近年、事業承継に関する課題が中小企業の間で深刻化しています。
いわゆる「2025年問題」が現実となりつつあり、70歳以上の中小企業・小規模事業者の経営者が全体の約25%を占めるまでに高齢化が進んでいます。
さらに、そのうちの約半数は後継者が決まっていないという深刻な状況にあります。
このままでは、価値ある事業が失われるリスクが高まります。
こうした中、親族内や従業員への承継が難しい場合でも、第三者への事業売却(M&A)という方法を活用することで、事業を次世代へ引き継ぎ、継続・発展させることが可能になります。
実際に、事業承継を目的としたM&Aは年々増加しており、注目を集めています。
本記事では、事業承継M&Aの基本的な考え方から、具体的な進め方、そして成功のポイントまでをわかりやすく解説します。
たとえ債務超過の企業であっても、事業承継を諦める必要はありません。
適切な準備と戦略によって、未来につながる選択肢が見えてきます。
ジーケーパートナーズでは「私的整理に関するガイドライン」を活用した独自のスキームにより、一般的なM&A仲介会社では対応が難しいような複雑な案件にも数多くの実績があります。
債務超過や赤字決算など、通常では敬遠されがちな状況でも、私たちは事業の価値を見極め、最適な承継方法をご提案しています。
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事業承継M&Aとは?
事業承継M&Aとは、後継者がいない企業が、自社の事業を第三者の企業に売却し、経営を引き継いでもらう手法です。
ただの企業売買ではなく、長年培ってきた「技術・ノウハウ・従業員」など、企業が持つ価値全体を将来に受け継ぐための、包括的なプロセスです。
近年ではこの「事業承継型M&A」の件数が急速に増加しています。
このような動きの背景には、中小企業経営者の高齢化と、深刻な後継者不足の問題があります。
事業承継M&Aは、こうした社会的課題に対応する有効な手段として、ますます注目を集めています。
2025年問題の深刻化
帝国データバンクの調査によると、いわゆる「2025年問題」が現実となりつつあり、70歳以上の中小企業・小規模事業者の経営者が全体の約25%を占めるまでに高齢化が進んでいます。
さらに、そのうちの約半数は後継者が決まっていないという深刻な実態が明らかになっています。
この問題を放置した場合、膨大な雇用の喪失と深刻なGDP減少の可能性があるとされています。
こうしたリスクを回避するための現実的な手段として、M&Aによる事業承継が今、大きな注目を集めています。
M&Aの浸透
かつては、M&A(企業の合併・買収)は大企業だけのものと考えられていました。
しかし現在では、中小企業においても一般的な選択肢となっており、年間4,000件程度のM&Aが成立していると推計されています。
このように、M&Aは中小企業にとっても事業承継を実現する有力な手段として広く浸透しつつあります。
事業承継M&Aの主要な手法
事業承継M&Aにはいくつかの手法があり、どれを選ぶかは企業の状況や目的によって最適なものが異なります。
それぞれの特徴を理解することが、スムーズな事業承継の第一歩となります。
ここでは、代表的な3つの手法についてわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
株式譲渡による承継
株式譲渡とは、経営者が保有している株式を買い手企業に譲り渡すことで、経営権を引き継ぐ手法です。
この方法の大きな特徴は、会社自体の法人格がそのまま残る点にあります。
つまり、従業員との雇用契約や、取引先との契約も変更することなく自動的に引き継がれるため、事業運営に大きな混乱を招くことなく承継が行えます。
手続きも比較的シンプルで負担が少ないことから、中小企業における事業承継M&Aでは最も多く利用されている方法です。
事業譲渡による承継
事業譲渡とは、会社の事業の全部または一部(特定の部門や資産など)を買い手企業に引き継ぐ手法です。
この方法では、従業員や取引先、顧客との契約を個別に移す必要があり、あらためて承諾を得たり契約書を締結したりする手続きが求められます。
また、許認可も自動的には引き継がれないため、必要に応じて新たに申請を行う必要があります。
手続きはやや煩雑ですが、その一方で、譲渡する事業の範囲を自由に選べるという大きなメリットもあります。
不要な事業や負債を除いて承継することができるため、柔軟なスキーム設計が可能です。
合併による承継
合併を通じた事業承継には、「新設合併」と「吸収合併」の2つの方法があります。
- 新設合併
関係するすべての会社がいったん解散し、新たに新会社を設立して、そこで事業を引き継ぐ方法です。対等な関係で新しいスタートを切りたい場合に用いられます。
- 吸収合併
一方の会社が存続し、もう一方の会社が解散するかたちで、その資産・負債・契約などすべての権利義務を引き継ぐ方法です。
これらの手法は、特に規模の大きな統合や再編を伴うケースで選ばれることが多いのが特徴です。
事業承継M&Aのメリットとデメリット
事業承継M&Aは、多くの利点がある一方で、あらかじめ理解しておくべきデメリットやリスクも存在します。
ここでは、事業承継M&Aの「メリット」と「デメリット」について、それぞれわかりやすく解説します。
実施を検討する際の判断材料として、ぜひ参考にしてください。
メリット①幅広い選択肢からの後継者選定
親族や社内の従業員に適任の後継者がいない場合でも、M&A仲介会社の幅広いネットワークを活用することで、全国から最適な承継先を探すことができます。
地域や業種の枠を超えて候補を選べるため、自社との相乗効果(シナジー)が期待できる企業に引き継ぐことも可能です。
これにより、事業のさらなる成長や新たな展開にもつながるチャンスが広がります。
メリット②従業員雇用の維持と安定化
廃業を選んだ場合、従業員が職を失うリスクが高くなります。
しかし、M&Aによって事業を他社に引き継げば、従業員の雇用が維持される可能性が高まります。
中小企業庁のデータでは、M&Aを実施した企業のうち、譲渡後も従業員の8割以上が引き続き雇用されているというデータが報告されています。
メリット③事業拡大と成長機会の創出
M&Aによる事業承継では、買い手企業の資金力や経営ノウハウを活用できるため、自社だけでは難しかった事業拡大や設備投資が実現しやすくなります。
さらに、買い手企業の知名度やブランド力(いわゆる“ネームバリュー”)により、優秀な人材を採用しやすくなるといったメリットもあります。
M&Aは、単なる承継にとどまらず、企業の成長戦略としても有効な手段なのです。
メリット④創業者利益の確保
M&Aによる事業承継では、適切な企業価値評価(バリュエーション)に基づいて、事業の売却対価を得ることができるため、創業者としての利益をしっかり確保することができます。
また、廃業を選んだ場合に発生する可能性のある債務整理や資産処分などのリスクを避けられるため、経済的な安定を図る上でも有利な選択肢と言えるでしょう。
デメリット①理想的な承継先の発見困難性
M&Aでは多くの候補企業の中から相手を選べるというメリットがある一方で、必ずしも自社の価値観や経営理念に合う理想的な承継先が見つかるとは限りません。
実際には、時間をかけて相手を探しても、最終的に適切な買い手に出会えないケースもあります。
そのため、早めに準備を始め、専門家の支援を受けながら進めることが重要です。
デメリット②条件交渉の複雑性
M&Aでは、売り手と買い手の双方が合意することで条件が決まるため、必ずしも自分の希望どおりの条件で成約できるとは限りません。
たとえば、売却価格や従業員の雇用条件、経営方針などについて、調整や妥協が必要になる場面も多くあります。
そのため、あらかじめ優先順位を整理し、譲れないポイントと柔軟に対応できる部分を明確にしておくことが大切です。
デメリット③企業文化の変化リスク
第三者に事業を引き継ぐ場合、これまで大切にしてきた経営理念や企業文化が変わる可能性があります。
その結果、社内の雰囲気が変化したり、従業員が不安を感じて戸惑うケースや、離職につながるリスクも考えられます。
M&Aを成功させるには、従業員への丁寧な説明や信頼関係の維持も重要なポイントとなります。
事業承継M&A成功のための重要ポイント5つ
事業承継M&Aを円滑に進め、成功へと導くためには、戦略的な視点と事前の準備が欠かせません。
ここでは、事業承継を成功させるために特に重要な5つのポイントに絞って、わかりやすくご紹介します。
M&Aを検討する際の参考にしてください。
1.企業価値向上への取り組み
M&Aがうまくいくかどうかは、買い手企業から見た「自社の魅力度」に大きく左右されます。
事業の価値には、売上や利益といった数字だけでなく、特許・商標権・技術力・ノウハウなどの無形資産も含まれます。
そのため、自社の強みを明確にし、企業価値を高める取り組みが非常に重要です。
魅力ある企業として評価されることで、より良い条件でのM&A成約につながります。
2.適切なタイミングの選択
事業承継M&Aを円滑に進めるには、一般的に5〜10年程度の準備期間が必要とされています。
実施のタイミングを判断する際は、以下の3つのポイントを総合的に検討することが重要です。
- 経営者の年齢や健康状態
- 業界や経済の市場環境
- 会社の業績や財務状況
これらを踏まえたうえで、最も良いタイミングを見極めて行動することが、成功への近道となります。
3.専門家チームの活用
M&Aのプロセスには、法務・税務・財務など幅広い分野の専門知識が必要となるため、自社だけで対応するのは非常に難しいのが実情です。
そのため、弁護士・税理士・公認会計士・M&Aアドバイザーなどの専門家でチームを組み、適切なサポートを受けながら進めることが大切です。
信頼できる専門家の力を借りることで、リスクを最小限に抑えながら、安心してM&Aを進めることができます。
ジーケーパートナーズは、中小企業活性化協議会の外部専門家としての豊富な実績をもとに、「私的整理に関するガイドライン」を活用した再生スキームとM&Aを組み合わせた事業承継支援を得意としています。
たとえ債務超過であっても、事業の価値を見極め、最適な承継方法を見つけることは可能です。
当社では、財務・事業デューデリジェンスから事業再生計画の策定、スポンサー(買い手企業)探し、M&A成約まで、専門家がサポートいたします。
現在、無料の個別相談会を開催中です。状況に応じた最適な事業承継プランをご提案しますので、ぜひお気軽にご相談ください。
4.情報管理の徹底
M&Aに関する情報が外部に漏れると、取引先や従業員に不安を与えたり、交渉が破談になる原因となることがあります。
そのため、情報の取り扱いには細心の注意が必要です。
社内での情報共有も、経営陣などごく限られた信頼できる人物にとどめ、あわせて、買い手企業や関係者との間で秘密保持契約(NDA)を締結するなど、適切な管理体制を整えることが大切です。
5.PMI(統合後プロセス)の重視
M&Aが成立した後の統合プロセス(PMI:PostMergerIntegration)は、事業承継の成功において非常に重要な要素です。
新しい体制のもとで事業を円滑に引き継ぎ、想定していたシナジー(相乗効果)を実現するためには、入念な準備が不可欠です。
そのため、M&Aの実行前、デューデリジェンス(事前調査)の段階から、PMIに必要な情報を収集し、統合後の計画を立てておくことが強く推奨されます。
まとめ
事業承継M&Aは、深刻化する後継者不足の解決策として、今や多くの中小企業で活用されている重要な手法です。
いわゆる「2025年問題」により、多くの中小企業経営者が事業承継の決断を迫られる中、第三者への事業売却は企業を存続・発展させるための有力な選択肢となっています。
手法には「株式譲渡」「事業譲渡」「合併」などがあり、企業の状況や目的に応じて柔軟に選べる点も、事業承継M&Aの大きな特徴です。
2025年問題の本格化が迫る今、早期からの準備と戦略的な取り組みが、スムーズな承継と次世代への確実なバトンタッチの鍵となります。
事業承継に関してお困りの際は、数多くの支援実績を持つジーケーパートナーズが全力でサポートいたします。
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