
経営悪化により資金繰りや借入金の返済が厳しくなると、どの事業再生手法を選ぶかが会社の命運を大きく左右します。
近年は、中小企業活性化協議会スキームや私的整理ガイドラインを活用し、事業譲渡・会社分割などを組み合わせた再生型M&A(スポンサー型再生)が増えています。
外部スポンサーの資金やノウハウにより、迅速かつ抜本的に財務基盤を立て直せることが大きなメリットです。
(一般のM&A仲介会社では債務超過案件を扱えないことが多く、再生スキームに精通した専門家の支援が不可欠です)
本記事では、
- 法的整理
- 私的整理(協議会・ガイドライン含む)
- M&A型・スポンサー型再生
の特徴と活用ポイントをわかりやすく解説します。
さらに、M&Aを活用した事業再生のメリットや、失敗を避けるための事業再生コンサルタントの選び方についても紹介しています。
「借入金の返済が限界」「債務超過から抜け出したい」と悩む経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
ジーケーパートナーズは、企業再生コンサルティング出身のM&Aアドバイザーです。
一般的なM&A仲介会社が敬遠しがちな債務超過案件や、私的整理ガイドラインを用いた複雑な再生スキームにも深く対応できます。
企業の状況に合わせた最適な出口戦略をご提案いたします。
まずは、お気軽にご相談ください。
事業再生の主要な3つの手法
事業再生の成否は、企業が置かれた状況や課題に対し、どの手法を選ぶかで決まります。
主要な手法は、以下の3つの通りです。
- 法的整理
- 私的整理
- M&A型・スポンサー活用型再生
以下で、それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説します。
①法的整理
法的整理とは、裁判所の監督のもとで進められる事業再生手続で、法的な強制力により債務カット(弁済条件の変更)を実現できる強力なスキームです。
すべての債権者を公平に扱う仕組みが整っており、債務超過の企業でも再生を目指すことができます。
代表的な制度は以下の2つです。
民事再生法:債務者(経営陣)が主体となって再建を進める手続
会社更生法:管財人が主導し、主に大規模企業向けの厳格な手続
これらは法的な拘束力により、金融機関との合意が難しい場合でも再生を実現できる可能性があるため、中小企業にとっても選択肢の1つとなります。
法的整理のメリットとデメリットは、次の通りです。
| メリット | ・法的な強制力があるため、債務カットが確実に実行される
・全債権者を公平に扱うため、合意のハードルが低く、合意形成の手続きが進みやすい |
| デメリット | ・手続きが公開されるため、取引先・金融機関に信用不安が生じるリスクがある
・裁判所手続となるため、時間とコストがかかりやすい |
法的整理を利用する場合は、以下の手続きが必要になります。
- 裁判所への詳細な財務・事業情報の開示
- 債権者集会での再生計画案の承認
これらのハードルは高いものの、計画が認可されれば強制力を持つため、抜本的な再建を目指す企業にとっては非常に有効な手段となります。
②私的整理
私的整理とは、裁判所を介さずに、主に金融機関との合意によって進める事業再生手続です。
利害関係者との直接交渉や、第三者機関の仲介を活用しながら、柔軟に再生を図ることができます。
代表的なスキームには以下があります。
- 返済条件の見直し(リスケジュール)
- 事業再生ADR(第三者機関による仲介)
- 私的整理ガイドライン(企業・金融機関双方が利用しやすい標準手続)
私的整理のメリットとデメリットは、次の通りです。
| メリット | ・裁判所を使わないため迅速に進められる
・外部に情報が漏れにくく、信用不安が生じにくい |
| デメリット | ・すべての主要債権者の合意が必要で、調整が難しい場合がある
・一部の債権者が反対すると手続きが成立しないリスクがある |
私的整理を成功させるには、下記が非常に重要となります。
- 客観性のある再生計画の策定
- 金融機関との信頼関係の構築
ここが不十分だと、返済猶予や債務条件変更の支援を受けることは難しくなります。
なお、以下の記事では、リスケジュールとは何か、手続きやメリット・デメリットについて詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
関連記事|返済リスケジュールとは?借入金で悩む経営者が知っておくべきポイント
③M&A型・スポンサー活用型再生
M&A型・スポンサー活用型再生とは、外部の企業や事業再生ファンドといったスポンサーの資金力・経営ノウハウを活用して事業を立て直す手法です。
債務超過や赤字事業を抱える企業が、事業や株式を第三者へ譲渡することで、
- 資金調達
- 経営体制の刷新
- 事業の選択と集中
を同時に進められる点が大きな特徴です。
代表的なスキームは次の通りです。
- 事業再生M&A(事業譲渡)
- 会社分割(優良事業の切り出し)
- スポンサーによる株式譲渡(経営権の移転)
M&A型・スポンサー活用型再生のメリットとデメリットは、次の通りです。
| メリット | ・法的整理・私的整理より短期間で手続きが完了し、事業価値の毀損を最小限に抑えられる
・スポンサーの資金注入に加え、専門的な経営ノウハウ・ネットワークを即座に活用できる ・事業譲渡や会社分割により、優良事業と負債を切り離し、抜本的な財務改善が可能 |
| デメリット | ・適切なスポンサー候補が見つからないと実行できない
・従業員・取引先への説明や影響を慎重に配慮する必要がある |
M&A型・スポンサー活用型再生は、スピード・資金調達の確実性・財務改善の抜本性において、従来の再生手法よりも優位性が高く、債務超過企業の再生において非常に有効な選択肢となっています
なお、以下の記事では、債務超過企業がM&Aを活用する方法について詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
関連記事|債務超過企業でもM&Aは可能!成功のための5つのステップ
そもそも事業再生とは?
事業再生とは、債務超過や赤字の継続など、実質的に倒産状態にある企業が、事業を止めずに経営を立て直すための取り組みです。
最大の目的は、単なる資金繰り改善ではなく、
- 自立的に利益を生み出せる体質への転換
- 企業価値の向上
を実現することにあります。
そのため、事業再生では、
- 現状の正確な分析(財務・事業デューデリジェンス)
- 実行可能な再生計画の策定
- 実行支援(金融機関調整・スキーム構築・改善施策の実施)
といったプロセスを専門家が一体的に支援し、迅速な再建を目指します。
債務超過や赤字に関する内容は、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
関連記事|債務超過と赤字の違いを図解で徹底解説!判断基準・実例・解消法5選
事業再生の手法でM&Aを選択するメリット
経営危機の克服において、M&Aは、自力再建や法的整理・私的整理では実現しにくい効果を短期間で発揮できる手法です。
特に債務超過や資金繰り悪化が深刻な企業にとって、外部の力を借りられる点が大きな強みとなります。
主なメリットは次の通りです。
- 外部の資金・経営ノウハウを活用できる
- コア事業に集中し、経営効率を高められる
- 雇用・技術を維持しながら事業を存続できる
- 事業再生ファンドの支援を受ければ、抜本的な財務改善が可能
このように、資金調達・経営体制の刷新・事業の選択と集中を一度に進められるため、M&Aは早期再建に最も適した手段の一つと言えます。
この後の章では、M&Aを選択する5つの具体的なメリットについて詳しく解説していきます。
メリット1:外部資金と経営ノウハウを活用できる
M&Aを実施する最大のメリットは、スポンサー企業からの資金支援と経営ノウハウを確実に確保できることです。
危機的状況にある企業は、金融機関からの追加融資が難しく、自力で新たな資金を調達するのはほぼ不可能になります。
そのため、スポンサーからの即時的な資金注入は、事業再生の成否を左右する重要な要素です。
スポンサーから得られる譲渡対価(売却代金)は、
- 債務返済
- 再建に必要な運転資金や投資
としてそのまま活用でき、資金繰りの改善に直結します。
さらに、買い手企業や事業再生ファンドが持つ、
- 高度な経営管理ノウハウ
- 営業ネットワーク
- 外部の専門家による客観的視点
を活用することで、自力再建では難しい事業構造の抜本的な見直しが実現できます。
これこそが、M&Aによる再生が強力な手法とされる理由です。
なお、以下の記事では、M&Aの相談方法について詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
関連記事|M&Aの相談先・窓口・センターを徹底比較!無料相談の活用方法も解説
メリット2:コア事業へ集中し効率化できる
M&Aを活用すると、不採算事業の切り離し(カーブアウト)を同時に進められるため、経営の効率化を迅速に実現できます。
赤字部門や過大な負債を抱えたままでは、本来守るべき優良部門にまで資金・人材が回らず、企業全体の体力が削られ続けてしまいます。
そこで、以下の手法を用いることで、不採算領域を切り離すことが可能になります。
- 事業譲渡(赤字部門を外部に売却)
- 会社分割(負債や赤字部門を整理しつつ、優良部門を切り出す)
これにより、これまで分散していた限られた経営資源を、将来の収益を支えるコア事業へ集中投下できます。
事業構造をシンプルにすることは、
- 意思決定のスピード向上
- 生産性の改善
- 企業全体の収益力回復
にも直結し、事業再生における大きな成果が期待できます。
メリット3:雇用や技術を維持して事業を存続できる
M&A型の事業再生は、廃業や倒産を避けながら事業を継続できるため、従業員の雇用や企業が培ってきた技術、取引先との関係を守れる点が大きなメリットです。
法的整理などで会社が清算されると、
- 従業員の大量離職
- 技術・ノウハウの消失
- 取引先との長年の信用関係の断絶
といった深刻なダメージが避けられません。
一方、再生型M&Aでは、事業の継続を前提として、買い手企業が優良部門を引き継ぐ形が一般的です。
これにより、
- 倒産による資産価値の目減りを防げる
- 雇用の維持につながる
- 主要取引先との関係も継続できる
といった、ステークホルダー全体にとって大きなメリットがあります。
事業の“生き残り”を最優先し、社会的信用を守りながら再建を目指せる点は、再生型M&Aの非常に重要な価値と言えるでしょう。
M&Aを活用した事業承継方法については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
関連記事|事業承継M&Aとは?メリット・デメリットから成功のポイントまで徹底解説
メリット4:柔軟なスキームを選択して調整できる
M&A型の事業再生は、事業譲渡・会社分割・第二会社方式など、複数の再生スキームから
自社の状況に最も合う手法を選べる柔軟性が大きなメリットです。
法的整理のように画一的な手続きではなく、財務状況や事業の課題に応じて再生方法をカスタマイズできるため、より効果的な再建が可能になります。
また、債権者側も
- 早期の債権回収が期待できる
- 手続きが長期化しにくい
というメリットがあるため、合意形成が進みやすく、再生プロセスがスムーズに進むケースが多く見られます。
貴社の状況に応じて最適な手法を柔軟に組み合わせることで、再建の実現性を大きく高めることができる点も重要なポイントです。
以下の記事では、M&Aの支援機関について詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
関連記事|M&A支援機関とは?M&A支援機関を利用するメリットをご紹介
メリット5:再生ファンドを活用し再建できる
事業再生ファンドを活用することで、資金だけでなく、専門知識を持つプロの経営チームを即座に導入できる点も大きなメリットです。
経営危機に陥った企業では、従来の体制では踏み切れないような、冷静で迅速な構造改革が求められます。
しかし内部のみで実行するのは難しく、客観的な視点と強力な推進力が不足しがちです。
再生ファンドは、
- 経営改善の専門ノウハウ
- 短期間で企業価値を最大化する戦略
- 必要な人材・ネットワークの投入
を通じて、自力再建では到達できないレベルの改革を実行できます。
その結果、企業は“大幅な収益改善”や“V字回復”といった大きな成果を狙うことが可能になり、再生ファンドと共に、より強い経営基盤の構築を目指すことができます。
ジーケーパートナーズは、M&A仲介だけでなく、中小企業活性化協議会の外部専門家として培った財務・事業デューデリジェンスの深い知見を持っています。
この経験に基づき、私的整理ガイドラインを活用した債務カット前提の再生型M&Aを主導できる点が大きな強みです。
事業再生の手法とコンサルタントの選び方
事業再生が上手く進まない大きな原因のひとつが、選択した再生手法と、支援する専門家とのミスマッチです。
法的整理・私的整理・M&A型・スポンサー活用型再生など、再生手法はそれぞれ必要となる専門性が大きく異なります。
そのため、自社が選ぶべき手法に応じて、適切な能力を持つコンサルタントを選ぶことが成功の鍵となります。
ここでは、主要な3つの手法に対応する専門家の特徴と、どのように選べばよいかを分かりやすく解説していきます。
法的整理を選択するなら企業法務に強い弁護士に相談する
法的整理(民事再生・会社更生など)は、裁判所を介して手続きを進める強制力のある再生手法です。
そのため、
- 債務者を法的に保護しながら手続きを進める
- 裁判所への提出書類や手続の管理
- 債権者対応
などを適切に主導できる企業法務に強い弁護士に相談することが不可欠です。
法的整理は、法律面の判断・書類作成・債権者調整など高度な法的対応が求められるため、経験豊富な弁護士の支援が事業再生の成否を左右します。
私的整理を選択するなら客観的な事業計画策定能力のある専門家に相談する
私的整理は裁判所を介さないため、金融機関の「合意」が得られなければ成立しません。
そのためには、客観的根拠に基づく信頼性の高い再生計画の提示が必要です。
そこで重要になるのが、
- 事業・財務デューデリジェンス(調査)
- 実現可能な収益改善計画の策定
を専門的に行える公認会計士・税理士などの会計士系コンサルタントです。
特に、
- 事業再生ADRの実務経験
- 私的整理ガイドラインの適用実績
がある専門家であれば、金融機関との交渉がスムーズに進み、再生計画の合意形成が大きく前進します。
M&A型・スポンサー活用型再生なら実績のある会社に相談する
M&A型・スポンサー活用型再生では、
- 事業譲渡・会社分割による負債切り離し
- スポンサーからの資金注入
- 外部経営陣による経営改善
といった大規模な構造改革をスピーディに進めます。
そのため、通常のM&Aとは異なり、
- ディストレス(経営危機)企業の価値評価
- 再生スキーム(負債処理を含む)の設計
- 債権者調整を伴う複雑な交渉
に精通した再生型M&Aアドバイザーへの相談が不可欠です。
特に重要なのは、
- 再生型M&A実績の豊富さ
- スポンサーやファンドへの強力なネットワーク
- スキーム設計と交渉をまとめる実務能力
これらが揃っていなければ、迅速で最適なスポンサー選定は困難です。
まとめ
事業再生を成功させるためには、自社の状況に最も適した再生手法を選択することが何より重要です。
本記事で解説したように、再生手法には法的整理・私的整理がありますが、その中でもM&A型・スポンサー活用型再生は、資金確保と抜本的な事業構造改革を短期間で実現できる、非常に優位性の高い手段です。
しかし、どの手法が最善かは企業ごとに異なり、適切な判断には事業再生コンサルタントの専門知識が不可欠です。
事業価値は時間とともに毀損していくため、「M&Aによる再生が可能か」「自社に最適な再生スキームは何か」と迷っている間にも、状況は悪化してしまいます。
まずは早期に専門家へご相談いただき、最も確実で、負担の少ない再生の道筋を見つけることをおすすめします。
ジーケーパートナーズは、一般的なM&A仲介会社では対応が難しい債務超過案件を、再生コンサルティングの経験とM&Aノウハウを融合させて支援します。
私的整理ガイドラインを活用した事業譲渡スキーム構築や適切なスポンサー探索によって、困難な状況からの再生を強力にサポート致します。



