
「今月末の返済が厳しい…」「このままでは支払いが回らない」 そんな状況に陥ると、経営者は次のような不安を一気に抱えがちです。
- 倒産するしかないのか
- 社長個人の資産や家族は守れるのか
- 銀行から一括返済を求められるのか
- 従業員や取引先にはどう説明すべきか
結論から言えば、資金繰りが悪化したからといって、即倒産が決まるわけではありません。
ただし、返済遅延を放置すると、一括請求や信用不安などにより、状況が急激に悪化するリスクがあります。
重要なのは、「返せない」と感じた時点で早期に行動することです。
借入金が多く債務超過の企業であっても、次のような打ち手により再生できるケースは少なくありません。
- リスケジュールによる資金繰り改善
- 経営者保証(個人保証)の整理
- 中小企業版ガイドライン等を活用した債務整理
- 再生スキームとM&Aを組み合わせた事業承継
本記事では、会社の借金が返せなくなった場合の現実的な流れ、社長個人に返済義務が生じるケース、そして窮地を脱するための4つの解決策を、企業再生の実務目線でわかりやすく解説します。
ジーケーパートナーズでは、中小企業活性化協議会の外部専門家として、これまで数多くの財務デューデリジェンスや再生計画策定支援に携わってきました。
債務超過や過大な借入金を抱えた企業の実情を踏まえ、金融機関調整を前提とした現実的な再生スキームの設計を得意としています。
一般的なM&A仲介会社では敬遠されがちな「債務超過」の案件であっても、企業再生コンサルティングの知見を活かし、再生スキームとM&Aを組み合わせた支援が可能です。
「この状況でも相談してよいのだろうか」「まだ倒産と決めつける段階ではないが、先が見えない」
そのような段階でも構いません。
些細なご質問からでも結構ですので、どうぞ遠慮なくご相談ください。
会社が借金を返せないとどうなるのか?(末路と現実)
借金を返せないからといって、直ちに会社が倒産・破産に至るわけではありません。
実際には、多くの企業が返済条件の見直しや資金繰り調整を行いながら、一定期間は事業を継続しています。
しかし一方で、返済不能の状態を放置し続けると、事態は確実に悪化します。
金融機関や取引先からの信用が低下し、最終的には会社の資産(預金、不動産、売掛金など)が差し押さえられ、強制的に事業停止に追い込まれる可能性があります。
一般的に、返済の滞納が一定期間継続すると、金融機関から「期限の利益喪失」の通知がなされ、残債務の一括返済を求められる可能性が高まります。
(※実際の期間や対応は、金融機関や契約内容、これまでの取引状況によって異なります)
一括返済に応じられない場合、債権者は差押えや競売、破産申立て等の法的手続きに進むこともあり、事業継続は極めて困難になります。
重要なのは、差し押さえや法的手続きに至る前に行動することです。
資金繰りが悪化し始めた初期段階であれば、金融機関との交渉や再建スキームの検討など、打てる手は十分に残されています。
債務超過企業が倒産しない理由については、以下の記事で詳しく解説しています。
会社の借金は誰が払う?社長個人の返済義務について
会社の借金を誰が返済するのかは、会社と金融機関との契約内容、特に社長が個人保証をしているかどうかによって大きく異なります。
結論から言うと、返済義務は次の2つのパターンに分かれます。
- 【原則】法人の借金は会社財産のみで返済し、社長個人は負わない
- 【例外】社長が「連帯保証人」なら個人の私財で返済義務を負う
この違いを正しく理解していないと、「会社がダメになったら、すべて個人破産するしかない」と必要以上に追い詰められてしまうケースも少なくありません。
【原則】法人の借金は会社財産のみで返済し、社長個人は負わない
株式会社などの法人は、法律上、経営者個人とは別の人格(法人格の独立)を持つ存在です。
そのため、事業がうまくいかなくなった場合でも、原則として代表者が私財を投じて返済する義務はありません。
銀行からの借入金や未払いの買掛金などは、あくまで「会社」が負っている債務であり、社長個人の預貯金や自宅といった私有財産が、当然に差し押さえの対象となるわけではありません。
まずは、「会社の財布と個人の財布は別である」という基本原則を正しく理解することが重要です。
資金繰りが厳しくなると、「自分が何とかしなければ」「個人資産を入れれば乗り切れるかもしれない」と考えてしまう経営者の方も少なくありません。
しかし、過度な責任感から生活資金や老後資金まで会社につぎ込んでしまうと、その後の再生や再スタートの選択肢を狭めてしまうこともあります。
まずは冷静に、会社の問題と、社長個人の生活・資産は切り分けて考えることが、結果として最善の解決につながるケースも少なくありません。
【例外】社長が「連帯保証人」なら個人の私財で返済義務を負う
会社の借入にあたって、社長が「連帯保証人(経営者保証)」となっている場合は、先ほど説明した原則の例外となります。
日本の中小企業では、資金調達の際に代表者個人の保証を求められるケースが多く、その結果、会社の借金と社長個人の責任が事実上一体化している企業も少なくありません。
このような状況で会社が返済不能に陥ると、保証人である社長個人に対して、残債務の返済を求められる可能性があります。
会社が支払えない以上、債権者は個人に請求せざるを得ないためです。
その結果、会社の倒産と同時に社長個人も多額の債務を抱え、厳しい選択を迫られるケースが多いのは事実です。
ただし、「連帯保証がある=必ず自己破産しかない」というわけではありません。
早期に対応し、
- 金融機関との協議
- 再生スキームや中小企業版ガイドラインの活用
- M&Aや事業譲渡を組み合わせた整理
などを検討することで、個人への影響を抑えながら解決を図れる余地が残されている場合もあります。
なお、社長自身が保証人になっているかどうか不明な場合は、融資契約書(金銭消費貸借契約書・保証契約書)を確認するか、金融機関へ直接問い合わせて確認しておくことが重要です。
状況別|社長の死亡や後継者不在の場合の対応
会社の借金問題への対応は、経営者が存命かどうか、また後継者がいるかどうかによって、大きく変わります。
特に、
- 経営者に万が一のことがあった場合
- 後継者が見つからず、事業の継続が難しい場合
には、通常の資金繰り対策とは異なる判断が求められます。
代表的な対応策は、次の2つのケースに分けて考えられます。
- 社長が死亡した場合
→相続人が「相続放棄」や「限定承認」などの手続きを検討する
- 後継者がいない場合
→単なる廃業ではなく、M&Aや事業譲渡による存続を検討する
それぞれのケースについて、社長個人・ご家族・会社にどのような影響が生じるのか、そしてどのような選択肢があるのかを、以下で詳しく解説します。
社長が死亡した場合は、相続人が「相続放棄」等の手続きを行う
経営者が亡くなった場合、保有していた自社株だけでなく、連帯保証債務(経営者保証)がある場合には、その保証債務も原則として相続の対象となります。
そのため、何も手続きを行わなければ、配偶者や子どもなどの相続人が、意図せず個人的な借金を引き継いでしまう可能性があります。
こうした負担を回避するために、相続人は、家庭裁判所で「相続放棄」や「限定承認」といった手続きを検討する必要があります。
特に相続放棄を選択する場合、民法第915条により「相続の開始を知った日から3か月以内」に申述しなければならないという厳格な期限が定められています。
この期間内に相続放棄や限定承認を行わなかった場合、原則として相続を承認したもの(単純承認)とみなされ、後から借金だけを拒否することはできません。
そのため、経営者が亡くなった場合には、感情的にも時間的にも余裕がない中ではありますが、できるだけ早い段階で、弁護士などの専門家に相談し、適切な対応を判断することが重要です。
後継者がいない場合は、廃業ではなく「M&A」などでの存続を目指す
親族や社内に事業を継ぐ人がいない場合でも、直ちに廃業や清算を選ぶ必要はありません。
借入金を抱えたまま後継者不在となった場合に検討したい選択肢の一つが、第三者へ事業や経営権を引き継ぐ「M&A」です。
M&Aと聞くと、「黒字企業でなければ無理」「借金がある会社は売れない」と考えられがちですが、実務上は債務超過や再生局面であっても成立するケースは少なくありません。
たとえば、
- 事業譲渡や会社分割により、収益事業のみを引き継ぐ
- 再生スキームと組み合わせて、債務を整理した上で承継する
- 金融機関との合意のもと、M&Aを進める
といった方法を用いることで、事業・雇用・取引先を守りながら、会社を次世代へ残すことが可能となる場合があります。
また、スキーム次第では、オーナー個人の保証や経済的な負担を軽減・整理できる余地もあり、「会社も家族も守る」という選択肢につながることがあります。
M&Aを活用した資金調達方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
会社の借金を返せない時の4つの解決策
前項では、後継者不在時の選択肢としてM&Aを取り上げましたが、資金繰りの悩みに対する解決策は一つではありません。
会社の財務状況・借入の規模・事業の収益力、そして「事業を続けたいのか」「個人の生活を守りたいのか」といった目指すゴールによって、取るべき対応は大きく異なります。
会社の借金を返せない場合、主な選択肢は次の4つに整理できます。
- リスケジュール(返済条件の変更)
- 自主再生・M&A(事業譲渡・会社分割など)
- 民事再生(法的整理・再建型)
- 自己破産(法的整理・清算型)
重要なのは、「どれが正しいか」ではなく、「自社にとって現実的か」という視点です。
それぞれの方法には、
- 適している会社の状況
- メリット・デメリット
- 社長個人への影響
が大きく異なります。
以下では、各解決策の特徴やメリット・注意点を、実務の視点から詳しく解説します。
➀リスケジュール(返済条件の変更)
借入金の返済が重く、資金繰りが厳しくなり始めた段階では、まず金融機関へ相談し、返済条件の変更(リスケジュール、いわゆる「リスケ」)を検討します。
一般的には、
- 元金返済を一定期間停止し、利息のみの支払いとする
- 返済期間を延長し、毎月の返済額を軽減する
といった方法により、当面の資金繰りを改善することを目的とします。
リスケジュールは、倒産を回避するための比較的取り組みやすい初動対応ですが、根本的な解決策ではなく、あくまで「時間を確保するための手段」に過ぎません。
リスケ期間中に、
- 経営改善計画(収益改善・コスト削減・事業の選択と集中)を策定する
- その計画に基づき、実際に収益力を回復させる
ことができなければ、再度資金繰りが行き詰まり、次の段階(再生スキームや法的整理)を検討せざるを得なくなります。
つまり、リスケジュールが有効に機能するかどうかは、「猶予期間をどう使うか」にかかっていると言えます。
企業のリスケジュールの考え方や注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事|返済リスケジュールとは?借入金で悩む経営者が知っておくべきポイント
②自主再生・M&A(事業譲渡・会社分割など)
自主再生とは、不採算部門の整理や遊休資産の売却などによって資金を捻出し、自社の力で経営を立て直す方法です。
事業規模の縮小は避けられない場合もありますが、借入金の返済負担を軽減し、倒産を回避できる可能性があるという点で、状況によっては有効な選択肢となります。
一方で、「自社だけでの改善には限界がある」「資金力や人材、販路に不安がある」と感じる場合には、スポンサー企業へのM&Aや事業譲渡を検討することが、現実的な打開策となるケースも少なくありません。
赤字や債務超過の状態であっても、独自の技術力、顧客基盤、ノウハウ、地域性などに価値があれば、再生を前提とした買い手が見つかる可能性は十分にあります。
M&A・事業譲渡の大きなメリットは、収益性の高い事業を切り出して譲渡し、その対価を借入金の返済や再生資金に充てられる点です。
また、スキームや金融機関との調整次第では、
- 借入金の整理
- 社長個人の連帯保証(経営者保証)の解除・軽減
につながるケースもあり、従業員の雇用や取引関係を維持しながら、経営者自身も再スタートを切れる可能性があります。
単なる清算や廃業と比べ、事業・雇用・経営者の将来を残せる「再生型の選択肢」と言えるでしょう。
ジーケーパートナーズでは、中小企業版ガイドラインを活用した事業譲渡や、金融機関の債務免除を伴う特別清算など、再生局面における支援実績を豊富に有しています。
単なるM&A仲介にとどまらず、金融機関調整・債務整理・法務税務を踏まえた複雑なスキーム構築とあわせてスポンサー探索を行うことで、借金問題の解決と事業の承継を同時に実現する「再生型M&A」をご支援しています。
「この状況で相談してよいのか分からない」
「倒産しか選択肢がないと思っているが、本当にそうなのか」
そのような段階でも構いません。
おひとりで抱え込まず、まずは現状をお聞かせください。
③民事再生(法的整理・再建型)
民事再生とは、裁判所の監督のもとで債務の大幅な整理(カットや返済条件の変更)を行いながら、事業の継続・再生を目指す法的手続きです。
すべての債務を清算し、会社を終了させる破産とは異なり、原則として経営権を維持したまま再生を図れる点が、民事再生の大きな特徴です。
一方で、民事再生には次のような現実的なハードルもあります。
- 裁判所への予納金や専門家報酬など、一定の初期費用が必要
- 手続開始により信用力が大きく低下し、取引停止や仕入条件の変更が生じる可能性
- 再生計画の策定・債権者調整など、手続きが複雑で時間を要する
そのため、民事再生は「最後の切り札」ではあるものの、誰にでも適した方法とは限りません。
実施にあたっては、財務・事業の両面を踏まえた現実的な再生計画が不可欠であり、弁護士をはじめとする専門家との緊密な連携が欠かせません。
④自己破産(法的整理・清算型)
リスケジュールや自主再生、M&A、民事再生など、あらゆる手段を検討しても事業の再生が見込めない場合、最終手段として選択されるのが自己破産(法人破産)です。
法人の自己破産とは、会社が保有するすべての資産を換価し、債権者へ配当したうえで、会社そのものを清算・消滅させる法的手続きを指します。
法人が破産することで、会社としての債務は法的に整理されますが、社長個人の債務については別途判断が必要です。
特に、社長が借入金について連帯保証人(経営者保証)となっている場合には、法人の破産とは別に、社長個人として自己破産や債務整理を検討せざるを得ないケースも少なくありません。
また、法人破産を選択した場合、
- 事業は完全に停止
- 従業員は原則として解雇
- 取引関係も終了
することとなり、経営者にとっても従業員にとっても、非常に重い決断となります。
一方で、借金問題を法的に整理し、再スタートのために一度すべてを清算するという意味では、現実的な選択肢となる場合もあります。
自己破産は「失敗」ではなく、これ以上傷を広げないための整理手段であり、他の選択肢と比較したうえで、慎重に判断すべき最終局面の対応と言えるでしょう。
返済に困ったときは専門家へ早期相談を
会社の借金が返せなくなったからといって、直ちに倒産や破産が決まるわけではありません。
一方で、「まだ何とかなるはずだ」「もう少し様子を見よう」と判断を先送りにしてしまうと、選択肢が急速に狭まり、取り返しのつかない事態を招く可能性があります。
倒産や廃業を回避するために最も重要なのは、資金が完全に尽きてしまう前に行動を起こすことです。
早い段階で専門家に相談し、状況を整理できれば、
- リスケジュールによる資金繰り改善
- M&Aや事業譲渡による事業承継
- 再生スキームを活用した立て直し
など、会社と経営者自身の将来を守るための選択肢が残されている可能性があります。
「もう遅いかもしれない」と感じている段階でも、整理してみることで道が見えるケースは少なくありません。
おひとりで抱え込まず、まずは早めに専門家へ相談することが、最善の一手となります。
ジーケーパートナーズでは、経営難に直面されているオーナー経営者様向けに「無料個別相談会」を実施しています。
単なる法的整理の可否を判断するだけでなく、事業の存続や雇用の維持、連帯保証(経営者保証)の整理まで見据えた、現実的かつ建設的な解決策の方向性をご提案することが可能です。
「この段階で相談してよいのか分からない」
「まだ倒産と決めつけたくない」
そのような状況でも問題ありません。
お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。



