
「資金繰りが厳しい」「借入の返済が見通せない」
経営の継続が限界に近いと感じたとき、多くの経営者が直面するのは「会社をどうやって畳めばよいのか分からない」という不安ではないでしょうか。
会社を畳む流れは、単に会社の登記を消して終わりではありません。
従業員、取引先、金融機関など多くの関係者への対応が必要であり、手順を誤るとトラブルや追加の負担を抱える可能性もあります。
また、状況によっては「廃業」「清算」「倒産(破産)」だけでなく、事業譲渡や会社分割などを活用し、事業を残しながら整理する方法が選択できる場合もあります。
企業再生や事業整理の現場では、「ただ会社を畳む」のではなく、経営者の再出発や従業員・取引先への影響を最小限に抑える形で幕引きを行うことが重要になります。
本記事では、企業再生や事業整理の実務に携わってきた立場から、
- 会社を畳むまでの具体的な流れ(タイムライン)
- 廃業・清算・倒産の違い
- 関係者への対応や実務で注意すべきポイント
- 「単なる廃業」以外の選択肢(事業譲渡・再生スキームなど)
について、わかりやすく解説します。
「会社をどう畳めばよいのか」「できるだけ負担を少なく幕引きしたい」と悩んでいる経営者の方が、状況を整理するためのガイドとして、ぜひ最後までご覧ください。
ジーケーパートナーズは、中小企業活性化協議会の外部専門家として、これまで数多くの企業の事業整理や会社の幕引きを支援してきました。
会社を畳む方法は、単に廃業するだけではありません。
状況によっては、
- 私的整理ガイドラインを活用した債務整理
- 事業譲渡やM&Aによる事業の存続
- 会社分割などを活用した再生スキーム
など、経営者の負担を抑えながら再出発につなげる選択肢が存在します。
特に、債務超過や借入金の多い企業の整理・再生案件は、一般的なM&A仲介会社では対応が難しいケースも少なくありません。
当社では、企業再生の実務経験を活かし、金融機関との調整や再生スキームの設計を含めた支援を行っています。
判断を先送りにするほど、選べる選択肢は少なくなってしまいます。
しかし、早い段階で状況を整理することで、より良い形での幕引きが可能になるケースも多くあります。
現在、経営や借入の問題で悩んでいる経営者の方向けに、無料個別相談会を実施しています。
会社を畳むべきか、事業を残す方法があるのか――
貴社の状況に合わせて、最適な選択肢を一緒に整理いたします。
事業継続から整理・撤退まで、一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
- 【ステップ1】現状の把握と「畳み方」の判断
- 資産と負債を正確に棚卸しする
- 債務超過でも「事業」を他社へ引き継げるか検討する
- 【ステップ2】関係者への告知と適切なタイミング
- 従業員への解雇告知と再就職の支援
- 取引先・仕入れ先へ不義理をしないための報告順序
- 資産の売却と在庫処分の着手
- 【ステップ3】法的な解散手続きと清算実務
- 株主総会での解散決議と清算人の選任
- 解散登記と官報公告(債権者への通知)
- 債務の弁済と残余財産の分配
- 【ステップ4】税務・労務の締めくくりと結了
- 解散時・清算結了時の確定申告
- 社会保険・雇用保険の資格喪失手続き
- 清算結了登記による法人の消滅
- 会社を畳むための期間は最低でも2か月以上必要
- 会社を畳む流れで絶対に避けるべき3つの失敗
- 1.特定の債権者だけに優先して返済してしまう
- 2.法的な手続きをせず「放置」してしまう
- 3.経営者が一人で抱え込み、判断を先送りにする
- まとめ
【ステップ1】現状の把握と「畳み方」の判断
会社を畳む流れの中で、最初に行うべきなのは「会社の現状を正確に把握すること」です。
廃業や倒産といった手続きを選ぶ前に、まずは会社の資産・負債の状況や事業の価値を客観的に整理する必要があります。
特に重要なのは、帳簿上の数字だけで判断するのではなく、実際の資産価値や事業の収益力を踏まえて「どのような形で会社を整理するのが最適か」を見極めることです。
場合によっては、債務超過であっても事業そのものには価値があり、事業譲渡やM&Aによって他社へ引き継げるケースもあります。
そのため、まずは会社の財務状況と事業の実態を整理し、どのような選択肢があり得るのかを確認することが重要です。
ここでは、会社を畳む判断を行うために最初に確認すべきポイントを下記に解説します。
資産と負債を正確に棚卸しする
まずは、現在の決算書をベースに「実態バランスシート(実際の資産価値を反映した貸借対照表)」を作成することから始めます。
なぜなら、帳簿上の数字と、実際に換金できる価値には大きな乖離があることが多いからです。
会社を畳む判断をする際には、帳簿上の数字ではなく「実際にいくら回収できるのか」を基準に会社の状態を把握する必要があります。
たとえば資産側では、
- 売掛金の中に回収不能なものが含まれていないか
- 在庫が実際には二束三文でしか売れないのではないか
- 設備や不動産が帳簿価額より大きく価値を下げていないか
といった視点で、資産を厳しく評価します。
一方、負債側も借入金だけを見ればよいわけではありません。
会社を畳む際には、次のような費用が発生する可能性があります。
- リース契約の解約費用
- 従業員の退職金
- 事務所や工場の原状回復費用
- 未払税金や社会保険料
このように、会社の幕引きに伴って発生するすべてのコストを洗い出すことが重要です。
もしこの精査を怠ると、清算の途中で資金が不足し、円満な廃業や計画的な会社整理が難しくなるリスクがあります。
そのため、会社を畳む流れの第一歩として、まずは財務の実態を正確に把握することが欠かせません。
なお、実態バランスシートの作り方や、財務状況を正しく整理するポイントについては、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
関連記事|債務超過とは?バランスシート(BS)の見方と判断基準を徹底解説
債務超過でも「事業」を他社へ引き継げるか検討する
もし精査の結果、負債が資産を上回る「債務超過」であったとしても、すぐに「破産しかない」と結論づける必要はありません。
会社全体としては赤字であっても、特定の事業、顧客基盤、長年培ってきた技術やノウハウなどに価値が残っているケースは少なくありません。
このような場合には、事業譲渡などのM&Aスキームを活用することで、事業や雇用を他社へ引き継ぎながら、実質的な会社の幕引きを図ることが可能です。
つまり、会社という「器」は畳むことになったとしても、中身である事業そのものを第三者へ引き継ぐことで価値を残すという選択肢が考えられます。
この方法を活用できれば、
- 事業や雇用を守ることができる
- 取引先への影響を最小限に抑えられる
- 経営者の連帯保証債務の負担を圧縮できる可能性がある
といったメリットが生まれる場合もあります。
会社を畳む際には「ただ廃業して会社を消滅させる」のか、「事業の価値を第三者につないで幕を引く」のかという選択があります。
この判断一つで、経営者の再出発の形や、関係者への影響は大きく変わります。
債務超過の状態でも、事業譲渡などの「再生型M&A」を活用することで、事業や雇用を残しながら会社の整理を進められる可能性があります。
こうした債務超過企業の事業承継・再生スキームについては、以下の記事で具体的な方法や進め方を詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
関連記事|債務超過企業でもM&Aは可能!成功のための5つのステップ
【ステップ2】関係者への告知と適切なタイミング
会社を畳む方針が固まったら、次は法的な会社解散や清算に向けた具体的な準備と、関係者への告知を進めていく段階に入ります。
会社の整理を進める際には、従業員、取引先、金融機関など、多くの関係者との調整が必要になります。
そのため、このフェーズで最も重要になるのが、誰に・いつ・どの順番で伝えるかという「告知のタイミング」です。
もし告知の順序やタイミングを誤ると、
- 従業員の突然の退職
- 取引先との契約トラブル
- 金融機関との関係悪化
といった問題が発生し、会社の清算手続きや廃業準備そのものが難しくなる可能性もあります。
円滑に会社を畳むためには、現場の混乱を最小限に抑えながら、清算事務を進めるための協力体制を維持することが重要です。
ここでは、会社を畳む流れの中で特に注意すべき関係者への告知の順序やタイミングについて解説します。
従業員への解雇告知と再就職の支援
会社を畳む場合、従業員への対応は非常に重要なポイントになります。
まず法律上、解雇を行う場合は解雇予定日の30日前までに予告する必要があります(労働基準法第20条)。
ただし、実務上はこのタイミングの判断が非常にデリケートです。
あまりに早く告知してしまうと、清算業務に必要な従業員までが先に退職してしまい、告知の順序やタイミングを誤ると、
- 在庫の処分
- 売掛金の回収
- 取引先との最終調整
といった会社を終わらせるための実務が滞るリスクがあります。
一方で、突然の解雇告知は従業員の生活に大きな影響を与えるため、不信感や不満が高まり、労使トラブルに発展する可能性もあります。
そのため、経営者としては事情を誠実に説明するだけでなく、可能な範囲で
- 取引先企業への紹介
- 再就職先の情報提供
- 転職活動の支援
など、従業員の次の働き先を意識した支援を行うことが望ましいでしょう。
会社を畳む過程では、従業員への対応が企業の最終的な評価にもつながります。
誠意ある説明と具体的な再就職支援を行うことが、円満な幕引きのために欠かせないポイントとなります。
取引先・仕入れ先へ不義理をしないための報告順序
会社を畳む際には、取引先や仕入れ先への報告の順序とタイミングにも十分な配慮が必要です。
長年付き合いのある取引先であっても、報告のタイミングが早すぎると「あの会社は危ないのではないか」という信用不安が広がる可能性があります。
その結果、
- 未回収リスクを恐れた仕入れ先による商品の引き揚げ
- 一方的な取引停止
- 支払い条件の突然の変更
といった事態が発生し、会社の清算や廃業準備に支障が出ることもあります。
そのため、実務上は事業停止や解散決議の直前のタイミングで主要な取引先へ説明するケースが一般的です。
特に、買掛金や未払金が発生している取引先に対しては、単に「会社を畳む」と伝えるだけでは不十分です。
- いつまでの取引を対象にするのか
- どのような手順で精算するのか
- 支払いの見通しはどうなっているのか
といった具体的な精算計画を示すことで、相手の不安を和らげることが重要になります。
混乱を最小限に抑えるためには、銀行への相談タイミングも含めて、関係者への告知の順序をあらかじめ整理しておくことが欠かせません。
専門家のアドバイスを受けながら、取引先との関係性に配慮した「告知のスケジュール表」を作成しておくと、円滑に会社整理を進めやすくなります。
資産の売却と在庫処分の着手
会社を畳む流れでは、法的な清算手続き(ステップ3)に入る前の段階から、現金化できる資産の整理を進めておくことが重要です。
清算が始まってから慌てて資産を売却しようとすると、買い手が見つからず、想定よりも大幅に低い価格で処分せざるを得ないケースも少なくありません。
そのため、営業を継続している段階から、計画的に資産の整理と売却準備を進めておく必要があります。
早期に着手すべき主な資産項目は、次の通りです。
棚卸資産(在庫)
営業を継続している間であれば、通常価格に近い形での販売や処分が可能な場合があります。
しかし、会社の解散後は在庫の価値が大きく下がり、「二束三文」での売却を余儀なくされるケースも少なくありません。
そのため、できるだけ早い段階から在庫の整理や販売を進めておくことが重要です。
固定資産(設備・車両など)
リース物件の場合は、解約手続きや返却の条件を確認し、早めに調整を進める必要があります。
自社所有の車両や機械については、専門の買取業者へ査定を依頼し、売却可能なものから順次現金化を検討します。
この段階でどれだけ資金を確保できるかが、
- 従業員の退職金
- 未払債務の支払い
- 清算手続きの費用
といった会社整理に必要な資金の原資になります。
結果として、資産の早期整理は経営者自身の金銭的負担を軽減することにもつながる重要なポイントといえるでしょう。
【ステップ3】法的な解散手続きと清算実務
関係者への告知や資産整理などの準備が整ったら、次はいよいよ会社を法的に消滅させるための解散・清算手続きに進みます。
会社を畳む場合、単に営業を停止するだけでは会社は消滅しません。
会社法に定められた手続きに従い、解散決議、清算人の選任、債権者保護手続き、残余財産の分配といった段階を順に進めていく必要があります。
このフェーズでは、すべての手続きが会社法などの法令に基づいて行われる正式な手続きとなります。
そのため、書類の作成や公告、登記など、一つひとつの手続きに法的責任が伴います。
また、清算の過程では
- 残っている債権の回収
- 債務の最終的な支払い
- 税務申告や清算結了の手続き
など、多くの実務が並行して進みます。
ここでは、会社を畳む流れの最終段階として、会社の解散から清算結了までの基本的な手続きについて解説します。
株主総会での解散決議と清算人の選任
会社を畳むための最初の法的手続きは、株主総会を開催し「会社の解散」を特別決議することです。
この決議によって、会社は通常の事業活動を終了し、清算手続きへ移行することになります。
同時に、会社の後片付けを進める責任者として「清算人」を選任します。
清算人は、会社の資産の処分や債務の支払い、残余財産の分配など、会社を正式に終わらせるための実務を担当する役割を担います。
一般的には、これまで会社の状況を把握している代表取締役がそのまま清算人に就任するケースが多く見られます。
一方で、債務超過が疑われる場合や、利害関係者との調整が複雑になるケースでは、公平性を確保するために弁護士などの専門家を清算人として選任することもあります。
なお、この株主総会の決議日が会社の「解散日」となります。
解散後の会社は通常の営業活動を行うことはできず、資産や負債を整理するための「清算」を目的とした組織として存続することになります。
解散登記と官報公告(債権者への通知)
株主総会で解散決議を行った後は、法務局での登記手続きと債権者への公告を行います。
まず、解散の日から2週間以内に、法務局へ「会社の解散登記」「清算人選任の登記」を申請する必要があります。
さらに、会社法第499条に基づき、官報で解散の事実を公告する手続きも行います。
この公告は、会社に対して債権(貸付金や未払い代金など)を持つ人に対し、「会社を清算するため、債権がある場合は一定期間内に申し出てください」と広く知らせるための債権者保護手続きです。
法律上、この公告期間は最低2か月間設けることが義務付けられています。
そのため、この期間が経過するまでは、次のステップである残余財産の分配に進むことはできません。
結果として、この債権者保護期間は、会社を畳む流れの中でも特に時間がかかるフェーズとなります。
債務の弁済と残余財産の分配
官報公告による債権者保護期間中、清算人は会社に残っている債権・債務の整理(清算業務)を進めていきます。
具体的には、
- 売掛金などの債権の回収
- 在庫や設備などの資産の売却
によって現金を確保し、その資金を原資として
- 買掛金
- 借入金
- 未払費用
など、会社が負っているすべての債務の支払いを行います。
そして、すべての負債を弁済し終えた後、なお資金が残っている場合に限り、その残った財産を株主へ分配します。
これが「残余財産の分配」です。
なお、清算の途中で「資金が不足し、すべての借金を返済できない」ことが判明した場合には、通常の清算手続きを続けることはできません。
この場合は、会社法に基づき、破産や特別清算などの法的整理へ移行する必要があります。
そのため、会社を畳む流れの中では、資産と負債の状況を慎重に確認しながら清算を進めていくことが重要になります。
【ステップ4】税務・労務の締めくくりと結了
会社の解散や清算手続きが進む中で、法務局での登記手続きと並行して、税務署や年金事務所などへの各種届け出も行う必要があります。
会社を畳む流れの最終段階では、法人としての活動を正式に終了させるため、税務・労務に関する手続きを漏れなく完了させなければなりません。
これらの手続きは、経営者や清算人にとっての「最後の公的な義務」ともいえる重要なプロセスです。
必要な届け出や申告をすべて終え、清算結了登記が完了することで、会社は法的に完全に消滅し、法人としての歴史に幕が下ろされます。
特に、税務面と労務面において遅滞なく行うべき主な手続きは、次の通りです。
解散時・清算結了時の確定申告
会社を解散した場合、通常の決算とは別に、清算手続きに伴う特別な確定申告が必要になります。
会社を畳む流れの中では、解散から清算結了までの期間において、主に次のような税務申告を行います。
①解散事業年度の確定申告
事業年度の期首から「解散日」までの期間を一区切りとして決算を行い、原則として解散日から2か月以内に法人税などの確定申告を行います。
②清算事業年度の確定申告
解散後は会社が「清算会社」となり、資産の売却や債務の弁済などの清算業務を行います。
この清算期間中に発生した利益や損失についても、清算事業年度ごとに申告が必要になります。
③清算結了時の最終申告
すべての債務の弁済と残余財産の分配が完了し、清算手続きが終了した時点で、清算結了に伴う最終の確定申告を行います。
清算期間中の税務処理は、通常の営業活動時とは計算ルールが異なる部分も多くあります。
そのため、税理士などの専門家と連携しながら正確に処理を進めることが、後の税務トラブルを防ぐ重要なポイントになります。
社会保険・雇用保険の資格喪失手続き
会社を畳む際には、従業員の退職や事業所の廃止に伴い、社会保険や雇用保険の資格喪失手続きを速やかに行う必要があります。
これらは労務面における重要な最終手続きであり、適切に処理することで従業員が次の生活へ円滑に移行できるようになります。
主に必要となる届出は、次の通りです。
①健康保険・厚生年金保険
事業所を廃止する場合は、年金事務所へ
- 適用事業所全廃届
- 従業員ごとの資格喪失届
を提出します。
②雇用保険
ハローワークにて従業員の資格喪失手続きを行い、あわせて離職票の発行を行います。
離職票は、従業員が失業保険(基本手当)の受給手続きを行うために必要となる重要な書類です。
特に、離職票の発行が遅れると、従業員が失業給付をすぐに受けられず、生活に支障が生じる可能性があります。
そのため、会社を畳む際には最後まで雇用主としての責任を果たし、従業員がスムーズに次のステップへ進めるよう配慮することが、円満な会社整理のために欠かせない視点となります。
清算結了登記による法人の消滅
会社の解散後、すべての清算業務と税務申告、社会保険などの手続きが完了したら、最後に清算結了の手続きを行います。
まず、株主総会を開催し、清算人が作成した清算事務報告書(決算報告)について株主の承認を受けます。
これは、清算手続きが適正に行われたことを確認するための最終的な手続きです。
その後、承認の日から2週間以内に法務局へ「清算結了登記」を申請します。
この登記が受理されると、会社は登記簿上から正式に消滅し、会社を畳む流れのすべての手続きが完了することになります。
会社を畳むための期間は最低でも2か月以上必要
会社を畳む手続き(通常の廃業・清算)には、最低でも2か月以上の期間が必要になります。
実際には、会社の状況によっては半年から1年以上かかるケースも珍しくありません。
その主な理由は、法律で定められている手続きや、実務上必要となる準備期間があるためです。
特に大きな要因となるのが、会社法第499条で定められている「官報公告(債権者保護手続き)」です。
会社が解散したことを官報で公告し、会社に対して債権を持つ人に
「債権がある場合は一定期間内に申し出てください」
と通知するための手続きで、最低2か月以上の公告期間を設けることが法律で義務付けられています。
この期間は法律で定められているため短縮することはできず、公告から清算結了までには最低でも2か月程度の時間がかかることになります。
さらに実務面では、次のような準備も必要になります。
- 在庫や設備などの資産売却
- 売掛金の回収
- 従業員への解雇予告(原則30日前)
- 取引先への説明や精算
こうした手続きをすべて考慮すると、会社を畳む流れとしては半年程度の期間を見込んで計画を立てるのが現実的といえるでしょう。
会社を畳む流れで絶対に避けるべき3つの失敗
会社を畳む流れでは、手続きそのものよりも経営者の判断ミスによってトラブルが深刻化するケースが少なくありません。
資金繰りの悪化や取引先への対応に追われる中で、「何とかしなければ」という焦りから行った判断が、結果として法的な問題や新たな負担を生んでしまうこともあります。
特に注意が必要なのは、会社整理の過程で起こりやすい典型的な失敗です。
一度踏み外してしまうと、清算手続きが複雑化したり、経営者自身の再出発に大きな影響を及ぼす可能性もあります。
会社を畳む際に、特に避けるべき代表的な失敗は次の3つです。
- 特定の債権者だけに優先して返済してしまう
- 法的な手続きをせず会社を放置してしまう
- 経営者が一人で抱え込み、判断を先送りにする
こうした落とし穴を避けるためには、経営者だけで判断を抱え込まず、客観的な視点を持つ専門家の助言を受けながら進めることが重要になります。
1.特定の債権者だけに優先して返済してしまう
会社を畳む過程では、「長年お世話になった仕入れ先にだけは迷惑をかけたくない」という思いから、特定の取引先に対して優先的に支払いをしてしまうケースがあります。
しかし、このような行為は法的には「偏頗(へんぱ)弁済」と呼ばれ、注意が必要です。
偏頗弁済とは、経営状況が悪化している中で、特定の債権者だけに優先して返済を行うことを指します。
もしその後、会社が破産や特別清算などの法的整理に移行した場合、こうした支払いは取り消しの対象になる可能性があります。
さらに状況によっては、
- 破産手続において免責が認められない
- 経営者個人が損害賠償責任を問われる
といったリスクが生じることもあります。
そのため、会社を畳む際の債務の支払いは、感情や個人的な関係ではなく、法律に基づいたルールに従って進めることが重要になります。
2.法的な手続きをせず「放置」してしまう
会社を畳む流れの中で、意外と多いのが会社を正式に解散・清算せず、そのまま放置してしまうケースです。
「どうせお金が残っていないから」
「登記費用を払う余裕がないから」
といった理由で手続きを先送りにし、いわゆる「幽霊会社」として法人が登記簿上に残ってしまうことがあります。
しかし、会社を放置することには次のようなリスクがあります。
- 過料(罰金)の発生:役員変更登記などの義務を怠ると、裁判所から過料を科される可能性があります。
- 税務・労務上のトラブル:確定申告の未提出や社会保険の清算漏れが、後になって税務問題や法的紛争につながることがあります。
- 再出発への悪影響:登記や税務の未処理が残っていると、将来新しい事業を始める際に信用面での障害になる可能性があります。
会社を畳む際には、単に営業をやめるだけではなく、法的な手続きを通じて正式に会社を終わらせることが重要です。
「清算結了」まで手続きを完了させ、法人を登記簿上から消滅させることで、経営者としての責任をきちんと果たし、自分自身の社会的信用をクリーンな状態に戻すことができます。
3.経営者が一人で抱え込み、判断を先送りにする
会社を畳む流れでは、財務・法務・労務といった複数の問題が同時に絡み合うため、高度な意思決定が求められる場面が続きます。
そのため、経営者が一人で悩み続け、判断を先送りにしてしまうケースは決して珍しくありません。
しかし、その間にも資金繰りは悪化し、現預金は刻一刻と減少していきます。
時間が経てば経つほど、選べる選択肢は確実に少なくなります。
本来であれば選択できたはずの
- 負担を抑えた形での会社整理
- 事業譲渡による事業の存続
- 従業員の雇用維持
といった「痛みの少ない幕引き」が難しくなることもあります。
こうした失敗を防ぐためには、資金が完全に尽きてしまう前に、企業再生や事業整理の専門家へ相談することが重要です。
第三者の視点で会社の資産と負債を客観的に整理し、状況に応じた再生スキームや整理方法を検討することで、経営者自身の負担を最小限に抑えながら会社を終わらせる選択肢を見つけることが可能になります。
まとめ
会社を畳む流れを正しく理解し、適切な順序で手続きを進めることは、単なる後片付けではありません。
従業員や取引先への影響を最小限に抑え、経営者自身が法的な責任を果たしたうえで次の活動へ移るための、極めて重要なプロセスです。
本記事で解説した、円滑な幕引きのために押さえておくべきポイントは次の4つです。
ステップ1:資産・負債の実態を精査し、自社に最適なスキームを選択する
ステップ2:関係者への告知と資産処分を、計画的なスケジュールで行う
ステップ3:解散決議と官報公告を経て、法的ルールに基づいた清算を進める
ステップ4:税務申告と清算結了登記を完了させ、法人を正式に消滅させる
しかし、これらの工程を経営者一人で、しかも短期間で完遂させることは決して容易ではありません。
判断が遅れるほど現預金は減り続け、本来選べたはずの
- 事業譲渡による雇用の維持
- 私的整理による債務負担の軽減
- 再生スキームを活用した円滑な事業整理
といった選択肢が失われていく可能性があります。
会社を畳むという決断は、経営者にとって非常に重いものです。
しかし、適切な専門家の支援を受けながら進めることで、従業員・取引先・経営者自身にとって最も負担の少ない形での幕引きを実現できる場合もあります。
「廃業しかないのか」「事業を残す方法はないのか」など、判断に迷われている場合は、早い段階で現状を整理することが重要です。
ジーケーパートナーズは、中小企業活性化協議会の外部専門家として、これまで数多くの企業の事業整理や会社の出口支援に携わってきました。
単なる廃業手続きの代行ではなく、財務・事業の両面から現状を分析し、状況に応じて
- 事業譲渡やM&Aによる事業の存続
- 私的整理を活用した債務負担の軽減
- 法的整理を含めた適切な会社整理
など、経営者の負担を最小限に抑えるための具体的なスキームをご提案しています。
「自分の会社はどの流れで進めるべきなのか」
「まだ打てる手は残っているのか」
と迷われている段階でも問題ありません。
むしろ、早い段階で現状を整理することで、選べる選択肢が増えるケースも多くあります。
ジーケーパートナーズでは、経営や借入に悩む経営者の方向けに無料個別相談会を実施しています。
貴社の状況を整理し、客観的なデータに基づいた最適な選択肢を一緒に見極めていきましょう。
会社を畳むべきか、事業を残す道があるのか――
まずは一度、お気軽にご相談ください。



