「M&Aに興味はあるが、資金調達の方法がわからない」「個人でM&Aを進めたいが、銀行から融資を受けられるのか不安」
そんな悩みを抱える中小企業の経営者や投資家の方は多いのではないでしょうか。
M&Aには、買収代金だけでなく、デューデリジェンス(精査)費用や仲介会社への手数料など、さまざまな資金が必要です。こうした費用をどうやって用意すればよいのか、不安に感じるのは当然のことです。
しかし実際には、M&A資金をサポートする制度や融資の選択肢は豊富に存在します。
たとえば、「日本政策金融公庫」の事業承継・集約・活性化支援資金や、M&Aに活用できる補助金制度など、中小企業や個人でも利用しやすい制度が整備されています。
本記事では、銀行融資、日本政策金融公庫の制度、M&A補助金など、資金調達の手段を幅広く紹介し、それぞれの特徴や活用ポイントをわかりやすく解説します。
適切な資金調達方法を選ぶことで、M&Aの成功率を大きく高めることができます。
M&Aを進めたいが資金面で不安がある方は、ぜひ参考にしてください。
なお、ジーケーパートナーズでは、債務超過や資金繰りが厳しい企業のM&A支援を専門に行っています。
一般的なM&A仲介会社では対応が難しいケースでも、私たちは積極的に支援しています。
企業再生の現場で培ってきた豊富な経験をもとに、再生スキームを活用した資金調達方法もご提案可能です。
「M&Aを進めたいが資金面に課題がある」「どこに相談すればいいかわからない」といったお悩みに、実務に即した形でお応えします。
まずはお気軽に、無料の個別相談会でお悩みをお聞かせください。
専門のコンサルタントが丁寧に対応いたします。
M&A資金調達とは?
M&A資金調達とは、企業買収や合併(M&A)を行うために必要な資金を、銀行などの外部から調達することを指します。
M&Aでは、買収金額だけでなく、以下のようなさまざまな費用が発生します。
- デューデリジェンス(財務・法務調査)費用
- M&A仲介会社への手数料
- 登記費用や契約書作成などの手続き費用
- 弁護士・会計士など専門家への費用
これらをすべて自己資金(手元資金)だけでまかなうのは難しいケースが多く、外部からの資金調達が重要となるのです。
また、実務上は、資金調達が完了していることが、M&Aの最終契約(クロージング)を成立させる条件となるのが一般的です。
そのため、買い手側は「買収交渉」と「資金調達」を同時並行で進める必要があります。
さらに、買収対象企業に税金の未払いがある場合や、将来的に多額の税負担が見込まれる場合には、買い手がそれを引き継ぐことになります。そのため、納税資金も含めた資金計画を立てておくことが欠かせません。
M&Aを成功させるためには、状況に応じた適切な資金調達方法を選ぶことがカギになります。
資金調達3つの方法
資金調達方法は、大きく分けての3つのタイプがあります。
- M&A補助金制度の活用
- 直接金融
- 間接金融
それぞれの違いや特徴、具体的にどのような手段があるのかを、以下でわかりやすくご紹介します。
M&A補助金制度の活用
2025年現在、「事業承継・M&A補助金」という名称で、中小企業のM&Aや事業承継を支援する公的制度が実施されています。
この補助金は、これまで実施されていた「事業承継・引継ぎ補助金(令和5年度まで)」の後継制度にあたります。
より実務的・多様な支援ができるよう制度内容が整理されており、現在は4つの支援枠に分かれて構成されています。
支援枠 | 補助対象 | 補助上限額 | 補助率 |
事業承継促進枠 | 5年以内の承継予定者が行う設備投資 | 800~1,000万円 | 1/2・2/3 |
専門家活用枠 | M&A時のFA費用・表明保証保険料 | 保険料買い手支援類型:600~800万円、2,000万円
売り手支援類型:600~800万円 |
買手支援類型
:1/3・1/2、2/3 売手支援類型 :1/2・2/3 |
PMI推進枠 | M&A後の経営統合費用(専門家・設備) | PMI専門家活用類型:150万円
事業統合投資類型:800~1,000万円 |
PMI専門家活用類型:1/2
事業統合投資類型 :1/2・2/3 |
廃業・再チャレンジ枠 | 廃業費用+新事業挑戦費用 | 150万円 | 1/2・2/3 |
2025年の申請スケジュール状況は、以下の通りです。
- 公募開始:2025年3月31日(月)暫定版公開、2025年4月18日(金)確定版公開
- 申請受付開始:2025年5月9日(金)
- 申請締切:2025年6月6日(金)17時
- 請期限終了:現在、11次公募の申請期限は既に終了しています
出典:事業承継・引継ぎ補助金
この補助金制度は、M&Aの各段階にかかる費用を公的にサポートしてくれるもので、資金負担の大きい中小企業にとって非常に有効です。
このような補助制度を戦略的に組み合わせて活用することで、中小企業でもM&Aにかかる資金負担を大きく軽減することが可能です。
制度の詳細や申請支援について知りたい方は、ぜひ無料相談会をご活用ください。
ジーケーパートナーズでは、中小企業活性化協議会の外部専門家としての豊富な経験をもとに、銀行との交渉支援から、実現可能性の高い事業計画書の作成まで、ワンストップでサポートいたします。
「資金調達に不安がある」「金融機関との交渉がうまくいかない」とお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
直接金融(エクイティファイナンス)
直接金融とは、企業が銀行などの金融機関を通さず、証券市場などを通じて投資家から直接資金を調達する方法です。
資金提供者(投資家)と企業が、第三者を介さずに直接つながることが特徴です。
主な手法は下記のとおりです。
- 公募増資:広く一般の投資家に向けて、新しい株式を発行して資金を集める方法です。
- 株主割当増資:既存の株主に対して、持ち株の割合に応じて新株を発行する方法です。
- 第三者割当増資:特定の投資家(たとえば事業パートナーやファンドなど)に限定して新株を発行する方法です。
- 社債の発行:投資家に対して利息(一定の金利)を支払う約束のもと、借入れのように資金を調達する手法です。返済期限付きですが、株式とは異なり出資者の経営参加はありません。
直接金融のメリットは、株式による資金調達は元本の返済義務がなく、金利負担も不要な点が最大の魅力です。
一方、デメリットは、新たな株式を発行することで既存株主の持株比率が下がる(希薄化)リスクや、1株あたりの価値が下がる可能性があります。
間接金融(デットファイナンス)
間接金融とは、企業が銀行などの金融機関を仲介者として利用し、資金を借り入れる方法です。
つまり、資金提供者(預金者)と企業の間に金融機関が入ることで、企業は間接的にお金を調達することになります。
主な調達手段は下記のとおりです。
- 銀行融資:都市銀行、地方銀行、信用金庫などからの一般的な借入です。
- 日本政策金融公庫の融資:政府が設立した金融機関による、中小企業向けの支援融資です。金利が低めで利用しやすいのが特徴です。
また、主な調達手法は下記のとおりです。
- プロパー融資:信用保証協会の保証がつかない、金融機関独自の判断による直接融資です。実績や信用が必要とされます。
- ビジネスローン:企業向けに提供される事業資金専用のローン商品で、比較的スピーディに借入が可能なケースもあります。
間接金融のメリットは、付き合いのある銀行などからの借入であれば、比較的スムーズに審査を通過でき、手続きも複雑になりにくい傾向があります。
一方、デメリットは、借入である以上、契約(約定)に基づき、元本と利息の返済が必須です。
場合によっては、金利が高い、あるいは短い返済期間を求められることもあります。
銀行融資によるM&A資金調達について
M&A資金を調達する方法の中で、銀行融資は最も一般的で実用性の高い手段です。
金融機関から借入を行い、その資金をもとに買収を実行し、契約(約定)に従って元本と利息を返済していく仕組みです。
主な融資機関は、以下の通りです。
機関名 | 特徴 |
都市銀行(メガバンク) | 大型案件の資金調達に強く、シンジケートローンの組成が可能。海外拠点多数でクロスボーダーM&Aにも対応。専門チームが多言語対応。長期融資や為替ヘッジも提供。 |
地方銀行 | 中堅・中小企業向けのM&A融資に対応。地域密着型で柔軟な対応が可能。既存取引先であれば審査が通りやすい。 |
信用金庫・信用組合 | 地域密着型の金融機関で、中小企業のM&A融資に理解がある。柔軟な融資条件を提示することが多い。 |
日本政策金融公庫 | 政府系金融機関として、中小企業のM&A支援にも力を入れている。特に、M&A関連の融資制度として「事業承継・集約・活性化支援資金」が利用可能。この制度の主な特徴は、最大7,200万円まで(うち運転資金4,800万円)、民間金融機関に比べ低利、返済期間は設備資金20年以内/運転資金7年以内である。 |
銀行融資を活用するには、以下のポイントを参考にしてください。
信頼を得るための基準を把握する
銀行からM&A資金の融資を受ける際には、企業の信用力と返済能力を示す「格付け」が、非常に重要な審査基準となります。
金融機関では、企業の財務状況や収益力に応じて、次のようなランクで評価を行います。
- 正常先:業績が安定しており、返済能力に問題なし
- 要注意先:業績に一部不安要素あり
- 破綻懸念先:返済に支障をきたす可能性が高い
- 実質破綻先:すでに破綻状態にある企業
「正常先」に分類されれば、低金利・長期返済など有利な条件で融資を受けられる可能性が高まります。
特に、経常利益や純資産が黒字(プラス)であることは、企業の返済能力の強い証明となります。
一方で、赤字や債務超過の状態にある企業は、審査の通過が難しくなるのが一般的です。
さらに、審査では法人だけでなく、代表者個人の信用情報も確認されます。
税金や社会保険料の滞納履歴がある場合はマイナス評価となるため、事前に状況を整理・改善しておくことが大切です。
自社に最適な資金調達方法を検討する
M&Aのために資金を調達する際は、自社の財務状況や買収金額の規模に応じて、最適な融資方法を選ぶことが非常に重要です。
各手法には特徴や審査基準があり、目的や条件に応じた使い分けが求められます。
主な融資手段は下記のとおりです。
- プロパー融資(保証なしの銀行融資)
信用保証協会の保証を付けず、銀行が独自に審査して融資を実行する方法です。
金利は低めで好条件ですが、厳しい審査と高い信用力が求められます。
- 信用保証協会付き融資
信用保証協会が保証を付けることで、銀行のリスクを軽減し、融資が通りやすくなります。
中小企業向けのスタンダードな融資方法として広く活用されています。
- 日本政策金融公庫の「事業承継・集約・活性化支援資金」
M&Aを目的とした資金調達に特化した制度で、最大7,200万円までの低金利融資が可能です。
後継者不在や事業承継ニーズがある中小企業には、特に活用価値の高い制度です。
- ビジネスローン
事業資金に特化したローン商品で、スピーディに資金調達できる点が魅力です。
ただし、金利が高めであるため、短期資金の補填やつなぎ資金としての活用が向いています。
それぞれの融資方法にはメリット・デメリットがあります。
借入金額・返済期間・金利条件などを総合的に比較し、自社の財務状況やM&A後の事業計画に最も適した組み合わせを選ぶことが重要です。
必要資料は綿密に作り込む
M&A資金の銀行融資を受けるための審査では、借入金額の妥当性を裏付ける具体的な根拠を提示することが非常に重要です。
ただ「◯千万円を借りたい」と伝えるだけでは通りません。なぜその金額が必要で、どう返済するのかを明確に示す必要があります。
銀行の納得を得るために、以下のような内容を具体的に事業計画書に盛り込みましょう。
- 市場分析:業界の動向や市場規模、成長性
- 競合分析:競合他社との比較や自社の優位性
- 売上・利益予測(3〜5年分):数値根拠のある将来見通し
- M&Aによるシナジー効果:買収後に見込まれる業績向上やコスト削減などの効果
決算書の透明性が重視されます。
特に、「貸付金」「未収金」「仮払金」などの内容が不明確な勘定科目が多いと、粉飾決算を疑われる原因になります。
代表者への貸付金や、過度な役員報酬なども、「資金の私的流用リスク」としてマイナス評価につながります。
以下のような書類をあわせて提出すると、銀行側の信頼を得やすくなります。
- 資金繰り表(キャッシュフロー計画)
- 返済計画書
- M&A後の統合計画(PMI:PostMergerIntegration)
これらを含めた一貫性のある資料を準備することが、融資審査を通過するための前提条件となります。
M&Aを成功させるためには、自社の財務状況に合わせた最適な資金調達戦略を立てることが不可欠です。
まとめ
企業買収や合併(M&A)を成功させるためには、適切な資金調達が欠かせません。
M&Aの資金調達方法は、大きく3つに分類できます。
- 補助金制度の活用
→国や自治体が実施するM&A・事業承継向けの補助金を利用し、専門家費用や統合費用などの負担を軽減する方法。返済不要のため資金繰りの安定に直結します。
- 直接金融(エクイティファイナンス)
→株式や社債を通じて投資家から直接資金を集める方法。返済義務がない点が魅力ですが、株式の希薄化や経営権の分散といったデメリットがあります。
- 間接金融(デットファイナンス)
→銀行や信用金庫、日本政策金融公庫などの金融機関から融資を受ける方法。審査や返済義務が伴うものの、実務的に最も利用される手段です。
それぞれの方法にはメリット・デメリットがあるため、自社の財務状況や買収後の事業計画を踏まえ、複数の手段を組み合わせて活用することが重要です。
特に補助金は、中小企業にとって資金負担を抑えながらM&Aを進めるための有効な選択肢となります。
ジーケーパートナーズは、債務超過企業や資金繰りに悩む中小企業のM&A支援を強みとしています。
一般のM&A仲介会社では対応が難しいケースでも、再生スキームを活用した資金調達方法をご提案可能です。
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