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債務超過とは?バランスシート(BS)の見方と判断基準を徹底解説

債務超過とは?バランスシート(BS)の見方と判断基準を徹底解説

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企業の財務状況を評価する上で、「債務超過」は注意すべき重要なサインとなります。

この状態は、会社の財政状態を示す「貸借対照表(バランスシート/BS)」を注意深く分析することで把握可能です。

この記事では、債務超過が何を意味するのか、そして貸借対照表をどのように見て判断すればよいのかを、基礎から分かりやすくご説明します。

なお、債務超過に関する具体的なお悩みや、自社に合った再生策について専門家への相談をご希望の場合は、債務超過企業の再生支援に強みを持つジーケーパートナーズが開催している無料個別相談会もご検討ください。

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バランスシート(BS)の基本構造

まず、バランスシート(BS)とは何かを押さえましょう。

バランスシートは、決算日時点での企業が「どのような財産(資産)を持ち」「どれだけの返済義務(負債)を負い」「どれだけの自己資本(純資産)があるか」を一覧にした財務諸表です。

決算報告書の一部として、税務署への申告や、金融機関、取引先、株主への経営状況報告に用いられます。

貸借対照表は、主に以下の3つの要素で構成されています。

項目 内容
資産の部 企業が保有する財産(現預金、不動産、売掛金など)
負債の部 企業の借金(借入金、買掛金、社債など)
純資産の部 株主からの出資や利益の蓄積(資本金、利益剰余金など)

この表の大きな特徴は、常に「資産の合計額」と「負債と純資産の合計額」が等しくなる点です。

左右の金額が釣り合う(バランスする)ことから、「バランスシート」と呼ばれています。

 

「債務超過」とは具体的にどういう状態か?

債務超過とは、簡単に言うと、企業の「負債」の総額が「資産」の総額を上回ってしまっている状態を指します。

つまり、会社が持っている全ての財産を換金しても、抱えている借金を全額返済できない、非常に厳しい財務状況を示しています。

貸借対照表上では、以下の形で債務超過が表れるのが特徴です。

  • 負債の部の合計額が、資産の部の合計額よりも大きい(負債 > 資産)
  • 純資産の部の合計額がマイナスになっている(資産 – 負債 < 0)

具体的な判断方法は以下で解説します。

 

バランスシート(BS)で債務超過を判断する方法

実際に貸借対照表を見て、債務超過かどうかを判断するには、次の2つのアプローチがあります。

  • 資産と負債の差額を計算する
  • 純資産の部を確認する

以下で詳しい確認方法をみていきましょう。

方法1:資産と負債の差額を計算する

この方法では、「資産合計額」から「負債合計額」を引き算します。

  • 計算結果がプラス(資産 > 負債)の場合:債務超過ではない
  • 計算結果がマイナス(資産 < 負債)の場合:債務超過である

計算結果がマイナスかどうかで判断が可能です。

方法2:純資産の部を確認する

バランスシートの「純資産の部」の合計額を直接見ます。

  • 純資産合計額がプラスの場合:債務超過ではない
  • 純資産合計額がマイナスの場合:債務超過である

純資産の部を確認するのが最も簡単な方法です。

 

債務超過のバランスシート(BS)例

ここでは、債務超過のバランスシートの例を以下2つの状態にわけてみていきます。

正常なバランスシート(BS)

左側が会社が持っている財産、右側が財産の元となったお金の調達方法です。

債務超過のバランスシート(BS)

この例では、利益剰余金がマイナス19万円となっており、純資産全体がマイナスになっているため、債務超過の状態です。

 

実態に即した債務超過の判断

注意点として、貸借対照表の数字上は債務超過でなくても、実質的にはそれに近い危険水域にあるケースも存在します。

より現実に即した判断をするためには、以下の点も考慮に入れる必要があります。

  • 資産の本当の価値を評価する
  • 純資産の「推移」を確認する

以下で詳しい内容を見ていきましょう。

資産の本当の価値を評価する

まず、資産計上されている項目の「実質的な価値」を評価することが求められます。

バランスシート上の資産価値が、必ずしも現在の市場価値や回収可能な価値を正確に示しているとは限りません。

具体的には、不動産や有価証券であれば取得時の価値ではなく、現在の市場価格(時価)で評価し直したり、その他の固定資産は経年劣化による価値減少(減価償却)を反映させた金額で捉え直したりする必要があります。

また、回収見込みの低い売掛金や貸付金、長期間売れ残り価値が低下した在庫(不良在庫)などは、実質的な資産価値が低い、あるいはゼロに近いものとして考慮するべきでしょう。

純資産の「推移」を確認する

次に、純資産の「現在の額」だけでなく、その「増減の推移」にも着目することが肝心です。

たとえ現時点のバランスシート上で純資産がプラスであったとしても、過去から現在にかけて純資産が継続的に減少傾向にある場合は、注意が必要です。

これは、企業の収益力の低下や財務体質の悪化を示唆しており、将来的に債務超過へと陥るリスクが高まっているサインと解釈できるためです。

 

債務超過のもたらす3つの深刻なデメリット

債務超過は企業経営に深刻な影響を及ぼします。以下に債務超過がもたらす3つの主要なデメリットを説明します。

  • 資金調達が難しくなる
  • 取引上の信用を失う
  • 倒産に至る危険性が高まる

以下で詳しい内容を見ていきましょう。

1. 資金調達が難しくなる

企業が債務超過の状態に陥ると、銀行などの金融機関から新たにお金を借り入れることは非常に困難になります。

金融機関は、債務超過の企業を「貸したお金を返してもらえない可能性が高い、リスクの大きな相手」と評価するため、融資に対して極めて慎重な姿勢をとるのが一般的です。

もし融資を受けられたとしても、通常よりも高い利率が適用されたり、通常より短い期間での返済を求められたりするなど、不利な条件を提示される可能性があります。

これにより、事業拡大や設備更新に必要な資金を確保できなくなり、企業の成長機会が失われてしまう可能性があるでしょう。

2. 取引上の信用を失う

債務超過であるという事実は、仕入れ先や販売先といったビジネスパートナーとの信頼関係にも深刻な影響を与えかねません。

多くの企業は、取引相手の経営状態を信用調査会社などを利用して確認しています。

そのため、債務超過であることが判明すれば、取引条件が見直される可能性があります。

具体的には、以下のようなリスクがあります。

  • これまで可能だった掛けでの仕入れ(後払い)が認められなくなり現金での前払いを要求される
  • 不利な価格条件を提示される
  • 新規の取引を断られる

このように信用力が低下すると、既存の取引関係の維持が難しくなるだけでなく、新たなビジネスチャンスも掴みにくくなり、事業の安定的な継続が脅かされる恐れがあります。

3. 倒産に至る危険性が高まる

債務超過は、企業が経営破綻に至るリスクを大幅に高める直接的な要因です。

保有している資産をすべて売却しても負債を返済しきれないという状態が改善されなければ、最終的に倒産という最悪の事態を迎える可能性が高まります。

これは、会社の存続そのものを揺るがす、最も深刻な問題と言えるでしょう。

さらに、倒産の懸念が高まると、従業員の不安が増して離職につながったり、新たな人材の確保が困難になったりする可能性もあります。

会社を支える人的資源の面でもマイナスの影響が生じるため、早めの対策が重要です。

 

債務超過を解消する3つの効果的な方法

債務超過という厳しい財務状況を乗り越え、健全な経営状態を取り戻すためには、いくつかの有効な手段が考えられます。

ここでは、代表的な以下3つの解消アプローチについて解説します。

  • 事業の収益力を高めて利益を増やす
  • 増資で自己資本を強化する
  • M&Aや事業再編により抜本的な解決を図る

以下で詳しい内容をみていきましょう。

1. 事業の収益力を高めて利益を増やす

債務超過を解消するための最も基本的かつ本質的な方法は、事業活動を通じて着実に利益を上げ、それを内部留保として蓄積していくことです。

具体的には、日々の業務における無駄な経費を徹底的に見直してコストを削減したり、新たな顧客を開拓したりする地道な努力が求められます。

重要なのは、一時的な黒字化ではなく、持続的に利益を生み出せるような強固な収益構造を築くことです。

不採算となっている事業や部門があれば、縮小や撤退を検討し、より収益性の高い分野へ経営資源を集中させることも有効な手段となります。

2. 増資で自己資本を強化する

外部からの資金導入や、既存の資本構成を見直すことによって、バランスシート上の自己資本(純資産)を直接的に増強する方法も有効です。

代表的な手法が「増資」であり、新たに株式を発行し、既存の株主や新たな出資者(第三者)に引き受けてもらうことで、返済の必要がない資金を調達します。

また、経営者が会社に貸し付けているお金(役員借入金)がある場合、これを負債から資本金へと振り替える(資本組み入れ)ことも、純資産を増やす効果があります。

さらに、金融機関などの債権者との交渉により、借入金の一部を株式に転換してもらう「デット・エクイティ・スワップ(DES)」という手法も、負債を削減し自己資本を増やすための選択肢として検討できるでしょう。

3. M&Aや事業再編により抜本的な解決を図る

自社の努力だけでは債務超過の解消が困難な場合、M&A(企業の合併や買収)や事業再編で抜本的な解決を目指すことも考えられます。

例えば、経営体力のある企業(スポンサー)を探し、その企業の傘下に入ります。資金的な支援や経営ノウハウの提供を受ける形で再生を図る方法です。

また、会社全体ではなく一部の不採算部門を切り離し、企業全体の収益性を向上させることで財務改善を図る方法や、価値のある事業部門を他の企業に売却(事業譲渡)し、残った負債は債権者の協力のもと清算することで、売却先での事業存続を目指す再生の方法もあります。

M&Aや事業譲渡を通じた債務超過の具体的な解消方法や、再生計画について専門的なアドバイスが必要な場合は、企業再生やM&Aを専門とするジーケーパートナーズにご相談されてはいかがでしょうか。

同社は特に債務超過企業の再生支援を得意とし、無料の個別相談会を実施しています。

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まとめ

債務超過は、企業の財務状況における重大な警告サインであり、放置すれば融資の停止、取引条件の悪化、そして最終的には倒産という深刻な事態を招きかねません。

しかし、債務超過の状態になったからといって、必ずしも即座に事業継続が不可能になるわけではありません。

重要なのは、まず自社の財務状況を正確に把握することです。定期的にバランスシートを確認し、資産と負債のバランス、そして特に純資産の額とその推移に注意を払いましょう。

純資産がマイナスになっていないか、あるいは減少傾向が続いていないかといった兆候を早期に発見することが、危機を未然に防ぐための第一歩となります。

債務超過からの具体的な脱却プランの策定や、M&Aを活用した再生について、専門家による個別のアドバイスをご希望の場合は、債務超過企業の再生支援に特化したジーケーパートナーズの無料個別相談会をご活用ください。

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