会社の経営が悪化し債務超過となり、廃業をお考えではありませんか?
「債務超過だと廃業できないのでは?」「会社の借金はどうなるの?」「個人の財産まで影響が及ぶのでは?」といった多くの不安を抱えているかもしれません。
この記事を読めば、債務超過の状態での廃業は可能なのか、どのような手続きが必要で、どんな注意点やリスクがあるのかが具体的にわかります。
さらに、廃業以外の選択肢や、専門家へ相談する大切さも理解でき、ご自身の状況に合った適切な判断を下すための一助となるでしょう。
この記事を読む中で、専門家への相談を具体的に検討したいと思われた場合は、ジーケーパートナーズの無料個別相談会も選択肢のひとつです。
経験豊富な専門家が、債務超過でのM&Aや事業再生など、さまざまな選択肢についてアドバイスを提供します。
そもそも債務超過とは?
まず、債務超過がどのような状態かを正しく理解しましょう。
ここでは次のポイントについて分かりやすく解説します。
- 債務超過の意味
- 自社が債務超過かどうかを確認する方法
それでは、詳しく見ていきましょう。
債務超過の意味
債務超過とは、会社の「借金などの負債の合計」が、「現金や不動産などの資産の合計」よりも多くなっている状態のことをいいます。
つまり、会社が持っているすべての資産をお金に換えても、借金をすべて返すことができない状態です。
これは、会社の経営状態が非常に悪化しているサインであり、注意が必要です。
債務超過になると、次のような問題が起こる可能性があります。
- 銀行から新たな融資を受けにくくなる
- 取引先からの信用を失う
- 資金繰りが悪化し、事業を続けることが難しくなる
このような事態を避けるためにも、自社が債務超過に陥っていないかを早めに確認することが大切です。
自社が債務超過かどうかを確認する方法
自社が債務超過の状態かどうかは、「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)」という財務書類を見ることで確認できます。
貸借対照表は、会社の決算時点における次の3つの情報を一覧にしたものです。
- 資産:現金や不動産、売掛金など、会社が持っている財産
- 負債:借入金や買掛金など、会社が返済すべきお金
- 純資産:資産から負債を差し引いた残りの金額
この貸借対照表の中にある「純資産の部」に注目してください。
この「純資産の部」の合計額がマイナスになっている場合、その会社は債務超過の状態にあると判断できます。
つまり、会社が持っている資産をすべて売却しても、借金を全額返すことができない状態です。
会社の健全な経営のためには、定期的に貸借対照表を確認し、自社の財務状況を正しく把握しておくことが重要です。
もし貸借対照表の見方がよく分からない場合は、顧問税理士や会計士などの専門家に相談すると安心です。
【結論】債務超過でも廃業は可能だが特別な手続きが必要
たとえ債務超過のような厳しい状況にあっても、会社を廃業することは可能です。
ただし、通常の廃業手続きとは異なり、特別な手続きが必要になる場合があります。
また、「廃業」と「破産」はよく混同されがちですが、意味がまったく異なるので注意が必要です。
ここでは、下記について分かりやすく説明します。
- よく混同される「廃業」と「倒産(特に破産)」の違い
- 債務超過の状態でも廃業ができる理由
よく混同される「廃業」と「倒産(特に破産)」の違い
「廃業」と「倒産(特に破産)」は、どちらも会社をたたむことを意味しますが、法的な意味や手続きの内容は大きく異なります。
廃業 | 会社が自主的に事業活動をやめること。
経営者が「もう事業を続けられない」と判断した場合に行う、いわば自主的な手続きです。 ただし、会社が債務超過の状態にある場合は、通常の清算手続きではなく、特別清算や破産といった法的な手続きが必要になるケースもあります。 |
倒産(特に破産) | 会社の資産では借金を返せない状態(支払い不能)になったときに、裁判所の管理のもとで行われる法的な手続きです。
裁判所が選任する破産管財人が、会社の財産を整理・処分して、債権者にできる限り公平に返済を行います。 |
債務超過の状態でも廃業ができる理由
会社が債務超過であっても、法律上は廃業手続きを行うことができます。
なぜなら、廃業とは「事業をやめるための手続き」であり、借金の多さとは直接関係がないからです。
実際には、まず株主総会で「会社を解散する」ことを決めて、清算手続きに進むという流れになります。
ただし、債務超過の場合は注意が必要です。
資産をすべて処分しても借金を返しきれないため、通常の清算ではなく、「特別清算」や「破産」など、法律に基づく手続きを選ぶケースが多くなります。
廃業手続きが終わっても、返済しきれなかった借金は消えるわけではありません。
とくに経営者が会社の借金の「連帯保証人」になっている場合は、廃業後も個人として借金を返さなければならないことがあり、個人にも大きな影響が出る可能性があります。
債務超過での廃業手続きの違い
会社が廃業するとき、資産が負債を上回っている黒字企業と負債が資産を上回っている債務超過企業によって、手続きが大きく変わります。
黒字企業の廃業の場合、会社の資産を売却して現金に換え、そのお金ですべての借金(債務)を返済します。
借金を返済したあとにお金が残れば、それを株主などに分配して会社を清算します。
この場合、比較的スムーズでトラブルも少ないのが特徴です。
一方、 債務超過企業の廃業の場合、資産をすべて現金に換えても、借金をすべて返すことができません。
このため、「特別清算」や「破産」など、法律に基づいた清算手続きが必要となり、すべて法律に従って厳格に進められます。
こうした法的手続きを適切に行わないと、後になって債権者からトラブルを起こされるリスクがあります。
通常の廃業は「借金をすべて返せる」状態での手続きですが、債務超過の場合は「借金を返しきれない清算」になる点が、最大の違いです。
債務超過企業が廃業する際の3つの手続き
債務超過の企業が廃業する場合、主に以下の3つの手続きがあります。
- 特別清算
- 破産手続き
- 任意整理(私的整理)
それぞれ特徴や適用条件が異なるため、会社の状況に合わせて選択する必要があります。
特別清算
特別清算は、株式会社だけが使える制度で、「会社法」に基づいて行われます。
手続きは裁判所の監督のもとで進みますが、破産に比べて柔軟で話し合いを重視するやり方です。
特別清算を始めるには、債権者の3分の2以上の同意が必要です。
この制度では、債権者ごとに返済の割合を変えることができるため、例えば少額の債権を持つ取引先に対して、優先的に返済することも可能です。
特別清算には「協定型」と「個別和解型(対税型)」の2つの方式があり、債権者との関係性や状況に応じて選択します。
破産手続き
破産手続きは、株式会社や合同会社など、どのような形態の法人でも利用できる制度です。
この手続きでは、裁判所が専任した破産管財人が、会社の財産を整理し、債権者に公平にお金を分配します。
このとき、債権者の同意は必要ありません。
ただし、会社の財産は、債権額に応じて平等に分けて返済する必要があります。
手続きが完了すると、会社は法的に消滅し、残っていた借金の支払い義務もなくなります。
破産手続きは債務超過が明らかで、債権者との合意形成が難しい場合に選択される最終手段です。
任意整理(私的整理)
任意整理は、裁判所を使わずに行う債務整理の方法で、私的な手続きです。
弁護士が間に入って債権者と直接交渉し、返済条件の見直しを進めます。
この手続きでは、すべての債権者の協力が必要になります。
任意整理は柔軟に対応できるうえ、手続きの内容が外部に知られにくいのが特徴です。
また、官報に掲載されないため、「破産した」という記録が公に残らないというメリットもあります。
任意整理は、債権者の数が少なく、それぞれの債権者と個別に話し合いができる場合に向いている手続きです。
どの手続きを選ぶにしても、まずは専門家(弁護士)に相談することが大切です。
会社の状況や債権者との関係、経営者の今後の見通しなどを踏まえて、最も適した方法を選びましょう。
債務超過で廃業する場合の最大の注意点とリスク
債務超過の状態で廃業する際は、重大な注意点とリスクをしっかり理解しておく必要があります。
安易に手続きを進めると、後になって思わぬトラブルに発展する可能性があるため、慎重な対応が求められます。
特に注意すべきポイントは以下の通りです。
- 債務は廃業しても消えない
- 経営者個人が責任を問われる可能性がある
- 債権者とトラブルになる恐れがある
- 税金の支払い義務は残る
- 従業員への適切な対応が必要となる
以上の点を踏まえ、トラブルを防ぐためにも、事前に専門家(弁護士など)に相談しながら進めることが重要です。
以下で、それぞれの項目について詳しく解説します。
債務は廃業しても消えない
債務超過の会社が廃業する際に注意すべき点は、たとえ法人の清算手続きが完了し、法務局で会社の登記が抹消されたとしても、「未払いの借金(債務)」が必ずしも帳消しになるわけではないという点です。
特別清算や破産といった法的整理では、すべての債務が返済されないまま清算が終わることもあります。
その場合、法人は法律上消滅しても、返済されなかった分の債務は消えずに残ることになります。
法人がなくなることで会社自身は責任を負わなくなりますが、たとえば経営者が会社の借入の連帯保証人になっていた場合には、債権者は経営者個人に対して残った債務の返済を請求することができます。
つまり、「会社を清算すれば借金が消える」というわけではありません。清算後に経営者個人に責任が及ぶ可能性があることを理解し、事前に専門家へ相談することが大切です。
経営者個人が責任を問われる可能性がある
債務超過で廃業する際の経営者のリスクについて、債務超過の状態で廃業する場合、経営者個人が責任を問われる可能性があります。
特に多いのは、経営者自身が会社の借金の「連帯保証人」になっているケースです。
この場合、会社が借金を返せなくなると、経営者個人がその全額を返済しなければならなくなります。
そのため、安易に廃業を決めてしまうと、経営者本人の生活にも深刻な影響を及ぼす恐れがあります。
債権者とトラブルになる恐れがある
債務超過の状態で会社を廃業する場合、すべての債権者に対して借金を全額返済することはできません。
そのため、お金を回収できなかった債権者との間でトラブルが発生する可能性があります。
特に注意すべきなのが、一部の債権者にだけ優先的に返済をおこなう「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と呼ばれる行為です。
これがあったと見なされると、他の債権者から不公平だと異議を申し立てられる可能性があります。
さらに、後になって破産手続きに移行した場合、この偏った返済が問題視されることもあります。
また、債権者が残っている借金の回収を求めて、経営者個人(特に連帯保証人)に対して訴訟を起こすケースも考えられます。
こうしたリスクを避けるためにも、債権者への対応は公平かつ誠実におこなうことが非常に重要です。
税金の支払い義務は残る
会社を廃業する際は、税金の支払いについても注意が必要です。
まず、会社に未納の消費税や法人税などがある場合、それらは会社の債務の一部として必ず支払う必要があります。
注意すべき点として、税金には非常に強い徴収権があるため、滞納があれば国や自治体が強制的に回収(差し押さえなど)を行うこともあります。
場合によっては、経営者個人の財産が差し押さえの対象となる可能性もあります。
そのため、税金の取り扱いについては、必ず税理士に相談し、正確な状況を確認することが大切です。
従業員への適切な対応が必要となる
会社を廃業する際に従業員を解雇する場合は、労働基準法に従った適切な対応が必要です。
まず、未払いの給与や退職金がある場合は、他の債権よりも優先して支払わなければなりません。
これらは「優先債権」とされており、従業員への支払いが特に重視されています。
また、従業員を解雇する際には、原則として30日前までに解雇の予告をする必要があります。
もし予告なしに解雇する場合は、代わりに30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う義務があります。
これらの支払いができないと、従業員とのトラブルに発展する可能性が高くなり、最悪の場合は労働基準監督署への通報や訴訟に発展することもあります。
従業員に対しては、誠実かつ法律に則った対応を心がけましょう。
円満な廃業のためには、信頼関係を損なわない対応が重要です。
債務超過企業は廃業以外の選択肢もある
事業譲渡やM&Aという選択肢について、事業の一部または全体にまだ価値がある場合、事業譲渡やM&A(合併・買収)は有効な選択肢となります。
例えば、不採算部門だけを切り離して再建を図ったり、会社全体を売却してその売却代金を借金の返済に充てるといった方法があります。
さらに、買い手が見つかれば、従業員の雇用が守られる、取引先との関係を継続できるなどのメリットも期待できます。
ただし、債務超過の会社の場合は、買い手を見つけるのが難しいことも多いため、M&Aの専門家(仲介会社や弁護士など)の支援が必要です。
また、売却価格が会社の借金(債務)をすべて返せる金額に満たない場合は、残った借金について別途整理の手続きが必要になります。
事業にまだ価値が残っていると考えられる場合は、こうした方法も前向きに検討してみるとよいでしょう。
ジーケーパートナーズでは、債務超過での事業譲渡やM&Aなどに関する無料個別相談会を実施しております。
経験豊富な専門家が、秘密厳守で貴社の状況を丁寧にお伺いし、最適な選択肢をご提案いたします。
債務超過という困難な状況だからこそ、専門家の客観的な視点が解決の糸口となる場合もあるでしょう。
まずはお気軽にご相談ください。
債務超過での廃業で専門家に相談するメリット
債務超過の状態で廃業やその他の手続きを進める場合、自分だけの判断で進めるのは非常に危険です。
必ず、弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。
弁護士などの専門家に相談することで、以下のようなメリットがあります。
- 最適な対応方法をみつけることができる
- 法律に基づいた正しい手続きを進められる
- 債権者への連絡や交渉を代行してもらえる
- 今後考えられるリスクを明確にし、対策を建てられる
- 自分で手続きを進める時間と手間などの負担を減らせる
それでは、これらのポイントについてもう少し詳しく見ていきましょう。
最適な対応方法をみつけることができる
専門家が最適な手続きを選んでくれます。
債務超過の状態にある場合、考えられる選択肢には、廃業、破産、民事再生、M&A(事業売却など)など、さまざまな方法があります。
ただし、これらにはそれぞれメリットとデメリットがあり、どの方法が最も適しているかは、以下のような要素によって異なります。
- 会社の財務状況
- 事業の価値や将来性
- 経営者の希望や事情
こうした複雑な判断は、弁護士などの専門家が、客観的に状況を分析し、法律や豊富な実務経験に基づいて最も有利な(または損失の少ない)方法を提案してくれます。
つまり、専門家の助けを借りることで、自己判断による失敗や後悔を防ぐことができます。
法律に基づいた正しい手続きを進められる
専門家は複雑な手続きを正確かつスムーズに進めてくれます。
廃業や法的整理(破産・民事再生など)の手続きは、会社法、破産法、民事再生法など複数の法律が関わり、必要な書類も非常に多く、内容も複雑です。
もし手続きに不備があると、次のリスクがあります。
- 手続きが大幅に遅れる
- 追加の費用や対応が発生する
- 最悪の場合、手続き自体が受理されない
こうしたリスクを避けるためにも、弁護士などの専門家に依頼することが重要です。
彼らは、法律に沿った正しい手続きを代行またはサポートしてくれるため、安心して任せることができます。
確実に、そしてミスなく手続きを完了させるためには、専門家のサポートは欠かせません。
債権者への連絡や交渉を代行してもらえる
専門家が窓口となり、債権者対応の精神的負担を軽減できます。
債務超過の状態になると、金融機関や取引先などの債権者から、返済の催促や問合せが次々と来るのが一般的です。
これらに経営者自身がすべて対応し続けるのは、大きな精神的負担になります。
しかし、弁護士に依頼して「受任通知(じゅにんつうち)」を債権者に送ってもらえば、以後の連絡は原則として弁護士が窓口になります。
これにより、経営者は直接の督促や厳しい連絡から解放され、心の余裕を取り戻すことができます。
精神的なプレッシャーから解放されることで、落ち着いて今後の対応策を考える余裕が生まれます。
まずは専門家に相談し、一歩前に進むための環境を整えることが大切です。
今後、考えられるリスクを明確にし、対策を立てられる
専門家は、経営者個人に及ぶリスクとその対策を明確にしてくれます。
会社が債務超過になると、その影響は経営者個人の生活にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。
特に、経営者が会社の借入金の連帯保証人になっている場合、会社が返済できなくなった借金を、経営者自身が個人で返済する義務が発生します。
こうしたリスクに対して、弁護士などの専門家は、法的な観点から現状を正確に評価し、どのような危険があるのかをわかりやすく説明してくれます。
そのうえで、
- 自己破産が必要かどうか
- 個人の財産を守るにはどうすればよいか
など、今できる対策や対応策を一緒に考えてくれます。
経営者自身の将来を守るためにも、こうした専門家のサポートは欠かせません。
自分で手続きを進める時間と手間などの負担を減らせる
専門家に任せることで、面倒な事務作業から解放されます。
廃業や倒産の手続きには、
- 申立書の作成
- 財産目録の作成
- 役所や裁判所とのやり取り
- 債権者集会の準備・運営(破産の場合)
など、膨大な時間と手間がかかる事務作業が伴います。
こうした作業に経営者が追われてしまうと、事業の整理や、今後の人生の再スタートに向けた準備に集中できなくなるおそれがあります。
しかし、弁護士などの専門家に依頼すれば、これらの事務作業のほとんどを代行してもらえるため、経営者は大幅に時間と労力を節約できます。
再出発に向けて冷静に動くためにも、専門家の力を借りて事務的な負担を軽くすることが大切です。
まとめ
たとえ会社が債務超過の状態にあっても、廃業手続きを進めること自体は可能です。
しかし、最も重要なのは、廃業しても会社の借金(債務)が自動的に消えるわけではないという点です。
特に、経営者が連帯保証人になっている場合には、会社の借金を個人で返済しなければならないリスクがあります。
そのため、債務超過に陥った場合は以下2点が非常に重要です。
- まず、自社の財務状況を正確に把握すること
- 廃業だけでなく、破産・民事再生・事業譲渡など他の選択肢も含めて検討すること
いずれの選択をするにしても、経営者だけで判断せず、できるだけ早い段階で専門家に相談することが欠かせません。
専門家は、法的なリスクを避けながら、会社の状況に合った最善の解決策を提案してくれる頼れる存在です。
「自社の場合、具体的にどうすれば良いのか知りたい」
「専門家に直接相談して、最適な解決策を見つけたい」
この記事を読んでこのように感じられた方は、ぜひジーケーパートナーズの無料個別相談会をご活用ください。
経験豊富な専門家が、秘密厳守で貴社の状況を詳しくお伺いし、廃業、M&A、事業再生など、最善の道筋をご提案します。