
「物価高や金利上昇の影響で、資金繰りが厳しくなっている」
「借入金の返済負担が重く、今後の資金繰りに不安がある」
「公的な支援制度を利用したいが、どこに相談すればよいか分からない」
このような悩みを抱える中小企業の経営者は少なくありません。
資金繰りが厳しくなった場合は、追加借入だけでなく、既存借入金の返済条件の見直しや経営改善、事業再生など、自社の状況に応じた対策を検討することが重要です。
国や公的機関には、中小企業の資金繰りや経営改善を支援するさまざまな制度・相談窓口が設けられています。
本記事では、
- 中小企業の資金繰りが厳しくなる背景
- 活用できる公的支援制度
- 主な相談先
について、企業再生支援の実務経験を踏まえて分かりやすく解説します。
ジーケーパートナーズは、中小企業活性化協議会の外部専門家として、財務・事業デューデリジェンスや再生計画の策定など、数多くの企業再生を支援してきました。
借入金の返済負担が大きい企業に対しても、金融機関との調整や私的整理、再生型M&Aなど、状況に応じた幅広い支援を行っています。
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中小企業の資金繰りが厳しくなっている3つの背景
中小企業を取り巻く経営環境は、物価高や人件費の上昇、金利負担の増加などにより、厳しい状況が続いています。
特に、収益力が低下している企業や借入金の返済負担が大きい企業では、資金繰りの悪化が経営上の大きな課題となっています。
中小企業の資金繰りが厳しくなっている主な背景として、次の3つが挙げられます。
- 物価高や人件費の上昇によるコストの増加
- 金利上昇による借入金の利息負担の増加
- コロナ融資の返済負担の継続
以下で、それぞれ詳しく解説します。
物価高や人件費の上昇でコストが増えている
原材料費やエネルギー価格の高騰、人件費の上昇などにより、中小企業のコスト負担が増加しています。
特に中小企業では、取引先との価格交渉が難しく、コストの上昇分を販売価格に十分転嫁できないケースも少なくありません。
その結果、売上が維持できていても利益が減少し、借入金の返済負担なども重なることで、資金繰りが悪化する要因となっています。
金利上昇で借入金の利息負担が重くなっている
借入金の返済負担が大きい中小企業では、金利上昇による支払利息の増加が資金繰りを圧迫する要因となっています。
帝国データバンクの調査(2025年12月~2026年1月実施)では、金利上昇について「マイナスの影響の方が大きい」と回答した企業が44.3%にのぼりました。
特に変動金利で借り入れている企業では、金利上昇によって支払利息が増加するため、借入条件や今後の返済負担を確認し、早めに資金繰りへの影響を把握することが重要です。
コロナ融資の返済負担が続いている
新型コロナウイルス対策として実施された実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)は、据置期間が終了し、多くの企業で返済が進んでいます。
一方で、売上や収益力が十分に回復していない企業では、借入金の返済負担が重く、資金繰りの悪化につながるケースもあります。
返済原資が不足し、手元資金の取り崩しや追加借入に頼っている場合は、早めに金融機関へ相談し、返済条件の見直し(リスケジュール)などを検討することが重要です。
資金繰りがすでに厳しい場合の具体的な対応については、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:資金繰りが厳しいときにまずやるべきことは?今すぐ取るべき対応と再建の選択肢を解説
中小企業向け資金繰り支援制度の3つの種類
国や公的機関では、資金繰りに悩む中小企業を支援するため、さまざまな制度を設けています。
中小企業庁では、主な支援制度をまとめた「資金繰り支援内容一覧表」を公開しており、企業の状況に応じた制度を確認できます。
中小企業向けの資金繰り支援制度は、大きく次の3つに分けられます。
- 日本政策金融公庫などの融資制度
- 信用保証協会による信用保証制度
- 経営改善・事業再生に関する支援制度
資金繰りの改善には、新たな資金調達だけでなく、借入金の返済負担の軽減や経営改善も重要です。
以下で、それぞれの制度について解説します。
日本政策金融公庫などの融資制度
政府系金融機関である日本政策金融公庫では、資金繰りに課題を抱える中小企業向けに、さまざまな融資制度を設けています。
代表的な制度として、社会的・経済的な環境の変化によって一時的に業況が悪化した企業を支援する「セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)」があります。
また、商工会議所・商工会の経営指導を受けるなど、一定の要件を満たす小規模事業者向けの「マル経融資」や、金融機関の資産査定上、自己資本とみなされる場合がある「資本性ローン」などもあります。
ただし、融資制度の利用には所定の審査があり、企業の財務状況や返済能力によっては利用が難しい場合もあります。
信用保証協会の保証制度
信用保証協会は、中小企業が金融機関から融資を受ける際に保証人となり、資金調達を支援する公的機関です。
企業が借入金を返済できなくなった場合、信用保証協会が金融機関に代わって返済(代位弁済)する仕組みで、金融機関から融資を受けやすくする役割があります。
資金繰り支援に関わる主な保証制度は、次のとおりです。
- セーフティネット保証5号:業況が悪化している指定業種の中小企業を対象に、通常の保証限度額とは別枠で利用できる制度
- 小口零細企業保証:従業員20人以下(商業・サービス業の一部は5人以下)の小規模事業者を対象とし、信用保証協会が借入金の100%を保証する制度
- モニタリング強化型特別保証:認定経営革新等支援機関と連携し、経営状況を定期的に確認しながら資金調達を支援する制度
ただし、保証制度の利用には審査があり、必ず融資を受けられるわけではありません。
また、信用保証協会が代位弁済した場合も、原則として企業の返済義務がなくなるわけではありません。
経営改善・事業再生の支援制度
資金繰りの悪化が一時的なものではなく、借入金の返済負担が大きい場合には、経営改善や事業再生に関する支援制度の活用が考えられます。
代表的な制度として、専門家の支援を受けながら資金繰り計画や経営改善計画を作成する際に、費用の一部が補助される「早期経営改善計画策定支援」があります。
また、金融機関との調整が必要な企業に対しては、中小企業活性化協議会による再生計画の策定支援や、経営改善計画などに基づく資金調達を支援する「経営改善サポート保証」などもあります。
特に、追加融資だけでは資金繰りの改善が難しい企業では、借入金の返済条件の見直しや事業再生も含めて検討することが重要です。
事業再生に活用できる補助金や支援制度については、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:事業再生に補助金はどう活用すべき?再生の進め方と知っておきたい支援制度を解説
中小企業が資金繰りを相談できる3つの公的窓口
中小企業向けの資金繰り支援制度は種類が多く、利用条件も異なるため、自社に適した制度を判断するのは簡単ではありません。
特に、借入金の返済負担が大きい場合は、追加融資だけでなく、返済条件の見直しや経営改善なども含めて検討する必要があります。
中小企業が資金繰りや経営改善について無料で相談できる主な公的窓口は、次の3つです。
- 中小企業活性化協議会
- よろず支援拠点
- 商工会議所・商工会
以下で、それぞれの特徴や支援内容について解説します。
中小企業活性化協議会
中小企業活性化協議会は、資金繰りや借入金の返済に課題を抱える中小企業の経営改善・事業再生を支援する公的な相談窓口で、全国47都道府県に設置されています。
財務状況や事業の収益力を分析し、専門家と連携しながら再生計画の策定や金融機関との返済条件の調整などを支援しています。
特に、借入金の返済負担が大きい企業や債務超過企業など、自社だけでは経営改善が難しい場合に、有力な相談先となります。
よろず支援拠点
よろず支援拠点は、国が全国47都道府県に設置している、中小企業・小規模事業者向けの無料経営相談窓口です。
資金繰りだけでなく、売上拡大や販路開拓、経営改善など、幅広い経営課題について専門家に繰り返し相談できます。
特に、売上不振や収益力の低下によって資金繰りが悪化している企業にとって、本業の立て直しに向けた相談先として活用できます。
商工会議所・商工会
商工会議所・商工会は、地域の中小企業や小規模事業者を対象に、資金繰りや融資などの経営相談を行っています。
経営指導員が資金調達や経営改善に関する相談に応じるほか、一定の要件を満たす小規模事業者に対しては、マル経融資の推薦も行っています。
特に、日頃から経営指導を受けている事業者にとっては、自社の経営状況を踏まえた助言を受けやすい身近な相談先です。
資金繰り支援を活用する際の3つのポイント
資金繰り支援制度を効果的に活用するには、自社の資金繰り状況を正しく把握し、早めに対策を検討することが重要です。
特に、借入金の返済負担が大きい企業では、資金不足が深刻化する前に、金融機関や専門家と相談しながら対応を進める必要があります。
支援制度を活用する際は、次の3つのポイントを押さえておきましょう。
- 資金繰り表で今後の資金不足を把握する
- 金融機関に早めに相談する
- 専門家と経営改善・事業再生の方針を検討する
以下で、それぞれ詳しく解説します。
資金繰り表で今後の資金不足を把握する
資金繰り支援制度を活用する際は、まず資金繰り表を作成し、今後の入出金や現預金残高を確認することが重要です。
資金繰り表を作成することで、いつ、どの程度の資金不足が生じる可能性があるかを把握でき、必要な資金調達や借入金の返済条件の見直しなどを早めに検討できます。
また、金融機関への融資相談や返済条件の変更を依頼する際にも、資金繰り表は重要な資料となります。
中小企業庁やミラサポplusなどで公開されている様式も参考にしながら、自社の状況に合った資金繰り表を作成しましょう。
資金繰りの具体的な改善策については、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:資金繰り改善の具体策とは?状況別に取るべき対応と再建のポイントを解説
金融機関に早めに相談する
資金繰りに不安を感じた場合は、早めに取引金融機関へ相談することが重要です。
資金不足が差し迫った段階では、融資審査や金融機関との調整に十分な時間を確保できず、対応の選択肢が限られる可能性があります。
早めに相談することで、追加融資だけでなく、借入金の返済条件の変更(リスケジュール)なども検討できます。
特に、借入金の返済負担が大きい企業では、資金繰りの見通しを示しながら、金融機関と返済条件について協議することが重要です。
リスケジュールのメリット・デメリットについては、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:銀行融資のリスケとは?メリット・デメリットと成功のポイントを解説
専門家と経営改善・事業再生の方針を検討する
追加融資だけでは資金繰りの改善が難しい場合は、事業再生の専門家とともに、経営改善や抜本的な再生策を検討することが重要です。
追加融資によって一時的な資金不足を補えても、収益力や返済能力が改善しなければ、借入金の返済負担がさらに重くなる可能性があります。
ジーケーパートナーズは、中小企業活性化協議会の外部専門家として、財務・事業デューデリジェンスや再生計画の策定など、数多くの企業再生を支援してきました。
特に、私的整理ガイドラインを活用した事業譲渡・会社分割や再生型M&Aなど、一般的なM&A仲介会社では対応が難しい債務超過企業の再生支援にも強みがあります。
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まとめ
中小企業の資金繰りは、物価高や金利上昇、コロナ融資の返済負担などにより、厳しい状況が続いています。
資金繰りに不安がある場合は、日本政策金融公庫の融資制度や信用保証協会の保証制度に加え、中小企業活性化協議会などの経営改善・事業再生支援を活用することも選択肢となります。
特に、借入金の返済負担が大きい企業では、追加融資だけに頼らず、返済条件の見直しや抜本的な事業再生も含めて、早めに対策を検討することが重要です。
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