企業の財務問題の中でも「債務超過」は特に重要な問題です。
負債が資産を超え、純資産がマイナスになるこの状況は、経営の安定性を損ない、信用の低下や資金の調達難につながる可能性があります。
この記事では、具体的なバランスシート例を用いて債務超過の状態をわかりやすく解説し、その原因や解消方法について詳しくご紹介します。
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債務超過のバランスシートの例
まずは、債務超過時のバランスシート(貸借対照表)の例をご紹介します。
この図は、負債が資産を上回り、純資産がマイナスになっている状態を示した例です。
上記のバランスシートでは、資産合計が1,000万円である一方、負債合計が1,200万円となり、負債が資産を上回っている状態です。
この結果、純資産は-200万円となっており、債務超過の状態といえます。
債務超過をバランスシートで確認する方法
バランスシート(貸借対照表)で債務超過を確認する方法は、以下の通りです。
- 「純資産」を確認する
- 「資産と負債」を確認する
- 実態貸借対照表を作成する
以下で詳しい内容をみていきましょう。
「純資産」を確認する
バランスシートで債務超過かどうかを判断するには、「純資産」の項目を確認することが重要です。
純資産は「資産総額-負債総額」で計算され、企業の財務的な基盤を示す指標になります。
これがマイナスの場合、債務超過とみなされます。
純資産がマイナスだと、負債返済に必要な資金を確保できず、経営の継続が困難になる可能性があります。
資産と負債を比較する
バランスシートでは、「資産総額-負債総額」を計算すると、財務状況を評価できます。
この結果がマイナスであれば、負債が資産を上回っているため、債務超過に該当します。
ただし、帳簿上は債務超過ではなくても、資産の市場価格の下落など資産が過大評価されている場合、実質的な経営難に陥る可能性もあるため注意が必要です。
実態貸借対照表を作成する
通常の貸借対照表では経営の実態を把握しづらい部分もあるため、「実態バランスシート」を作成することで財務状況をより正確に確認することができます。
この方法では、不良在庫や回収困難な売掛金などを除外し、実際の価値に基づいて再評価するのが特徴です。
実態バランスシートの活用により、帳簿上では見えない債務超過の実態を確認できます。
そもそも債務超過とは?赤字との違いを解説
債務超過とは、企業が保有する資産よりも負債が多くなっている状態です。
この状態では、すべての資産を現金化しても負債を返済できず、財務的な危機に陥っていることを意味します。
バランスシート上では、純資産がマイナスであることが特徴です。
債務超過は信用低下や融資困難などのリスクを伴いますが、流動資産が十分にあれば短期的な支払いは可能です。
債務超過と赤字の違いは以下のとおりです。
項目 | 債務超過 | 赤字 |
定義 | 負債が資産を上回り、純資産がマイナスになる状態 | 収益より費用が多く、損益計算書で損失が発生している状態 |
判断基準 | 貸借対照表(バランスシート)で確認 | 損益計算書で確認 |
両者は異なる指標ですが、赤字経営が続けば最終的に債務超過につながる可能性があります。
債務超過の主な原因4選
債務超過になる主な原因は以下の通りです。
要因 | 詳細 |
赤字が常態化している | 長期間にわたり収益が上がらず、損失を継続的に計上すると累積損失が増加する |
投資による負債の増大 | 新規事業や設備投資などで多額の借入を行い、その投資が計画通りに収益を生まない場合、返済負担が増加し財務状況が悪化する |
資産価値の減少 | 不動産や株式などの市場価値が帳簿上の価値を下回ると評価損が発生し、純資産を減少させる要因となる |
特別な損失 | 自然災害や事業撤退、訴訟費用など、一時的な要因による損失は財務状況に深刻な影響を与える可能性がある |
債務超過は、企業の財務状況に大きな影響を与える深刻な問題です。
主な原因としては、上記のような問題が挙げられます。
これらはそれぞれ異なる要因ですが、いずれも企業の財務健全性を損なうリスクがあります。
債務超過を解消する6つの方法
債務超過を解消するには、以下6つの方法が有効です。
- 利益を出す
- M&A(合併・買収)を活用する
- 資産を売却する
- 増資による資本注入
- DES(Debt Equity Swap)を利用する
- 債務免除を交渉する
以下で詳しい内容を見ていきましょう。
1. 利益を出す
債務超過を解消するためには、まず収益性の向上が重要です。
売上を増加させ、無駄なコストを削減するための具体的な戦略を立てることで、利益を改善することが可能です。
例えば、新規顧客の獲得や既存顧客との関係性を強化することで売上拡大を図る施策が有効です。
また、人件費や広告宣伝費などの支出項目を精査し、業務の効率化を進めることで経費を抑えることも有効です。
これらの施策を行うことで財務状況を改善し、債務超過を解消できる可能性が高まります。
2.M&A(合併・買収)を活用する
M&A(合併・買収)は、債務超過企業にとって財務体質の改善や収益構造の見直しを実現する有効な手段です。
返済負担が軽減され、財務体質が改善する可能性があります。
また、事業譲渡によって不要な資産や負債を整理し、収益構造の抜本的な見直しが可能です。
さらに、買収企業の資金や経営リソースを活用すれば、新たな成長機会を得られる場合もあります。
ただし、適切な相手企業の選定や交渉には専門家の支援を受けることがポイントです。
ジーケーパートナーズでは、企業再生や事業承継、M&A支援をはじめとする幅広いサポートの相談会を実施しております。お気軽にご参加ください。
3. 資産を売却する
含み益のある資産を売却することで、債務超過を解消できる可能性があります。
対象となるのは、不動産、有価証券などです。
これらを売却することで、財務状況を改善する効果が期待できます。
ただし、主要な事業運営に欠かせない資産については慎重に判断し、安易に売却しないことが重要です。
4. 増資による資本注入
増資は、企業が新たな資金を調達して純資産を増加させる手法の一つです。
具体的には、経営者の自己資金を投入する方法や、新株発行などによる投資家から出資を募る方法などが挙げられます。
ただし、新株発行などのプロセスでは株主構成や経営権に影響を及ぼす可能性があるため、慎重な判断が求められます。
5. DES(Debt Equity Swap)の利用
DES(Debt Equity Swap)は、負債を株式に転換することで債務超過を解消する手法です。
この方法では、負債が減少し純資産が増加するため、企業の財務体質を改善する効果があります。
債権者にとっては株式取得による収益の可能性が生まれ、一方で債務者側は返済負担の軽減と財務健全性の向上が期待できます。
ただし、この手法を実施するには債権者との合意が必要であり、中小企業では実現が難しいケースもあるため、慎重な検討が求められます。
6. 債務免除を交渉する
金融機関や取引先との交渉により、一部または全額の債務免除を受けることで、負債を減少させ財務状況を改善する方法があります。
この手法は、債権者にとって損失を伴うため、交渉が難航する可能性があります。
そのため、弁護士や専門家の助言を受けながら、適切な交渉戦略を立てることが重要です。
また、債務免除によって得られる利益には法人税が課される場合があるため、その税務上の影響も事前に考慮する必要があります。
まとめ
本記事では、債務超過の状態を具体的なバランスシート例を用いて解説しました。
負債が資産を上回り、純資産がマイナスになる債務超過の状況は企業にとって大きなリスクです。
債務超過を解消するには、売上増加やコスト削減で利益を改善したり、M&Aによる事業譲渡などで事業再生を図ったりする方法が有効です。
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