お電話はこちら
お電話はこちら
お問い合わせフォーム

「2024年04月」の記事一覧

2024年4月の投稿

セミナー・相談会の情報を更新しました。

ジーケーパートナーズのホームページヘアクセス頂き、ありがとうございます。
セミナー・相談会の情報を更新しました。

現在は東京、大阪にて随時実施しております。またZoomでのご対応も行っております。

詳細は、こちらのページにて、ご確認ください。
https://www.gkpart.com/seminar/

ご参加お待ちしております。


事業再生における「第二会社方式」とは?

この記事では、経営危機に陥った企業が債務を整理し、再生を目指す「第二会社方式」について詳しく解説します。この手法では、採算が取れる事業部門を新たに設立される法人に移転し、不採算部門と過剰債務を抱える元の会社を清算することで、企業の存続と成長を図ります。第二会社方式が活用される理由と、考慮すべき重要なポイントを確認していきます。

第二会社方式の概要

過剰債務を背負い、経営難に陥った企業にとって、「第二会社方式」は、優良な事業を維持しつつ再生を目指す効果的な戦略です。この方法では、採算性の高い事業部門を会社分割や事業譲渡を通じて新設される法人(第二会社)に移転します。結果として、元の会社は不採算事業と共に特別清算手続きを経て解散し、新しい法人は旧会社の負の遺産から解放され、新たなスタートを切ることができます。優良事業のみを対象に、良好な経営状態から再スタートを切ることで、再生の可能性が高まります。そのため、スポンサーや金融機関からの協力を得やすくなるというメリットがあります。また、事業の持続により、雇用を維持し、取引先への債務を履行できるため、地域経済にも良い影響を及ぼすことが可能です。

税務面でのメリット

第二会社方式の採用は、税負担の軽減という重要な税務上のメリットを提供します。債務免除益の特別な扱いにより、企業の法人税負担を減少させることが可能になります。この税務上の利点は、企業再生プロセスを効率化し、財務再建を支援するための鍵となります。

債務免除の税務処理

債務免除を受けた場合、債務者企業は免除益を計上する必要があり、これが法人税負担を増加させる可能性があります。しかし、第二会社方式を通じてタックスプランニング(税務コストを最小限にするためのプランを策定すること)を適切に行うことで、特別清算を利用して債務免除益に対抗するための損金を生み出し、税負担を軽減することができます。

債権者側の利点

債権者にとっても、第二会社方式は清算手続きを通じて債権額を損金に算入できるため、交渉がスムーズに進む可能性が高まります。

第二会社方式の留意点

第二会社方式を検討する際には、許認可の問題、コストと手続きの複雑さ、及び新会社への資産移転時ののれん評価など、いくつかの考慮すべき重要な留意点があります。

許認可の承継

許認可の承継は、旧会社から優良事業の移転先となる新会社が事業活動を法的に継続するために不可欠です。これはビジネスの連続性を保ち、運営の合法性を確保するとともに、顧客や市場からの信頼を維持し、競争力を強化する上で重要です。そのため、許認可の承継可能性、コスト及び必要な時間を事前に確認し検討することが必須です。

実行コストの見積り

第二会社方式を実行する際は、新旧事業の分離のための貸借対照表を慎重に策定し、弁護士、公認会計士やコンサルタントへの報酬、解散予定の会社にかかる清算費用、司法書士や行政書士への報酬、登録免許税等事業再編の手続き費用などを事前に見積もることが重要です。想定外のコスト発生を回避するためにも、事前の綿密な計画が必要です。

のれんの実在性

新会社が引き継ぐ資産と負債の差額である「のれん」の実在性を担保することも重要です。のれんが将来のキャッシュフローから適切に算定され、実在性が認められることで、損金算入が可能となります。

早期の着手と債権者の理解

経営不振が優良事業に影響を及ぼす前に第二会社方式の検討を開始すること、そして債権者の理解を得て、詐害行為取消や否認を受けないよう注意することが重要です。これにより、優良事業の移転にかかわる取引の取消や訴訟のリスクを低減できます。

第二会社方式の選択肢: 事業譲渡と会社分割の比較

この方法を実行する際には、主に事業譲渡と会社分割の二つの選択肢が考慮されます。ここでは選択のポイントとなるそれぞれのメリットとデメリットを確認します。

事業譲渡

事業譲渡は、企業が特定の資産や契約を新会社に移転するプロセスです。この方法では、各債権や債務が個別に譲渡されるため、新会社は明示的に合意された債務のみを引き継ぎます。これにより、未知の簿外債務を引き継ぐリスクがなく、必要な資産や負債のみを選択して引き継ぐ柔軟性が得られます。ただし、事業譲渡は売買契約と見なされるため消費税が課される点や、会社分割時に適用される税負担軽減措置が事業譲渡では適用されない点も考慮する必要があります。

会社分割

会社分割は、企業がその事業の一部を新会社に包括的に移転させるプロセスです。この方法の主な利点は、契約関係の引継ぎが簡単になり、手続きが簡素化されることです。会社分割では消費税が非課税であり、登録免許税や不動産取得税の軽減措置が受けられる可能性があります。一方で、会社分割では包括承継によって不要な資産や負債も引き継がれてしまうため、簿外債務を含む予期しない負担を新会社が負うリスクが生じます。

おわりに

第二会社方式は、経営危機に直面した企業にとって、優良な事業部門を維持しつつ再生を目指すための有効な戦略です。税務上のメリット、債権者とのスムーズな交渉、地域経済への貢献など、多くの利点がありますが、許認可の承継、コスト、及びのれんの実在性など、留意すべき点も存在します。また第二会社方式の実行において検討される事業譲渡と会社分割という二つの方法については、それぞれ異なるメリットとデメリットを持つため、適切な検討を行うことが必要です。


スクイーズアウトとは?少数株主排除の手法を解説

株式会社の経営決定は、株主間の多様な利害を調整する複雑なプロセスです。特に大株主と少数株主間の意見対立がある際、戦略方向性の決定は難しくなります。このような場合、大株主が少数株主から株式を強制的に買い取る「スクイーズアウト」が有効です。M&A、事業承継、上場廃止などの重要局面において、スクイーズアウトは迅速な意思決定と事業再編、戦略的転換を促します。本記事では、M&Aや事業承継などの重要な場面でスクイーズアウトがどのように役立つのか、その仕組みや意義、またメリット、留意点について解説していきます。

スクイーズアウトとはなにか?

スクイーズアウトは、M&Aや事業承継の際に欠かせない戦略的手法です。この記事では、スクイーズアウトの基本概念、M&Aと事業承継におけるその重要性を詳しく解説します。

スクイーズアウトの基本定義

スクイーズアウト(Squeeze Out)は、大株主が少数株主から強制的に株式を買い取る手法を指します。「押し出す」「絞り出す」「締め出す」という意味を持ち、金銭を対価として株式を取得します。このプロセスは、個々の株主の同意なしに実施され、事業継承や完全子会社化を目的としたM&Aの際に特に有用です。

M&Aにおけるスクイーズアウトの役割と重要性

M&Aのプロセスにおいて、スクイーズアウトは株式の集約や株主の整理を効率的に行うための有効な手段です。少数株主の反対や連絡不通の問題に直面した際、スクイーズアウトを通じてこれらの障害を克服し、スムーズな合併や買収を実現します。また、上場廃止の際にもこの手法が利用されることがあります。

事業承継におけるスクイーズアウトの重要性

事業承継の過程では、株式の分散が大きな障害となることがあります。スクイーズアウトは、株式を一元化し、事業の継続性と安定性を確保するための重要な戦略です。相続や事業承継の際にスクイーズアウトを適用することで、スムーズな事業移行と効果的な経営継承を実現することが可能になります。

スクイーズアウトの目的とメリット

スクイーズアウトは、特定の状況下での少数株主排除に非常に効果的な手段です。このプロセスにより、会社は多くの戦略的なメリットを享受することができます。以下は、スクイーズアウトを通じて少数株主を排除することの主な目的とメリットです。

持ち株比率の100%化

M&Aや事業承継の際に、持ち株比率を100%にすることは、完全な統制権を確立する上で重要です。これにより、経営上の意思決定を一本化し、戦略の実行をよりスムーズに行うことが可能になります。

意思決定のスムーズ化

少数株主を排除することで、会社の意思決定プロセスが迅速かつ効率的に行われます。これにより、経営陣は戦略的な決定を素早く実行でき、市場や環境の変化に迅速に対応することができます。

株式の分散化リスクの回避

相続による株式の分散化は、会社運営におけるリスクを高めることがあります。スクイーズアウトにより、これらのリスクを効果的に回避し、経営の安定化を図ることができます。

手続きの簡素化

少数株主の存在は、会社の手続きや事務処理において追加の手間やコストを発生させます。これらを削減することで、運営の効率性を高めることができます。

訴訟リスクの排除

少数株主からの訴訟は、会社にとって大きなリスクとなり得ます。スクイーズアウトによってこのリスクを排除し、安定した経営環境を保つことが可能になります。

節税効果の実現

グループ通算制度の選択による節税効果は、持ち株比率が100%の場合に最大化されます。スクイーズアウトは、この節税効果を実現するための有効な手段となります。

上場廃止の実施

上場廃止をスムーズに行うためには、全ての株式を一元化することが必要です。スクイーズアウトは、このプロセスを容易にするために利用されます。

スクイーズアウトの留意点

スクイーズアウトを行う際には、いくつかの重要な留意点があります。これらを理解し、適切に対処することが、スムーズで効果的なスクイーズアウトの実施には不可欠です。

手続き上の制約と条件整理

スクイーズアウトを実施する前に、関連する手続き上の制約を確認し、必要な条件を整理することが重要です。これには、法的要件、株主とのコミュニケーション、および必要な議決権の割合の確保などが含まれます。

対価の支払い

スクイーズアウトのプロセスにおいて、少数株主の株式取得に必要な対価が高額になることがあります。この高額な対価は、市場価値、業績、将来の成長見込みを考慮した価格設定の結果であり、その過程で対価が上昇することが原因です。このため、企業は対価設定が財務に及ぼす影響を事前に把握し、慎重な分析を行うことが重要です。

時間的な制限

スクイーズアウトのプロセスは、しばしば時間がかかるものです。プロセスの各段階での時間的な制限を理解し、計画を立てることが必要です。特に、株主との交渉や法的手続きには、予想以上の時間がかかることがあります。

裁判への発展のリスク

スクイーズアウトのプロセスは、時に裁判に発展するリスクを伴います。特に価格設定は、買い手である企業によって決定されますが、この価格に対し少数株主が不満を持つと、訴訟に発展する可能性があります。したがって、価格設定は非常に慎重に行う必要があり、少数株主が提供された条件やプロセスに異議を唱えることがあるため、このようなリスクを踏まえた上で、裁判に備えた準備と対応策の検討が重要です。

スクイーズアウトの手法

スクイーズアウトを実施するためには、複数の手法が存在します。これらの方法は、企業の目的や状況に応じて選択されます。

株式等売渡請求を用いた手法

これは特別支配株主によって行われることが多く、総議決権の90%以上を保有する株主(特別支配株主)が、残りの株主に対して株式の売渡を請求する手法です。特別支配株主が大多数の株式を保有している場合に適用され、少数株主からの株式を効率的に取得することが可能です。

株式併合

この方法では、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権における3分の2以上の賛成を得て株式を併合します(特別決議)。併合により発生する単元未満株については、買取金額を設定する必要があり、その妥当性は裁判所によって審査されるため、金額の決定には慎重な検討が必要です。この方法は、少数株主が保有する株式を合理的に取り扱うために用いられます。

株式交換

株式交換を利用したスクイーズアウトは、親会社が子会社を完全子会社化する際に用いられる方法です。この手法では、子会社の株主が保有する株式を親会社の株式と交換します。株式交換により、子会社の少数株主は親会社の株主になりますが、完全なスクイーズアウトを達成するためには、さらに親会社の株式を株式併合するか、現金対価での株式交換を行う必要があります。

全部取得条項付種類株式を用いた方法

この方法では、株主総会での特別決議を経て、特定の種類の株式を強制的に買い取ることができます。これにより、会社は特定の株主を対象にしたスクイーズアウトを効率的に実行することが可能となります。

おわりに

スクイーズアウトは、M&Aや事業承継で欠かせない戦略であり、その実施は複雑なプロセスを伴います。このような重要な決定を行う際には、専門家の助言が不可欠です。特に計画段階や価格設定の際には、法的な観点や財務的影響を熟考するために法律専門家や財務アドバイザーの意見を求めることが重要です。適切な計画と効率的なプロセス管理によって、企業はスクイーズアウトを成功させ、その経営基盤を強化することが可能になります。