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会社の赤字は何年繰り越せる?繰越欠損金の期間と要件をわかりやすく解説

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会社の赤字は何年繰り越せる?繰越欠損金の期間と要件をわかりやすく解説

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会社が赤字になったとき、

「今年の赤字は翌期以降に繰り越せるのか」

「来期に黒字になった場合、税負担を軽減できるのか」

「赤字は何年間繰り越せるのか」

と疑問を持つ経営者の方も多いのではないでしょうか。

法人税法には、税務上生じた欠損金を翌期以降に繰り越し、将来の所得から控除できる「欠損金の繰越控除」という制度があります。

一定の要件を満たす法人では、欠損金を原則として10年間繰り越すことができます。

例えば、赤字が続いていた会社が経営改善によって黒字化した場合、過去の繰越欠損金を将来の所得から控除することで、法人税の負担を抑えられる可能性があります。

ただし、ここでいう「欠損金」は税務上計算された金額であり、決算書上の赤字と必ずしも一致するわけではありません。

また、繰越控除を受けるためには、青色申告や確定申告書の継続的な提出など、一定の要件があります。

本記事では、

  • 繰越欠損金とは何か
  • 会社の赤字は何年間繰り越せるのか
  • 繰越控除を受けるための要件
  • 繰越欠損金を利用するメリットと注意点
  • 個人事業主との違い

について、わかりやすく解説します。

また、赤字が何期も続いている会社では、繰越欠損金による税負担の軽減だけでなく、資金繰りや借入金の返済負担、債務超過の解消まで含めて財務状況を確認することが重要です。

赤字や借入金の問題を抱えている経営者の方は、自社の状況を整理するための参考にしてください。

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小早川 直也
監修者

小早川 直也

取締役社長 公認会計士・税理士

経歴
慶応義塾大学 商学部卒

2007年当社入社。大手監査法人にて、国内上場企業監査業務、デューデリジェンス業務、株式公開業務を担当。現在まで20以上の都府県における中小企業再生支援協議会で活動実績あり。

会社の赤字(欠損金)は繰り越せる

青色申告書を提出した事業年度に税務上の欠損金が生じた場合、一定の要件を満たすことで、その欠損金を翌期以降に繰り越すことができます。

この制度を「欠損金の繰越控除」といいます。

繰り越した欠損金は、翌期以降に所得が生じた場合、その所得から控除することができます。

これにより、法人税の課税対象となる所得が減少し、税負担を抑えられる場合があります。

例えば、ある事業年度に赤字となった会社が、翌期以降に黒字へ転換した場合、過去の欠損金を将来の所得から控除できる可能性があります。

ただし、会計上の赤字と税務上の欠損金は必ずしも同じではありません。

また、欠損金を繰り越すためには、青色申告や確定申告書の継続的な提出など、一定の要件を満たす必要があります。

さらに、欠損金を繰り越せる期間も定められているため、制度を利用する際は「何年間繰り越せるのか」「どのような要件があるのか」を確認しておくことが重要です。

 

繰越欠損金の繰越期間は何年か

法人の繰越欠損金は、原則として10年間繰り越すことができます。

ただし、欠損金が生じた事業年度の開始時期によって、繰越できる期間は異なります。

具体的には、2018年(平成30年)4月1日以後に開始する事業年度に生じた欠損金は10年間、それより前に開始した事業年度に生じた欠損金については、適用される制度によって繰越期間が異なります。

そのため、過去から欠損金を繰り越している会社では、「いつの事業年度に生じた欠損金なのか」を確認することが重要です。

以下では、現在の10年間の繰越制度と、過去に生じた欠損金の取り扱いについて順番に解説します。

現行制度では10年間繰り越せる

2018年(平成30年)4月1日以後に開始する事業年度に生じた欠損金は、10年間繰り越すことができます。

それ以前は繰越期間が9年間でしたが、税制改正によって10年間に延長されました。

そのため、現在新たに生じる欠損金については、原則として10年間の繰越期間が適用されます。

なお、欠損金が生じた時期によって適用される繰越期間が異なるため、過去から欠損金を繰り越している場合は、欠損金が生じた事業年度を確認することが重要です。

2018年4月1日前に開始した事業年度の欠損金は繰越期間が異なる

現在は欠損金を原則10年間繰り越すことができますが、過去に生じた欠損金については、発生した事業年度によって繰越期間が異なります。

例えば、2018年(平成30年)4月1日前に開始した事業年度に生じた欠損金については、原則として9年間の繰越期間が適用されるものがあります。

さらに、それ以前に生じた欠損金については、7年間など、当時の制度に応じた異なる繰越期間が適用される場合があります。

そのため、過去から欠損金を繰り越している会社では、「いつの事業年度に生じた欠損金なのか」「いつまで繰り越せるのか」を確認することが重要です。

特に、長期間にわたって事業を行っている会社や、過去に大きな欠損金が生じている会社は、法人税申告書などを確認し、現在利用できる繰越欠損金の金額と期限を把握しておきましょう。

繰越期間は欠損金が生じた事業年度の翌期から数える

欠損金は、欠損金が生じた事業年度の翌事業年度から、原則として10年間繰り越すことができます。

たとえば、8月決算の会社で2026年8月期に税務上の欠損金が生じた場合、その欠損金は、原則として2027年8月期から2036年8月期までの10事業年度にわたって繰越控除の対象となります。

ただし、繰越期間を過ぎた欠損金は、その後に所得が生じても控除することはできません。

そのため、過去から欠損金を繰り越している会社では、「いつ生じた欠損金なのか」「現在いくら残っているのか」「いつまで利用できるのか」を法人税申告書などで確認しておくことが重要です。

 

会社の赤字で繰越欠損金を使うための3つの要件

欠損金の繰越控除は、税務上の欠損金が生じれば自動的に適用されるものではありません。

原則として、次の要件を満たす必要があります。

  • 欠損金が生じた事業年度に、青色申告書である確定申告書を提出している
  • その後の各事業年度について、連続して確定申告書を提出している
  • 欠損金が生じた事業年度に係る帳簿書類を保存している

これらの要件を満たしたうえで、繰越期間内に所得が生じた場合、繰越欠損金をその所得から控除することができます。

なお、繰越欠損金をその期の所得からどこまで控除できるかは、法人の規模などによって異なります。

中小法人等の場合は、原則として繰越控除前の所得金額の全額まで控除できます。

一方、中小法人等に該当しない法人では、原則として所得金額の50%が控除限度額となります。

そのため、繰越欠損金の残高がその期の所得を上回っていても、法人の規模などによっては、所得の全額を繰越欠損金で控除できない場合があります。

欠損金が生じた事業年度に青色申告書を提出している

欠損金の繰越控除を受けるためには、原則として、欠損金が生じた事業年度に青色申告書である確定申告書を提出していることが必要です。

そのため、通常の青色欠損金の繰越控除では、欠損金が生じた事業年度に白色申告をしていた場合、その欠損金を翌期以降に繰り越して控除することはできません。

また、欠損金が生じた後に青色申告の承認を受けても、それ以前の事業年度に生じた欠損金をさかのぼって青色欠損金として繰り越せるわけではありません。

創業間もない会社や青色申告の承認状況が分からない会社は、過去の法人税申告書などを確認し、欠損金が生じた事業年度に青色申告を行っていたかを確認しておきましょう。

欠損金が生じた後も連続して確定申告書を提出している

欠損金の繰越控除を受けるためには、欠損金が生じた事業年度以後、各事業年度の確定申告書を連続して提出していることが必要です。

欠損金が生じた事業年度に青色申告書を提出していても、その後の事業年度で申告書を提出していない期間があると、繰越控除の要件を満たさなくなる可能性があります。

そのため、赤字で納付する法人税が発生しない場合であっても、確定申告を行わなくてよいわけではありません。

過去から欠損金を繰り越している会社は、各事業年度の確定申告書が継続して提出されているかを確認しておくことが重要です。

欠損金が生じた事業年度の帳簿書類を保存している

欠損金の繰越控除を受けるためには、欠損金が生じた事業年度に係る帳簿書類を保存していることも必要です。

法人の帳簿書類は、原則として、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存する必要があります。

ただし、青色申告書を提出した事業年度に欠損金が生じた場合は、繰越期間に対応して、帳簿書類をより長期間保存する必要があります。

2018年(平成30年)4月1日以後に開始する事業年度に生じた欠損金については10年間、それ以前の一定の事業年度については9年間の保存が必要となります。

過去から欠損金を繰り越している会社は、法人税申告書だけでなく、対象となる事業年度の帳簿書類が適切に保存されているかも確認しておきましょう。

出典元:国税庁|No.5930帳簿書類等の保存期間

 

個人事業主の赤字繰越との違い

法人と個人事業主では、赤字を繰り越せる期間が異なります。

法人の場合、税務上の欠損金は原則として10年間繰り越すことができます。一方、青色申告をしている個人事業主の場合、事業などで生じた純損失は翌年以後3年間繰り越すことができます。

個人事業主が純損失の繰越控除を受けるためには、原則として、純損失が生じた年分について青色申告書を提出し、その後も連続して確定申告書を提出する必要があります。

このように、法人と個人事業主では、赤字を翌期以降の所得から控除できる仕組みは共通していますが、繰越できる期間や適用される制度には違いがあります。

 

繰越欠損金を活用するメリットと注意点

繰越欠損金を活用すると、赤字から黒字へ転換した際の税負担を軽減できる可能性があります。

一方で、繰越期間には期限があり、法人の規模などによっては控除できる金額に上限が設けられています。

また、繰越欠損金はあくまで税務上の制度であり、赤字経営や資金繰りそのものを改善する制度ではない点にも注意が必要です。

ここでは、繰越欠損金を活用するメリットと、経営者が押さえておきたい注意点について解説します。

メリット:黒字化した際の税負担を軽減できる

繰越欠損金がある会社では、黒字化して所得が生じた際に、一定の範囲でその所得から過去の欠損金を控除することができます。

これにより、法人税の課税対象となる所得が減少し、黒字化した際の税負担を軽減できます。

納税負担が軽減されれば、その分、手元に資金を残しやすくなり、運転資金や設備投資などに活用することもできます。

ただし、繰越欠損金によって法人税の課税所得がゼロになった場合でも、法人住民税の均等割など、所得の有無にかかわらず負担が生じる税金もあります。

注意点① 繰越期間を過ぎた欠損金は控除できない

繰越欠損金には繰越期間が定められており、期間内に控除しきれなかった欠損金は、期限を過ぎると翌期以降の所得から控除できなくなります。

特に、赤字が長期間続いている会社では、十分な所得が生じないまま、古い欠損金から順に繰越期限を迎える可能性があります。

そのため、過去から多額の欠損金を繰り越している場合は、欠損金の残高だけでなく、発生した事業年度や繰越期限も把握しておくことが重要です。

注意点②法人の規模などによって控除限度額が異なる

繰越欠損金があれば、必ずその期の所得を全額控除できるわけではありません。

中小法人等の場合は、原則として繰越控除前の所得金額の全額まで控除できますが、中小法人等に該当しない法人では、原則として所得金額の50%が控除限度額となります。

そのため、自社がどの区分に該当するのかを確認したうえで、利用できる繰越欠損金の金額を把握する必要があります。

関連記事:会社が赤字になるとどうなる?税金・融資・従業員への影響と対処法

 

赤字が何年も続いている場合は経営そのものの見直しが必要

繰越欠損金は、将来所得が生じた際の税負担を軽減するための制度であり、現在の赤字や資金繰り、借入金の返済負担そのものを改善するものではありません。

特に、複数期にわたって赤字が続いている場合は、繰越欠損金の活用だけでなく、

  • 本業で十分な利益を確保できているか
  • 借入金の返済負担が収益力に対して過大になっていないか
  • 資金繰りに問題が生じていないか
  • 債務超過に陥っていないか
  • 不採算事業や過大な固定費を抱えていないか

といった点を確認することが重要です。

また、繰越欠損金があること自体が金融機関からの評価を直接下げるわけではありませんが、赤字が長期化している場合は、融資審査において慎重に判断される要因となる可能性があります。

そのため、赤字が何年も続いている会社では、「繰越欠損金をどう活用するか」だけでなく、「どうすれば収益を改善し、資金繰りや借入金の返済を安定させられるか」という視点から、早めに経営改善を検討することが重要です。

複数期連続の赤字が経営に与える影響については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:会社が赤字続きでも潰れない理由は?早期に黒字化させる手順を解説

赤字が長期化し、繰越欠損金を十分に活用できる見通しが立たない場合は、税務上の対応だけでなく、収益構造や資金繰り、借入金の返済負担などを含めて経営状況を見直すことが重要です。

特に、資金繰りに余力がある段階で対策を検討することで、経営改善や金融機関との調整、事業再生、M&Aなど、状況に応じた選択肢を検討しやすくなります。

ジーケーパートナーズでは、赤字や借入金の返済負担にお悩みの中小企業経営者さまを対象に、財務改善から事業再生、再生型M&Aまで、無料個別相談にて対応しています。

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繰越欠損金はM&Aや事業承継でも重要

M&Aや事業承継を行う場合、繰越欠損金の取り扱いは、株式譲渡や事業譲渡、合併など、採用する手法によって異なります。

株式譲渡では、株主が変わっても法人そのものは存続するため、その法人が保有する繰越欠損金も原則として法人に残ります。

ただし、株主構成が大きく変わった場合などには、その後の一定の事由によって繰越欠損金の控除が制限されることがあります。そのため、株式譲渡後も従来と同じように欠損金を利用できるとは限りません。

一方、事業譲渡では、事業の一部または全部を別の法人へ譲渡するため、売主法人が保有する繰越欠損金が買主法人へそのまま引き継がれるわけではありません。

また、合併などの組織再編では、税制適格要件や支配関係、事業の継続性などによって、欠損金を引き継げるか、利用に制限が生じるかが異なります。

このように、M&Aや事業承継では、選択するスキームによって繰越欠損金の取り扱いが大きく異なるため、事前に税務上の影響を確認することが重要です。

なお、M&Aや事業再生では、繰越欠損金による税負担だけを基準にスキームを決めるのではなく、事業の継続、従業員の雇用、金融機関との調整、借入金や経営者保証への対応などを含めて総合的に検討する必要があります。

特に、赤字や債務超過の会社では、株式譲渡だけでなく、事業譲渡や会社分割などを活用した再生スキームが適している場合もあります。

関連記事:赤字会社の株式譲渡による買収のメリットとデメリット

 

まとめ

会社に税務上の欠損金が生じた場合、欠損金が生じた事業年度に青色申告書を提出し、その後も連続して確定申告書を提出するなど、一定の要件を満たすことで、原則として10年間繰り越すことができます。

繰越欠損金を活用すれば、将来黒字化した際の所得から欠損金を控除できるため、法人税の負担を軽減し、手元資金を確保しやすくなります。

一方で、繰越期間には期限があり、法人の規模などによって控除できる金額が異なる場合もあります。

また、M&Aや組織再編を行う場合には、繰越欠損金の取り扱いが変わることもあるため注意が必要です。

そして、繰越欠損金は将来の税負担を軽減する制度であって、現在の赤字や資金繰り、借入金の返済負担そのものを改善する制度ではありません。

赤字が何期も続いている場合は、「繰越欠損金をどのように活用するか」だけでなく、赤字の原因や収益構造、資金繰り、借入金の返済負担などを整理し、早い段階で経営改善に取り組むことが重要です。

ジーケーパートナーズでは、中小企業活性化協議会の外部専門家として、財務状況の分析から経営改善、事業再生、再生型M&Aまで一貫してサポートしています。

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About 小早川 直也

経歴 慶応義塾大学 商学部卒 2007年当社入社。大手監査法人にて、国内上場企業監査業務、デューデリジェンス業務、株式公開業務を担当。現在まで20以上の都府県における中小企業再生支援協議会で活動実績あり。

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