「債務超過で会社をたたみたいが、どうにもならない…」
そんな悩みを抱える中小企業経営者は少なくありません。
実は、債務超過のままでは通常の清算ができず、会社を解散するにも「壁」があります。
本記事では、その理由と解決策(私的整理・特別清算・事業譲渡を活用した再生型M&A)について、実務経験豊富な専門家が解説します。
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債務超過が法的に解散できない根本的理由とは
債務超過のままでは、会社を法的に解散することが難しい場合があります。
その主な理由は、下記の通りです。
- 債権者への返済ができない限り、会社は消滅できない
- 通常の清算では対応できず、「特別清算」が必要になる
このように、債務超過の企業がそのまま解散するには多くのハードルがあります。
次の章では、それをどう乗り越えるか—具体的な解決策について解説します。
債権者への返済ができない限り、会社は消滅できない
会社法481条では、会社の清算にあたって「清算人は債権の取立ておよび債務の弁済を行う義務がある」ことが定められています。
しかし、債務超過の会社では、全資産を処分しても借入金や未払い債務を完済することができません。
この返済義務は金融機関だけでなく、経営者や役員からの借入(役員借入金)も含まれます。たとえ1人でも債権者が残っている限り、法的に会社を「消滅」させることはできません。
また、会社法の根幹にあるのは「債権者の権利保護」という原則です。
債務超過の状態で資産が不足しているにもかかわらず、清算を進めれば、債権者が不利益を被る可能性があるため、会社を解散させることは許されません。
通常の清算では対応できず、「特別清算」が必要になる
債務超過の会社が清算を行う場合、資産が不十分なために通常の清算手続きでは債務を処理しきれません。
そのため、清算人が債務超過の可能性を認識した時点で、会社法511条に基づき、地方裁判所に「特別清算」の申し立てを行う必要があります。
この「特別清算」は裁判所の監督下で進められ、債権者の同意や債権放棄(債務免除)などを得ながら、適正な手続きで会社を消滅させる制度です。 つまり、債務超過の状態では、
- 清算に必要な資産が不足しているので債務の返済ができない
- 清算をしようとする手続きの中で清算人が債務超過かもしれないと判断したら特別清算の申し立てをする義務がある
といった理由から、法的な解散が難しくなるのです。
債務超過企業が出口を見つけるための方法
債務超過に陥った会社が、経営からの「出口」を見つけるためには、以下のような法的手続きを検討する必要があります。
- 特別清算
- 破産
- 任意整理(私的整理)
これらの手続きにはそれぞれ特徴やメリット・デメリットがあります。
自社の財務状況や今後の方針に応じて、最適な方法を選ぶことが非常に重要です。
特別清算
特別清算とは、債務超過などの問題を抱えた会社が、裁判所の監督のもとで行う清算手続きです。
通常の清算では対応できない場合に選ばれる方法で、特に「債務の整理」が必要なケースで活用されます。
この手続きを選ぶ際は、あらかじめ債権者(金融機関など)と債務の一部免除(債権放棄)について同意を得ている、または同意が得られる見込みがあることが前提となるケースが多いのが特徴です。
特別清算には、次の2つの進め方があります。
- 和解型特別清算
債権者一人ひとりと個別に和解契約を結び、それを裁判所が許可することで効力が発生します。柔軟な対応が可能です。
- 協定型特別清算
すべての債権者を集めた「債権者集会」を開き、多数決によって債務整理の方針(協定案)を決議します。全体で合意形成を行う形式です。
破産
破産とは、会社が「支払い不能」の状態、つまり借金の返済がまったく見込めなくなったときに選ばれる手続きです(破産法第2条11項)。
申立ては、債務者(会社側)だけでなく、債権者(金融機関や取引先)、取締役、あるいは清算人から行うことができます。
破産手続きには次のような特徴があります。
- 特別清算と異なり、債権者の同意は不要です。
裁判所が破産開始を認めれば、手続きはすべての債権者を対象に強制的に進められます。
- 破産開始後は、裁判所が選んだ「破産管財人」が手続きを主導します。
破産管財人が会社の資産を換金(売却)し、それを元に債権者へ公平に配当していくのが基本的な流れです。
このように、破産は「会社の財産を清算して終了させる」ための厳格な法的手続きです。
任意整理や特別清算が難しい場合の“最終手段”として選ばれるケースが多く見られます。
任意整理(私的整理)
任意整理は、裁判所を通さずに行う「私的整理」の一種です。
金融機関などの債権者と直接交渉し、借入金の返済条件を見直す手続きです。
任意整理の特徴は下記の通りです。
- 交渉相手(債権者)と直接話合って進める
→合意に至るかどうか、またその条件(返済期間・金額など)は、あくまで債権者の判断に委ねられます。
- すべての債権者と合意を取る必要がある
→一部の債権者とだけ合意しても、手続き全体は成立しません。全体合意が前提です。
合意内容の例としては下記があげられます。
- 将来発生する利息のカット
- 過去の利息についての再計算(利息制限法に基づく)
- 長期の分割返済への変更
- 支払いが遅れた際の条件(期限の利益喪失)の設定
ただし、注意点としては、任意整理は法的な手続きではないため、柔軟に対応できる一方で、裁判所の関与がない分、法的な拘束力が弱いという側面があります。
役員借入金の債務免除による解散の方法
債務超過に陥っている会社を解散・整理する際、経営者や役員からの借入金(いわゆる「役員借入金」)を免除することで、会社の帳簿上の債務を圧縮することが可能です。
この手法を活用することで、会社の財務状況を改善し、スムーズな清算手続きにつなげられる場合があります。
ただし、この「債務免除」には税務上のリスクが伴うため、注意が必要です。
会社側・役員個人側のどちらに課税リスクがあるのかをしっかりと見極めた上で、適切に手続きを行うことが求められます。
債務免除益に対する法人税対策
役員借入金を会社が免除してもらうと、以下のような仕訳が帳簿上で発生します。
「借入金 ×× / 債務免除益 ××」
この「債務免除益」は、原則として会社の利益(益金)と見なされ、法人税の課税対象になります。
しかし、必ずしも法人税が発生するわけではありません。
たとえば、会社に過去の赤字(繰越青色欠損金)が残っている場合には、その範囲内で債務免除益と相殺することができ、法人税が課されないケースがあります。
特に重要なのは、通常の事業年度では使用できない「期限切れの欠損金」も、会社の解散後の「清算事業年度」に限って損金として活用できる可能性があるという点です。
この特例は、会社が債務超過で「残余財産が見込めない」場合に適用されます。
そのため、実務上は以下のような判断が重要になります。
- 繰越欠損金が少なく、期限切れ欠損金が多い場合
→ 債務免除のタイミングを「解散前」ではなく「清算中(清算事業年度)」に行うことで、法人税の負担を軽減できる可能性が高まります。
このような税務上の判断は非常に繊細であり、専門家のサポートを受けながら慎重に判断することが重要です。当社では、公認会計士とも連携して、適切なスキーム構築を支援しています。お気軽にご相談ください。
債務超過解消のタイミング調整
債務免除を行うタイミングは、税務上の影響を大きく左右します。
解散事業年度に債務免除を実施すると、損金として扱えるのは繰越青色欠損金の範囲内に限られますが、清算事業年度に行えば、期限が切れた欠損金も含めて損金算入が可能になる場合があります。
また、債務免除を実施する際には、「債権放棄通知書(内容証明付き)」や「取締役会議事録」など、手続きの正当性を証明できる書類を残すことが重要です。
債権放棄・債務免除は民法519条に基づく手続きであり、会社(債務者)と役員(債権者)の両者の合意が必要とされます。
さらに、債務免除益と繰越欠損金のバランスを踏まえ、債務超過の範囲内で債務免除を行えば、法人税とみなし贈与税の両方の負担を最小限に抑えることができます。
債務超過企業が解散するためのポイント
債務超過に陥った会社が解散を成功させるためには、感情的・場当たり的な対応ではなく、計画的で現実的なアプローチが不可欠です。
以下の5つのステップを着実に実行することが、解決への近道となります。
- 財務状況を正確に把握する
- 専門家に相談し、最適な解決策を見つける
- 債権者と誠実に交渉する
- 資金繰りの見直しによって財務改善を図る
- 計画的な債務免除で税負担を最小限に抑える
以下で詳しい内容を解説します。
財務状況を正確に把握する
債務超過の会社が解散を目指すうえで、まず最初に行うべきなのが現在の財務状況を正確に把握することです。
具体的には、貸借対照表に記載されている資産と負債の内容を丁寧に精査する必要があります。
さらに、帳簿には載っていない簿外債務(例:未記載の借入や保証債務)がないかを確認し、資産についても帳簿上の金額ではなく、実際に売却した場合の価値(時価)を把握することが重要です。
とくに不動産や在庫などは、帳簿価格と実際の売却価格に大きな差が出ることも珍しくありません。
そのため、専門家による適正な資産評価を受けることで、より正確な財務状態を見極めることができます。
また、売掛金(取引先からの未回収金)の回収可能性や、保証債務などのオフバランス(帳簿外)負債も含めて、総合的に財務分析を行うことで、債務超過の実態や解消に必要な金額を明確に把握できるようになります。
専門家に相談し、最適な解決策を見つける
債務超過の会社を解散するには、法律・税務・会計などの幅広い専門知識が求められます。
このため、状況に応じて適切な専門家と連携することが重要です。
たとえば、
- 弁護士は、債権者との交渉や特別清算・破産といった法的手続きの対応を担当します。
- 税理士は、債務免除益に対する法人税の対策や、清算時の確定申告の処理など、税務面の対応を行います。
- 司法書士は、会社の解散登記や清算結了登記など、法務局への各種登記手続きを担います。
とくに債務超過の企業の場合、通常の会社解散とは異なり、債権者保護や破産に準じた手続きが必要となるケースも多くあります。
そのため、破産・清算手続きに詳しい弁護士との連携は不可欠です。
このように、債務超過企業の解散には、それぞれの専門家の役割を理解したうえで、的確に支援を受ける体制を整えることが成功のカギとなります。
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債権者と誠実に交渉する
債務超過の企業が解散を成功させるためには、債権者との交渉が極めて重要な要素となります。
中でも「特別清算」を選ぶ場合には、債権者からの同意が必須条件となるため、交渉の成否が手続き全体を左右するといっても過言ではありません。
交渉を進めるうえで重要なのは、返済計画の具体性と実現可能性です。
たとえば、少額の債権者に対しては優先的に弁済を行うことや、担保が設定された債権について柔軟に対応するなど、実情に合わせた調整が求められます。
また、交渉の際には、会社の財務状況を正直に開示し、誠実な姿勢で臨むことが何よりも大切です。
このような対応が、債権者との信頼関係を築き、協力を得るための大きな力となります。
信頼と納得を得ながら進めることが、債務超過企業の円滑な解散のカギです。
資金繰りの見直しによって財務改善を図る
会社の解散を決定しても、清算が完了するまでは会社は法的に存続している状態です。
その間も各種費用が発生するため、適切な資金繰りの管理が非常に重要となります。
具体的な対応策としては、
- 人件費の削減
- 不要な経費の見直し
- 業務プロセスの効率化
- 経営状況の中長期的な再評価
といった手段を通じて、支出を抑える工夫が求められます。
また、清算期間中は、会社の資産を売却し、未回収の債権を回収する必要があります。
売掛金の早期回収、在庫や不要資産の売却などを計画的に実施することで、債務返済に充てる資金を確保できます。
さらに、清算には次のような費用が発生します。
- 弁護士費用
- 解散・清算に関わる登記費用
- 官報公告の掲載費用 など
これらの費用をまかなうための事前の資金計画も極めて重要です。
計画的な債務免除で税負担を最小限に抑える
債務超過の会社では、役員からの借入金を債務免除することがありますが、「債務免除益」が課税対象となるため注意が必要です。
ただし、赤字や繰越欠損金があれば、実際の税負担は発生しない場合も多く、特に清算事業年度では期限切れの欠損金も使えるため、節税効果が期待できます。
また、債務免除で純資産がプラスになると、株主に贈与税がかかる可能性があるため、債務超過の範囲内で行うのが安全です。
実行の際は、弁護士など専門家のサポートを受けて慎重に進めましょう。
まとめ
債務超過の会社を解散するには、法律や税務に関する複雑な問題が伴うため、適切に進めるには専門家のサポートが不可欠です。
会社を円滑に解散するためには、まずは財務状況を正確に把握することが重要です。
そのうえで、債権者との誠実な交渉を行い、必要に応じて計画的な債務免除を実施することで、解散に向けた道筋が見えてきます。
これらのステップをしっかり踏むことで、経営者の精神的・金銭的負担を最小限に抑えつつ、会社を適切に終了させる可能性が高まります。
不安や疑問を抱えたまま進めるのではなく、専門家と連携しながら最適な方法を選ぶことが、成功のカギとなります。
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