債務超過は企業にとって深刻な財務状態ですが、ただちに倒産につながるわけではありません。
ただし、この状態が長引くと、取引先や金融機関からの信用が低下し、倒産のリスクが高まる可能性があります。
本記事では、債務超過の企業がすぐに倒産しない理由や、倒産に至る確率、そしてその対策について詳しく解説します。
債務超過の問題は、できるだけ早く対応することが非常に重要です。
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債務超過企業が倒産しない理由4つ
債務超過の企業であっても、すぐに倒産しない理由には、主に次の4つがあります。
- 支払期日にまだ余裕がある負債を抱えている場合
- 金融機関が様子を見る(支援を継続する)判断をしている場合
- 事業に収益性や将来性があると見込まれている場合
- 実行可能な経営改善計画が用意されている場合
それぞれの理由について、以下で詳しく解説していきます。
1.支払期日にまだ余裕がある負債を抱えている場合
債務超過の状態でも、返済期限がまだ先の長期借入金が中心であれば、当面の資金繰りに大きな問題は生じません。
たとえば、返済期限が5年後の借入金が主な負債である場合、その期間内に経営を立て直し、債務超過を解消するための時間的な余裕が確保できます。
2.金融機関が様子を見る(支援を継続する)判断をしている場合
銀行は、債務者に将来の回復可能性があると判断した場合、債務超過の状態でも融資を継続することがあります。
特に、災害等の有事による一時的な債務超過や、長年の取引実績がある企業に対しては、強引に返済を迫るよりも、事業継続を支援した方が銀行にとっても利益につながるケースがあります。
3.事業に収益性や将来性があると見込まれている場合
営業利益が出ている企業は、たとえ債務超過であっても倒産を避けられる可能性が高くなります。
事業に収益性があれば、その利益を積み重ねることで、時間をかけて債務超過を解消することが期待できます。
また、将来性のある事業モデルを持つ企業は、取引先や金融機関からの信頼を保ちやすく、支援を受けやすい傾向にあります。
4.実行可能な経営改善計画が用意されている場合
債権者の協力を得て、債務の一部を減額してもらったり、返済の猶予を受けたりしながら、事業を継続して残りの債務を返済していく計画があれば、倒産を回避することができます。
特に、「再建型任意整理」のような私的整理手続きは、裁判所を通さずに債権者と直接交渉を行うため、社会的信用を大きく損なうことなく債務問題を解決できる方法です。
そもそも債務超過とは?
債務超過とは、企業の負債の総額が総資産を上回っている状態を指します。
つまり、貸借対照表上で純資産がマイナスになっている状況です。
この状態では、企業がすべての資産を売却しても、負債を完済できないという深刻な財務状況にあるといえます。
債務超過に陥る主な原因として、以下の3つが考えられます。
- 赤字経営が続いている
- 投資が失敗し、資金が回収できていない
- 資産の価値が下がり、評価損が発生している
債務超過かどうかを正しく把握し、できるだけ早く対策を講じることが非常に重要です。
債務超過と赤字の違いとは
債務超過と赤字は異なる意味を持つ言葉です。
それぞれの特徴を簡単にまとめると次のようになります。
項目 | 確認方法 | 特徴 |
債務超過 | 貸借対照表(バランスシート) | 負債が資産を上回っている状態
企業の財務状況の累積的な結果 |
赤字 | 損益計算書 | 当期純損益がマイナスになっている状態
単年度の収益についての問題 |
債務超過は、これまでの累積の結果を表しており、企業の資産より負債が多い状態です
赤字は、単年度の収益状況を示し、その年の売上や利益がマイナスであることを意味します。
つまり、赤字であっても過去に蓄積された利益(内部留保)や自己資本が十分にあれば債務超過にはなりませんし、逆に債務超過の企業でも、その年度は黒字となることがあります。
債務超過で倒産する会社の割合
帝国データバンクの2024年度倒産集計によると、2024年(2024年4月~2025年3月)の企業倒産件数は1万70件に達し、2013年度以来11年ぶりに1万件を超えました。
「2024年倒産企業の財務データ分析」調査によると、2024年に全国で倒産した企業の約7割(71.7%)が、倒産直前の最新の決算期に債務超過の状態にあったことがわかりました。これは前々期の61.6%から10.1ポイント上昇しており、多くの企業で収益の改善が大きな課題となっています。
過去のデータを見ると、2023年の調査でも倒産企業の約7割が債務超過の状態でした。
債務超過を解消するための具体的な対策
債務超過を解消するためには、さまざまな方法があります。主な対策は次のとおりです。
- 利益を増やす
- 増資する
- M&Aを活用して事業を再生する
- DES(デット・エクイティ・スワップ)を利用する
- 法的整理を検討する
それぞれの方法について、以下で詳しく解説します。
利益を増やす
債務超過を解消するための基本は、売上を伸ばし、利益を増やすことです。
不要な経費を見直したり、業務の効率化を図ったりすることで、徐々に資産を増やし、債務超過を改善していくことが可能です。
地道な取り組みではありますが、長期的に安定した経営を目指すうえで、最も基本かつ確実な方法と言えるでしょう。
増資する
短期間で債務超過を解消する方法として有効なのが「増資」です。
これは、第三者割当増資や新株発行を通じて、経営者や投資家などから資金を調達する手段です。
即効性のある方法ではありますが、根本的な経営改善が伴わなければ、債務超過の解決は一時的なものにとどまってしまう可能性があります。
M&Aを活用して事業を再生する
債務超過の企業であっても、M&Aによって売却することは可能です。
特に、市場から評価される価値があるなどの条件を満たしていれば、売却の成功確率が高まります。
自社の努力だけでは債務超過の解消が難しい場合でも、M&Aによってシナジー効果が期待できる買い手が現れれば、収益構造を根本から見直すチャンスになることもあります。
また、事業の一部を譲渡して得た資金で財務体質の改善を図るという方法も有効です。
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DES(デット・エクイティ・スワップ)を利用する
DESとは、負債を株式に変える手法です。
債権者と合意のうえで、返済が必要な借入金などの債務を自社の株式に切り替えることで、返済義務をなくし、その代わりに債権者へ株式を発行します。
この方法により、貸借対照表の「負債」が減り、「資本(純資産)」が増えるため、債務超過の解消につながります。
ただし、債権者が新たな株主となるため、経営権が分散したり、意思決定が複雑になるリスクもあることに注意が必要です。
法的整理を検討する
最終手段として、民事再生や会社更生法といった法的手続きを活用する方法もあります。
これらの法的整理を利用すれば、過剰な債務を減らしたうえで、事業の継続が可能になります。
ただし、法的整理には以下のようなデメリットもあるため注意が必要です。
- 取引先や顧客からの信用が低下する
- 手続きが長期化しやすく、多くの労力がかかる
- 弁護士費用など、手続きにかかるコストが高い
- 経営権が管財人に移る可能性がある
法的整理を検討する際は、これらのリスクをよく理解し、他の選択肢とも比較したうえで慎重に判断することが大切です。
まとめ
債務超過は倒産リスクの重要なサインです。
債務超過は、企業の財務状態が悪化していることを示す重要な兆候であり、放置すれば倒産のリスクが高まります。
実際、倒産した企業の約7割が直前に債務超過だったというデータもあり、その危険性がうかがえます。
ただし、債務超過=即倒産というわけではありません。
早期に適切な対策をとれば、再建や経営改善は十分に可能です。
一方で、債務超過の状態が長引くと、取引先や金融機関からの信用が低下し、資金調達が困難になるなど、倒産のリスクが一気に高まります。
そのため、できるだけ早く専門家に相談し、適切な対応を始めることが非常に重要です。
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「何から始めればよいかわからない」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。