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「2023年11月」の記事一覧

2023年11月の投稿

赤字会社を事業譲渡で買収するメリットとデメリット

経営環境はグローバル化、技術革新、消費者行動の変化などにより劇的に変わっています。これに応じて、企業は組織構造の根本的な見直し、つまり組織再編を迫られることがあります。この記事では、組織再編の手法の中でも、特に赤字会社の事業譲渡を通じた買収のメリットとデメリットに焦点を当てて詳しく解説します。

事業譲渡とは?

事業譲渡とは、企業が自らの事業の一部または全部を他の企業に移管する組織再編の一つの手段です。事業譲渡は売買と同様の取引上の契約であり、会社法上の契約たる合併、会社分割、株式交換や、包括承継の相続とは異なります。具体的な手続きとしては、まず売却する事業の評価や価格の交渉が行われ、次いで譲渡契約の締結、最終的には事業の移管となります。比較的短期間での実施が可能であり、また選択的に部門や事業単位での移管ができることから、一定の条件下では、有効な組織再編の手段として認識されています。

赤字会社における事業譲渡の背景

経営状況が悪化し赤字に転落した企業が経営改善や事業の再生を目指す際、一部の事業を切り離すため、事業譲渡が検討されることがあります。赤字会社の事業譲渡のパターンとしては、赤字の原因となる事業部門を切り離して売却されるケースと、赤字会社でありながら利益を上げている部門が売却されるケースが考えられます。

赤字事業が売却されるケース

一般的に、赤字事業はキャッシュを生まないため、事業価値がないと見なされがちです。しかし、その価値は買い手の視点によって変わることがあります。赤字事業の経営資源が買い手によって高く評価される場合、シナジーを生む可能性がある場合、または買い手の経営能力によって事業の再生が可能と見込まれる場合などは、買収企業がその価値を認め、事業譲渡が実現する可能性があります。

黒字の事業を持つ赤字会社の売却ケース

赤字会社であっても、一部の部門が利益を上げていることは珍しくありません。このような黒字部門は、会社全体が赤字であっても、買い手の注目を集め、事業譲渡の適切な候補となることがあります。これは、全体として赤字の事業を売却するケースとは対照的です。売却される部門自体が明確な価値を持ち、その買収から具体的な利益を期待できる点に大きな違いがあります。

事業譲渡による買収のメリット

事業譲渡は、企業や組織が特定の事業部門や資産を別の企業や組織に移転する手法です。これは、全社規模の買収とは異なり、特定の事業領域に焦点を絞った取引となるため、特有のメリットを持ちます。ここでは、事業譲渡によって享受できる具体的なメリットについて、赤字企業の事業譲渡のケースにも触れながら、掘り下げていきます。

対象事業の資産・負債の限定的な引き継ぎ

事業譲渡の大きなメリットが、全社的な債務を負担することなく、対象事業だけに関わる資産、負債だけに限定して引き継げるということです。これにより偶発的な債務を引き受けざるを得ないような状況に陥ることも回避できます。偶発的な債務とは、現時点でその発生や金額が不確定で、将来にわたって負う可能性がある債務を指し、買収対象企業の将来的な財務リスクを表すものです。経営状況の厳しい赤字企業は、経営にトラブルを抱えることもあり、そのような偶発的な債務を抱えている場合もあり得ます。その点、事業譲渡では、このような不確定な負債を負担するリスクを避けることができるのです。

事業譲渡の戦略的メリット

事業譲渡は、特定の事業部門の買収により、買い手企業の経営を強化し、事業を拡大する有効な方法となり得ます。譲渡される事業の業務手法、人材、インフラを活用することで、新しい経営方針や事業展開を円滑に推進することができます。赤字企業といえども、買い手にとって魅力的に映るノウハウや、有能な人材、有効なインフラ等を抱えていることがあり、その獲得のため戦略的に赤字の事業譲渡を受けることは有効な一手といえます。

相対的に取得コストを抑えられるメリット

前述のとおり、赤字事業であっても、買い手が事業のシナジーを見出したり、その経営力で再生を果たせる見込みがあったりするならば、その事業は価値ある譲渡対象となる可能性があります。赤字事業は、相対的にその取得コストを低く抑えることができる点も、その可能性を高めることでしょう。このような赤字事業の譲受には一定のリスクが伴いますが、取得コストの削減により投資対効果を早期に発揮できれば、その事業譲渡は成功といえます。

人材の資産化と再配置

赤字会社に所属する専門知識や経験を持つ有能な人材を獲得、活用できる場合があります。事業譲渡を通じて、これらの有能な人材を戦略的に活用することで、新たな分野への進出や、競争力の強化を図ることが可能です。赤字事業の人材を有効に資産化し、彼らを適切なポジションに配置することは、事業譲渡による新たな成果と機会の獲得につながります。

赤字事業の事業譲渡における節税メリット

赤字事業の事業譲渡を行う場合、税制面や会計面でのメリットが存在します。赤字事業を譲り受けた企業は、その赤字を既存の利益事業と組み合わせることにより、全体的な課税所得を減少させることが可能です。この方法により、譲り受けた企業は節税効果を享受でき、財務状況の改善に寄与することが期待されます。

事業譲渡による買収のデメリット

前述の通り、事業譲渡は特定の事業部門や資産の取引に特化した方法として、多くのメリットがありますが、同時に留意が必要なデメリットもあります。事業譲渡を成功させるためには、これらのデメリットを認識し、適切な対応をとることが不可欠です。以下では、赤字企業の事業譲渡のケースにも触れながら、事業譲渡による買収のデメリットについて確認します。

譲渡対象の評価の複雑さ

事業部門や資産の真の価値を評価するのは容易ではありません。特に赤字事業の場合、過去の実績や財務データが不十分である場合や、将来の市場の動向が不透明である場合など、適切な評価が困難となります。これにより、価値に見合わない不適切な価格での取得や、意図しないリスクの取得となる可能性があります。

新たな雇用契約や手続きの煩雑さ

事業譲渡は、買収対象となる事業で働く従業員の雇用契約をそのまま引き継げない点に留意が必要です。事業部門の移行時には、譲渡される事業部門の従業員と新たな雇用契約や関連手続きが必要となります。新たな雇用条件の提示や、場合によっては労働組合との交渉など、多岐にわたる手続きが必要です。

異なる企業文化の融合の困難さ

事業譲渡に伴って移籍する従業員の円滑な受け入れと統合は極めて重要です。企業文化の違いや働き方のギャップを鑑み、従業員の士気を維持しながら統合を進めるには、詳細なコミュニケーションが不可欠です。特に赤字企業からの移籍の場合、業績不振によって従業員の意欲が低下していることも想定されるため、特に繊細な対応が必要になります。従業員の期待や懸念に耳を傾け、適時の情報共有とサポートを提供することが求められます。これらのプロセスが不十分な場合、従業員の退職や士気の低下が生じ、結果として事業運営に悪影響を与えるリスクが高まります。

契約や取引に関するリスク

事業譲渡には、買収する事業の過去の契約や取引に起因する潜在的なリスクが含まれる可能性があります。例えば、事業部門が過去に結んだ契約の中で、未来に生じる不利な条件が含まれている可能性や、特許や著作権の問題、隠れた環境問題など、事業の特性に応じた様々なリスクが考えられます。特に赤字企業の場合は、経営不振に起因して何らかのトラブルを抱えている可能性が高いこともあり、細心の留意が必要です。

おわりに

以上、赤字会社を事業譲渡で買収するメリットとデメリットについて解説しました。赤字会社の事業譲渡においても、様々なメリットがあることをご理解頂けましたでしょうか。一方で、特に赤字会社の事業譲渡のプロセスは複雑であり、留意すべきいくつかのデメリットが存在しますが、その対策には、専門家の支援や活用も必要不可欠です。事業譲渡の成功には、綿密な戦略策定と計画的な取り組みが求められます。これらの対応を着実に実行することで、事業譲渡の成功に近づくことができるでしょう。


債務超過の会社を買収するときのリスクとは

企業の買収(M&A)は、新しい市場への進出や業績の向上、シナジー効果の創出など、さまざまなメリットをもたらす重要な経営戦略の手段として認識されています。しかし、債務超過の企業を買収対象とする場合には、一般的なM&Aよりも特有のリスクが伴います。そこで本記事では、債務超過の会社を買収する場合に考慮すべきリスクやに焦点を当てて解説します。リスクを避けるためには何が必要か、また、それがどのように企業の経営戦略に影響を与えるのか、詳しく探っていきましょう。

債務超過の会社とは

債務超過とは、企業の総負債が総資産の価値を超えている状態を指し、その背後には様々な要因が存在します。所有する資産(機器、不動産、在庫など)の価値が負債(借入金、未払い金など)に対して劣るこの状態は、過去の投資失敗、市場環境の変動、経営方針の誤りなどから生じることが多いです。企業の存続が危ぶまれるほどの深刻な状態とも言える債務超過ですが、そのような企業には新たな再建の道として、M&Aが選択肢として考えられます。

債務超過の会社を買収する際のリスク

債務超過企業の買収は、経営再建や資産の有効活用、新たな市場での機会の創出といった意義を持ちながら、これらの企業が抱える財務的・経営的な固有のリスクには注意が必要です。買収を進める上で、これらのリスクをしっかりと把握し、適切な評価と対策を講じることが求められます。次の部分で、債務超過の会社を買収する際の主なリスクやその背景を深掘りしていきます。

財務的リスク

ここでは、債務超過の企業を買収する際に潜在的に存在する財務に関するリスクについて解説します。

財務状態の不安定さ

企業の財務状態が不安定であると、資金調達能力や将来の成長性が懸念されます。この不安定さは、資金繰りの問題、収益性の低さ、高い負債など、さまざまな要因に起因することがあります。不安定な財務状態の企業を買収することは、将来の経営の不確実性を増大させる可能性があるため、リスク評価を慎重に行う必要があります。

危険度が高い債務

買収を検討する企業が持つ債務の中に、高い金利、短期の返済期限、担保付きの債務など、特にリスクが高いものが存在する場合、注意が必要です。これらの債務は、買収後の経営資源を圧迫する可能性があり、買収の成功を阻害する要因となることも考えられます。

未明示の債務や資金繰り課題

企業の財務諸表には表示されていない、隠れた債務や将来的な資金繰りの課題が存在する場合、また資産価値の評価が不適切である場合等、これらは予期しないリスクとして買収後に表面化する可能性があります。デューディリジェンス(※買収先の詳細な調査や審査のこと)の過程でこれらの問題を明らかにし、適切に評価・対応することが重要です。

オペレーショナルリスク

債務超過の企業を買収する際、特にその財務状態から生じる、運営に関する課題や組織間の摩擦が生じる可能性があります。以下では、これらのリスクとその対策に焦点を当てて解説します。

継続的な業績の不振とその対策

債務超過の影響で買収先企業の業績が継続的に低迷している場合、原因の特定と対応策の検討が必要です。シナジーの創出や資源の効果的な統合により業績向上を期待することはできますが、すぐに効果が現れるとは限らないため、長期的な視点での取り組みが欠かせません。

組織文化と業務プロセスの統合における課題

買収する企業同士で組織文化や業務プロセスが異なる場合、統合時に摩擦が生じるリスクが考えられます。異なる文化や価値観をもつ組織の統合は、十分なコミュニケーションとリーダーシップを伴う取り組みが必要となります。人材の流出リスクにも配慮が必要です。

レピュテーションリスク

レピュテーションリスクとは、企業の評判やブランド価値が損なわれることにより、企業価値や業績にネガティブな影響が生じるリスクを指します。債務超過の企業を買収した際、特に再建プロセスの中での経営判断が、このリスクを増加させる場合があります。このリスクは、目に見えにくいものの、場合によっては事業運営への影響が大きく、押さえておくべき要点と言えます。

ブランド価値の減少

事業の縮小や人員削減が公になると、企業の評価や信頼性に影響が出ることがあります。ブランドは企業の価値を形成する要素で、その低下は間接的に業績にも影響を与える可能性があります。

ステークホルダー関係の悪化

買収時の再建プロセスや経営判断により、利害関係に衝突が生じ、取引先、従業員、地域社会などのステークホルダーとの関係が変わることが考えられます。適切なコミュニケーションは、これらの変化を緩和し、良好な関係を維持するためのキーとなります。

顧客信頼の喪失

サービスの品質や提供体制の変更により、長年築き上げた顧客の信頼に影響を及ぼすことが考えられます。これにより、顧客の離脱や収益減少のリスクが生じる可能性があります。

法律・規制リスク

債務超過の企業を買収する際には、それまでの業務や契約に関連する法律や規制の問題が影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクを事前に理解し適切に対処することが、スムーズな経営の継続や未来の問題を未然に防ぐために重要です。

法的な問題の継承

買収する企業が以前から抱えていた契約上の紛争や訴訟、その他の法的トラブルは、買収後も新しい企業に継承される可能性があります。これにより、意図しない法的費用や賠償責任、企業イメージへの悪影響など、多岐にわたる問題が生じることが考えられます。

規制上の制約や認可の必要性

特定の業界やビジネスモデルには、法規制や業界標準が存在します。債務超過の企業を買収することで、これまでとは異なる規制や認可の要件に直面することが予想される場合、事前の確認や調整が不可欠となります。

債務超過の会社を買収する際の対策

債務超過の会社を買収する際の成功への道筋では、先に触れたリスクを適切に管理し、対処していくことが求められます。これを達成するための具体的な対策の策定・実施が不可欠です。以下では、これらの対策とその取り組み方について解説します。

デューディリジェンスの実施

デューディリジェンスは、買収の初期段階で行われる重要な調査プロセスであり、買収対象企業の真の価値や潜在的なリスクを明らかにする役割を果たします。特に、財務諸表の詳細な分析と市場・競合の動向の調査を通じて、買収先企業の将来の展望や潜在的な課題についてより正確な理解を得ることができます。さらに、法的な側面も含めたデューディリジェンスによって、契約関連のリスクや法的課題についても透明性を高め、買収プロセス全体の信頼性を向上させます。

経営戦略と計画の明確化

買収後の成功のためには、明確な経営戦略と実行計画の策定が不可欠です。これには、新たな経営ビジョンの定義や、組織・経営陣の適切な配置・再編が含まれます。

ステークホルダーとのコミュニケーション強化

買収は企業だけでなく、多くのステークホルダーに影響を及ぼします。そのため、買収の意図や今後の方針を明確に共有し、持続的な関係性の構築を目指すことが必要です。

契約の戦略的活用

債務超過の企業買収においても、買収契約はリスク軽減のための重要なツールとして活用されます。例えば、アーンアウト契約は、企業の将来の業績に基づいて買収価格を調整する方法として知られ、買収のリスクを分散させる効果があります。この契約では、買収後の一定期間内に企業の業績が特定の目標に達した場合、追加の支払いが行われる仕組みとなっています。さらに、保証・補償条項を設定することで、特定のリスクに関連する責任を売却者側に求めることも可能です。

買収スキームの検討

買収スキームとしては、通常は株式譲渡が用いられることが一般的ですが、債務超過企業の場合は、事業譲渡や会社分割の手法を用い、過剰な負債の整理とともに行われるケースも多くなります。買収する企業の取引金融機関との調整などが発生するため、専門家に相談し、よく検討を行う必要があります。

おわりに

企業の買収は決して容易なプロセスではありませんが、適切な対策と計画を実施することで、その成功への可能性は大きく向上します。特に債務超過の企業を対象とする際、リスクをしっかり押さえて、対策することが不可欠です。デューディリジェンス、買収契約、リスク管理といった各段階での専門的サポートを取り入れることも重要です。これらのステップを踏みながら、買収プロセスを適切に進めることが、最終的なM&Aの成功の鍵となるでしょう。


赤字事業を事業譲渡で売却するメリット、デメリット

事業譲渡とは、ある企業が自らが運営する事業の一部または全部を、別の企業に移転させる手段です。事業譲渡を行う背景には多様な理由が存在し、それぞれのケースによって異なりますが、一般的には、資本やリソースをより効率的に使いたいという願望がある場合や、特定の市場やビジネスエリアから撤退する意志がある場合などが考えられます。このように、事業譲渡は企業の戦略において非常に重要な要素となる場合があります。また、事業譲渡は株式譲渡とは基本的に異なります。株式譲渡が会社全体を対象としているのに対し、事業譲渡は特定の部門や事業領域に限定されることが一般的です。

事業譲渡の特徴

事業譲渡とは、企業が自社の資源や事業を効率的に整理、再編するための手段として用いられます。

株主総会での承認は基本的に不要(ただし、例外あり)

事業譲渡の場合、全社を巻き込むわけではないので、株主総会での承認が一般的には必要ありません。ただし、譲渡される事業が会社全体に大きな影響を与える場合などは、株主総会での承認が必要になることもあります。

権利義務の移転は個別に行う必要がある

事業譲渡では、具体的に何が移転するのか、何が残るのかを個別に取り決める必要があります。これは、契約の複雑性が増す一方で、柔軟なアレンジが可能という側面もあります。

赤字事業の事業譲渡について

特に赤字事業を対象とした事業譲渡は、経営において重要な選択の一つです。その意義は、非効率な部分を切り離して、特定の事業へ集中する力を高めることにあります。また、早期に損切りをすることで、長期的なリスクを回避できる可能性もあります。

赤字事業の事業譲渡のメリット

赤字事業を事業譲渡することにはいくつかのメリットが存在します。不振事業からの撤退は資本の有効な再配分を可能にし、結果として企業全体の損失を最小限に抑えることにつながります。

資本の集中

非効率な事業、特に赤字を出している事業から手を引くことで、主力となる事業に資本を集中させることができます。これにより、企業が本来強みとする部分での競争力を高めることが可能です。

損切りの早期化

赤字事業を継続するコストとリスクを早期に排除することで、短期間内に財務健全性を向上させることが可能です。

企業価値の維持

赤字事業の存在は、企業価値にネガティブな影響を与える可能性がありますが、事業譲渡により経営効率の最適化を図ることで、企業全体としての評価を高く維持することにもつながります。

人材の再配分、再配置

赤字事業から撤退することで、その事業に関わっていた人材を他のより有望な事業に振り向けることができます。これにより、企業内の人材がより効率的に活用されます。

有用な資産の活用

譲渡先企業が赤字事業に含まれる人材、知的財産、顧客基盤などに価値を見出せる場合、それらの資産は新たな形で生かされます。これにより、元々の企業にとっては赤字事業でも、社会全体にとっては有益な資産として再活用される可能性があります。

赤字事業の事業譲渡のデメリット

事業譲渡には多くのメリットがある一方で、様々なデメリットも考慮する必要があります。特に負債の問題や、内外の関係者に与える影響、法的・税務リスクなどは特に注意が必要です。

債務の残存

譲渡先が債務を引き受けてくれるとは限りません。譲渡先との取引交渉の結果、譲渡した後も債務は元の企業に残る可能性もあり得ます。

社内外への影響

従業員や取引先との関係にも影響が出ることがあります。場合によっては事業の存続に大きな影響を及ぼします。このような影響を最小限に抑えるためには、事前のしっかりとしたコミュニケーションが非常に重要です。

法的・税務リスク

事業譲渡は、独占禁止法や税法など多くの法的制約に触れる可能性があります。これらのリスクを避けるためには、専門家のコンサルティングが必要です。特に税務については、譲渡がもたらす税制上の影響を深く理解することが大切です。

ブランド・評価への影響

赤字事業を売却または譲渡する行為自体が、市場での企業評価にネガティブな影響を与える可能性があります。事業の健全性をアピールするためにも、この影響を抑える配慮や対応が必要となります。

事業譲渡に伴う人の問題

事業譲渡においては、従業員との労働契約が非常にデリケートな問題となります。事業譲渡では、労働契約は自動的に新しい企業に引き継がれるわけではなく、従業員の承諾が必要とされています(民法625条)。このことには特に赤字事業を譲渡する際に十分な注意が必要です。

事業方針の説明

譲渡後の事業方針を従業員に明確に説明することが必要です。

従業員の処遇と待遇

譲渡先での従業員の処遇、待遇等も、事前にしっかりと確認し、可能な範囲で説明することが重要です。

条件交渉

譲渡の成立前に、従業員との条件交渉を行い、双方が納得する形での契約締結が求められます。

おわりに

事業譲渡、特に赤字事業の譲渡は重要で繊細な過程です。資本やリソースを効果的に活用するメリットがあり、赤字事業からの撤退は企業全体の競争力を高める可能性があります。しかし、法的・税務のリスクや関係者への影響も大きいため、慎重な準備が必要です。専門家のコンサルティングや徹底したコミュニケーションが成功の鍵です。赤字事業の譲渡はリスクとチャンスが密接に関連しており、戦略的なアプローチが求められます。