぶことが非常に重要です。

たとえば、財務状況が健全な企業であれば、

  • BATONZ(バトンズ)
  • TRANBI(トランビ)

などの大手プラットフォームを通じて、広範な買い手候補とマッチングが可能です。

一方で、債務超過や借入過多の企業の場合は、こうした一般的なプラットフォームでは十分な対応が受けられないこともあります。

そのようなケースでは、「ResetM&A」など、債務整理や再生型承継に特化した専門サービスの活用が不可欠です。

また、事業承継・引継ぎ支援センター(公的機関)のように無料で利用できる機関もありますが、

  • 対応できる案件の幅に制限がある
  • 業種やエリアによってはマッチング候補が限られる

といった側面もあります。

重要なのは、自社の財務状況・事業規模・業界特性を正しく把握したうえで、最適なマッチングサービスを見極めることです。

特に債務超過などの複雑な事情を抱える場合は、企業再生と事業承継の両方に精通した専門家に早めに相談することを強くおすすめします。

ポイント②:段階的な情報開示と機密保持を徹底管理する

事業承継マッチングを進めるうえで、情報開示のタイミングと範囲を適切に管理することは非常に重要です。

交渉初期からすべての情報を開示してしまうと、相手が真剣でなかった場合や信頼性に欠ける場合に、重大な情報漏洩リスクが発生する恐れがあります。

一般的には、以下のような段階的な情報開示ステップが推奨されます。

  • 初期段階で、企業概要・沿革・業種・従業員数など、表面的な非機密情報を共有
  • 相手の真剣度や信頼性が確認できた段階で、財務情報・売上構成・主要顧客など、より詳細な情報を開示
  • 機密情報の開示前には必ずNDA(秘密保持契約)を締結

特に以下のようなケースでは、情報管理をより慎重に行う必要があります。

  • 競合他社が候補者に含まれている場合:技術情報や顧客名簿などの機密性の高い情報の取扱いに注意
  • 従業員や取引先にまだ公表していない場合:交渉の噂が流れることで、不安や誤解を生まないように配慮

情報管理を誤ると、社内の信頼低下や顧客離れなどのリスクにもつながりかねません。

よって、マッチングを行う際は、事前に開示プロセスや範囲を決めておき、必要に応じて専門家と連携することが望ましいでしょう。

ポイント③:専門家の早期関与と総合的なサポート体制を構築する

事業承継マッチングは、多くの専門領域が絡む複雑なプロセスであり、早期の段階から専門家をチームとして関与させることが成功への鍵となります。

検討初期から、以下のような分野別の専門家を組み合わせておくことが理想です。

  • 税理士:事業承継税制の活用、相続・贈与税の最適化
  • 弁護士:契約書の作成・法的リスクの回避、紛争防止
  • M&Aアドバイザー:候補先の選定、企業価値算定、条件交渉、スキーム構築

特に以下の局面では、専門的知識と経験が不可欠です。

  • 企業価値の評価(株価算定や資産負債の見極め)
  • デューデリジェンス(財務・法務・ビジネス面)
  • 契約条件の設計と交渉

また、債務超過や経営難を抱える企業の場合は、企業再生分野の専門家による支援が必須です。

私的整理ガイドラインを活用した債務調整や、金融機関との交渉戦略の立案など、通常のM&A仲介では対応が難しい論点が多数存在します。

さらに、以下のような利害関係者への対応についても、慎重な準備と計画が求められます。

  • 従業員への説明や不安軽減
  • 取引先への信頼維持・契約引継ぎ

専門家の知見を活用することで、これらのリスクを最小限に抑え、円滑な承継を実現できます。

特に債務超過などの難易度が高い案件では、企業再生と事業承継の両方に精通した専門家との連携が不可欠です

関連記事|事業承継問題の実態と原因は?深刻化する後継者不足の問題解決策を解説

 

まとめ

事業承継マッチングは、後継者不在という深刻な課題を抱える中小企業にとって、有力な解決策の一つです。

現在では、公的機関が提供する無料の支援から、民間プラットフォームによるマッチング、専門家チームによるフルサポート型のサービスまで、企業の状況やニーズに応じた多様な選択肢が存在します。

中でも、債務超過や借入金問題を抱える企業にとっては、「ResetM&A」のような再生スキームに対応した専門サービスの存在が、事業承継のハードルを大きく下げる突破口となります。

成功のカギとなるのは、次の3点です。

  • 自社の財務状況・事業内容に合ったサービスの選定
  • 相手との信頼を築くための段階的な情報開示と機密管理
  • 法務・税務・再生支援に精通した専門家の早期関与

承継のプロセスは決して簡単ではありませんが、従業員の雇用を守り、事業を次世代につなぐことで、地域経済への貢献や創業者の想いの継承にもつながります。

経営が厳しい状況でも、「うちには無理かも…」とあきらめずに、まずは一歩踏み出してみてください。

貴社にとって最適な道筋は、必ず見つかります。

ジーケーパートナーズでは、健全な企業はもちろん、債務超過や借入金に悩む企業の事業承継にも対応可能です。

中小企業活性化協議会の外部専門家としての実績と、企業再生コンサルティングで培った豊富な知見をもとに、私的整理ガイドラインを活用した再生型M&Aなど、御社の状況に応じた最適なスキームをご提案いたします。

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事業承継対策とは?成功事例もあわせてご紹介

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債務超過や多額の借入金に悩む中小企業にとって、事業承継は一筋縄ではいかない非常に大きな課題です。

「後継者が見つからない」「借金を背負わせたくない」「金融機関から承継に難色を示される」——そんな不安を感じていませんか?

しかし、適切なスキームと専門家の支援があれば、後継者の負担を軽減しながらスムーズな承継も可能です。

本記事では、事業承継対策の基本的な考え方から具体的な手法税制上の優遇措置まで、成功に向けた実践的な情報を詳しく解説します。

ジーケーパートナーズでは、企業再生コンサルティングの豊富な経験を活かし、債務超過や借入金の多い中小企業の事業承継にも対応可能なM&A支援を行っています。

一般的なM&A仲介会社では取り扱いが難しいケースにも「私的整理ガイドライン」を活用した再生型スキームなどで柔軟に対応します。

中小企業活性化協議会の外部専門家として培った実績と専門知識をもとに、金融機関や後継者にも配慮した最適な事業承継戦略をご提案いたします。

まずはお気軽にご相談ください。

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事業承継対策とは?

中小企業の多くが直面する「事業承継」。

特に債務超過借入金の多い企業では、「借金を背負わせたくない」「後継者がいない」といった理由で、承継に踏み出せず廃業に追い込まれるケースも少なくありません。

事業承継対策とは、企業が次世代に経営を引き継ぐための計画的な取り組みです。

現経営者の引退や高齢化に備え、以下のような課題に早期に対応していくことが重要です。

  • 後継者の選定・育成
  • 自社株式の承継と評価対策
  • 相続税・贈与税の負担軽減
  • 経営者個人の連帯保証の処理

特に債務超過の状態では「株式に価値がない」」「保証債務が引き継げない」といった壁がありますが、「会社分割」「事業譲渡」などの再生スキームを活用することで打開策が見えてきます。

事業承継成功には通常5〜10年の準備期間が必要とされており、早期の計画立案と専門家の支援活用が成功の鍵となります。

関連記事|債務超過とは?原因と解決策を解説|債務超過の解決策も紹介

 

事業承継対策の主要な対策方法3つ

再生過程にある中小企業が事業承継を成功させるためには、債務処理・税負担・人材確保の3つの視点から戦略的な準備を行う必要があります。

以下の3つの対策は、企業の再スタートと世代交代を同時に叶えるために非常に重要です。

事業承継を成功させるためには、計画的かつ多角的なアプローチが必要です。

中小企業が直面する後継者問題や税負担の課題、経営権の分散リスクなどを解決するため、以下の3つの主要な対策方法を実践することが重要となります。

  • 債務超過時の株式・財産承継対策
    (会社分割や事業譲渡により事業だけを切り出して承継するなど)
  • 事業承継税制の賢い活用
    (相続税・贈与税の負担を抑えつつ、後継者への引き継ぎを円滑に進める)
  • 後継者選定と「引き継ぎたくなる環境づくり」
    (保証債務や経営権の集中など、心理的・制度的障壁を取り除く)

関連記事|事業承継とは?基本的な仕組みから成功のポイントまで徹底解説

株式・財産の承継対策

株式・財産の承継対策は、経営権の確保税負担の軽減を両立させる重要なテーマです。

以下のような対策を適切に講じることで、承継時のトラブルや税務上のリスクを未然に防ぐことができます。

  • 株価対策:役員退職金の支給や自社株評価の適正化により、贈与・相続時の負担を軽減
  • 株数対策:好意的な株主や持株会への一部移転で経営権を維持
  • 贈与計画:暦年贈与や相続時精算課税制度の活用で段階的な承継

ただし、債務超過や多額の借入金を抱える中小企業にとっては、「そもそも株に価値がない」「株式よりも個人保証や金融機関との関係のほうが深刻」という声も少なくありません。

当社では、再生スキームを活用することで「後継者に債務の負担を残さない形での事業承継」をご提案することも可能です。

 

事業承継税制の活用

事業承継税制は、相続税・贈与税の負担により事業継続に支障が生じることを防ぐための制度です。

2027年12月末までの特例措置では、非上場株式に係る贈与税・相続税について最大100%の納税猶予(=実質的な免除)が認められています。

この制度は、対象株式数の上限撤廃複数後継者への対応雇用要件の緩和など、大幅な拡充が行われており、中小企業の後継者不在や資金繰りリスクの解消にとって有力な選択肢です。

ただし、債務超過や赤字企業であっても適用が不可能というわけではない反面、雇用維持都道府県への認定申請継続届出などの条件を満たす必要があるため、慎重な制度設計が求められます。

こうした税制の活用はもちろん、会社分割や事業譲渡など再生スキームとの併用による最適な事業承継計画の立案により、経営者と後継者双方の不安を解消することができるでしょう。

関連記事|事業承継・M&A補助金とは?申請から活用まで「事業承継・M&A補助金」を徹底解説

 

後継者の選定と育成

後継者の選定と育成は、事業承継の成否を左右する最重要テーマの一つです。

後継者教育には5〜10年の期間が必要とされ、経営判断力・リーダーシップ・金融機関対応力など多面的なスキルを計画的に育てることが求められます。

特に債務超過や借入金の多い中小企業では、「借金を背負いたくない」「保証人になりたくない」といった理由から、後継者が承継をためらうケースが少なくありません。

こうした課題に対し、会社分割による事業部門の切り出しや、旧会社の特別清算を組み合わせたスキームなどをご提案しています。

これにより、後継者には健全な事業のみを引き継がせ、借金や保証から解放された形での承継が実現可能となります。

承継形態には、親族内承継・従業員承継・M&A型承継の3つがありますが、いずれにおいても、早期の意思疎通献身的な支援、そして“後継者の心理的不安を軽減する仕組みづくり”が成功の鍵を握ります。

 

事業承継対策の相談先

事業承継を成功させるためには、適切な相談先を選び、専門的なアドバイスを受けることが極めて重要です。

相談先によって得意分野や対応範囲は大きく異なり、選択を誤れば事業継続に支障が生じたり、金融機関との信頼関係に影響したりすることもあります。

特に債務超過や借入金の多い中小企業では、単なる税務対策や株式承継だけでは解決できない複雑な問題が発生します。

そのため、財務・税務・M&A・保証解除・金融機関対応などを総合的にサポートできる専門家に相談することが不可欠です。

ジーケーパートナーズでは、企業再生と事業承継の両方に精通したプロフェッショナルとして、再生型M&A、会社分割、特別清算などを含む最適な承継スキームをご提案しています。

状況が深刻になる前に、ぜひ一度ご相談ください。

関連記事|事業承継の相談先はどこ?専門家選びから成功のポイントまで徹底解説

事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援センターは、全国47都道府県に設置された国の公的相談窓口で、事業承継に関する最も基本的な相談先の一つです。

コーディネーターやサブマネージャーが相談を受け付け、税理士や中小企業診断士などの専門家と連携しながら、親身かつ中立的な立場で支援してくれます。

主なメリットは、以下の通りです。   

  • 全国各地に設置されておりアクセスしやすい
  • 相談料が完全無料
  • コーディネーターが初期対応をし、必要に応じて専門家に接続
  • 地域の事情に精通し、M&Aマッチング支援も可能
  • 商工会・商工会議所とも連携して地域密着型の支援が受けられる

ただし、債務超過や借入金の処理、保証解除、会社分割などを含む再生型の事業承継には、専門家の実務支援が必要なケースも少なくありません。

M&A仲介会社

M&Aによる事業承継を検討している場合の専門機関です。

M&Aの候補先の選定、M&Aの進め方、デューデリジェンスの支援、契約書類の作成など、M&Aに関する専門的なサポートを提供します。

一般的なM&A仲介会社は、財務状況が良好な企業の株式譲渡を中心に支援するケースが多い一方で、ジーケーパートナーズのように、債務超過・借入過多といった財務的に厳しい状況にある中小企業にも対応可能な再生型M&A仲介会社も存在します。

再生型M&A仲介会社の支援の特長は下記の通りです。

  • 再生スキーム(会社分割・特別清算など)と組み合わせたM&A設計
  • 債務超過でも売却可能な事業譲渡型スキームに精通
  • 金融機関との保証解除交渉支援
  • 中小企業活性化協議会などの公的支援制度の活用実績
  • 地域・業種を問わず豊富なマッチングネットワーク

「うちは売れない」と諦める前に、再生型M&Aという選択肢をご検討ください。

後継者に借金を背負わせず、従業員の雇用も守れる、新たな承継の形がここにあります。

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そんな悩みを抱える経営者の方にも、企業再生の専門知識を活かした実践的なソリューションをご提案しています。

私的整理ガイドラインを活用したスポンサー探索、会社分割による事業承継、再生スキームを取り入れたM&A支援など、再生と承継を一体的に設計できるのが当社の強みです。

中小企業活性化協議会との連携実績も豊富で、金融機関との交渉や保証債務の処理支援も行っています。

「こんな状況で相談していいのか…」とためらわれる方こそ、ぜひ一度ご相談ください。

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関連記事|事業承継M&Aとは?メリット・デメリットから成功のポイントまで徹底解説

銀行・信用金庫

銀行や信用金庫は、自社の財務状況に基づいた実践的なアドバイスを受けられる身近で信頼性の高い相談先です。

資金調達・税金対策・企業価値評価・各種専門家の紹介など、金融面からの支援を中心にサポートが可能です。

特に取引のある金融機関であれば、過去の決算や財務状況を理解した上で、より現実的な提案が受けられるというメリットがあります。

主に、以下のようなメリットがあります。

  • 財務内容に基づく具体的な承継・再生提案
  • 融資制度・信用保証制度の活用支援
  • 各種専門家の紹介
  • 長年の信頼関係を活かした親身な対応

「金融機関に相談するとネガティブに見られるのでは…」と不安に感じる方も多いですが、むしろ早い段階で承継や再建の意志を示すことで、金融機関側の理解や支援を得られる可能性も高まります。

税理士・公認会計士

税理士・公認会計士は、事業承継において税務面・財務面のプロフェッショナルとして、非常に重要な役割を担う専門家です。

特に、事業承継税制の活用や相続税・贈与税の対策、企業価値の適正な評価、公的支援制度の導入支援など、専門知識に基づいた助言が受けられます。

顧問税理士がいる企業であれば、財務状況を把握しており、長期的な税務戦略の策定を含めた信頼関係に基づく支援が期待できます。

主なメリットは下記の通りです。

  • 税務面での圧倒的な専門知識
  • 自社の財務状況に即した提案
  • 株式評価や相続対策のノウハウ
  • 税制優遇の申請サポート

一方で、債務超過状態の処理や保証債務の解除、会社分割やM&Aの設計など、税務以外の領域については再生支援の専門家と連携することで、より実効性の高い承継スキームが構築できます。

弁護士・司法書士・行政書士

事業承継では、法的な整備を怠ることで後継者や相続人間のトラブルに発展するリスクがあります。

特に、債務を含む企業資産の承継や、株式の分配保証債務の引き継ぎの有無などは、遺産分割や遺留分の主張によって複雑化しやすいポイントです。

こうした課題に対応する法務の専門家が、弁護士・司法書士・行政書士です。

主に、以下のようなメリットがあります。

  • 相続・株式トラブルの予防と解決
  • 正確な契約書・合意書の整備
  • 遺言書の作成・公正証書化支援
  • 登記・許認可の確実な手続き

また、会社分割や事業譲渡、特別清算などを用いた再生型事業承継では、法務整備とスキーム設計の同時進行が求められるケースも多くあります。

 

M&A仲介会社に事業承継対策を相談するメリット

M&A仲介会社は、事業承継の選択肢としてM&Aを検討する企業にとって、非常に有力な相談先です。

特に、親族内承継や従業員承継が困難な場合には、M&Aによって第三者に経営を引き継ぐことが、企業の存続と雇用維持を同時に実現する現実的な手段となります。

仲介会社は、企業価値の評価から買い手の選定、交渉、契約書の整備まで、経営者の負担を大幅に軽減しながら一貫したサポートを提供してくれます。

また、業界特化型サービスを提供している仲介会社であれば、業界理解が深く、最適なマッチングの実現にもつながります。

債務超過や借入金が多い企業では、「うちはM&Aは無理」と諦める経営者も多いですが、再生支援とM&Aを組み合わせたスキームによって売却可能なケースも少なくありません。

ジーケーパートナーズでは、再生支援の実務経験を活かし、会社分割や事業譲渡などを用いた再生型M&Aスキームにも対応しています。

財務に課題がある場合でも、M&Aによる事業承継の可能性を広げるご支援が可能です。

関連記事|M&A仲介会社の選び方!FAとの違いやトラブルの回避方法を徹底解説

 

まとめ

事業承継対策は、企業の継続性を確保し、後継者の負担を軽減するための極めて重要な経営課題です。

成功のためには、以下の3つの主要な対策を計画的に実施することが不可欠です。

  • 株式・財産の承継対策
  • 事業承継税制の活用
  • 後継者の選定と育成

特に、2027年12月末までの事業承継税制の特例措置を活用すれば、相続税・贈与税の負担を実質ゼロに抑えることが可能です。

また、事業承継には通常5〜10年の準備期間が必要とされ、早期に信頼できる相談先を見つけ、段階的に進めることが成功のポイントとなります。

債務超過保証債務といった課題を抱える企業であっても、再生支援承継対策を組み合わせることで、後継者に負担を残さない形での承継も実現可能です。

状況が複雑であればあるほど、経験豊富な専門家のサポートによる全体設計が、成功と失敗の分かれ道になります。

事業承継経営改善でお悩みの方は、ぜひジーケーパートナーズにご相談ください。

「後継者がいない」「借金を背負わせたくない」「そもそも継がせられる状態ではない」

そんな不安やお悩みに、私たちは企業再生と事業承継を一体で解決するプロフェッショナルとしてお応えします。

一般的なM&A仲介会社では対応が難しい債務超過案件や経営困難企業に対しても、中小企業活性化協議会の支援実績に基づく専門的ノウハウを活かし、会社分割や事業譲渡などを用いた再生型M&Aスキームを含めた承継戦略をご提案いたします。

ご相談は無料・秘密厳守。まずはお気軽にご相談ください。

状況が深刻になる前の早めの一歩が、事業継続の未来を大きく左右します。

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事業承継ガイドラインとは?中小企業でスムーズな事業承継を実現する5つのステップ

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中小企業の経営者にとって「事業を誰に、どのように引き継ぐか」は避けて通れない大きな課題です。

特に、債務超過や借入金の問題を抱えていると、「本当に承継なんてできるのか?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

そんな中、国が策定した「事業承継ガイドライン(最新版:2022年改訂)」が注目を集めています。

このガイドラインは、後継者不在や承継プロセスの複雑さといった課題に対し、実践的な指針を示すものです。

本記事では、事業承継ガイドラインの基本から具体的な活用法までを解説します。

特に「財務的な課題を抱える中小企業が、どのように承継を実現できるのか」という視点から、専門家の視点でわかりやすく紹介します。

借入金や債務超過の不安から、事業承継やM&Aをあきらめていませんか?

ジーケーパートナーズでは、債務超過・財務課題を抱える企業の再生型M&Aや私的整理に多数の実績があります。

一般的な仲介会社では対応できない複雑な案件も、私たちなら支援可能です。

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事業承継ガイドラインとは何か

中小企業の経営者にとって、事業承継は「後継者の不在」や「債務の引き継ぎ」など、複雑な問題が絡む難しいテーマです。

こうした課題に対応するため、中小企業庁は「事業承継ガイドライン」を策定し、事業承継の進め方をステップごとに示しています。

このガイドラインは、再生型M&Aや私的整理と組み合わせた承継を検討する経営者にも、有益な手引きとなります。

事業承継ガイドライン策定の背景と目的

日本企業の99.7%を占める中小企業では、経営者の高齢化後継者不足が深刻な課題となっています。

中でも、資金繰り債務問題を抱えた企業では、円滑な事業承継が難しく、「廃業」という選択を迫られるケースも少なくありません。

このような状況に対応するため、中小企業庁は2006年に「事業承継ガイドライン」を策定しました。

その後、2016年および2022年に改訂を行い、時代の変化に即した承継の在り方を示してきました。

現在、このガイドラインは、後継者不在や財務課題を抱える経営者にとって、有効な対策指針となっています。

ガイドラインの3つの柱

事業承継ガイドライン」は、以下の3つの柱に基づいて構成されています。

これにより、経営者は事業承継を体系的かつ段階的に進められるようになります。

  • 早期の取り組みの重要性
    →経営者が自身の事業の承継リスクを把握するため、「事業承継診断」などを通じた現状分析を促します。
  • 事業承継に向けて踏むべき5つのステップ
    →後継者の選定、経営の見える化、株式・資産の整理など、段階ごとの準備内容が示されています。
  • 地域における支援体制の強化
    →中小企業活性化協議会や金融機関、士業など地域の支援機関と連携して、円滑な承継を支える体制の整備が求められています。

 

事業承継に向けた5つのステップ

「誰に、いつ、どうやって事業を託すのか」、これは事業承継における最大の悩みです。

事業承継ガイドラインでは、経営者がこの問いに段階的に向き合えるよう、5つのステップを示しています。

このステップに沿って取り組むことで、後継者の選定・関係者との調整・資産や株式の整理など、複雑な承継プロセスを体系的に進めることが可能になります。

ステップ1:事業承継の必要性への理解

事業承継を成功させる第一歩は、経営者自身がその重要性に気づくことです。

「まだ元気だから大丈夫」と考えて準備を先送りにする経営者は少なくありませんが、後継者探しや承継の準備には想像以上に時間がかかります

中小企業庁では、60歳を迎えたら承継準備に着手し、60歳を過ぎている場合はすぐに支援機関に相談を始めることを推奨しています。

これは、後継者の選定や社内外の関係者調整、資産・株式の整理など、実際の承継プロセスに数年かかるケースが多いためです。

また、事業承継は単なる経営権の引き継ぎではなく、企業の持続的な発展と従業員の雇用維持を図るための“戦略”でもあります。

だからこそ、役員や従業員、取引先などの関係者に事業承継の方針と意義を丁寧に説明し、理解と協力を得ることが不可欠です。

ステップ2:経営状況・課題の可視化

事業承継を成功に導くには、まず自社の現状を客観的に把握することが不可欠です。

経営者自身が「自社の強みと弱み」「どこに課題があるのか」を整理することで、後継者も安心して経営を引き継ぐことができます。

特に以下の4つの視点からの分析が重要です。

事業面の分析

  • 競合他社との比較(シェア・価格・技術力など)
  • 自社商品の強みと弱み

財務・資産面の分析

  • 貸借対照表や資金繰りの確認
  • 個人資産と法人資産の切り分け(混同があると承継時に問題に)

組織と人材の把握

  • キーパーソンの存在と将来性
  • 組織体制の継続性

市場環境と競争力

  • 業界全体の成長性・課題
  • 自社の立ち位置と今後の展望

こうした分析によって、事業承継に向けた優先課題が明確化されると同時に、経営改善のヒントも得られます。

後継者にとっても、「どこを伸ばし、どこを立て直せばよいか」を理解するための大切な土台となります。

ステップ3:事業承継に向けた経営改善

現状分析によって明らかになった課題をもとに、事業承継前の経営改善に取り組むことが重要です。

引き継ぎをスムーズにするには、「後継者が引き継ぎたくなる会社」に整えておく必要があります。

具体的には、以下の4つの観点から改善を進めます。

①事業ポートフォリオの見直し

  • 不採算事業の整理・撤退
  • 収益性のある主力事業への集中
  • 成長分野での新規事業の検討

財務体質の健全化

  • 資金繰りの見直しと最適な資金調達
  • 借入条件の再交渉
  • 財務指標(自己資本比率・キャッシュフロー等)の改善

組織体制と人材育成

  • キーパーソン育成と属人化の解消
  • 組織図と責任範囲の明確化
  • 社員の自立性を高める人材戦略

業務の見える化・標準化

  • 手順マニュアルやルール整備
  • 業務プロセスの共有化とIT活用
  • 後継者が引き継ぎやすい運営体制づくり

これらの改善により、企業価値そのものが高まり、後継者が“未来を託されたい”と感じる状態を目指すことができます。

ステップ4:事業承継計画の立案・策定

経営改善の成果を踏まえて、具体的な事業承継計画を策定するフェーズに入ります。

計画は、後継者が安心してバトンを受け取れるよう、資産や経営の移転方法、時期、関係者の役割分担を明確に整理しておくことが重要です。

承継方法に応じて、検討すべきポイントは異なります。

【親族内・従業員への承継の場合】

  • 後継者の選定と育成計画
    →実務引継ぎ、理念の共有、社内外の信頼構築がポイント
  • 株式・資産承継の手法
    →相続・贈与・譲渡の比較検討、議決権の整理など
  • 税務・法務対策
    →相続税対策、遺留分、株価評価など専門的観点も必要

【第三者承継(M&A)の場合】

  • 企業価値の最大化
    →財務体質の改善、事業ポートフォリオの見直し
  • 譲渡スキームの選定
    →株式譲渡か事業譲渡か、債務超過であれば再生型M&Aも視野に
  • 適切な相手先の選定と交渉支援
    →従業員の雇用や理念継承を重視する買い手かどうかも重要

【計画実行に向けたポイント】

  • スケジュールとマイルストーンの設定
  • 後継者教育プログラムの策定
  • 関係者との継続的な情報共有
    →承継を巡って社内で温度差が生まれやすいため、丁寧な合意形成が不可欠

こうした要素を組み合わせて計画的に準備を進めることで、承継に伴うトラブルや混乱を未然に防ぎ、組織全体が一体となって未来に進める体制が整います。

ステップ5:事業承継およびM&Aの実行

策定した事業承継計画に基づき、いよいよ実行フェーズに入ります。

この段階では、法務・税務・社内外の調整といった多面的な対応が必要となり、抜け漏れなく進めるためには専門家との連携が欠かせません。

主な実行項目は以下の通りです。

  • 法的手続きと契約の整備
    →株式譲渡契約、経営委任契約、役員変更登記など
  • 税務対策と優遇措置の活用
    →事業承継税制、贈与税・相続税の納税猶予などの制度利用
  • 関係者への丁寧な説明と理解促進
    →従業員・取引先・金融機関など、安心感と信頼継続のための対応
  • 新体制の立ち上げと支援
    →後継者による経営体制の確立と、前経営者・支援者による伴走的サポート

実行段階では、計画どおりに進まないこともあります。

思わぬ相続人の主張、株式の評価のズレ、従業員の不安など、現場ではさまざまな課題が生じがちです。

だからこそ、弁護士・税理士・承継支援の専門家と連携しながら、柔軟に対応していく体制が成功のカギとなります。

複雑な事業承継やM&Aの実行には、高度な専門知識豊富な現場経験が不可欠です。

ジーケーパートナーズでは、中小企業活性化協議会の外部専門家として数多くの企業支援に携わってきた実績をもとに、財務・事業デューデリジェンスから計画策定、実行支援まで、一気通貫でサポートいたします。

特に、債務超過企業や借入負担の大きい企業における再生型M&Aや私的整理スキームなど、他の仲介会社では対応が難しいケースにも柔軟に対応できる点が、当社の強みです。

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事業承継支援体制の活用方法

事業承継ガイドラインでは、地域における支援体制の重要性も強く打ち出されています。

なぜなら、事業承継は法律・税務・財務・人事など多岐にわたる知識が必要なうえ、感情面や組織内調整といった繊細な配慮も求められる、極めて専門的なプロセスだからです。

実際、多くの中小企業経営者が「後継者は決まっているが、何から始めればいいか分からない」「専門家に相談するタイミングが分からない」といった悩みを抱えています。

だからこそ、親族内承継・従業員承継・第三者承継(M&A)のいずれであっても、商工会議所・中小企業活性化協議会・認定支援機関・士業(税理士、弁護士など)といった専門機関やプロフェッショナルと連携することが不可欠です。

支援機関は、承継の初期段階から計画策定、実行、フォローアップに至るまで、状況に応じたアドバイスと具体的支援を提供してくれます。

どのような支援機関が、どんな場面で活用できるのかを、次に詳しく解説します。

承継を進める上で、あなたの“強力な味方”となる情報です。ぜひ参考にしてください。

公的支援機関を利用する

各都道府県に設置されている公的な支援機関(例:事業承継・引継ぎ支援センター等)では、事業承継に関する無料相談を受けることができます。

親族内承継、従業員承継、第三者承継(M&A)など、あらゆる承継形態に対応しており、経営者の状況に応じた最適な承継方法を提案してもらえるのが大きな特徴です。

公的支援機関の主なサポート内容は下記の通りです。

  • 親族内・従業員承継の場合
    →後継者選定の考え方、育成プラン、税務・相続対策の基本整理など
  • M&Aを検討する場合
    →信頼できる仲介事業者の紹介、手続きの流れの説明、契約上の注意点など
  • 共通サポート
    →「事業承継診断」による課題整理、スケジュール立案、関係者調整のアドバイス

各企業には専門のコーディネーターが付き、課題の棚卸しから対応方法の提案、必要に応じた士業・支援機関とのマッチングまでを一貫して支援してくれます。

実際の相談は、電話・WEB・対面相談(予約制)などで受け付けており、「何から始めればいいかわからない」という段階でも気軽に相談可能です。

公的支援機関は中立的な立場でアドバイスを行うと同時に、民間の専門家との連携による支援体制の構築も進めています。

事業承継を本格的に進める際には、こうした支援機関と連携しながら、財務やM&Aに強い専門家(例:ジーケーパートナーズ)と組むことで、より実効性のある計画が実現できます。

専門家を活用する

事業承継では、税務・法務・財務・経営戦略など、多岐にわたる専門知識が必要とされます。

そのため、税理士、公認会計士、弁護士、中小企業診断士などの専門家と連携し、多角的な支援を受ける体制づくりが極めて重要です。

専門家の主な役割は下記の通りです。

  • 税理士
    →贈与・相続・譲渡にかかる税務対策、事業承継税制の活用支援
  • 公認会計士・財務アドバイザー
    →企業価値評価、財務デューデリジェンス、資金繰りの見直し
  • 弁護士
    →契約書作成、株式・資産承継に関わる法的整備、係争リスク対応
  • 中小企業診断士
    →経営状況分析、承継計画策定、後継者育成支援

特にM&Aを含む第三者承継の場合は、買収側との交渉・法的手続き・税務面での最適化など、より高度で実務的な対応が求められるため、専門家の伴走支援は不可欠です。

全国にある事業承継・引継ぎ支援センターでは、これらの専門家と連携した実践的なサポート体制を整えています。

企業の状況に応じて、適切な士業やアドバイザーを無料で紹介してもらえるほか、M&A仲介事業者とのマッチング支援も可能です。

また、2025年度の事業承継・M&A補助金では、

  • 専門家の活用にかかる費用(例:デューデリジェンス費用、契約支援、税務アドバイス)
  • 仲介費用や事業引継ぎに伴う経費

などが補助対象となる可能性があり、活用すれば実質的な負担を大幅に軽減できます。

金融機関と連携する

地域の金融機関も、近年は事業承継支援に積極的に取り組んでおり、中小企業にとって大きな支援先の一つとなっています。

特に、計画段階から実行・資金調達まで一貫して寄り添ってくれるパートナーとして活用が可能です。

金融機関の主な支援内容は下記の通りです。

【情報提供・専門部署による伴走支援】

  • 多くの地域金融機関には事業承継・M&A専門部署が設置されており、経営者の状況に応じた提案が可能
  • 専門部署がM&A仲介業者とのネットワークを活用し、信頼できる支援先の紹介も実施

【資金面での支援】

  • 買収資金の融資や、売却代金の運用アドバイスなど、M&Aにおける金融支援を提供
  • 事業承継ファンド・M&A専門ファンドと連携することで、第三者承継時の資金確保にも対応可能

【継続的な関与・アドバイス】

  • 取引金融機関は、顧客企業の財務状況や信用力を熟知しているため、承継計画の妥当性やリスクなどについて、現実的で踏み込んだアドバイスが可能
  • 計画の初期段階から資金スキーム構築、実行後の経営支援まで、中長期的な支援が期待できる

特に、債務超過や資金繰りに課題を抱える企業にとっては、金融機関との関係性は事業承継成功の鍵を握る重要な要素です。

早めに信頼できる担当者と面談し、“承継を前提とした資金設計”を始めることが、次の一歩につながります。

関連記事|債務超過と銀行の関係は?融資への影響と対応策をご紹介

 

まとめ

事業承継ガイドライン」は、親族内承継・従業員承継・第三者承継(M&A)といったさまざまな形態に対応できる、中小企業のための実践的な指針です。

経営者が60歳になったら準備を始めるべきという考え方は、単なる推奨ではなく、事業の持続可能性を左右する重要な判断です。

ガイドラインで示された5つのステップを体系的に実践することで、どの承継パターンでも成功の確率を大きく高めることができます。

2025年現在、経営者の高齢化はますます深刻になっており、事業承継は“待ったなし”の経営課題です。

これまで見てきたように、支援機関・専門家・金融機関といった体制を活用することで、承継は決して一人で抱えるものではありません。

まずは一歩踏み出すことが、成功への第一歩です。

本記事で紹介した支援体制を積極的に活用し、まずは信頼できる支援機関への相談から始めてください。

それが、自社にとって最適な承継方法を見つける第一歩となります。

ジーケーパートナーズは、企業再生コンサルティングの豊富な経験を活かし、債務超過企業の再生スキームを絡めたM&Aや、私的整理ガイドラインを用いた事業譲渡・会社分割など、一般的なM&A仲介では対応が難しい複雑なケースにも対応可能です。

中小企業活性化協議会の外部専門家として培った実践的なノウハウとネットワークを活かし、貴社の事業承継・再生を実行フェーズまで一気通貫でサポートいたします。

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現状を整理するだけでも、“次の一手”がきっと見えてきます。

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事業継承と事業承継の違いとは?正しい使い分けと意味を徹底解説

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事業を次の世代へ引き継ぐ場面で「事業継承」と「事業承継」という2つの言葉を見かけることがあります。どちらも似たように見えますが、実は意味や使い方に微妙な違いがあることをご存じでしょうか?

この記事では、

  • 「事業継承」と「事業承継」の意味の違い
  • 法的な立場での使い分け
  • ビジネスの現場での具体的な使い方

について、わかりやすく解説します。

経営者や後継者をはじめ、税理士・弁護士・中小企業診断士など、事業承継に関わる専門家の方にとっても、実務に役立つ内容となっています。

正しい知識をもとに、適切な事業承継計画を立てる際の参考にしてください。

ジーケーパートナーズは、中小企業活性化協議会の外部専門家として、財務・事業デューデリジェンスから事業再生計画の策定支援まで、幅広いフェーズでサポートを行っています。

特に、債務超過や借入過多といった課題を抱える企業に向けた、再生スキームを組み込んだM&A支援を強みとしております。

金融機関や関係者との調整も含め、事業の継続と再構築を両立するご提案が可能です。

現在、事業承継に関する無料個別相談会を実施中です。

後継者問題や資金繰り、親族外承継などでお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

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事業継承と事業承継は引き継ぐ対象により使い分ける!

「事業を引き継ぐ」と一口に言っても、「継承」と「承継」という2つの表現があります。

実はこの違いは、引き継がれる内容の“抽象度”や“範囲の広さ”に関係しています。

  • 継承」は、具体的で限定されたものを引き継ぐときに使われます。
    →継承の例:王位の継承、伝統文化の継承、財産の継承、技術の継承
  • 承継」は、抽象的で包括的なものを引き継ぐときに使われるのが一般的です。
    →承継の例:経営理念の承継、企業精神の承継、事業の承継、職務の承継

このように、「継承」と「承継」はどちらも「受け継ぐ」という意味を持っていますが、何を引き継ぐのかによって使い分けがされているのです。

次に、それぞれの言葉の意味をより詳しく解説していきます。

「継承」の言葉の意味

継承」とは、先代から義務・財産・権利など、具体的で形のあるものを引き継ぐことを意味します。

たとえば、王位の継承、財産の継承といった使い方が代表的です。

これらは、目に見える物理的な資産や、法律上はっきりと定義された権利・義務など、明確に“所有”や“移転”ができる対象を引き継ぐ場面で使われます。

つまり「継承」は、範囲が限定されていて客観的に把握しやすいものの引き継ぎを表す言葉だと言えるでしょう。

「承継」の言葉の意味

一方で「承継」は、先代から地位・精神・身分・職務・事業といった、抽象的で目に見えないものを受け継ぐことを意味します。

たとえば、経営理念、企業文化、ノウハウなど、無形の価値を含む広い意味での引き継ぎを表現する際に使われるのが一般的です。

特に事業の引き継ぎにおいては、単なる経営権や財産といった「モノの移転」だけでなく、以下のような抽象的かつ包括的な要素も後継者が受け継ぐべき重要な内容となります。

  • 企業理念や経営ノウハウ
  • 事業への想いやビジョン
  • 顧客や取引先との信頼関係

現代のビジネスにおいては、企業価値の多くがこうした無形資産に依存しているため、事業引き継ぎの場面では「継承」よりも「承継」という表現の方がより適切で実態を反映していると考えられています。

関連記事|事業承継の相談先はどこ?専門家選びから成功のポイントまで徹底解説

 

法的・制度的な観点から見た正しい表記

事業の引き継ぎに関する法律や公的制度では、いずれも「承継」という表記が正式に用いられています。

これは、事業の引き継ぎが単に財産や契約といった形あるものだけでなく、経営理念や組織文化などの無形要素も含む、包括的なプロセスであるという考えに基づいています。

具体的に、どのような法律や制度で「承継」が使われているのか、次に詳しく見ていきましょう。

中小企業庁の公式見解

中小企業庁では「事業承継」という表記を公式に採用しており、関連する政策資料やガイドラインにおいても、この表現が一貫して使用されています。

この理由は明確で、事業の引き継ぎが単なる財産や経営権の移転にとどまらず、経営理念・企業文化・人材といった無形資産まで含めた“包括的なプロセス”であるという考え方に基づいています。

中小企業庁が実施している事業承継支援策も、こうした理解を前提に設計されており、以下のような多面的な支援が組み込まれています。

  • 財務支援(資金繰りや株式移転等の調整)
  • 経営ノウハウの承継支援
  • 後継者教育や人材育成
  • 第三者承継に関するマッチング支援 など

このように、「承継」という言葉の選定自体が、現代の事業引き継ぎの実態と課題を正確に反映しているのです。

法律用語としての「承継」

承継」は、権利や義務を引き継ぐことを意味する法律用語として確立されており、多くの法律や制度の中で正式な表現として使用されています。

実際に、以下のような法律や制度においても、「承継」という言葉が明確に使われています。

  • 経営承継円滑化法
  • 事業承継税制
  • 中小企業経営承継円滑化法

これらの法制度では、事業承継を単なる財産や資産の移転ではなく、「経営そのものを引き継ぐ」重要な取り組みとして位置づけています。

つまり、事業承継とは、

  • 経営権の移転
  • 経営理念や企業文化の承継
  • 組織や人材、関係性の維持と発展

などを含めた、企業の継続と発展に向けた包括的なプロセスであると、法律上も明確に定義されているのです。

契約書や公的文書での表記基準

承継」は、契約書や条文など法律文書の中でも頻繁に使用される用語であり、法律実務の世界では標準的な表記として定着しています。

これは、事業や会社の引き継ぎが、単なる引渡しではなく、法律上の手続きを経た正式な権利・義務の移転であることに由来します。

たとえば、以下のような重要な契約書類では、「承継」という表現が一貫して用いられています。

  • 株式譲渡契約書
  • 事業譲渡契約書
  • 合併契約書
  • 会社分割契約書 など

これらの契約においては、会社や事業に関わる地位・責任・義務などを正確に記述する必要があるため、「承継」という用語が法的にも適切なのです。

また、法的効力や契約解釈における曖昧さを避けるためにも、用語の統一と厳密な使用が重視されており、その観点からも「承継」の使用が推奨されています。

 

事業承継で引き継がれる3つの要素

事業承継は、単なる引き継ぎ手続きではなく、多面的かつ複雑なプロセスです。

企業の継続と発展を実現するためには、相互に関連し合うさまざまな要素を、総合的・計画的に引き継ぐことが欠かせません。

ここでは、事業承継において特に重要とされる代表的な3つの要素について、順を追って解説します。

経営権の承継

事業承継の第一の柱は、経営権の承継です。

後継者は、会社の意思決定権を担う存在として、経営権を引き継ぎ、将来の方向性を決定する責任を担います。

経営権の確立には、株式の保有比率が大きな鍵となります。

一般的には、全株式の3分の2(66.6%)以上を保有することで、重要な決議に対する安定的な意思決定が可能になります。

経営権承継を円滑に進めるためのポイントは、以下のようなものがあります。

  • 株式の移転計画を早期に策定する
  • 経営方針の継続と変革のバランスを取る
  • 後継者の選定と育成プロセスを明確にする
  • 既存株主との合意形成と議決権の安定化

とくに、ステークホルダーとの良好な関係づくりや、経営能力の計画的な育成は、企業価値の維持・向上に直結します。

単に株を移すだけではなく、「経営を任せられる人材をつくること」こそが本質的な承継であると言えるでしょう。

有形資産の承継

事業承継では、企業が保有する有形資産を正確かつ効率的に引き継ぐことが重要です。

これらの資産は、企業の事業運営における具体的な基盤であり、承継の際には評価・税務・移転手続きといった多面的な対応が求められます。

承継対象となる主要な有形資産には、以下のようなものがあります。

  • 株式(自社株式および投資有価証券)
  • 資金・預金(運転資金および投資資金)
  • 不動産(事業用地、工場、店舗、賃貸物件など)
  • 設備・機械類(製造設備、IT機器、車両など)
  • 在庫資産(商品、原材料、仕掛品など)

これらの評価額算定や税務上の取り扱い、移転時期の調整は丁寧に実行しましょう。

特に不動産や高額設備は承継方法により税負担が変わるため、専門家との連携が不可欠となります。

無形資産(知的財産)の承継

無形資産は、事業承継において最も重要でありながら、最も承継が難しい要素の一つです。

これらは企業の競争優位性の源泉であり、適切に引き継がれなければ、企業価値が大きく毀損するリスクさえあります。

承継すべき主な無形資産は、以下の通りです。

  • 経営理念・企業文化(創業精神、価値観、行動規範)
  • 技術・ノウハウ(製造技術、営業手法、管理システム)
  • 人脈・取引先との関係性(顧客基盤、仕入先、金融機関)
  • ブランド価値(商標、評判、市場での地位)
  • 特許権・著作権などの知的財産(知的財産権、営業秘密)

これらの資産は、書面だけで引き継げるものではなく、時間をかけた“人と人との引き継ぎ”が不可欠です。

特に以下の点が重要なポイントとなります。

  • 段階的な引き継ぎと実地の継承
    →OJTや共同訪問・共同経営などを通じ、後継者に“経験として”引き継ぐ必要があります。
  • 社内外との信頼関係の再構築
    →取引先や従業員との信頼関係は、後継者が直接時間をかけて築いていくことが求められます。
  • 文書化・仕組み化の推進
    →属人化された技術やノウハウをマニュアル化・システム化することで、承継の再現性を高めます。

無形資産の承継は、一朝一夕にはできません。

だからこそ、事業承継を早期に検討し、十分な時間を確保することが、企業の持続的な成長に直結するのです。

 

事業承継の種類と特徴

事業承継には、誰に事業を引き継ぐかによっていくつかの方法があります。

それぞれにメリット・デメリットがあり、企業の状況や後継者の有無によって最適な選択肢は異なります。

  • 親族内承継
  • 親族外承継(MBO:マネジメント・バイアウト)
  • M&Aによる承継

以下でそれぞれの特徴を詳しくみていきましょう。

親族内承継

親族内承継は、日本企業において最も伝統的で一般的な事業承継の方法です。

創業者の子や親族を後継者とすることで、企業の理念や文化の継続性を保ちやすいという点が大きな特長です。

メリットは下記の通りです。

  • 理念・文化の継承が容易:創業者と価値観を共有しやすく、経営の方向性がぶれにくい
  • 社内外からの理解を得やすい:従業員や取引先との関係性がスムーズに引き継がれやすい
  • 計画的な後継者育成が可能:時間をかけて教育・経験を積ませることができる
  • 相続・贈与を活用した株式移転が可能

一方デメリットは下記の通りです。

  • 適任の親族がいない場合がある:経営能力・意欲に乏しい後継者しかいないケースもある
  • 相続トラブルのリスク:法定相続人が複数いる場合、株式の分散や争族問題が発生しやすい
  • 相続税や贈与税の負担:計画的な税務対策を講じなければ、承継後の経営に影響を与える可能性がある

この方法が適しているケースは下記の通りです。

  • 経営に適した親族が存在する
  • 創業者の理念や企業文化を色濃く残したい
  • 社内外に対して安定感のある承継を望む

親族外承継(MBO)

親族外承継は、親族以外の役員や従業員が後継者となる方法であり、近年ではとくにMBO(マネジメント・バイアウト)=経営陣による自社買収が有力な選択肢として注目を集めています。

親族に適任者がいない場合や、能力・意欲のある社内人材が存在する場合に有効な承継手段です。

メリットは下記の通りです。

  • 企業文化の継続が期待できる:社内の方針や価値観を理解しているため、スムーズな引き継ぎが可能です
  • 事業の継続性が高い:内部事情に精通しており、既存の人脈やノウハウを活かせます
  • 能力と意欲を重視した後継者選定が可能:経営資質を見極めて選ぶことができるため、組織の活性化にもつながります
  • 従業員のモチベーション向上が期待できる:「身近なリーダー」への承継は現場の納得感を得やすい傾向があります

一方デメリットは下記の通りです。

  • 後継者に資金負担がかかる:自社株式の取得には多額の資金が必要で、資金調達が課題となる場合があります
  • 親族や株主からの理解が得にくいことがある:「血縁者でない」ことへの抵抗や不信感が障壁となるケースもある
  • 慎重な準備と制度設計が必要:株式取得スキーム、経営者としての資質見極め、ステップごとの引き継ぎなどを計画的に進める必要があります

この方法が適しているケースは下記の通りです。

  • 親族に適任者がいない
  • 社内に能力・実績のある人材がいる
  • 現場主導の経営体制を重視したい

M&Aによる承継

M&A(合併・買収)は、第三者への企業売却を通じて事業を承継する方法です。

とくに後継者がいない中小企業や、スピーディな成長戦略を描きたい企業にとって、有力な選択肢となっています。

メリットは下記の通りです。

  • 創業者利益を確保できる:企業売却によってリタイア後の資金を確保しやすくなります
  • 後継者不在問題の解決策として有効:親族や社内に後継者がいない場合でも、事業を継続できる道が開けます
  • 事業の成長・拡大のチャンスが生まれる:買い手企業とのシナジーにより、事業規模や展開地域の拡大が可能になります
  • 従業員の雇用維持が期待できる:事業が継続することで、雇用の安定にもつながります

一方デメリットは下記の通りです。

  • 企業文化の変化・喪失リスク:買い手企業の文化や経営方針が大きく異なる場合、従業員の混乱やモチベーション低下を招くおそれがあります
  • 心理的な抵抗感:「育ててきた会社を他人に譲る」という点に、経営者自身が強い葛藤を感じるケースもあります
  • 価格交渉や契約の難しさ:売却価格の妥当性や契約条件の調整には高度な専門知識と経験が必要です。仲介機関や専門家のサポートが不可欠です

この方法が適しているケースは下記の通りです。

  • 後継者不在で事業は継続したい:経営者が引退を希望している
  • 事業シナジーが期待できる買い手が存在する:財務状況・収益性が一定以上あり、売却による利益を確保できる

関連記事|事業承継M&Aとは?メリット・デメリットから成功のポイントまで徹底解説

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  • 私的整理ガイドラインを活用した事業譲渡
  • 再生スキームを組み込んだM&A支援
  • 財務リスクを整理しながらの第三者承継の実行

財務状態が不安定な企業であっても、希望ある承継・再出発の道筋を設計することが可能です。

企業の実情に即した、現実的かつ効果的な事業承継の支援を行っております。

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事業承継を成功させるためのポイント

事業承継は、単なる「引き継ぎ」ではなく、企業の未来を左右する重大な経営課題です。

成功の鍵は、早期の着手計画的な準備、そして関係者との丁寧な合意形成にあります。

以下に示すポイントを押さえることで、スムーズかつ効果的な事業承継の実現に大きく近づくことができ

早期に準備をする

事業承継は、一朝一夕で完了するものではなく、中長期にわたる計画的なプロセスです。

とくに、5年〜10年の準備期間を確保することが、円滑な承継の実現には欠かせません。

早い段階から準備を始めることで、下記のような多様な課題に対して余裕をもって対応できます。

  • 後継者の育成・評価・信頼獲得
  • 税務対策
  • 事業基盤の強化
  • ステークホルダーとの関係構築 など、

また、市場環境の変化や経営者の急な体調不良・退任といった予期せぬ事態にも柔軟に対応できる体制を整えることができる点も、早期準備の大きな利点です。

後継者の育成と能力を開発する

後継者の育成は、事業承継を成功させるための最重要ステップのひとつです。

単に業務を引き継ぐだけではなく、企業を牽引するリーダーとしての資質や能力を段階的に育てることが求められます。

そのためには、計画的かつ体系的な育成プログラムを設計・実施する必要があります。

  • 経営スキルの習得
  • 業界知識の蓄積
  • リーダーシップの発揮
  • ステークホルダーとの関係構築
  • 危機管理能力

後継者育成は、実務経験(OJT)外部研修(OFF-JT)を組み合わせることが効果的です。

経営の現場で実践を重ねながら、必要に応じて外部のセミナーや研修で知識を補完することで、バランスの取れた成長が可能になります。

また、

  • 段階的に責任範囲を広げる
  • 定期的な評価とフィードバックを行う

といったプロセスを通じて、育成の進捗を可視化し、確実な定着を図ることが重要です。

専門家の活用と連携体制を確保する

事業承継には、法務・税務・財務などの複雑な専門的知識が不可欠です。

これらを経営者自身がすべてカバーするのは現実的ではなく、信頼できる専門家とチームを組むことが成功への近道となります。

  • 税理士
  • 弁護士
  • 公認会計士
  • 事業承継コンサルタント
  • 金融機関(銀行・信金など)

承継プロジェクトの早い段階から、各分野の専門家でチームを組成し、役割を明確化することが重要です。

さらに、定期的な情報共有と協議の場を設けることで、承継戦略の一貫性とスピードが高まります。

専門家と経営者・後継者が連携して進めることで、リスクの回避だけでなく、より戦略的な承継が可能になるのです。

事業承継における税務対策と支援制度を活用する

事業承継には、多額の相続税や贈与税、株式の評価額に基づく課税負担が発生する可能性があり、

適切な税務対策と各種支援制度の活用が、成功の大きなカギを握ります。

特に中小企業向けには、以下のような公的な支援策が整備されています。

  • 事業承継税制(相続税・贈与税の納税猶予制度)
  • 日本政策金融公庫の「事業承継・引継ぎ支援資金」
  • 信用保証協会による保証制度

これらの制度をうまく活用することで、

  • 事業承継にかかるコストを大幅に軽減
  • 後継者の資金負担の緩和
  • 承継プロセスの加速と安定化

といったメリットが得られます。

ただし、各制度には適用条件・手続き期限・事後要件(雇用確保・事業継続など)が定められており、専門家との連携による正確な制度設計と申請手続きが不可欠です。

 

まとめ

事業継承」と「事業承継」はどちらも“事業を引き継ぐ”という意味を持ちますが、「継承」は財産や権利などの具体的な対象に使われるのに対し、「承継」は経営理念・企業文化なども含む包括的な引き継ぎを意味します。

現代の事業承継においては、この「承継」という概念がより適切であり、その実現には以下のような取り組みが欠かせません。

  • 早期の準備開始(5〜10年が目安)
  • 後継者の計画的な育成と評価
  • 税務・法務の対策と専門家の活用
  • 公的支援制度の効果的な活用

また、企業の実情に応じて、親族内承継親族外承継(MBO)M&Aによる第三者承継といった方法から最適な手段を選ぶことも重要です。

事業承継は、単なる引き継ぎではなく、企業の未来と価値をつなぐ経営戦略です。

だからこそ、今からの準備と行動が、次世代の成功を左右します。

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事業承継の相談先はどこ?専門家選びから成功のポイントまで徹底解説

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事業承継は、企業の将来を左右する重要な経営課題です。成功の鍵は、信頼できる相談先を見つけることにあります。

後継者の選定や税務対策など、事業承継にはさまざまな複雑な問題が絡んでいます。そのため、専門的な知識と豊富な実績を持つ専門家に相談することが非常に重要です。

本記事では、事業承継の主な相談先の種類選び方のポイント相談を成功させるための準備について、分かりやすく解説します。

たとえ債務超過や経営が厳しい状況でも、諦める必要はありません。

ジーケーパートナーズでは、中小企業活性化協議会の外部専門家としての豊富な経験と、企業再生に関する専門知識を活かし、一般的な相談先では対応が難しい複雑な事業承継にも数多く対応してきました。

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事業承継の主要な相談先一覧

事業承継の相談先にはさまざまな種類があり、それぞれ専門分野や提供するサービスが異なります

まずは、主な相談先ごとの特徴を確認してみましょう。

このあと、各相談先について詳しく解説していきます。

相談先 主な専門分野 メリット
事業承継・引継ぎ支援センター          総合的な事業承継支援 公的機関の信頼性、幅広いサービス
商工会議所     経営全般・事業承継    地域密着、継続的サポート      
税理士  税務・相続対策 税務リスク回避、自社株評価   
公認会計士     財務・企業価値評価    財務分析、デューデリジェンス
弁護士 法務・契約関連  法的リスク回避、契約書作成   
金融機関         資金調達・M&A仲介      資金面サポート、継続的関係   
M&A仲介会社   第三者承継・M&A 豊富なネットワーク、専門性   
事業承継コンサル        総合的な承継支援        中立的な立場での一気通貫の伴走

以下で各相談先の詳しい内容を見ていきましょう。

公的機関・支援センター

事業承継・引継ぎ支援センターは、国が設置した公的な相談窓口で、中小企業の事業承継に関するあらゆる相談に対応しています。

全国47都道府県に設置されており、無料で専門的なアドバイスを受けられるのが最大のメリットです。

センターでは、親族内承継から第三者承継まで、さまざまな承継方法に対応し、以下のような幅広いサービスを提供しています。

  • 後継者探し
  • 事業計画の策定支援
  • M&A仲介

さらに、「後継者人材バンク」を活用した後継者とのマッチングや、民間のM&A仲介業者と連携した総合的な支援体制も整備されています。

専門士業(税理士・公認会計士・弁護士)

税理士・公認会計士・弁護士などの専門士業は、それぞれの専門分野を活かし、事業承継において重要な役割を果たします。

税務・財務・法務などの分野で高度な専門知識を持ち、事業承継を円滑に進めるための心強いパートナーといえるでしょう。

以下に、各士業の主な特徴をまとめました。

専門士業 専門分野 主なサービス内容
税理士 税務・相続対策 ・相続税・贈与税対策

・事業承継税制の活用

・自社株評価の最適化

公認会計士     財務・企業価値評価    ・企業価値評価

・財務デューデリジェンス

・承継後の経営計画策定

弁護士 法務・契約関連  ・株式譲渡契約書の作成

・相続関連の法的手続き

・後継者間の紛争予防

税理士は、非上場企業の自社株評価において、専門的な知識を活かして複雑な計算を行います。

公認会計士は、M&Aにおける企業価値の適正な算定を担い、その結果が交渉の成否に大きく影響します。

弁護士は、法的トラブルを未然に防ぎ、必要な手続きを適切に進めることで、安全かつ確実な事業承継をサポートします。

金融機関

銀行や信用金庫などの金融機関は、事業承継に必要な資金調達の支援に加え、承継後の経営を継続的にサポートしてくれます。

長年の取引を通じて企業の財務状況を把握しているため、現実的で実行可能な承継計画の立案が可能です。

金融機関を活用する主なメリットは、事業承継が完了した後も経営コンサルタント的な立場で支援を受けられる点です。

ただし、金融機関が自社の利益を優先する場合もあるため、提案内容の客観性や中立性には注意が必要です。

近年では、多くの金融機関がM&A仲介サービスも提供しており、第三者承継を検討する企業にとっては、有力な選択肢のひとつとなっています。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、第三者への事業承継に特化した専門サービスを提供しています。

買い手企業の選定から交渉、契約の締結まで、一連のプロセスをトータルでサポートしてくれるのが特徴です。

豊富なネットワークと専門的な知見を活かし、最適な買い手企業とのマッチングを実現できる点が最大の強みです。

ただし、一般的なM&A仲介会社は株式売買による承継を前提としているため、債務超過の企業案件には対応しないケースも多い点に注意が必要です。

関連記事|M&Aの相談先・窓口・センターを徹底比較!無料相談の活用方法も解説

ジーケーパートナーズでは、私的整理ガイドラインを活用した事業譲渡や特別清算などを組み合わせた、複雑な状況にも対応できるソリューションを提供しています。

当社は、承継方法の選定から実行までを一貫して支援し、企業ごとの状況に応じた最適な承継戦略をご提案します。

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そもそも事業承継相談の重要性とは?

事業承継の相談は、企業の持続的な成長とスムーズな世代交代を実現するための専門的な支援サービスです。

中小企業庁の調査によれば、経営者の高齢化が進む一方で、多くの企業が「後継者がいない」「どの承継方法を選ぶべきか分からない」といった悩みを抱えています。

事業承継には、主に以下の3つの方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

  • 親族内承継
  • 従業員承継
  • 第三者承継(M&A)

どの方法を選ぶべきかを判断するには、企業の現状や将来性の分析、後継者候補の適性評価など、多角的な検討が必要です。

また、専門家に相談することで、法的手続きの整備承継計画の最適化など、事業承継を成功に導くための包括的なサポートを受けることができます。

スムーズな事業承継を実現するには、早めの準備信頼できる相談先の選定が重要なポイントです。

 

相談先選びの重要なポイント

事業承継を成功させるためには、信頼できるコンサルタントを選ぶことが不可欠です。

コンサルタントは数多く存在しますが、自社の課題に合った最適なパートナーを見つけるためには、明確な選定基準を持つことが重要です。

特に注目すべきポイントは、次の4つです。

  • 専門性と実績の有無
    ― これまでの支援実績や業界理解を確認しましょう。
  • 相談内容に応じた専門知識があるか
    ― 税務、法務、M&Aなど、自社のニーズに対応できる知識があるかを見極めます。
  • 費用体系と支払いのタイミング
    ― 料金の明確さや、成果報酬型かどうかなどを事前に確認しましょう。
  • 他の専門家や関連機関との連携体制
    ― 弁護士、税理士、金融機関などとのネットワークも重要な判断材料です。

これらのポイントを踏まえて選ぶことで、事業承継を円滑に進めるための信頼できるパートナーを見つけることができます。

次章では、それぞれの項目について詳しく解説します。

専門性と実績の確認

事業承継の相談先を選ぶ際には、まずその「専門性」と「実績」をしっかり確認することが重要です。

自社の業界や企業規模に近い事例で、どのような成功実績があるかを調べましょう。また、どのような専門資格や認定を持っているかも信頼性を見極める大切なポイントです。

事前にWebサイトなどで実績を確認するだけでなく、導入前に複数回の打ち合わせを行い、担当者の知識や対応力を直接見極めることをおすすめします。

とくに以下のような国家資格や専門認定を持つコンサルタントがいるかどうかは、重要な判断材料となります。

  • 税理士
  • 公認会計士
  • 弁護士
  • 中小企業診断士
  • 事業承継に関する公的・民間の専門認定保有者 など

さらに、過去の成功率や顧客満足度、業界内での評判なども参考にしながら、信頼できるパートナーを選びましょう。

相談内容に応じた専門知識の有無

事業承継を相談する際は、実績だけでなく、相談内容に応じた「専門知識」があるかどうかも重要な選定ポイントです。

たとえば、

  • 金融機関や公認会計士は「財務面」の専門家
  • 弁護士は「法務面」
  • 税理士は「税務面」

に強みを持っています。

自社の課題がどこにあるかによって、適切な相談先は異なります。

たとえば、

  • 税務対策が中心であれば税理士
  • M&Aによる第三者承継であればM&Aの専門家
  • 後継者の育成や組織内承継が課題であれば、人材育成や組織戦略に詳しい支援者

が適しています。

さらに、複数の課題が絡み合っている場合には、各分野の専門家と連携しながら対応できる、総合的な支援体制を持つ相談先を選ぶことが効果的です。

費用体系と支払いタイミング

事業承継にかかる費用は、相談先によって大きく異なります

一般的には、以下のような複数の料金で構成されています。

  • 着手金
  • 月額顧問料
  • 成功報酬(成果報酬) など

そのため、総費用を正確に把握したうえで、「得られる効果」と比較し、費用対効果を慎重に検討することが大切です。

たとえば、公的機関は基本的に無料でサービスを提供していますが、民間の専門家に依頼する場合は有料となります。

ただし、費用が安いからといって必ずしも良いとは限りません

専門性の高いコンサルタントによる質の高い支援は、企業価値の向上や税務面でのメリットにつながる可能性があります。

また、支払いのタイミングも重要な検討ポイントです。

着手金が必要なケースと、成功報酬のみのケースとでは、初期の資金負担に大きな違いが生じます。

専門家や関連機関との連携体制

事業承継にはさまざまな課題が関わるため、各分野の専門家と連携できる体制を持つ相談先を選ぶことが大切です。

税務・法務・財務など、一人の専門家だけでは対応しきれない複雑な問題も、複数の専門家が連携することで効果的に解決できます。

また、事業承継は短期間で終わるものではなく、中長期にわたるプロジェクトになるのが一般的です。

そのため、継続的なサポート体制が整っているかどうかも、相談先を選ぶ際の重要な判断基準です。

くわえて、次の点も事前に確認しておきましょう。

  • 担当者が途中で変更されるリスクはないか
  • 緊急時にすぐ対応してもらえる体制があるか

安心して長期的に任せられるパートナーを見つけることが、成功への第一歩です。

 

まとめ

事業承継の相談先選びは、企業の将来を大きく左右する重要な決断です。

公的機関から民間の専門家まで、相談先にはさまざまな選択肢があります。

その中から、自社の現状や課題に合った最適な相談先を見つけることが、事業承継を成功させるための第一歩です。

選定にあたっては、以下のようなポイントを総合的に評価することが大切です。

  • 専門性やこれまでの実績
  • 自社の相談内容に応じた知識や対応力
  • サポート体制の充実度や信頼性

さらに、相談をより効果的に進めるためには、事前の準備も重要です。

  • 自社の現状を把握し、課題を整理する
  • 後継者候補についての方向性を考える
  • 承継の基本方針や目指す姿を構想しておく

これらの準備をしておくことで、相談先との話し合いが具体的かつスムーズに進み、より良い提案を受けやすくなります。

ジーケーパートナーズでは、中小企業活性化協議会の外部専門家として、財務・事業デューデリジェンスから事業再生計画の策定支援まで、幅広いフェーズでサポートを行っています。

債務超過や複雑な再生スキームが必要な案件など、一般的な相談先では対応が難しいケースでも、「私的整理ガイドラインを活用した事業譲渡」や「特別清算」などを組み合わせた独自のソリューションで解決へと導きます。

まずは無料の個別相談会にて、貴社の現状に最適な承継戦略について、専門家と直接ご相談ください。

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事業承継コンサルティングとは?成功する事業承継のためのポイント

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事業承継は、会社の将来を大きく左右する大切な経営課題のひとつです。

しかし現実には、「後継者がいない」「相続税や会社の引き継ぎ手続きが複雑」「自社株の評価が難しい」など、多くの経営者がさまざまな悩みを抱えています。

事業承継コンサルティングは、こうした課題を専門的な知識と豊富な経験で支え、事業のスムーズな引き継ぎを実現するための心強いサポートです。

本記事では、事業承継コンサルティングの基礎知識から、具体的なサポート内容相談先の選び方まで、わかりやすく解説していきます。

たとえ債務超過経営難の状態でも、事業承継をあきらめる必要はありません。

適切な対策をとれば、未来につながる道はきっと見つかります。

ジーケーパートナーズは、企業再生の専門知識を活かし、事業承継やM&Aを幅広くサポートしています。

通常のM&A仲介会社では対応が難しいような複雑なケースでも、これまで多くの課題を解決に導いてきました。

まずは「無料個別相談会」で、お客様に最適な承継プランをご提案いたします。

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事業承継コンサルティングとは?

事業承継コンサルティングとは、会社の経営権や株式などの「会社の持ち主」としての権利を、次の世代へスムーズに引き継ぐための専門的な支援サービスです。

単に相談に乗るだけでなく、事業承継に必要な具体的な手続きや実行のサポートまで、幅広く対応できるのが大きな特長です。

近年の事業承継では、「親族への承継」だけでなく、「社内の従業員への承継」や「M&Aによる第三者への承継」など、さまざまな選択肢があります。

それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、企業の状況や経営者の意向に応じて、最適な承継方法を選ぶ必要があります。

近年は後継者が見つからずに廃業する企業が増えており、これは深刻な社会問題となっています。

実際、中小企業庁の中小企業白書帝国データバンクの調査でも、2025年までに70歳を迎える中小企業の経営者のうち、約半数が後継者未定という結果が出ており、事業承継の問題がますます深刻化していることがわかります。

こうした中、事業承継コンサルティングを活用することで、後継者不在によるリスクを回避し、企業の価値を守りながら次の世代へと事業をつなぐことが可能になります。

 

事業承継コンサルティングの主要サービス内容

事業承継コンサルティングでは、主に次のようなサービスを通じて、スムーズな事業の引き継ぎをサポートします。

  • 現状分析と課題の整理
    会社の財務状況や経営体制、事業環境を客観的に分析し、事業承継に向けた課題を明確にします。
  • 事業承継計画の策定・ご提案
    企業の状況や経営者の意向に合わせて、最適な承継方法やスケジュールを具体的に計画します。
  • 後継者の育成支援
    後継者候補への経営ノウハウの引き継ぎや、人材育成の仕組みづくりをサポートします。
  • M&Aによる第三者承継のサポート
    親族や社内に後継者がいない場合には、M&Aを活用して外部の経営者への承継を支援します。

以下では、これらのサービスについてさらに詳しくご紹介していきます。

現状分析と課題の整理

事業承継コンサルティングでは、まず最初に会社の現状を丁寧に分析し、事業を引き継ぐうえでの課題を整理します。

この初期段階で特に重要となるのが、「自社株(自分の会社の株式)の評価」です。

事業承継や相続では、自社株の価格がどれくらいかを正しく把握することが欠かせません。

非上場企業の場合、思っている以上に株価が高く評価されることがあり、その結果として「後継者による株の買い取り資金」や「相続税」が大きな負担になるケースがあります。

このような場合には、自社株の評価額を引き下げるための対策や、相続税の負担を軽くするための計画を立て、スムーズに事業を引き継げるようサポートすることが、コンサルティングの重要な役割です。

また、財務面では「収益性(どれだけ利益を出せているか)」「安定性(経営が安定しているか)」「成長性(将来の伸びしろ)」といった観点から多角的に分析を行い、承継のタイミングや方法を最適化していきます。

さらに、経営陣の体制や人材の配置、事業戦略の見直しといった、会社の全体像を把握するための調査・分析も行われるのが、事業承継コンサルティングの大きな特長です。

事業承継計画の策定・ご提案

現状分析の結果をもとに、具体的な「事業承継計画」の立案・ご提案を行います。

この計画には、以下のような重要なポイントが詳細に盛り込まれます。

  • 承継のタイミング(いつ引き継ぐか)
  • 承継の方法(親族・従業員・第三者など)
  • 税務対策(相続税・贈与税などの負担軽減)
  • 資金調達の方法(株式取得や納税資金の確保など)

事業承継は通常、数年単位で取り組む必要がある長期的なプロジェクトです。

そのため、将来を見据えた「ロードマップ(実行計画)」の作成が非常に重要です。

計画を立てる際には、現経営者の考えや希望、後継者の能力や意欲、会社の成長性や将来ビジョンなどを総合的に考慮し、現実的かつ実行可能な承継戦略をご提案します。

また、リスク管理の観点から、実行中に起こりうるトラブルや状況の変化に対応できるよう、柔軟性を持たせた計画設計も行われます。

後継者の育成支援

事業承継の成功には、後継者がスムーズに経営を引き継げるように準備することが欠かせません。

そのため、事業承継コンサルティングでは「後継者の育成支援」も重要なサポートのひとつとなっています。

事業承継では次のような不安がつきものです。

  • 「後継者は誰にするのか?」
  • 「その人に経営の能力はあるのか?」

こうした不安を解消するために、後継者に必要な知識やスキルを身につけるための支援が行われます。

また、後継者だけでなく、新しい経営体制を支える幹部や従業員への育成支援を行う場合もあります。

主な育成プログラムの内容は以下のとおりです。

  • 経営戦略の立案能力
    経営ビジョンの構築や、中長期的な戦略を立てる力を養います。
  • 財務管理スキル
    会社のお金の流れを理解し、安定した経営判断ができるようになります。
  • リーダーシップの開発
    組織を引っ張る力や人材マネジメントの方法を学びます。
  • 業界知識の習得
    自社の属する業界について深く理解し、市場の変化に対応できる力を身につけます。

さらに、段階的に権限を移していくプロセス(段階的な権限移譲)を通じて、実践的な経営経験を積む機会も用意されます。

M&Aによる第三者承継のサポート

親族や社内に後継者がいない場合などには、「第三者承継」という選択肢があります。

その際に重要となるのが、M&A(企業の合併・買収)に関するサポートです。

M&Aサポートでは、買い手企業の選定から交渉、契約の締結に至るまで、事業承継に関わる一連のプロセスを専門家が総合的にサポートします。

M&Aによる事業承継では、「企業価値をいかに高め、正しく評価するか」が重要なポイントとなります。

自社の強みや将来性(成長ポテンシャル)を正しく伝え、信頼できる買い手とマッチングすることで、売り手・買い手の双方にとって納得のいく良い取引が実現できます。

さらに、M&Aの成立後も大切です。たとえば、従業員の雇用をどう守るか、企業の文化や理念をどう受け継ぐかといった「統合プロセス(PMI=PostMergerIntegration)」についても、アドバイスが提供されるのが特徴です。

関連記事|M&A(吸収合併と買収)の違いとは?吸収合併の基本を徹底解説

ジーケーパートナーズでは、債務超過の企業を専門に扱うM&Aプラットフォーム「ResetM&A」を運営しています。

一般的なM&A仲介会社では対応が難しいとされる債務超過(借金が資産を上回っている)企業の案件にも対応可能で、豊富な実績があります。

従来のM&Aでは事業譲渡が難しいとされてきた企業でも、適切な買い手とのマッチングを通じて、事業の継続や従業員の雇用を守ることができます。

「もうダメかもしれない」と感じている方も、あきらめる前にぜひ一度ご相談ください。

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事業承継コンサルティング活用のメリット・デメリット

事業承継コンサルティングを利用するかどうかを検討する際には、その「メリット」と「デメリット」を正しく理解することが大切です。

専門家のサポートを受けることで得られる多くのメリットがある一方で、費用がかかることや、依頼先を選ぶ際の注意点もあります。

自社の状況にあわせて、どのような支援が必要かを見極め、納得のいく判断をすることが成功のカギとなります。

活用メリット

事業承継コンサルタントを活用する最大のメリットは、税務・法務・財務・人事など、幅広い専門知識が必要となる事業承継を、専門家に任せて的確に進められることです。

事業承継には多くの準備や手続きが必要で、経営者自身がすべて対応しようとすると、膨大な時間と労力がかかってしまいます。

その作業をコンサルタントに任せることで、経営者は本来の業務に集中できるため、承継期間中も企業の競争力を維持し、業績の向上を図ることが可能になります。

さらに、コンサルタントは以下のような「承継後」の経営体制づくりもサポートします。

  • 後継者の育成
  • 経営計画の策定
  • 事業戦略の立案

こうした支援によって、承継後も企業が安定して成長し、長期的に企業価値を高めることができるのも大きな利点です。

注意すべきデメリット

一方で、専門的な知識や豊富な経験に基づく質の高いサポートを受けるには、「着手金」や「月額費用」といったコストが発生します。

特に、事業承継の規模が大きかったり、手続きが複雑だったりする場合は、想定以上の費用がかかる可能性があるため注意が必要です。

また、事業承継コンサルティング会社といっても、税務・法務・M&Aなど、会社ごとに得意分野が異なります

そのため、依頼する際には以下の点をよく確認することが大切です。

  • 実績や専門性
  • 過去の支援事例
  • クライアントからの評判や口コミ

自社の課題や目的に合ったコンサルタントを選ぶことが、成功のカギとなります。

もし不適切な会社を選んでしまうと、期待した成果が得られなかったり、追加費用が発生したりするリスクもあるため、慎重に比較・検討することが重要です。

 

成功する事業承継コンサルタントの選び方

事業承継を成功させるためには、「どのコンサルタントに依頼するか」が非常に重要です。

自社の状況や課題にぴったり合った信頼できるパートナーを見つけるには、次の3つのポイントを意識して選ぶことが大切です。

  • 専門性と実績を確認する
    これまでの支援事例や得意分野、資格や専門スタッフの有無などをチェックしましょう。
  • サービス内容と対応力を見極める
    相談から実行支援まで、どこまで対応してくれるのか、柔軟に対応してもらえるかを確認します。
  • 費用に対する効果を検討する
    料金体系が明確かどうか、サポートの内容に見合った成果が期待できるかを比較検討しましょう。

このあと、それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。

専門性と実績を確認する

事業承継コンサルタントを選ぶ際は、まずその「専門性」と「実績」をしっかり確認することが大切です。

自社と同じような業種や企業規模での支援実績があるかどうか、過去にどのような事例を成功させてきたのかを調べてみましょう。

また、どのような資格や認定を持っているかも重要なチェックポイントです。

たとえば、

  • 税理士
  • 公認会計士
  • 弁護士
  • 中小企業診断士

といった国家資格を持つ専門家や、事業承継に関する公的・民間の専門認定を受けたコンサルタントが在籍しているかは、安心して任せられるかどうかを見極めるうえでの大きな判断材料になります。

さらに、過去の案件における成功率、顧客からの評価、業界内での評判なども参考にしながら、信頼できるパートナーを選ぶことが、事業承継を成功に導く第一歩です。

サービス範囲と対応力をチェックする

事業承継には、税金・法律・経営などさまざまな分野の課題が関わるため、幅広いサポートを一貫して提供できるコンサルタントを選ぶことが大切です。

たとえば、

  • 相続税や贈与税などの税務対策
  • 契約書や登記などの法的手続き
  • 第三者承継のためのM&A支援

といった、複数の専門領域をひとつの窓口でまとめてサポートしてもらえるかを確認しましょう。

また、事業承継は数年単位で進める長期プロジェクトになることが多いため、継続的なサポート体制が整っているかどうかも重要なポイントです。

  • 担当者が途中で変わってしまうリスクはないか
  • 緊急時にすぐ対応してもらえる体制があるか

こうした点についても、事前にしっかり確認しておくことをおすすめします。

費用対効果を検討する

事業承継コンサルティングの費用は、一般的に「着手金」「月額顧問料」「成功報酬」など、複数の費用で構成されています。

そのため、総額でどれくらいかかるのかを正確に把握し、サービスの内容や得られる効果と比べながら、費用対効果を慎重に検討することが大切です。

一見して料金が安いサービスでも、サポートの質が不十分であれば、かえって時間やコストがかかる場合もあります。

一方で、専門性の高いコンサルタントによる質の高い支援は、企業価値の向上や相続・税務の負担軽減などにつながり、長期的に見れば大きなメリットとなる可能性があります。

最適なコンサルタントを見つけるためには、複数の会社から提案を受け、サービス内容と費用を比較・検討するのがおすすめです。

関連記事|M&Aエージェントとは?M&A仲介との違い・業務内容・選び方を徹底解説

まとめ

経験豊富なコンサルタントの専門知識を活用することで、税務・法務・経営・人材など、複雑に絡み合う問題にも適切に対応でき、多くのメリットを得ることができます。

事業承継を成功させるためには、まず自社の状況や課題を正しく把握した上で、次のようなポイントをバランスよく評価することが大切です。

  • コンサルタントの専門性
  • 過去の実績
  • 提供できるサービスの範囲
  • 費用と成果のバランス(費用対効果)

これらを踏まえて、自社にとって最適なパートナーを選ぶことが、円滑な事業承継の第一歩となります。

ジーケーパートナーズでは、中小企業活性化協議会の外部専門家として培った豊富な経験と、企業再生の専門知識を活かし、事業承継のサポートを行っています。

債務超過の企業や、複雑な再生スキームが必要なケースにも対応可能で、一般的なM&A仲介会社では対応が難しいような事例でも、最適な解決策をご提案できます。

「後継者がいない」「借入が重く承継できない」といった悩みをお持ちの方も、まずは無料個別相談会にお気軽にお越しください。

早めの準備と専門家のサポートによって、企業の未来をしっかりと次の世代へ引き継ぐことができます。

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事業承継M&Aとは?メリット・デメリットから成功のポイントまで徹底解説

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近年、事業承継に関する課題が中小企業の間で深刻化しています。

いわゆる「2025年問題」が現実となりつつあり、70歳以上の中小企業・小規模事業者の経営者が全体の約25%を占めるまでに高齢化が進んでいます。

さらに、そのうちの約半数は後継者が決まっていないという深刻な状況にあります。

このままでは、価値ある事業が失われるリスクが高まります。

こうした中、親族内や従業員への承継が難しい場合でも、第三者への事業売却(M&A)という方法を活用することで、事業を次世代へ引き継ぎ、継続・発展させることが可能になります。

実際に、事業承継を目的としたM&Aは年々増加しており、注目を集めています。

本記事では、事業承継M&Aの基本的な考え方から、具体的な進め方、そして成功のポイントまでをわかりやすく解説します。

たとえ債務超過の企業であっても、事業承継を諦める必要はありません。

適切な準備と戦略によって、未来につながる選択肢が見えてきます。

ジーケーパートナーズでは「私的整理に関するガイドライン」を活用した独自のスキームにより、一般的なM&A仲介会社では対応が難しいような複雑な案件にも数多くの実績があります。

債務超過や赤字決算など、通常では敬遠されがちな状況でも、私たちは事業の価値を見極め、最適な承継方法をご提案しています。

まずは、お気軽に無料個別相談会をご利用ください。

専門家が御社の状況を丁寧にヒアリングし、最適な解決策をご提案いたします。

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事業承継M&Aとは?

事業承継M&Aとは、後継者がいない企業が、自社の事業を第三者の企業に売却し、経営を引き継いでもらう手法です。

ただの企業売買ではなく、長年培ってきた「技術・ノウハウ・従業員」など、企業が持つ価値全体を将来に受け継ぐための、包括的なプロセスです。

近年ではこの「事業承継型M&A」の件数が急速に増加しています。

このような動きの背景には、中小企業経営者の高齢化と、深刻な後継者不足の問題があります。

事業承継M&Aは、こうした社会的課題に対応する有効な手段として、ますます注目を集めています。

2025年問題の深刻化

帝国データバンクの調査によると、いわゆる「2025年問題」が現実となりつつあり、70歳以上の中小企業・小規模事業者の経営者が全体の約25%を占めるまでに高齢化が進んでいます。

さらに、そのうちの約半数は後継者が決まっていないという深刻な実態が明らかになっています。

この問題を放置した場合、膨大な雇用の喪失と深刻なGDP減少の可能性があるとされています。

こうしたリスクを回避するための現実的な手段として、M&Aによる事業承継が今、大きな注目を集めています。

M&Aの浸透

かつては、M&A(企業の合併・買収)は大企業だけのものと考えられていました。

しかし現在では、中小企業においても一般的な選択肢となっており、年間4,000件程度のM&Aが成立していると推計されています。

このように、M&Aは中小企業にとっても事業承継を実現する有力な手段として広く浸透しつつあります。

 

事業承継M&Aの主要な手法

事業承継M&Aにはいくつかの手法があり、どれを選ぶかは企業の状況や目的によって最適なものが異なります。

それぞれの特徴を理解することが、スムーズな事業承継の第一歩となります。

ここでは、代表的な3つの手法についてわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

株式譲渡による承継

株式譲渡とは、経営者が保有している株式を買い手企業に譲り渡すことで、経営権を引き継ぐ手法です。

この方法の大きな特徴は、会社自体の法人格がそのまま残る点にあります。

つまり、従業員との雇用契約や、取引先との契約も変更することなく自動的に引き継がれるため、事業運営に大きな混乱を招くことなく承継が行えます。

手続きも比較的シンプルで負担が少ないことから、中小企業における事業承継M&Aでは最も多く利用されている方法です。

関連記事|債務超過企業の株式譲渡が実質0円や1円になる理由は?成功のポイントもご紹介

事業譲渡による承継

事業譲渡とは、会社の事業の全部または一部(特定の部門や資産など)を買い手企業に引き継ぐ手法です。

この方法では、従業員や取引先、顧客との契約を個別に移す必要があり、あらためて承諾を得たり契約書を締結したりする手続きが求められます。

また、許認可も自動的には引き継がれないため、必要に応じて新たに申請を行う必要があります。

手続きはやや煩雑ですが、その一方で、譲渡する事業の範囲を自由に選べるという大きなメリットもあります。

不要な事業や負債を除いて承継することができるため、柔軟なスキーム設計が可能です。

合併による承継

合併を通じた事業承継には、「新設合併」と「吸収合併」の2つの方法があります。

  • 新設合併
    関係するすべての会社がいったん解散し、新たに新会社を設立して、そこで事業を引き継ぐ方法です。対等な関係で新しいスタートを切りたい場合に用いられます。
  • 吸収合併
    一方の会社が存続し、もう一方の会社が解散するかたちで、その資産・負債・契約などすべての権利義務を引き継ぐ方法です。

これらの手法は、特に規模の大きな統合や再編を伴うケースで選ばれることが多いのが特徴です。

 

事業承継M&Aのメリットとデメリット

事業承継M&Aは、多くの利点がある一方で、あらかじめ理解しておくべきデメリットやリスクも存在します。

ここでは、事業承継M&Aの「メリット」と「デメリット」について、それぞれわかりやすく解説します。

実施を検討する際の判断材料として、ぜひ参考にしてください。

メリット①幅広い選択肢からの後継者選定

親族や社内の従業員に適任の後継者がいない場合でも、M&A仲介会社の幅広いネットワークを活用することで、全国から最適な承継先を探すことができます。

地域や業種の枠を超えて候補を選べるため、自社との相乗効果(シナジー)が期待できる企業に引き継ぐことも可能です。

これにより、事業のさらなる成長や新たな展開にもつながるチャンスが広がります。

メリット②従業員雇用の維持と安定化

廃業を選んだ場合、従業員が職を失うリスクが高くなります。

しかし、M&Aによって事業を他社に引き継げば、従業員の雇用が維持される可能性が高まります。

中小企業庁のデータでは、M&Aを実施した企業のうち、譲渡後も従業員の8割以上が引き続き雇用されているというデータが報告されています。

メリット③事業拡大と成長機会の創出

M&Aによる事業承継では、買い手企業の資金力や経営ノウハウを活用できるため、自社だけでは難しかった事業拡大や設備投資が実現しやすくなります。

さらに、買い手企業の知名度やブランド力(いわゆる“ネームバリュー”)により、優秀な人材を採用しやすくなるといったメリットもあります。

M&Aは、単なる承継にとどまらず、企業の成長戦略としても有効な手段なのです。

メリット④創業者利益の確保

M&Aによる事業承継では、適切な企業価値評価(バリュエーション)に基づいて、事業の売却対価を得ることができるため、創業者としての利益をしっかり確保することができます。

また、廃業を選んだ場合に発生する可能性のある債務整理や資産処分などのリスクを避けられるため、経済的な安定を図る上でも有利な選択肢と言えるでしょう。

デメリット①理想的な承継先の発見困難性

M&Aでは多くの候補企業の中から相手を選べるというメリットがある一方で、必ずしも自社の価値観や経営理念に合う理想的な承継先が見つかるとは限りません。

実際には、時間をかけて相手を探しても、最終的に適切な買い手に出会えないケースもあります。

そのため、早めに準備を始め、専門家の支援を受けながら進めることが重要です。

デメリット②条件交渉の複雑性

M&Aでは、売り手と買い手の双方が合意することで条件が決まるため、必ずしも自分の希望どおりの条件で成約できるとは限りません。

たとえば、売却価格や従業員の雇用条件、経営方針などについて、調整や妥協が必要になる場面も多くあります。

そのため、あらかじめ優先順位を整理し、譲れないポイントと柔軟に対応できる部分を明確にしておくことが大切です。

デメリット③企業文化の変化リスク

第三者に事業を引き継ぐ場合、これまで大切にしてきた経営理念や企業文化が変わる可能性があります。

その結果、社内の雰囲気が変化したり、従業員が不安を感じて戸惑うケースや、離職につながるリスクも考えられます。

M&Aを成功させるには、従業員への丁寧な説明信頼関係の維持も重要なポイントとなります。

 

事業承継M&A成功のための重要ポイント5つ

事業承継M&Aを円滑に進め、成功へと導くためには、戦略的な視点と事前の準備が欠かせません。

ここでは、事業承継を成功させるために特に重要な5つのポイントに絞って、わかりやすくご紹介します。

M&Aを検討する際の参考にしてください。

1.企業価値向上への取り組み

M&Aがうまくいくかどうかは、買い手企業から見た「自社の魅力度」に大きく左右されます。

事業の価値には、売上や利益といった数字だけでなく、特許・商標権・技術力・ノウハウなどの無形資産も含まれます。

そのため、自社の強みを明確にし、企業価値を高める取り組みが非常に重要です。

魅力ある企業として評価されることで、より良い条件でのM&A成約につながります。

2.適切なタイミングの選択

事業承継M&Aを円滑に進めるには、一般的に5〜10年程度の準備期間が必要とされています。

実施のタイミングを判断する際は、以下の3つのポイントを総合的に検討することが重要です。

  • 経営者の年齢や健康状態
  • 業界や経済の市場環境
  • 会社の業績や財務状況

これらを踏まえたうえで、最も良いタイミングを見極めて行動することが、成功への近道となります。

3.専門家チームの活用

M&Aのプロセスには、法務・税務・財務など幅広い分野の専門知識が必要となるため、自社だけで対応するのは非常に難しいのが実情です。

そのため、弁護士・税理士・公認会計士・M&Aアドバイザーなどの専門家でチームを組み、適切なサポートを受けながら進めることが大切です。

信頼できる専門家の力を借りることで、リスクを最小限に抑えながら、安心してM&Aを進めることができます。

ジーケーパートナーズは、中小企業活性化協議会の外部専門家としての豊富な実績をもとに、「私的整理に関するガイドライン」を活用した再生スキームとM&Aを組み合わせた事業承継支援を得意としています。

たとえ債務超過であっても、事業の価値を見極め、最適な承継方法を見つけることは可能です。

当社では、財務・事業デューデリジェンスから事業再生計画の策定、スポンサー(買い手企業)探し、M&A成約まで、専門家がサポートいたします。

現在、無料の個別相談会を開催中です。状況に応じた最適な事業承継プランをご提案しますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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4.情報管理の徹底

M&Aに関する情報が外部に漏れると、取引先や従業員に不安を与えたり、交渉が破談になる原因となることがあります。

そのため、情報の取り扱いには細心の注意が必要です。

社内での情報共有も、経営陣などごく限られた信頼できる人物にとどめ、あわせて、買い手企業や関係者との間で秘密保持契約(NDA)を締結するなど、適切な管理体制を整えることが大切です。

5.PMI(統合後プロセス)の重視

M&Aが成立した後の統合プロセスPMI:PostMergerIntegration)は、事業承継の成功において非常に重要な要素です。

新しい体制のもとで事業を円滑に引き継ぎ、想定していたシナジー(相乗効果)を実現するためには、入念な準備が不可欠です。

そのため、M&Aの実行前、デューデリジェンス(事前調査)の段階から、PMIに必要な情報を収集し、統合後の計画を立てておくことが強く推奨されます。

 

まとめ

事業承継M&Aは、深刻化する後継者不足の解決策として、今や多くの中小企業で活用されている重要な手法です。

いわゆる「2025年問題」により、多くの中小企業経営者が事業承継の決断を迫られる中、第三者への事業売却は企業を存続・発展させるための有力な選択肢となっています。

手法には「株式譲渡」「事業譲渡」「合併」などがあり、企業の状況や目的に応じて柔軟に選べる点も、事業承継M&Aの大きな特徴です。

2025年問題の本格化が迫る今、早期からの準備と戦略的な取り組みが、スムーズな承継と次世代への確実なバトンタッチの鍵となります。

事業承継に関してお困りの際は、数多くの支援実績を持つジーケーパートナーズが全力でサポートいたします。

貴社の状況に合わせて、最適な承継戦略をご提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

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事業承継とは?基本的な仕組みから成功のポイントまで徹底解説

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事業承継とは、現在の経営者が築き上げた会社や事業を、次の世代へと引き継ぐための重要なプロセスです。

近年、日本では中小企業の経営者の高齢化が進んでおり、事業承継は企業の将来を左右する避けては通れない課題となっています。

事業を継続・発展させていくためには、早めの準備と計画的な対応が不可欠です。

本記事では、事業承継の基本的な考え方から、具体的な進め方成功のポイントまでを分かりやすく解説します。

これから事業承継を考えている方にとって、実践的なヒントが得られる内容となっています。

ぜひご参考にしてください。

ジーケーパートナーズは一般的なM&A仲介会社では対応が難しいような複雑な案件についても、これまで数多くの実績をもとに、最適な解決策へと導いてきました。

「誰に相談したらよいか分からない」「借入金や債務の整理も含めて事業承継したい」といったお悩みをお持ちの方は、まずは無料の個別相談会をご利用ください。

専門家が丁寧にお話をうかがい、最適な方向性をご提案いたします。

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事業承継とは?

事業承継とは、経営者が自身の事業を後継者に引き継ぐことを指します。

ただ経営権を譲るだけではなく、長年にわたって築き上げてきた技術、ノウハウ、そして従業員など、企業の重要な資産全体を引き継ぐ、総合的なプロセスです。

事業承継で引き継がれる主な要素は、以下の3つに分けられます。

経営要素 主な内容 重要なポイント
経営権 ・社長の役割

・経営権

・意思決定権

・経営責任

・後継者の選定・育成

・リーダーシップの継承

・経営判断能力の移転

経営資源 ・経営理念

・会社の信用力

・ブランド

・独自のノウハウ

・技術

・人材

・人脈

・企業文化の継承

・無形資産の価値保持

・取引先との関係維持

・従業員の定着

物的資源 ・自社株式

・土地・建物

・設備

・運転資金

・個人の資産

・株式の適切な評価

・税務対策

・資金調達計画

・資産の整理・分離

これら3つの要素は相互に深く関係しており、どれか一つでも欠けると承継後の経営に支障をきたす可能性があります。

したがって、それぞれをバランスよく引き継ぐことが、事業承継を成功させるための重要なポイントです。

事業継承の重要性

帝国データバンクが実施した「100年経営企業」に関するアンケート調査によると、100年以上にわたって事業を継続できた理由として、企業からは以下のような回答が寄せられています。

  • 取引先や顧客との信頼関係を築いてきた(73.8%)
  • 時代に合わせて事業内容や構成を柔軟に変えてきた(64.4%)

これらの結果から分かるのは、時代の変化に対応しながらも、顧客との信頼関係を大切にしてきた企業こそが、長く続いているということです。

つまり、企業の持続的な成長には、柔軟な変化と信頼の積み重ねが不可欠であり、これを次世代にしっかりと引き継ぐ事業承継の重要性を裏付けるデータと言えるでしょう。

2025年問題の深刻性

帝国データバンクの調査によると、いわゆる「2025年問題」が現実となりつつあり、70歳以上の中小企業・小規模事業者の経営者が全体の約25%を占めるまでに高齢化が進んでいます。

さらに、そのうちの約半数は後継者が決まっていないという深刻な実態が明らかになっています。

このまま適切な対応を取らなければ、たとえ利益を上げている企業であっても、後継者不在のために廃業を余儀なくされる「黒字廃業」が全国で多数発生する恐れがあります。

この問題を放置すると、次のような深刻な影響が生じる可能性があります。

  • 雇用の喪失
  • 長年培われた技術やノウハウの消失
  • 地域経済の縮小と、日本経済全体の衰退

つまり、事業承継は一企業の問題にとどまらず、日本全体の雇用・経済・社会基盤に直結する重要な課題なのです。

 

事業承継の種類と特徴

現代の事業承継は、承継先のタイプによって大きく3つのパターンに分けられます。

それぞれにメリットと課題があり、状況に応じた選択が求められます。

注目すべき近年の傾向としては、これまで主流だった家族(親族)への承継が減少し、代わって社外の第三者への事業売却M&Aなど)が急速に増えている点が挙げられます。

このような背景を踏まえ、以下ではそれぞれの承継パターンの特徴とポイントを詳しく解説します。

自社にとって最適な承継方法を見つける参考にしてください。

親族内事業承継

家族や親戚への事業引き継ぎは、日本の企業において長年採用されてきたもっとも伝統的な事業承継の形です。

この方法のメリットは、企業の理念や社風などの「見えない資産」が自然と受け継がれやすく、取引先や従業員など社外の関係者にも安心感を与えやすいという点にあります。

一方で、後継者を選ぶ際には慎重な判断が求められます。

特に、以下のような資質を備えているかが重要なポイントです。

  • 事業運営に対する強い意志と責任感
  • 会社の価値観や理念との相性
  • 実務をこなすためのスキル・経験
  • 社内外からの信頼や人望

また、税務面では「事業承継税制」の要件が緩和されており、相続や贈与にかかる税負担が大きく軽減されています。

ただし、複数の相続候補者がいる場合は注意が必要です。将来のトラブルを防ぐためにも、早い段階での話し合いや関係者間の合意形成が不可欠となります。

親族外事業承継(従業員承継)

近年、社内の幹部や従業員に事業を引き継ぐ「従業員承継」が増えてきています。

現場を熟知している人材が経営を引き継ぐため、業務の流れや企業文化がスムーズに受け継がれやすく、事業の継続性を確保しやすいというメリットがあります。

また、2022年に更新された政府ガイドラインでは、従業員承継に関する具体的な進め方や注意点が詳しく紹介されており、実務面での支援体制も整ってきています。

ただし、この方法にも以下のような注意点があります。

  • 経営権を取得するための資金調達
  • 後継者候補に経営者としての資質があるかの見極め

これらについては、慎重な計画と十分な準備が必要です。

M&Aによる事業承継

第三者企業への事業売却、いわゆるM&A(企業の合併・買収)は、2010年代以降に大きく増加しています。

この背景には、深刻化する後継者不足と、政府によるM&A支援制度の整備・強化があり、多くの中小企業にとって現実的な選択肢となりつつあります。

第三者への売却には、次のようなメリットがあります。

  • 適切な買い手を見つければ、事業のさらなる成長が期待できる
  • 創業者が売却益(対価)を得ることができる

一方で、以下のような課題もあるため、慎重な準備と判断が必要です。

  • 企業文化の違いによる摩擦
  • 従業員の雇用条件や役職の変更などへの対応

そのため、売却先の企業選びが極めて重要です。ただ売却するだけでなく、「誰に引き継ぐか」が事業の将来を左右します。

関連記事|事業承継M&Aとは?メリット・デメリットから成功のポイントまで徹底解説

ジーケーパートナーズは、中小企業活性化協議会の外部専門家として多数の実績を持つコンサルティング企業です。

「後継者がいない」「債務を抱えていて承継が難しい」といったお悩みに対しても、企業の状況に合わせた最適な解決策をご提案いたします。

まずは、無料個別相談会でお気軽にご相談ください。専門スタッフが丁寧にサポートいたします。

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事業承継成功のための7つのポイント

事業承継を円滑に進めるためには、行き当たりばったりではなく、戦略的に計画を立てて取り組むことが重要です。

ここでは、事業承継を成功へ導くために押さえておくべき重要なポイントをわかりやすく解説します。

ぜひ参考にしてください。

長期計画での準備

事業承継は、短期間で終わるものではありません。

中小企業庁のガイドラインでも、後継者の育成を含めて5〜10年程度の準備が必要とされています。

その理由は、以下のように多くのステップと時間を要するからです。

  • 後継者の選定と育成
  • 経営に必要な知識やスキルの習得
  • 社内外の関係者への周知・理解促進
  • 相続・贈与・登記などの各種手続き

特に、親族や従業員への承継では、経営者としての資質を身につけるための教育や、企業文化の継承に時間がかかるのが現実です。

多くの経営者が70代を迎え、事業承継が本格化する時期に入っています。

後継者不在による廃業の増加を防ぐためにも、計画的な事業承継に早期から取り組むことが、企業の存続と発展にとって不可欠です。

後継者の選定と育成

後継者の選定では、経営者としての資質と意欲を慎重に見極めることが不可欠です。

まずは、企業が求める理想のリーダー像(人物像)を明確にすることから始めましょう。

その上で、社内人材の評価や適性検査を行い、候補者の能力や性格を多角的に把握します。

さらに、メンター制度の導入により、候補者の価値観や意欲をじっくりと理解し、経営に向けた意識づくりを促すことも効果的です。

後継者が決定した後は、段階的かつ実践的な育成プログラムの実施が重要です。

具体的には下記のような育成方法があげられます。

  • 複数の部署を経験させることで、会社全体の流れを把握させる
  • 現経営者と行動をともにし、経営判断や意思決定のプロセスを肌で学ばせる
  • 外部の経営セミナーへの参加や、他社での実務経験(出向など)を通じて視野を広げる

このように、実践の中で学ばせる機会を意識的に設けることが、次世代経営者としての成長を大きく後押しします。

資金繰り対策と最新税制の活用

事業承継には、相続税や贈与税、各種手数料など多額の費用がかかるため、事前の資金計画がとても重要です。

こうした中、2025年4月1日以降の贈与から、事業承継税制の要件がさらに緩和され、制度の利用がこれまで以上にしやすくなりました。

  • 法人版(非上場株式等)の変更点

これまでは、株式を贈与される側が「3年以上継続して役員であること」が要件でしたが、改正により「贈与時に役員に就任していること」でよくなりました。これにより、承継までの準備期間が短い場合でも、制度を活用しやすくなっています。

  • 個人版(個人事業主)の変更点

新たに個人事業主向けの贈与税・相続税の納税猶予制度が創設されました。これにより、特定の事業用資産(不動産など)を承継する際の税負担が軽減されます。

これにより、制度の利用がしやすくなり、承継時の税負担を大幅に抑えることが可能となっています。

なお、制度の適用期限は以下の通りです。

  • 法人版:2027年12月末まで
  • 個人版:2028年12月末まで

この制度を有効に活用するためには、早めの資金計画の立案と、専門家による税務アドバイスが不可欠です。制度の詳細や適用条件は複雑なため、必ず専門家に相談しながら進めるようにしましょう。

経営権分散対策

経営権が複数の相続人に分散すると、企業運営に深刻な影響を与える可能性があります。

意思決定のスピードが遅くなる、経営方針をめぐって意見が対立するなど、組織の統一感が失われやすくなります。

こうしたトラブルを避けるためには、経営権を一人の後継者に集中させる仕組みづくりが重要です。

主な対策は下記のとおりです。

  • 遺言書を作成し、後継者と財産の分配を明確にしておくこと
    →これにより、事業に必要な資産(例:株式や事業用資産)の分散を防ぎ、混乱を回避できます。
  • 株式を事前に集約しておくこと
    →後継者が会社の意思決定に必要な議決権をあらかじめ確保できるようにします。
  • 議決権の整理・調整
    →たとえば、種類株の活用などで、経営上の主導権を明確にする方法もあります。

これらの対策を早めに講じておくことで、事業承継後の経営の安定性が格段に高まります。

専門家への相談

事業承継を円滑に進めるには、法務・税務・財務などの高度な専門知識が求められます。

しかし、多くの経営者にとって事業承継は初めての経験であり、これらの知識を十分に備えているとは限りません。

そのため、次のような専門家のサポートを受けながら進めることが重要です。

  • 法的手続きや契約関係は→弁護士
  • 相続税や贈与税などの税務対応は→税理士
  • 財務状況の分析や資金計画は→公認会計士
  • 承継戦略や事業再構築の支援は→中小企業診断士

事業承継にはさまざまな課題があり、経営者一人で対応するのは非常に困難です。

信頼できる専門家と連携することで、適切な判断やスムーズな手続きを実現でき、事業承継の成功につながります。

関連記事|M&Aの相談先・窓口・センターを徹底比較!無料相談の活用方法も解説

相続トラブル対策

事業承継を進めるうえで、相続をめぐるトラブルには十分な注意が必要です。

特に、承継の準備が整わないまま経営者が亡くなった場合、親族が急きょ後継者になるケースも少なくありません。

相続人が複数いる場合は、それぞれの思いや利害が絡みやすく、遺産分割や経営権をめぐって争いになる可能性もあります。

こうしたトラブルを避けるためには、次のような具体的な対策を事前に講じておくことが大切です。

  • 後継者の選定と意思の確認、遺言書による経営権の明確化
  • 自社株の評価額を適切に抑える工夫(例:株価対策や配当調整)
  • 株式の分散を防ぎ、後継者に集約する計画の策定
  • 取引先や金融機関との信頼関係を維持するための情報共有や説明

あらかじめ相続人や関係者の意向を整理し、承継後の経営が円滑に進むよう備えておくことが、企業の安定と存続につながります。

最新の事業承継ガイドライン活用

事業承継を進めるうえで、2022年3月に5年ぶりに改訂された事業承継ガイドライン(改訂第3版)の確認は非常に重要です。

この改訂では、特に以下の点が強化されています。

  • 従業員承継や第三者承継(M&A)に関する解説がより詳しくなった
  • 後継者の視点からの説明や実務的な内容が充実した

さらに、M&Aを活用した事業承継を検討している場合には、同時に策定された「中小PMIガイドライン」も参考になります。これは、M&A後の経営統合PMI:ポスト・マージャー・インテグレーション)に関する具体的な指針を示したものです。

これらの最新資料を活用することで、事業承継全体の流れを正しく把握し、準備や手続きをもれなく進めることが可能になります。

実務に入る前に、ぜひ一度目を通しておきましょう。

 

まとめ

事業承継とは、経営者がこれまで築き上げてきた事業を、次の世代へと引き継ぐための重要な取り組みです。

事業を確実に引き継ぐには、単に経営権を移すだけでなく、次の3つの要素を総合的に承継することが不可欠です。

  • 経営権(会社の意思決定を行う力)
  • 経営資源(人材、ノウハウ、取引先など)
  • 物的資産(設備や資金などの経営に必要な資産)

承継の方法には大きく分けて次の3つがあります。

  • 親族内承継(家族への引き継ぎ)
  • 親族外承継(社内の幹部や従業員への引き継ぎ)
  • M&A(第三者への事業売却)による承継

それぞれの方法には、異なる課題や注意点があり、適切な対策を講じることが必要です。

事業承継は、単なる世代交代ではありません。

企業の継続的な成長従業員の雇用を守るため、そして日本経済を支える中小企業が活力を保つためにも、非常に重要な取り組みです。

そのためには、早期からの準備と、戦略的なアプローチが欠かせません。

円滑な承継を実現し、次の世代へと安心してバトンを渡すために、今から行動を始めましょう。

事業承継に関してお困りのことがあれば、ぜひジーケーパートナーズにご相談ください。

私たちは、一般的なM&A仲介会社では対応が難しいような複雑なケースでも、企業再生や財務の専門知識を活かし、最適な解決策をご提案しています。

「どこに相談してよいかわからない」「後継者がいない」「借入や債務も含めて整理したい」といったお悩みにも、丁寧に耳を傾け、親身に対応いたします。

まずは、お気軽にご相談ください。あなたの大切な事業の未来を、一緒に考えましょう。

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M&Aにおける売却の価格目安は?計算方法や税金についても解説

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「会社を売却したいけれど、いくらで売れるのか分からない」「M&Aで売却した場合、どれくらい税金がかかるのだろう」

こうした悩みを抱えている経営者の方は少なくありません。

近年では、後継者不足や事業承継の問題を解決する手段として、あるいはさらなる企業成長を目指して、M&Aによる会社売却を選ぶケースが増えています。

しかし、M&Aには明確な「相場」が存在せず適正な売却価格を見極めるには専門的な知識が必要です。

また、税金の扱いについても正しく理解しておくことが重要です。

この記事では、M&A売却時の価格の目安やその計算方法、そして税金に関する基本的なポイントについて分かりやすく解説します。

ジーケーパートナーズは、債務超過業績不振に悩む企業のM&A支援を専門としています。

一般的なM&A仲介会社では対応が難しいような案件でも、積極的にご支援しています。

また、企業再生コンサルティングで培った豊富なノウハウを活かし、「私的整理に関するガイドライン」を活用した事業譲渡スキームや、再生型M&Aのご提案も可能です。

「M&Aで会社を売却したいけれど不安がある」「まずは話を聞いてみたい」とお考えの方は、ぜひ無料の個別相談会をご利用ください。

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M&A売却とは?

M&Aによる売却とは、会社やその事業の全部または一部を、他の企業や投資家に譲り、その見返りとして対価(売却代金)を受け取ることを指します。

主な方法には、「株式譲渡」と「事業譲渡」の2種類があります。

株式譲渡は、経営者などが保有している株式を第三者に売却し、会社の経営権を引き渡す方法です。

この手法では、会社の資産や負債、契約関係などがすべてそのまま引き継がれるため、特に中小企業のM&Aでよく使われています。

一方の事業譲渡は、会社全体ではなく、特定の事業や資産(たとえば工場、設備、技術、ブランドなど)だけを売却する方法です。

この場合、会社そのものの経営権は移りません。

M&Aによる売却は、事業承継や後継者不在の解決、創業者利益の確保、さらには企業の成長戦略の一環など、さまざまな目的で行われています。

関連記事|債務超過企業の株式譲渡が実質0円や1円になる理由は?成功のポイントもご紹介

 

M&A売却価格の相場と目安

M&Aによる会社売却には、株や不動産のような明確な「相場」はありませんが、中小企業の場合にはよく使われる価格の目安があります。

代表的な算定方法の一つが、

時価純資産額 + 営業利益の2〜5年分

という計算式です。

例えば、時価ベースでの純資産が7,000万円、年間の営業利益が3,000万円の会社の場合、営業利益の3年分(=9,000万円)を加えると、おおよその売却価格は約1億6,000万円 となります。

ただし、これはあくまで目安です。

実際の売却価格は次のような要素によって大きく変動します。

  • 収益力や将来の成長性
  • 技術力や独自性
  • 業界内でのポジション(市場シェア)
  • 顧客の数や質
  • 経営陣・従業員の体制 など

また、特に株式譲渡をともなう会社売却では、営業利益の3倍〜5倍程度で売却されるケースが一般的です。

最終的な価格は、売り手と買い手の交渉で決まるため、単なる計算式だけでは決められません。

実際に売却を進める際には、相場だけに頼らず、財務状況や将来性をふまえて、専門家に相談しながら進めることが成功のカギです。

 

M&A売却額の計算方法と価格算定

M&A売却額の計算には主に3つの手法が用いられます。

  • 時価純資産
  • 割引現在価値法(DCF法)
  • 類似会社比準法(マルチプル法)

時価純資産法は、会社が保有する資産を「時価(現在の市場価値)」で評価し、そこから負債を差し引いて、純資産額を算出する方法です。

中小企業では、これに営業利益の2〜5年分を上乗せする形で、売却価格を見積もるのが一般的です。

割引現在価値法(DCF法)は、将来にわたって企業が生み出すと予想される利益(キャッシュフロー)を、現在の価値に割り引いて企業価値を計算する方法です。

将来性を重視した評価ができるため、成長見込みのある企業の評価に適しています。

類似会社比準法(マルチプル法)は、同じ業種や規模の上場企業の株価や財務データ(たとえば利益倍率や売上倍率など)を参考にして、自社の価値を見積もる方法です。

市場と比較して客観的に評価したい場合に用いられます。

これらの評価手法は、あくまで目安です。

実際の売却価格は、これらの結果をもとに、売り手と買い手の交渉によって決定されます。

また、企業の収益力や将来の成長性、独自の技術力などの「定性的な要素」も価格に大きく影響する点に注意が必要です。

 

M&A売却にかかる税金

M&Aによる会社の売却では、「株式譲渡」と「事業譲渡」のどちらの方法を選ぶかによって、かかる税金の種類や金額が大きく変わります。

この章では、それぞれのケースでどのような税金が発生するのかを分かりやすく解説します。

M&Aを検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

株式譲渡の場合

株式譲渡では、個人株主と法人株主で税率が異なります。

個人が株式を売却して利益が出た場合、譲渡益に対して20.315%の税率がかかります。

内訳は以下のとおりです。

  • 所得税:15%
  • 復興特別所得税:0.315%
  • 住民税:5%

これらは「申告分離課税」と呼ばれ、給与など他の所得とは切り離して、別枠で税金が計算されるのが特徴です。

法人が株式を売却して利益が出た場合は、株式譲渡益も含めた全体の所得・損失と合算して、法人税が計算されます。

つまり、誰が株を売却するか(個人か法人か)によって、税金の計算方法や税率は大きく変わります

売却を検討する際は、税務面の影響もよく確認しておくことが大切です。

事業譲渡の場合

事業譲渡では、売り手側に法人税等と消費税の両方が課税されます。

法人税は、譲渡によって得た利益(=譲渡価格から、譲渡資産の簿価を差し引いた額)に対して課税されます。

譲渡する資産のうち、課税資産(例:建物、営業権(のれん)、在庫、特許権など)には、10%の消費税がかかります。

ただし、土地や債権などの非課税資産については、消費税の対象外です。

なお、消費税の納税義務は売り手側にありますが、実務上は買い手がその分を上乗せして支払うのが一般的です。

事業譲渡は、株式譲渡と比べると、税金の種類も多く、負担が重くなる傾向があります。

法人税と消費税を合算すると、相当な金額になる場合もあるため、売却前にしっかりと税務シミュレーションを行うことがとても重要です。

 

M&A売却を成功させるポイント

M&Aによる会社売却を成功させるためには、戦略的な進め方と十分な準備が欠かせません。

単に「会社を売りたい」という思いだけで動き出してしまうと、希望通りの価格で売却できなかったり、交渉がうまくいかないといったリスクが高まります。

納得のいく形でM&Aを成功させるためには、次の5つのポイントがとても重要です。

  • 売却のタイミングと事前準備を徹底する
  • 自社の強みや価値を明確にする
  • 専門家を活用し、情報管理を適切に行う
  • 透明性のある交渉と条件調整を行う
  • 成約後の引継ぎとフォローを丁寧に行う

次章では、それぞれのポイントについてさらに詳しく解説していきます。

M&A売却の成功に向けた第一歩として、ぜひご一読ください。

①売却のタイミングと事前準備を徹底する

M&Aによる会社売却では、「タイミング」が非常に重要です。

売る時期を誤ると想定よりも大幅に安くなることもあれば、逆に予想以上の高値で売却できる可能性もあります。

特に最適とされるタイミングは、業績が好調である一方、経営者のモチベーションが低下してきた時期です。

業績が落ち込む前、外部からの評価が高いうちに動くことが成功のポイントです。

また、売却をスムーズに進めるためには、以下のような事前準備が欠かせません。

  • 売却の意思や希望条件を明確にする
  • 財務・ビジネス情報の整理
  • 労務や取引契約の状況をチェック・整備
  • 潜在的なリスクや問題点の洗い出し

こうした準備が不十分なまま売却を進めてしまうと、交渉の途中で取引が中止になったり、トラブルが発生したりするリスクがあります。

M&Aを成功させるためには、タイミングの見極めと、戦略的な事前準備の両方をしっかり行うことが不可欠です。

②自社の強みや価値を明確にする

M&Aで会社を売却する際には、自社の強みや魅力を分かりやすく伝えることが非常に重要です。

買い手は、買収後の成長性や収益力を重視して投資判断を行います。そのため、他社にはない特徴や優位性を、具体的なデータや実績とともに提示することが求められます。

たとえば、次のようなポイントがアピール材料になります。

  • 独自の技術や特許を保有している
  • 業界内で高い市場シェアを持っている
  • 継続的に収益を生む安定した顧客基盤がある
  • 専門性の高い優秀な人材が揃っている

さらに、買い手にとってのシナジー効果(相乗効果)を明確に伝えることも大切です。

たとえば、「買い手の既存事業と統合することで収益が拡大する」「新しい市場に進出できる」といった具体的なメリットを示すことで、企業価値の評価が高まり、売却価格の向上も期待できます。

③専門家を活用し、情報管理を適切に行う

M&Aは、法律・会計・税務などの専門知識が求められ、手続きも複雑なため、M&A仲介会社などの専門機関のサポートが不可欠です。

専門家に依頼することで、

  • 企業価値の適正な評価
  • 交渉の進め方
  • 契約書の作成や調整
  • 税務・法務リスクへの対応

といった一連のプロセスをトータルでサポートしてもらうことができます。

また、M&Aを進めるうえで非常に重要なのが情報管理の徹底です。

M&Aの話が社内外に漏れてしまうと、

  • 社員が将来への不安から離職してしまう
  • 取引先との信頼関係が崩れ、契約を解除される

といった深刻な影響が出る可能性があります。

そのため、以下のような対策が不可欠です。

  • 秘密保持契約(NDA)の締結
  • 関係者への情報開示を最小限にとどめる
  • 資料へのアクセス権限を限定する
  • 関与する社員を最小限に絞る など

M&Aを成功させるには、プロの力を借りることと同時に、慎重で丁寧な情報管理を行うことが欠かせません。

ジーケーパートナーズでは、債務超過などの難しい案件にも対応可能なM&A支援を行っています。

一般的なM&A仲介会社では取り扱いが難しいケースでも、企業再生の専門知識と実績を活かし、最適な「再生型M&A」のご提案が可能です。

まずは、お気軽に無料の個別相談会をご利用ください。

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関連記事|M&Aの相談先・窓口・センターを徹底比較!無料相談の活用方法も解説

④透明性のある交渉と条件調整を行う

M&Aの交渉を成功させるには、誠実で透明性のある対応が何よりも大切です。

隠し事をせず、正確な情報を開示することが、相手との信頼関係を築く第一歩となります。

売り手側は、買い手からの質問に対して正直に答える姿勢を持ち、嘘や誇張を避けることが重要です。

一方、買い手側も、売り手を見下すような態度ではなく、謙虚かつ対等な立場で丁寧に交渉することが求められます。

また、スムーズな条件調整を行うためには、次のような準備が必要です。

  • あらかじめ「譲れない条件」と「柔軟に対応できる条件」を整理しておく
  • 相手企業の意向や事情も丁寧にくみ取りながら交渉を進める
  • 双方が納得できる「価格」と「条件」での着地を目指す

さらに、デューデリジェンス(買収前の調査)では、不利な情報も含めて正確に開示する姿勢が求められます。

あとから条件を追加したり、価格交渉をやり直したりすることは、信頼を損ね、取引が破談になる原因にもなります。

M&Aは、相手との信頼関係があってこそ成立する取引です。

誠実さと丁寧な準備が、交渉成功のカギとなります。

⑤成約後の引継ぎとフォローを丁寧に行う

M&Aが成約したあとも、スムーズな業務の引継ぎPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション:統合プロセス)への協力は、M&A成功の仕上げとして非常に重要です。

多くの場合、売り手側の経営者は成約後も一定期間「顧問」などの形で在任し、引継ぎ役を担うことになります。

この期間中に特に大切なのは、以下のような対応です。

  • 社員の不安や混乱を最小限に抑えること
  • 顧客や取引先との信頼関係を維持すること

また、社内外への丁寧なコミュニケーションも不可欠です。

統合後の方向性やビジョンをしっかりと伝えることで、関係者の理解と協力を得ることができます。

もし課題や問題が発生した場合も、前向きに対応する姿勢が、長期的な信頼構築につながります。

M&Aは「成約して終わり」ではありません。

その後の協力体制が整ってこそ、企業の持続的な成長と真の成功が実現されるのです。

 

まとめ

M&Aによる会社売却を成功させるには、適正な価格の算定と戦略的な進め方がとても重要です。

売却価格の目安としてよく使われるのが、「時価純資産額 + 営業利益の2〜5年分」という計算式です。

ただし、最終的な価格は、会社の将来性や独自の強み(技術力、ブランド力、顧客基盤など)によって大きく変動します。

また、価格の計算方法としては、以下のような評価手法があります。

  • 時価純資産法:会社の資産・負債を時価で評価
  • 割引現在価値法(DCF法):将来の利益を現在の価値に換算
  • 類似会社比較法(マルチプル法):同業他社や過去の取引事例の利益倍率(PER、EBITDA倍率など)を参考に評価

加えて、税金面の影響も売却戦略に大きく関わります。

  • 株式譲渡の場合:315%(所得税・住民税)の課税
  • 事業譲渡の場合:法人税等+消費税(10%)の課税

そのため、M&A売却を検討する際には、税務や法務に精通した専門家のアドバイスを受けながら、総合的な戦略を立てることが不可欠です。

 

ジーケーパートナーズは、債務超過や業績不振など、一般的なM&A仲介会社では対応が難しい案件にも専門的に対応しています。

これまでに培った企業再生コンサルティングの豊富な実績を活かし、「再生型M&A」や「私的整理に関するガイドライン」を活用した事業譲渡スキームのご提案も可能です。

「会社の将来に不安がある」「M&Aでの再建を検討したい」

そんなお悩みをお持ちの方は、まずはお気軽に無料個別相談会をご利用ください。

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M&A支援機関とは?M&A支援機関を利用するメリットをご紹介

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M&A支援機関登録制度は、中小企業が安心してM&Aに取り組める環境を整えるために、中小企業庁が令和3年8月に創設した公的な制度です。

この制度では、国が定めた一定の基準を満たしたM&A支援機関だけが登録される仕組みとなっており、中小企業の経営者は信頼できる支援機関を見分けやすくなりました。

本記事では、M&A支援機関登録制度の概要や仕組み、活用方法、支援機関ごとの特徴、そして登録支援機関を利用する具体的なメリットについて、分かりやすく解説します。

ジーケーパートナーズは、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に正式に登録された支援機関です。

私たちは、債務超過に悩む中小企業を専門に、M&Aによる再建や事業承継のご支援を行っています。

お一人おひとりの状況に応じた最適な解決策をご提案いたしますので、どうぞお気軽に無料個別相談会へご参加ください。

無料個別相談会のご予約はこちら

 

M&A支援機関登録制度とは?

M&A支援機関登録制度は、中小企業が安心してM&Aに取り組める環境を整えるために、中小企業庁が令和3年8月に創設した公的な制度です。

この制度では、M&A仲介業者や金融機関、士業などM&Aに関与する事業者(仲介、FAなどの役割を担う者)が中小企業庁のデータベースに登録され、一定の基準を満たした信頼性の高い機関のみが認定される仕組みとなっています。

背景には、近年M&A支援事業者の急増に伴い、サービス内容や品質にばらつきが見られるようになったことがありました。

登録支援機関には、中小M&Aガイドラインの遵守や料金表の公表などの要件を満たすことが求められており、それらの支援にかかる費用は「事業承継・引継ぎ補助金」の対象にもなります。

さらに、トラブルが発生した際の情報提供窓口も設けられており、中小企業が安心してM&Aを進められるよう支援する包括的な制度として機能しています。

 

M&A支援機関の種類と特徴

M&A支援機関登録制度には、さまざまな専門分野を持つ支援機関が登録されており、企業の状況や目的に応じて、最適な支援を選ぶことができます。

M&A支援機関の種類 特徴
M&A専門業者(M&A仲介会社・FA業務を行う事業者) 売り手と買い手のマッチングや条件交渉など、M&Aに関する実務を担う専門事業者。

仲介の場合は中立的立場で双方を支援し、FAの場合は依頼主側に立って助言・交渉支援を行う。

金融機関(銀行・信用金庫・信用組合)

 

買収資金の融資や専門的助言を提供し、中小企業のM&Aを支援する。
士業(公認会計士・税理士・弁護士)

 

財務・税務・法務の専門知識を活かし、契約書作成やデューデリジェンスをサポートする。

このあと、それぞれの支援機関の特徴や役割について詳しくご紹介します。

M&A専門業者(M&A仲介会社・FA)

M&A専門業者とは、企業の売却や買収に特化した専門的なサービスを提供する機関です。

その中でも、M&A仲介会社は、売り手と買い手の双方と契約を結び、中立的な立場でマッチングから成約まで一貫してサポートするのが特徴です。

一方で、FA(ファイナンシャル・アドバイザー)は、売り手または買い手のいずれか一方と契約し、契約した側の利益を最大化することを目的として支援を行います。

これらの専門業者は、豊富な実績と広いネットワークを活かして、企業価値の評価、買い手候補の選定、交渉や契約書作成の支援など、M&Aに必要なサービスを総合的に提供します。

特に中小企業のM&Aでは、仲介方式が多く採用されており、友好的な取引の実現を重視したサポートが行われる傾向にあります。

ジーケーパートナーズが運営する「Reset M&A」は、「債務超過企業」に特化した先駆的なM&Aプラットフォームです。

通常のM&Aプラットフォームでは対応が難しい債務超過案件に特化しており、売り手・買い手のどちらも利用料は完全無料でご利用いただけます。

関連記事|M&A仲介会社の選び方!FAとの違いやトラブルの回避方法を徹底解説

金融機関(銀行・信用金庫・信用組合)

金融機関は、自社の顧客ネットワークや金融サービスを活かして、M&A支援を行っています。

中でも、地方銀行や信用金庫は地域に根ざした取引を長年行ってきた実績があり、企業の実情を深く理解しているため、適切な買い手や売り手の紹介が可能です。

また、M&Aの実行にあたっては、買収資金の融資や、売却代金の運用に関するアドバイスなど、金融面での総合的なサポートを提供できる点が大きな強みです。

近年では、M&A専門の部署を設置し、他の専門機関と連携しながらサービスを展開する金融機関も増えています。

特に中小企業にとっては、日頃から取引のある金融機関に相談できる安心感があり、初回相談のハードルが低いというメリットがあります。

士業専門家(公認会計士・税理士・弁護士・中小企業診断士)

士業専門家は、それぞれの専門分野における高度な知識と経験を活かし、M&Aにおいて重要な役割を担っています。

たとえば、公認会計士は、財務デューデリジェンスや企業価値の評価に強みを持ち、財務諸表の分析や会計処理の妥当性の確認などを通じて、M&Aの信頼性を高めます。

税理士は、税務デューデリジェンスやM&A後の税務処理を中心に支援を行い、税務リスクの把握や、節税を考慮した最適な取引スキームの提案を行います。

弁護士は、法務デューデリジェンスや契約書の作成・確認を担当し、法的リスクの特定や契約内容の調整・交渉の支援を行います。

そして、中小企業診断士は、経営全体の視点からM&A戦略の立案や、事業の整理・分析を行い、経営者の意思決定を支えるコンサルティング的な役割を果たします。特に、事業承継や再編に伴う課題の整理や、M&A後の統合支援(PMI)などにおいて力を発揮します。

これらの士業専門家は、M&A仲介会社やFAと連携してチームを組むことも多く、企業に対して高い専門性を活かした総合的な支援を提供しています。

 

M&A支援機関を利用する5つのメリット

M&A支援機関登録制度に登録された支援機関を活用することで、中小企業は安心して、かつ効率的にM&Aを進めることができます。

このあとの章では、登録機関を利用することで得られる5つの具体的なメリットについて、わかりやすく解説します。ぜひご参考ください。

1. 事業承継・引継ぎ補助金の対象となり費用負担を軽減できる

M&A支援機関登録制度の最大のメリットは、登録された支援機関を利用した場合、その費用が「事業承継・引継ぎ補助金」の対象になる点です。

補助の対象となるのは、事前に登録された支援機関が提供するM&A仲介やファイナンシャル・アドバイザー(FA)契約に関する手数料に限られます

この補助金制度により、M&A実行時に発生する高額な専門家費用の一部を国が負担してくれるため、費用面の負担を大きく軽減できるのが特徴です。

特に、資金に余裕のない中小企業にとっては、こうした経済的支援がM&Aの実行を後押しする重要な要素となっています。

関連記事|事業承継とは?基本的な仕組みから成功のポイントまで徹底解説

2. 中小M&Aガイドライン遵守による信頼性と透明性を確保できる

登録機関は「中小M&Aガイドライン」の遵守を宣言し、料金表の提出が義務付けられているため、サービスの信頼性と透明性がしっかりと確保されています。

そのため、不透明な手数料体系や質の低いサービスを心配することなく、経営者は安心して支援を受けることができます。

また、登録時には厳格な審査を通過した機関のみが認定されているため、悪質な業者に騙されるリスクも大幅に減らせます

さらに、料金表が公開されていることで、事前に費用の目安を把握でき、予算の見通しも立てやすくなります。

こうした高い透明性は、「M&Aは不安」という中小企業経営者の心理的なハードルを下げる効果もあり、M&A市場全体の健全な発展につながっています。

3. 登録機関データベースによる効率的な支援機関を選定できる

中小企業庁が提供する「登録機関データベース」を活用すれば、希望の条件を指定して支援機関を一覧表示でき、効率よく最適な機関を選ぶことができます。

このデータベースでは、地域、専門分野、サービス内容などの条件で絞り込み検索が可能で、自社のニーズに最も合った支援機関を簡単に見つけられるのが特徴です。

従来のように複数の業者へ個別に問い合わせる必要がなくなるため、時間と手間を大幅に削減できます。

また、各登録機関の基本情報や得意分野が明確に記載されているため、比較・検討がしやすく、選定の判断材料もそろっています。

このように、効率的な選定プロセスにより、M&Aの検討初期段階から信頼できるパートナーを見つけることができ、プロジェクト全体の成功率アップにもつながります。

出典:登録期間データベース|M&A支援機関登録制度|中小企業

4. トラブル発生時の相談窓口による安心サポート体制

M&A支援機関登録制度では、万が一トラブルが発生した場合に備えて、情報提供・相談窓口が設けられており、中小企業が安心してM&Aに取り組める体制が整えられています。

この相談窓口では、登録支援機関との間で生じたトラブルに関する相談を受け付け、適切な解決策の提案や必要に応じた指導を行うことが特徴です。

M&Aは、プロセスが複雑で期間も長くなりがちなため、さまざまな問題が起こる可能性がありますが、公的な相談窓口を利用することで、不安を軽減しながら取引を進めることができます。

また、登録機関側も相談窓口の存在を意識することで、より質の高いサービス提供に努めるようになり、業界全体の健全化や信頼性向上にもつながっています。

 

まとめ

M&A支援機関登録制度は、中小企業が安心してM&Aに取り組めるよう、中小企業庁が整備した重要な公的制度です。

この制度を通じて登録された支援機関を利用すれば、費用負担の軽減や信頼性の高いサポートが受けられるなど、さまざまなメリットを享受できます。

また、多様な支援機関が登録されているため、自社の状況や目的に合わせて最適なパートナーを選べる点も大きな特長です。

 

ジーケーパートナーズでは、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に正式に登録された認定支援機関として、「中小M&Aガイドライン(第3版)」を遵守した信頼性の高いサービスを提供しています。

私たちは、企業再生に関する専門知識を活かし、一般的な支援機関では対応が難しい「債務超過企業」のM&Aにも、包括的な支援が可能です。

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M&A仲介会社の選び方!FAとの違いやトラブルの回避方法を徹底解説

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M&Aをする際には、トラブルや失敗を避けるためにも、信頼できるM&A仲介会社を選ぶことが非常に重要です。

しかし、M&A仲介会社にはさまざまなタイプがあり、どの会社を選べばよいのか迷われる経営者の方も多いのではないでしょうか。

特に近年では、M&A仲介会社との間で発生したトラブルの事例も報告されており、慎重な会社選びが、ますます求められています。

売り手と買い手の間に立って交渉をサポートする「仲介会社」と、売り手または買い手のどちらか一方の立場で助言を行う「FA(ファイナンシャルアドバイザー)」との違いを正しく理解することも、良い条件でM&Aを進めるための鍵となります。

本記事では、M&A仲介会社基本的な役割から、選定時に注目すべきポイント、よくあるトラブルの事例その回避策まで、経営者の皆さまが押さえておくべき重要な情報をわかりやすく解説しています。

ジーケーパートナーズは、一般的なM&A仲介会社では対応が難しい「債務超過」の企業売却について、企業再生に関する専門的な知識と経験を活かし、確かな支援を行っています。

「私的整理に関するガイドライン」を活用した事業譲渡スキームや、金融機関との交渉・調整を含めた総合的なサポートが可能です。

まずは、無料個別相談会にて、貴社の現状に合わせた最適な解決策をご提案いたします。

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M&A仲介とは?

M&A仲介とは、企業の売却や買収を進める際に、売り手と買い手の間に立ち、中立的な立場で取引の成立を支援する専門的なサービスです。

仲介会社は、M&Aの全プロセスを一貫してサポートします。

主な支援内容は以下の通りです。

  • 相手企業の選定(マッチング)
  • 企業価値の算定(バリュエーション)
  • 条件交渉の調整
  • デューデリジェンス(買収監査)の支援
  • 契約書作成のサポート

特に中小企業の場合、M&Aを経営者ご自身だけで進めるのは難しいため、専門知識と豊富な経験を持つM&A仲介会社を活用するのが一般的です。

多くの仲介会社は、売り手と買い手の双方から手数料を受け取る「両手取引」を行っています。

そのため、表向きには中立的な立場を取っていますが、両手取引により「成約を優先するインセンティブ」が働くため、結果的に売り手・買い手のいずれか一方の利益が損なわれるケースも見受けられます。

こうした動きは、後述する最近の仲介会社に関するトラブルへの対応として広がっている傾向があります。

 

M&A仲介会社の選び方

M&Aを成功させるためには、どの仲介会社を選ぶかが非常に重要です。

適切な仲介会社を選べば、スムーズな交渉の進行や、より有利な条件での成約が期待できます。

仲介会社を選ぶ際に押さえておきたい主なポイントは、以下の4つです。

  • 取引案件の規模・業種・実績を確認する
  • 報酬体系・手数料の透明性をチェックする
  • 契約形態とサポート体制を確認する
  • 情報管理体制をチェックし信頼性を確認する

このあと、各ポイントについてさらに詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

関連記事|M&Aの相談先・窓口・センターを徹底比較!無料相談の活用方法も解説

取引案件の規模・業種・実績を確認する

M&A仲介会社には、大きく分けて以下の2つのタイプがあります。

  • 総合型:あらゆる業種・業界の案件に対応する仲介会社
  • 専門型:特定の業界に特化し、その分野での豊富な知見を持つ仲介会社

仲介会社を選ぶ際には、自社の企業規模や業種と、仲介会社が得意とする案件の規模・業界がマッチしているかどうかを確認することが重要です。

規模や分野が合っていない場合、十分なサポートが受けられない、あるいは優先度が低くなるといったリスクもあります。

また、以下の点も必ず確認しておきましょう。

  • 過去の成約実績(件数・規模・業種)
  • 自社と類似する案件の取り扱い経験

業界特有の課題への理解や対応力があるかどうか。

これらのポイントを押さえることで、自社に最適なM&A仲介会社を見極めることができます。

報酬体系・手数料の透明性をチェックする

M&A仲介会社の報酬体系はやや複雑で、以下のような複数の費用が発生する場合があります。

  • 着手金:契約時に発生する費用
  • 中間金:基本合意締結時など、M&Aプロセスの途中で発生する費用
  • 成功報酬:最終契約が成立した場合に支払う成果報酬
  • 月額報酬:サポート期間中に毎月発生する報酬
  • 成功報酬の相場と計算方式

成功報酬は、一般的に「レーマン方式」で算出されます。

たとえば、

  • 取引額5億円以下:5%
  • 5億円超〜10億円以下:4%

と段階的に料率が下がる仕組みです。

また、多くの仲介会社では「最低報酬額」が設定されており、小規模なM&Aであっても一定額の費用負担が発生する点には注意が必要です。

報酬計算の基準が、

  • 株式価額ベースか
  • 移動総資産(負債を含む資産)ベースか

によっても、金額が大きく変わることがあります。

さらに、追加費用の条件や支払いタイミングについても、契約前にしっかり説明を受け、納得した上で契約することが大切です。

不明確な部分を丁寧に説明してくれる仲介会社を選ぶことで、後々のトラブルを避けやすくなります。

契約形態とサポート体制を確認する

M&A仲介会社と契約する際には、大きく分けて専任契約非専任契約(一般契約)の2つの契約形態があります。それぞれの違いは、以下の通りです。

契約体系 特徴
専任契約 1社のM&A仲介会社と独占的に契約
非専任契約 複数のM&A仲介会社と同時契約

また、交渉形式においても仲介方式とアドバイザリー方式の違いがあります。

  • 仲介方式(M&A仲介)

1社の仲介会社が売り手と買い手の間に立ち、双方の意見を調整しながら交渉を進めます。

特に中小企業のM&Aで多く採用されており、友好的な成約を目指すケースに向いています。

  • アドバイザリー方式(FA方式)

売り手・買い手がそれぞれ別のM&A専門会社(FA:ファイナンシャル・アドバイザー)と契約し、それぞれの立場から助言・交渉を行います。

利害対立の整理や価格交渉に強いスタイルで、より戦略的な取引に適しています。

仲介会社を選ぶ際は、以下の点についても事前に確認しておくことが重要です。

  • デューデリジェンス(買収監査)やPMI(統合後支援)への対応範囲
  • 法務・会計・税務などの専門家が社内に在籍しているか
  • 一気通貫でサポートしてもらえる体制が整っているか

これらを踏まえて総合的に判断することで、安心してM&Aを進めることができます。

関連記事|M&Aアドバイザリー会社とは?業務内容や契約書についても徹底解説

情報管理体制をチェックし信頼性を確認する

M&Aにおける情報漏洩は、取引の破談インサイダー取引など、重大なトラブルに発展するリスクがあります。

そのため、情報管理体制がしっかり整った仲介会社を選ぶことは非常に重要です。

トラブルを防ぐためには、以下のような点を事前に確認しておきましょう。

  • 情報開示の範囲が明確に決められているか
  • 段階的に情報を開示する仕組み(ステップ開示)があるか
  • 守秘義務契約(NDA)の徹底や運用ルールが明確かどうか

情報管理以外にも、以下のような点も信頼性を判断するうえで重要です。

  • 担当者との相性や対応の丁寧さ
  • 交渉力や問題解決力
  • 買い手・売り手ネットワークの豊富さ
  • これまでのマッチング実績や成功事例

事前相談を活用し、信頼できる業者を見極めるようにしましょう。

ジーケーパートナーズは、債務超過に特化した先駆的なM&AプラットフォームReset M&A」を運営し、一般的な仲介会社では対応困難な案件も支援しております。

企業再生の専門知識を活かした包括的なサポートをご提供いたします。

 

M&A仲介とFAの違い

M&Aを進める際の支援スタイルには、「M&A仲介」と「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)」の2つがあります。

この2つの最大の違いは、契約の相手(当事者)と立場(スタンス)にあります。

M&A仲介の特徴

  • 売り手・買い手の双方の立場を理解し、最適なマッチングを図りながら交渉をサポートします
  • 両者の利害を調整しながら、スムーズかつスピーディーなM&Aの成立を目指すスタイルです
  • 比較的短期間での成約が期待できますが、利益相反のリスクが伴う点には注意が必要です

FA(ファイナンシャル・アドバイザー)の特徴

  • 売り手または買い手のいずれか一方とだけ契約し、契約先の利益最大化を目的に交渉を進めます
  • 立場が明確なため、価格交渉や条件面での戦略的な支援が可能です
  • ただし、双方の主張がぶつかりやすく、交渉が長期化するリスクもあります

どちらを選ぶべきか?

中小企業のM&Aでは、スムーズな交渉スピードが重視されることから、仲介方式が選ばれることが多い傾向にあります。

一方で、大企業や複雑な条件交渉を伴う取引では、FA方式が一般的です。

それぞれの方式にはメリット・デメリットがあるため、自社の状況や目的に合った支援スタイルを選ぶことが大切です。

 

M&A仲介でよくあるトラブル事例

M&A仲介を利用した取引では、早期の成約を優先するあまり、十分な調査や情報開示が行われず、深刻なトラブルに発展するケースが少なくありません。

こうしたリスクを回避するためにも、過去に実際に発生した代表的なトラブル事例を知っておくことが大切です。

このあと、具体的な事例を詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

悪質な仲介会社による価格操作

一部の悪質なM&A仲介会社では、売り手企業の本来の価値を意図的に低く見せかけ、相場よりも大幅に安い価格で売却させる手法が報告されています。これは、いわば「価格操作」とも言える非常に悪質な行為です。

たとえば「売り手からは一切報酬をいただきません」といった営業トークで売り手の信頼を得たうえで、本来5億円の価値がある企業を2億円で売却させるようなケースも実際に発生しています。

このような手口では、仲介会社が買い手とは5億円で契約しておきながら、売り手に対しては「2億円以上で買ってくれる企業は見つかりませんでした」などと虚偽の説明を行い、売却を強引に成立させます。

その結果、本来売り手が得られるはずだった3億円の差額を、仲介会社が不当に利益として得る構造になっているのです。

このような被害を避けるためには、仲介会社の報酬体系や契約内容を事前に十分確認し、相場感や複数社の意見を比較検討する姿勢が不可欠です。

悪質な買い手への案件紹介

M&A仲介会社の中には、成約による仲介手数料を優先するあまり、買い手の資質や実態を十分に調査せずに案件を紹介するケースが後を絶ちません。

特に社会的に大きな問題となったのが、ルシアンホールディングス事件です。

この事件では、資金繰りに苦しむ悪質な買い手が、わずか2年間で37社を買収するという異常なペースでM&Aを繰り返していました。

それにもかかわらず、複数のM&A仲介会社が継続的に売却案件を紹介し続けていたのです。

背景には、以下のような構図がありました。

  • 仲介会社は、成約ごとに多額の手数料が得られるため、頻繁に買収を行う買い手を“上顧客”として扱っていた
  • 一方の買い手は、資金繰りをつなぐために次々と企業を買収し続けていた
  • 両者の利害が一致してしまった結果、チェック機能が働かなくなっていた

このような不健全な関係の末、買収された企業のうち11社が営業停止、5社が倒産するという深刻な被害が発生しました。

M&Aを検討する経営者の方は、仲介会社の姿勢買い手の審査体制が適切かどうかを慎重に見極めることが、リスクを回避するうえで極めて重要です。

経営者保証の解除トラブル

中小企業のM&Aでは、経営者保証の解除買い手への切り替えが実行されないトラブルが多発しています。

本来、会社を売却した後は旧経営者が債務から解放されるべきですが、金融機関への連帯保証人として売却後も責任が残るケースが少なくありません。

実際に起きている問題の例は下記のとおりです。

  • 買い手側が経営者保証の解除手続きを行わず、売り手が予期せぬ債務リスクを負い続ける
  • M&A仲介会社が、売り手に対し「金融機関へ事前に確認しないように」と伝えるなど、不適切な対応があった
  • 株式譲渡契約書に「経営者保証の解除」は記載されていても、“努力義務”にとどまり、法的拘束力が弱い

こうした背景により、売却後に多額の債務が残るリスクを負う旧経営者が後を絶ちません。

このようなトラブルを防ぐには下記のような対応が重要です

  • 売却前に金融機関と保証解除について十分に協議する
  • 契約書に実効性のある条項(たとえば解除が成立しない場合の対処)を明記する
  • 仲介会社がこうしたリスクについて誠実に説明しているかを見極める

 

まとめ

M&Aは、どの仲介会社を選ぶかによって、企業売却の成否が大きく左右されます。

そのため、適切な仲介会社を見極めるには、本記事でご紹介した各ポイントを総合的に評価することが重要です。

また、「M&A仲介」と「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)」の違いを正しく理解し、自社の状況に合った方式を選ぶことも成功のための大切な判断材料となります。

さらに、以下のような実際に起きているトラブル事例にも注意が必要です。

  • 仲介会社による価格操作
  • 悪質な買い手への案件紹介
  • 経営者保証の解除が行われないまま契約に進んでしまうケース

こうしたリスクを避けるためにも、複数の仲介会社と面談を行い、比較・検討を重ねたうえで慎重に選定することをおすすめします。

そのプロセスを丁寧に踏むことで、安全性の高い、成功確率の高いM&Aを実現することができるでしょう。

 

ジーケーパートナーズでは、企業再生に関する専門知識と豊富な実績を活かし、一般的なM&A仲介会社では対応が難しい債務超過の案件にも対応しています。

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