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「2023年」の記事一覧

2023年の投稿


赤字会社を事業譲渡で買収するメリットとデメリット

経営環境はグローバル化、技術革新、消費者行動の変化などにより劇的に変わっています。これに応じて、企業は組織構造の根本的な見直し、つまり組織再編を迫られることがあります。この記事では、組織再編の手法の中でも、特に赤字会社の事業譲渡を通じた買収のメリットとデメリットに焦点を当てて詳しく解説します。

事業譲渡とは?

事業譲渡とは、企業が自らの事業の一部または全部を他の企業に移管する組織再編の一つの手段です。事業譲渡は売買と同様の取引上の契約であり、会社法上の契約たる合併、会社分割、株式交換や、包括承継の相続とは異なります。具体的な手続きとしては、まず売却する事業の評価や価格の交渉が行われ、次いで譲渡契約の締結、最終的には事業の移管となります。比較的短期間での実施が可能であり、また選択的に部門や事業単位での移管ができることから、一定の条件下では、有効な組織再編の手段として認識されています。

赤字会社における事業譲渡の背景

経営状況が悪化し赤字に転落した企業が経営改善や事業の再生を目指す際、一部の事業を切り離すため、事業譲渡が検討されることがあります。赤字会社の事業譲渡のパターンとしては、赤字の原因となる事業部門を切り離して売却されるケースと、赤字会社でありながら利益を上げている部門が売却されるケースが考えられます。

赤字事業が売却されるケース

一般的に、赤字事業はキャッシュを生まないため、事業価値がないと見なされがちです。しかし、その価値は買い手の視点によって変わることがあります。赤字事業の経営資源が買い手によって高く評価される場合、シナジーを生む可能性がある場合、または買い手の経営能力によって事業の再生が可能と見込まれる場合などは、買収企業がその価値を認め、事業譲渡が実現する可能性があります。

黒字の事業を持つ赤字会社の売却ケース

赤字会社であっても、一部の部門が利益を上げていることは珍しくありません。このような黒字部門は、会社全体が赤字であっても、買い手の注目を集め、事業譲渡の適切な候補となることがあります。これは、全体として赤字の事業を売却するケースとは対照的です。売却される部門自体が明確な価値を持ち、その買収から具体的な利益を期待できる点に大きな違いがあります。

事業譲渡による買収のメリット

事業譲渡は、企業や組織が特定の事業部門や資産を別の企業や組織に移転する手法です。これは、全社規模の買収とは異なり、特定の事業領域に焦点を絞った取引となるため、特有のメリットを持ちます。ここでは、事業譲渡によって享受できる具体的なメリットについて、赤字企業の事業譲渡のケースにも触れながら、掘り下げていきます。

対象事業の資産・負債の限定的な引き継ぎ

事業譲渡の大きなメリットが、全社的な債務を負担することなく、対象事業だけに関わる資産、負債だけに限定して引き継げるということです。これにより偶発的な債務を引き受けざるを得ないような状況に陥ることも回避できます。偶発的な債務とは、現時点でその発生や金額が不確定で、将来にわたって負う可能性がある債務を指し、買収対象企業の将来的な財務リスクを表すものです。経営状況の厳しい赤字企業は、経営にトラブルを抱えることもあり、そのような偶発的な債務を抱えている場合もあり得ます。その点、事業譲渡では、このような不確定な負債を負担するリスクを避けることができるのです。

事業譲渡の戦略的メリット

事業譲渡は、特定の事業部門の買収により、買い手企業の経営を強化し、事業を拡大する有効な方法となり得ます。譲渡される事業の業務手法、人材、インフラを活用することで、新しい経営方針や事業展開を円滑に推進することができます。赤字企業といえども、買い手にとって魅力的に映るノウハウや、有能な人材、有効なインフラ等を抱えていることがあり、その獲得のため戦略的に赤字の事業譲渡を受けることは有効な一手といえます。

相対的に取得コストを抑えられるメリット

前述のとおり、赤字事業であっても、買い手が事業のシナジーを見出したり、その経営力で再生を果たせる見込みがあったりするならば、その事業は価値ある譲渡対象となる可能性があります。赤字事業は、相対的にその取得コストを低く抑えることができる点も、その可能性を高めることでしょう。このような赤字事業の譲受には一定のリスクが伴いますが、取得コストの削減により投資対効果を早期に発揮できれば、その事業譲渡は成功といえます。

人材の資産化と再配置

赤字会社に所属する専門知識や経験を持つ有能な人材を獲得、活用できる場合があります。事業譲渡を通じて、これらの有能な人材を戦略的に活用することで、新たな分野への進出や、競争力の強化を図ることが可能です。赤字事業の人材を有効に資産化し、彼らを適切なポジションに配置することは、事業譲渡による新たな成果と機会の獲得につながります。

赤字事業の事業譲渡における節税メリット

赤字事業の事業譲渡を行う場合、税制面や会計面でのメリットが存在します。赤字事業を譲り受けた企業は、その赤字を既存の利益事業と組み合わせることにより、全体的な課税所得を減少させることが可能です。この方法により、譲り受けた企業は節税効果を享受でき、財務状況の改善に寄与することが期待されます。

事業譲渡による買収のデメリット

前述の通り、事業譲渡は特定の事業部門や資産の取引に特化した方法として、多くのメリットがありますが、同時に留意が必要なデメリットもあります。事業譲渡を成功させるためには、これらのデメリットを認識し、適切な対応をとることが不可欠です。以下では、赤字企業の事業譲渡のケースにも触れながら、事業譲渡による買収のデメリットについて確認します。

譲渡対象の評価の複雑さ

事業部門や資産の真の価値を評価するのは容易ではありません。特に赤字事業の場合、過去の実績や財務データが不十分である場合や、将来の市場の動向が不透明である場合など、適切な評価が困難となります。これにより、価値に見合わない不適切な価格での取得や、意図しないリスクの取得となる可能性があります。

新たな雇用契約や手続きの煩雑さ

事業譲渡は、買収対象となる事業で働く従業員の雇用契約をそのまま引き継げない点に留意が必要です。事業部門の移行時には、譲渡される事業部門の従業員と新たな雇用契約や関連手続きが必要となります。新たな雇用条件の提示や、場合によっては労働組合との交渉など、多岐にわたる手続きが必要です。

異なる企業文化の融合の困難さ

事業譲渡に伴って移籍する従業員の円滑な受け入れと統合は極めて重要です。企業文化の違いや働き方のギャップを鑑み、従業員の士気を維持しながら統合を進めるには、詳細なコミュニケーションが不可欠です。特に赤字企業からの移籍の場合、業績不振によって従業員の意欲が低下していることも想定されるため、特に繊細な対応が必要になります。従業員の期待や懸念に耳を傾け、適時の情報共有とサポートを提供することが求められます。これらのプロセスが不十分な場合、従業員の退職や士気の低下が生じ、結果として事業運営に悪影響を与えるリスクが高まります。

契約や取引に関するリスク

事業譲渡には、買収する事業の過去の契約や取引に起因する潜在的なリスクが含まれる可能性があります。例えば、事業部門が過去に結んだ契約の中で、未来に生じる不利な条件が含まれている可能性や、特許や著作権の問題、隠れた環境問題など、事業の特性に応じた様々なリスクが考えられます。特に赤字企業の場合は、経営不振に起因して何らかのトラブルを抱えている可能性が高いこともあり、細心の留意が必要です。

おわりに

以上、赤字会社を事業譲渡で買収するメリットとデメリットについて解説しました。赤字会社の事業譲渡においても、様々なメリットがあることをご理解頂けましたでしょうか。一方で、特に赤字会社の事業譲渡のプロセスは複雑であり、留意すべきいくつかのデメリットが存在しますが、その対策には、専門家の支援や活用も必要不可欠です。事業譲渡の成功には、綿密な戦略策定と計画的な取り組みが求められます。これらの対応を着実に実行することで、事業譲渡の成功に近づくことができるでしょう。


債務超過の会社を買収するときのリスクとは

企業の買収(M&A)は、新しい市場への進出や業績の向上、シナジー効果の創出など、さまざまなメリットをもたらす重要な経営戦略の手段として認識されています。しかし、債務超過の企業を買収対象とする場合には、一般的なM&Aよりも特有のリスクが伴います。そこで本記事では、債務超過の会社を買収する場合に考慮すべきリスクやに焦点を当てて解説します。リスクを避けるためには何が必要か、また、それがどのように企業の経営戦略に影響を与えるのか、詳しく探っていきましょう。

債務超過の会社とは

債務超過とは、企業の総負債が総資産の価値を超えている状態を指し、その背後には様々な要因が存在します。所有する資産(機器、不動産、在庫など)の価値が負債(借入金、未払い金など)に対して劣るこの状態は、過去の投資失敗、市場環境の変動、経営方針の誤りなどから生じることが多いです。企業の存続が危ぶまれるほどの深刻な状態とも言える債務超過ですが、そのような企業には新たな再建の道として、M&Aが選択肢として考えられます。

債務超過の会社を買収する際のリスク

債務超過企業の買収は、経営再建や資産の有効活用、新たな市場での機会の創出といった意義を持ちながら、これらの企業が抱える財務的・経営的な固有のリスクには注意が必要です。買収を進める上で、これらのリスクをしっかりと把握し、適切な評価と対策を講じることが求められます。次の部分で、債務超過の会社を買収する際の主なリスクやその背景を深掘りしていきます。

財務的リスク

ここでは、債務超過の企業を買収する際に潜在的に存在する財務に関するリスクについて解説します。

財務状態の不安定さ

企業の財務状態が不安定であると、資金調達能力や将来の成長性が懸念されます。この不安定さは、資金繰りの問題、収益性の低さ、高い負債など、さまざまな要因に起因することがあります。不安定な財務状態の企業を買収することは、将来の経営の不確実性を増大させる可能性があるため、リスク評価を慎重に行う必要があります。

危険度が高い債務

買収を検討する企業が持つ債務の中に、高い金利、短期の返済期限、担保付きの債務など、特にリスクが高いものが存在する場合、注意が必要です。これらの債務は、買収後の経営資源を圧迫する可能性があり、買収の成功を阻害する要因となることも考えられます。

未明示の債務や資金繰り課題

企業の財務諸表には表示されていない、隠れた債務や将来的な資金繰りの課題が存在する場合、また資産価値の評価が不適切である場合等、これらは予期しないリスクとして買収後に表面化する可能性があります。デューディリジェンス(※買収先の詳細な調査や審査のこと)の過程でこれらの問題を明らかにし、適切に評価・対応することが重要です。

オペレーショナルリスク

債務超過の企業を買収する際、特にその財務状態から生じる、運営に関する課題や組織間の摩擦が生じる可能性があります。以下では、これらのリスクとその対策に焦点を当てて解説します。

継続的な業績の不振とその対策

債務超過の影響で買収先企業の業績が継続的に低迷している場合、原因の特定と対応策の検討が必要です。シナジーの創出や資源の効果的な統合により業績向上を期待することはできますが、すぐに効果が現れるとは限らないため、長期的な視点での取り組みが欠かせません。

組織文化と業務プロセスの統合における課題

買収する企業同士で組織文化や業務プロセスが異なる場合、統合時に摩擦が生じるリスクが考えられます。異なる文化や価値観をもつ組織の統合は、十分なコミュニケーションとリーダーシップを伴う取り組みが必要となります。人材の流出リスクにも配慮が必要です。

レピュテーションリスク

レピュテーションリスクとは、企業の評判やブランド価値が損なわれることにより、企業価値や業績にネガティブな影響が生じるリスクを指します。債務超過の企業を買収した際、特に再建プロセスの中での経営判断が、このリスクを増加させる場合があります。このリスクは、目に見えにくいものの、場合によっては事業運営への影響が大きく、押さえておくべき要点と言えます。

ブランド価値の減少

事業の縮小や人員削減が公になると、企業の評価や信頼性に影響が出ることがあります。ブランドは企業の価値を形成する要素で、その低下は間接的に業績にも影響を与える可能性があります。

ステークホルダー関係の悪化

買収時の再建プロセスや経営判断により、利害関係に衝突が生じ、取引先、従業員、地域社会などのステークホルダーとの関係が変わることが考えられます。適切なコミュニケーションは、これらの変化を緩和し、良好な関係を維持するためのキーとなります。

顧客信頼の喪失

サービスの品質や提供体制の変更により、長年築き上げた顧客の信頼に影響を及ぼすことが考えられます。これにより、顧客の離脱や収益減少のリスクが生じる可能性があります。

法律・規制リスク

債務超過の企業を買収する際には、それまでの業務や契約に関連する法律や規制の問題が影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクを事前に理解し適切に対処することが、スムーズな経営の継続や未来の問題を未然に防ぐために重要です。

法的な問題の継承

買収する企業が以前から抱えていた契約上の紛争や訴訟、その他の法的トラブルは、買収後も新しい企業に継承される可能性があります。これにより、意図しない法的費用や賠償責任、企業イメージへの悪影響など、多岐にわたる問題が生じることが考えられます。

規制上の制約や認可の必要性

特定の業界やビジネスモデルには、法規制や業界標準が存在します。債務超過の企業を買収することで、これまでとは異なる規制や認可の要件に直面することが予想される場合、事前の確認や調整が不可欠となります。

債務超過の会社を買収する際の対策

債務超過の会社を買収する際の成功への道筋では、先に触れたリスクを適切に管理し、対処していくことが求められます。これを達成するための具体的な対策の策定・実施が不可欠です。以下では、これらの対策とその取り組み方について解説します。

デューディリジェンスの実施

デューディリジェンスは、買収の初期段階で行われる重要な調査プロセスであり、買収対象企業の真の価値や潜在的なリスクを明らかにする役割を果たします。特に、財務諸表の詳細な分析と市場・競合の動向の調査を通じて、買収先企業の将来の展望や潜在的な課題についてより正確な理解を得ることができます。さらに、法的な側面も含めたデューディリジェンスによって、契約関連のリスクや法的課題についても透明性を高め、買収プロセス全体の信頼性を向上させます。

経営戦略と計画の明確化

買収後の成功のためには、明確な経営戦略と実行計画の策定が不可欠です。これには、新たな経営ビジョンの定義や、組織・経営陣の適切な配置・再編が含まれます。

ステークホルダーとのコミュニケーション強化

買収は企業だけでなく、多くのステークホルダーに影響を及ぼします。そのため、買収の意図や今後の方針を明確に共有し、持続的な関係性の構築を目指すことが必要です。

契約の戦略的活用

債務超過の企業買収においても、買収契約はリスク軽減のための重要なツールとして活用されます。例えば、アーンアウト契約は、企業の将来の業績に基づいて買収価格を調整する方法として知られ、買収のリスクを分散させる効果があります。この契約では、買収後の一定期間内に企業の業績が特定の目標に達した場合、追加の支払いが行われる仕組みとなっています。さらに、保証・補償条項を設定することで、特定のリスクに関連する責任を売却者側に求めることも可能です。

買収スキームの検討

買収スキームとしては、通常は株式譲渡が用いられることが一般的ですが、債務超過企業の場合は、事業譲渡や会社分割の手法を用い、過剰な負債の整理とともに行われるケースも多くなります。買収する企業の取引金融機関との調整などが発生するため、専門家に相談し、よく検討を行う必要があります。

おわりに

企業の買収は決して容易なプロセスではありませんが、適切な対策と計画を実施することで、その成功への可能性は大きく向上します。特に債務超過の企業を対象とする際、リスクをしっかり押さえて、対策することが不可欠です。デューディリジェンス、買収契約、リスク管理といった各段階での専門的サポートを取り入れることも重要です。これらのステップを踏みながら、買収プロセスを適切に進めることが、最終的なM&Aの成功の鍵となるでしょう。


赤字事業を事業譲渡で売却するメリット、デメリット

事業譲渡とは、ある企業が自らが運営する事業の一部または全部を、別の企業に移転させる手段です。事業譲渡を行う背景には多様な理由が存在し、それぞれのケースによって異なりますが、一般的には、資本やリソースをより効率的に使いたいという願望がある場合や、特定の市場やビジネスエリアから撤退する意志がある場合などが考えられます。このように、事業譲渡は企業の戦略において非常に重要な要素となる場合があります。また、事業譲渡は株式譲渡とは基本的に異なります。株式譲渡が会社全体を対象としているのに対し、事業譲渡は特定の部門や事業領域に限定されることが一般的です。

事業譲渡の特徴

事業譲渡とは、企業が自社の資源や事業を効率的に整理、再編するための手段として用いられます。

株主総会での承認は基本的に不要(ただし、例外あり)

事業譲渡の場合、全社を巻き込むわけではないので、株主総会での承認が一般的には必要ありません。ただし、譲渡される事業が会社全体に大きな影響を与える場合などは、株主総会での承認が必要になることもあります。

権利義務の移転は個別に行う必要がある

事業譲渡では、具体的に何が移転するのか、何が残るのかを個別に取り決める必要があります。これは、契約の複雑性が増す一方で、柔軟なアレンジが可能という側面もあります。

赤字事業の事業譲渡について

特に赤字事業を対象とした事業譲渡は、経営において重要な選択の一つです。その意義は、非効率な部分を切り離して、特定の事業へ集中する力を高めることにあります。また、早期に損切りをすることで、長期的なリスクを回避できる可能性もあります。

赤字事業の事業譲渡のメリット

赤字事業を事業譲渡することにはいくつかのメリットが存在します。不振事業からの撤退は資本の有効な再配分を可能にし、結果として企業全体の損失を最小限に抑えることにつながります。

資本の集中

非効率な事業、特に赤字を出している事業から手を引くことで、主力となる事業に資本を集中させることができます。これにより、企業が本来強みとする部分での競争力を高めることが可能です。

損切りの早期化

赤字事業を継続するコストとリスクを早期に排除することで、短期間内に財務健全性を向上させることが可能です。

企業価値の維持

赤字事業の存在は、企業価値にネガティブな影響を与える可能性がありますが、事業譲渡により経営効率の最適化を図ることで、企業全体としての評価を高く維持することにもつながります。

人材の再配分、再配置

赤字事業から撤退することで、その事業に関わっていた人材を他のより有望な事業に振り向けることができます。これにより、企業内の人材がより効率的に活用されます。

有用な資産の活用

譲渡先企業が赤字事業に含まれる人材、知的財産、顧客基盤などに価値を見出せる場合、それらの資産は新たな形で生かされます。これにより、元々の企業にとっては赤字事業でも、社会全体にとっては有益な資産として再活用される可能性があります。

赤字事業の事業譲渡のデメリット

事業譲渡には多くのメリットがある一方で、様々なデメリットも考慮する必要があります。特に負債の問題や、内外の関係者に与える影響、法的・税務リスクなどは特に注意が必要です。

債務の残存

譲渡先が債務を引き受けてくれるとは限りません。譲渡先との取引交渉の結果、譲渡した後も債務は元の企業に残る可能性もあり得ます。

社内外への影響

従業員や取引先との関係にも影響が出ることがあります。場合によっては事業の存続に大きな影響を及ぼします。このような影響を最小限に抑えるためには、事前のしっかりとしたコミュニケーションが非常に重要です。

法的・税務リスク

事業譲渡は、独占禁止法や税法など多くの法的制約に触れる可能性があります。これらのリスクを避けるためには、専門家のコンサルティングが必要です。特に税務については、譲渡がもたらす税制上の影響を深く理解することが大切です。

ブランド・評価への影響

赤字事業を売却または譲渡する行為自体が、市場での企業評価にネガティブな影響を与える可能性があります。事業の健全性をアピールするためにも、この影響を抑える配慮や対応が必要となります。

事業譲渡に伴う人の問題

事業譲渡においては、従業員との労働契約が非常にデリケートな問題となります。事業譲渡では、労働契約は自動的に新しい企業に引き継がれるわけではなく、従業員の承諾が必要とされています(民法625条)。このことには特に赤字事業を譲渡する際に十分な注意が必要です。

事業方針の説明

譲渡後の事業方針を従業員に明確に説明することが必要です。

従業員の処遇と待遇

譲渡先での従業員の処遇、待遇等も、事前にしっかりと確認し、可能な範囲で説明することが重要です。

条件交渉

譲渡の成立前に、従業員との条件交渉を行い、双方が納得する形での契約締結が求められます。

おわりに

事業譲渡、特に赤字事業の譲渡は重要で繊細な過程です。資本やリソースを効果的に活用するメリットがあり、赤字事業からの撤退は企業全体の競争力を高める可能性があります。しかし、法的・税務のリスクや関係者への影響も大きいため、慎重な準備が必要です。専門家のコンサルティングや徹底したコミュニケーションが成功の鍵です。赤字事業の譲渡はリスクとチャンスが密接に関連しており、戦略的なアプローチが求められます。


赤字会社の株式譲渡による買収のメリットとデメリット

M&Aは企業成長の一環として、また企業価値の最大化の手段として、多くの企業にとって重要な選択肢となり得ます。その対象は、業績の良い、利益を上げている会社に限らず、赤字会社もM&Aの対象とされるケースも存在します。赤字会社の買収には、コスト削減、市場シェアの拡大、事業の多様化、節税などの様々なメリットがありますが、当然ながら相応のリスクも伴います。本記事では、赤字会社の株式譲渡による買収の具体的なメリットとデメリットに焦点を当て、買収を成功させるためのポイントや戦略について詳しく解説します。

赤字会社の定義と特徴

赤字会社とは、支出が収入を超え、純損失を出している企業を指します。このような企業は、通常、財務の健全性が欠け資本調達が困難であり、経営リスクが大きい状況といえます。しかしながら、このような状況の企業も、M&Aの対象として有効なケースとなる場合があるのです。

赤字会社の買収がなぜ重要なのか?

赤字会社の買収は、新しい市場へのアクセス、未開拓の顧客層へのアプローチ、コストの効率化、さらにシナジーの創出など、多岐にわたるメリットを生む可能性があります。赤字会社が有する経営資源やノウハウを活かすこと、そして買収を実施する会社の経営力での再生により、新たな価値の創出が期待できます。もちろん、赤字会社の買収にはそれなりのリスクが存在します。しかし、的確な戦略と経営の手腕を備えた企業にとっては、これは未来への新たな扉を開く機会として捉えられます。

株式譲渡による買収の基本プロセス

本記事では、M&Aの手法の中で、株式譲渡を中心に解説します。株式譲渡を用いた買収は、買収先企業の株式を取得し、その所有権を移転するという流れから成り立っています。この過程には、両企業間での価格交渉や契約締結が含まれます。適切な評価と戦略策定は、買収の成功と企業価値の向上に重要な要因となります。赤字会社の再生や経営の効率化を目的としたこの手法は、企業のさらなる成長やビジネスモデルの多様化に繋がる重要な手段となります。

赤字会社買収のメリット

それでは、赤字会社の株式譲渡による買収の具体的なメリットについて、深掘りして解説していきましょう。

割安な価格で買収できる点

赤字会社の買収は、のれん代の計上が不要であるため、一般的に割安な価格での取引が期待できます。黒字転換に自信がある企業にとって、このような買収は極めて有利な「買い物」として捉えられるでしょう。

コストと資源の効率的な利用

赤字会社の買収は、単に経営状況の改善を目的とするだけでなく、その企業が所有する設備、人材、技術などの資源を効果的に取り入れるチャンスを提供します。この統合を通じて、生産や販売の規模が拡大し、スケールメリットを享受することが期待されます。さらに、重複する業務や施設の削減、特有の技術やノウハウの共有、そして強化された交渉力など、多岐にわたるコスト削減のメリットが得られます。これにより、新しい投資を大幅に抑えつつ、より効率的に事業を展開し、競争力を強化することが可能となります。

赤字会社の顧客基盤・ブランド活用による既存市場のシェア拡大

赤字会社が築き上げた顧客基盤やブランド力を獲得することで、短期間内に市場シェアを拡大することが可能となります。特に、そのブランドがすでに市場での認知度や信頼性を持っている場合、新規顧客の獲得や既存顧客のロイヤリティ向上に繋がり、これに伴い売上の増加が期待されます。

新しい産業や市場への進出と新たな成長機会の獲得

赤字会社の買収を通じて、その会社が展開していた新しい産業や市場への進出が容易になります。これにより、ビジネスの多様化が進み、リスクの分散や新たな成長機会を追求することができます。

赤字会社の損失を利用した節税のメリット

赤字会社が有する繰越欠損金を活用することにより、節税メリットを享受することが可能です。具体的には、この繰越欠損金を将来の所得に対して相殺することで、法人税の負担を実質的に軽減することができます。このように、繰越欠損金の適切な活用は、税金負担の減少という形で企業経営にプラスの影響をもたらします。

赤字会社買収のデメリット

赤字会社の買収には数々のメリットが存在しますが、同時に取り組むべき課題や潜在的なリスクもあります。これらのリスクに適切に対応しないと、経営に損失をもたらす可能性が高まります。本セクションでは、買収を進める上での主なデメリットや注意点について検討します。

財務と経営の不透明性からくるリスク

赤字会社の財務や経営状態の不透明性は、買収後の予期しない問題の原因となることがあります。実際の業績や健全性が予測と異なる場合、想定外のリスクへの対応が必要となることも考えられるため、事前の調査と分析が不可欠です。

経営改善に向けた時間と資源

赤字会社の経営状態を改善するためには、予想以上の時間や資源の投入が求められる場合があります。その上、シナジーを発揮することや予測したメリットを実現する過程が難航すれば、期待した利益を得ることができないだけでなく、結果として損失を被る可能性もあります。そのため、これらのリスクをしっかりと評価し、適切な対策を講じることが不可欠です。

組織・事業統合による経営の複雑化

異なる組織や事業の統合には、多くの調整やコミュニケーションが求められます。これにより、経営が一時的に複雑化する可能性があり、スムーズな運営の確立には緻密な計画や適切な戦略の導入が欠かせません。

企業文化の違いと組織内での課題

異なる企業文化や経営方針の違いは、組織内の摩擦やコンフリクトを引き起こすことが考えられます。特に、買収後の統合フェーズにおいて、両社の価値観の調和や従業員のモチベーションの維持が重要となります。

買収を成功させるための戦略とポイント

買収には大きなリスクが伴いますが、そのリスクを適切に管理し、事前の計画と戦略を確固たるものにすることで、成功確率を高めることができます。ここでは、赤字会社を買収する際の主要な戦略とポイントを詳しく検討していきます。

赤字の原因の正確な分析

赤字会社を買収し、再生させるための鍵は、その企業がなぜ赤字になったのかの原因を深堀りすることです。市場の変化、競合との関係、組織の内部課題など、様々な視点からの詳細な分析を行い、真の原因を正確に特定することが必要となります。

デューデリジェンスと買収リスクの詳細分析

デューデリジェンスは、買収対象の全体的な状況を詳細に調査・分析するプロセスを指します。この調査を通じて、隠れているリスクや問題点を早期に特定し、適切な評価を行うことができます。具体的には、財務ではその会社の経済状況、法務では法令遵守や潜在的な法的リスクを確認、事業の側面では市場の動向や競合との関係を分析することで、正確な情報を得られます。

適切な評価額の算出と経営改善策の立案

デューデリジェンスから得られた情報を元に、買収先の将来の見通しや期待されるシナジーを踏まえて、正確な企業価値を算定します。この評価を基に、最適な買収価格を設定します。さらに、買収後にどのような経営改善や事業戦略を進めるかの計画も重要で、これにより買収が成功へと導かれます。

M&A専門家活用によるサポートの受け入れ

M&Aはその過程や評価が複雑であり、専門的な知識や経験が不可欠です。このため、M&Aのプロフェッショナルや関連業界の専門家のアドバイスは、効果的な判断を下す上で極めて有益です。交渉の進行や企業価値の適切な評価など、難解な局面においても、これらの専門家の知見は大きな支えとなります。

おわりに

赤字会社の買収は、新たな成長の機会や戦略的価値を提供するとともに、一連のリスクと課題を有しています。買収のメリットを最大化し、デメリットを最小化する鍵は、赤字会社特有のリスクを深く理解し、適切に管理することです。事前のデューデリジェンスや専門家のアドバイスは、赤字の原因を明らかにし、買収後の経営改善策を策定する上での助けとなります。法令の遵守や適切な価値評価も、買収の成功を確実にするための不可欠な要素です。赤字会社の買収には、これらのポイントに留意しつつ、取り組むことが求められます。


Reset M&A(債務超過企業専門のM&Aマッチングサイト)について、取材を受けました。

当社代表の津田が、マックス山本TV(株式会社M&Aスタジオさま運営)より、取材を受け、Youtubeで動画が公開されました。

Reset M&A について、詳しく解説されています。

【日本初!債務超過企業がM&Aで蘇る】債務超過企業専門のM&Aマッチングサイトとは?【ジーケーパートナーズ/津田敏夫/第1回】

今回の動画では「債務超過企業」専門のM&Aプラットフォーム「Reset M&A」を運営されているジーケーパートナーズ津田社長のインタビューをお届けします。一般的に「債務超過企業」は買い手がつかないように思われがちですが、実はきちんとしたマッチングとノウハウを持つプロフェッショナルが関わることでM&Aが成立する可能性は十分にあるとのこと。気になるその理由を深掘りして伺っていきます。


Youtubeチャンネル「マックス山本TV」さまの動画が公開されました。

当サイトReset M&Aが、マックス山本TV(株式会社M&Aスタジオさま運営)より、取材を受け、Youtubeで動画が公開されました。

Reset M&A について、詳しく解説されています。

【日本初!債務超過企業がM&Aで蘇る】債務超過企業専門のM&Aマッチングサイトとは?【ジーケーパートナーズ/津田敏夫/第1回】

今回の動画では「債務超過企業」専門のM&Aプラットフォーム「Reset M&A」を運営されているジーケーパートナーズ津田社長のインタビューをお届けします。一般的に「債務超過企業」は買い手がつかないように思われがちですが、実はきちんとしたマッチングとノウハウを持つプロフェッショナルが関わることでM&Aが成立する可能性は十分にあるとのこと。気になるその理由を深掘りして伺っていきます。


赤字会社を株式譲渡で売却するメリットとデメリット

今日の経営環境は、グローバル化や技術革新、消費者の価値観の変化など、様々な要因によって絶えず変わり続けています。このような環境下で、企業は事業戦略や組織の構造を柔軟に見直し、必要に応じて組織再編を進めることが求められます。例えば、業績が厳しく赤字に陥っている会社においては、株主の変更を伴う株式譲渡という選択を考える場面があります。このような選択を前にする時、そのメリットやデメリット、成功の鍵や買い手の視点は何か、この記事では、これらのテーマを深掘りしていきます。

赤字会社の株式譲渡のメリット

赤字会社における株式譲渡は、企業が様々な困難を乗り越えるための手段として検討されますが、その背景には、以下のようなメリットが存在することがあります。

資金調達による経営の安定

赤字会社への投資や買収を検討する新しいパートナーは、多くの場合、会社の将来に向けた独自の戦略やビジョンを持っており、彼らの参入により、新たな資金調達の道が開かれることが期待されます。新しい株主が資本を追加注入する、あるいは新しい資金調達手段を提案・紹介することによって、資本が増強され、M&Aで経営の安定化や再建を促進できる可能性があります。

事業再編や選択と集中の機会獲得

株式譲渡を通じて新しい経営陣や投資家が参入することで、企業の事業構造や経営方針の再評価が促進される場合があります。これにより、不採算な部門や非中核事業の切り離し、主要な事業領域への資源集中が進むことで、競争力の向上が期待されます。

新しい経営リソースやノウハウの取得

譲渡先の企業からの新たな視点や経営資源を取り入れることができるのも、株式譲渡のメリットの一つです。特に、経営が困難な状況の企業にとって、譲渡先の企業の経験や専門知識を取り込むことで、新たな成長戦略の策定や事業の再構築が進めやすくなります。

赤字会社の株式譲渡のデメリット

赤字会社の株式譲渡におけるデメリットは、多面的に考察する必要があります。以下がその主なポイントです。

事業の価値やブランドの低下

経営上や財務上の問題等から株式譲渡が行われる場合、こうした背景が公になると、外部から見た企業の信用性や事業の健全性に疑念が持たれることがあります。また事業の継続や将来の成長に対する見通しが不透明となり、特に、顧客や取引先からの信頼が企業の価値に大きく影響している場合、ブランド価値や事業の評価が低下するリスクが高まります。これにより顧客との関係維持が難しくなるだけでなく、新たな取引の獲得が困難になる等の影響が考えられます。

企業文化や価値観の摩擦

譲渡先企業との間で、企業文化や価値観の違いから組織内での摩擦や対立が生じる可能性があります。これらの問題が解消できないと、企業の生産性や業績に悪影響を及ぼすことが考えられます。このような背景から、株式譲渡後のスムーズな組織統合は極めて重要とされています。特に、PMI(Post Merger Integration:ポスト・マージャー・インテグレーション)と呼ばれる企業統合のプロセスでは、異なる文化や価値観をどのように調整・融合していくかがキーポイントとなります。

赤字会社の株式譲渡の成功のための要点

赤字会社の株式譲渡を成功に導くためには、単に経営権を移譲するだけでなく、いくつかの重要な要点を押さえる必要があります。以下では、その要点について詳しく解説します。

赤字会社の財務透明性を高めるためのポイント

赤字会社の株式譲渡を考慮する際、財務の状況を正確かつ透明に伝えることは大前提となります。買収や投資の意向を持つ外部の関係者に、企業の現状やリスクを適切に示すことで、意思決定のスピードや精度が上がると考えられます。具体的には、財務諸表の詳細な整理や、そのデータの客観的な分析が挙げられます。また、財務の専門家と連携し、資本構造や債務状況の正確な説明を行うことも重要です。

経営の課題と改善策の提示

経営の課題を明確にし、それに対する改善策を具体的に提示することは、株式譲渡の信頼性と透明性を確保する上で欠かせない要素です。この際、新しい株主との綿密なコミュニケーションを取りながら、具体的な行動計画や期限を設けることが重要です。その結果、ステークホルダー、特に新たな株主は、企業の改革意欲や将来の方向性をより明確に感じ取ることができるでしょう。

不採算部門の整理、再構築

赤字会社には、業績悪化の原因となる不採算部門が存在することがあります。これらの部門や事業を特定し、整理、再構築を行うことで、企業は経営資源をより有効な部門に注ぐことができます。これにより、全体の効率を向上させるだけでなく、競争力の強化にもつながります。

既存の顧客や取引先との関係の強化

赤字会社の株式譲渡において、顧客や取引先との信頼を維持することは成功の鍵といえます。譲渡の意図、背景、そして新しい方針やビジョンを早期に明確に伝えることで、不安や疑念を解消することが可能となります。常に対話の窓口を持ち、ビジネスの持続性を確保する姿勢を伝えることで、顧客や取引先との関係をさらに深化させ、株式譲渡の成功確率を高めることができるでしょう。

従業員のモチベーション維持

赤字会社での株式譲渡は、従業員に不安を与えることが考えられます。そのため、株式譲渡の理由や目的、今後の展望をしっかりと伝え、従業員の疑問や懸念に応える姿勢が求められます。事業の将来像や方向性を明確にし、モチベーションや士気の維持を目指すための開かれたコミュニケーションを心がけるべきです。

買い手の視点を意識した売り手側の戦略と対応

赤字会社の買収を検討する買い手は、リスクを背負う一方で、新たなビジネスチャンスを求めています。売り手側としては、この買い手の視点を深く理解し、スムーズな取引を実現するための努力が求められます。以下、買い手の期待や懸念を把握した上での戦略的な対応について、いくつかのポイントを紹介します。

買い手の意図の深堀り

買い手の目的や背景をしっかり把握することは交渉の第一歩です。売り手として、買い手の長期的なビジョンや買収先企業への期待を理解し、それに応じたアプローチを考える必要があります。

シナジー効果の提示

買収後の付加価値やシナジー効果を明示的に示すことで、取引の魅力を高めることができます。具体的な事例やデータを元に、株式譲渡がもたらす利益をアピールすることは重要です。

透明性の確保とリスクの最小化

情報の透明性は、買い手の信頼を獲得する鍵となります。全ての関連情報を公開し、隠れた課題がないことを確認させることが重要です。そして、赤字企業特有のリスクを明確に伝え、それをどう最小化していくのかの計画を共有することで、買い手の懸念を軽減することができます。

柔軟な価格交渉

赤字会社は不確実性が高く、その企業価値の算定が複雑で困難になりがちです。企業の将来性、資産の価値、市場の状況などを考慮しながら価格を決定する必要がありますが、投資家や買収者の評価基準が一様でないため、合意を得るのが難しくなります。このため、両当事者が互いの視点を理解し、客観的なデータを共有して交渉を進めることが重要です。

おわりに

以上の通り、赤字会社の株式譲渡は、経営再建の一つの方法としての大きな可能性を秘めています。しかし、その過程は数々の課題やリスクを伴います。売り手側としては、買い手の視点を深く理解し、双方の利益と将来像を明確にすることが不可欠です。その上で、適切な戦略と綿密な計画を練り、コミュニケーションを密に取ることが、成功への道筋となるでしょう。


債務超過の企業を売却するメリットとは?

企業が債務超過に陥ると、その影響は極めて深刻であり、資金繰りの悪化、業績の低下、取引先やステークホルダーからの信頼の喪失など、問題は多岐にわたります。これらの問題が深刻化すると、企業の存続自体が危ぶまれることもあります。しかし、このような厳しい状況下でも、企業売却という選択肢を選ぶことで新たな道を切り開くことが可能です。本記事では、債務超過の危機を乗り越えるための方法として、債務超過の企業売却の具体的なメリットと、その成功のためのポイントについて詳細に解説します。

債務超過企業の課題

債務超過とは、企業の負債が資産の価値を上回る状態を指します。この状態に陥る理由には業績の悪化、過剰投資、市場環境の急変、経営判断の誤りなど、様々な内外の要因が重なることで発生することが一般的です。

財務の悪化

企業の財務状況が悪化し、債務超過に陥ると、信用力の低下が生じます。この結果、新たな資金の調達が困難となり、さらに運転資金の確保など資金繰りが厳しくなっていく可能性があります。

企業イメージの低下

債務超過であることが顧客や取引先に知られると、企業の信頼性やブランドイメージの低下を招きます。また信用力が低下すると、取引条件の見直しを迫られることや新規取引先の開拓が困難になるなど、様々なビジネス上の問題を引き起こす可能性が生じます。

従業員のモラールと生産性の低下

不安定な経営状況は、従業員のモラールの低下を招き、生産性を下げるという負のサイクルにつながる可能性もあります。債務超過に陥ったことで、従業員が雇用の継続や報酬の減少などに不安を感じるようになり、これが組織全体の活力の喪失や経営力の減退を引き起こすことも少なくありません。

将来の事業展開への制約

債務超過に陥ると資金が不足するため、新たな投資や事業の拡大など、企業が成長するための選択肢が限定されてしまいます。また経営上の制約が大きくなり、競争力を失いかねません。さらには先行きが見えず、長期的なビジョンを描くことが困難になります。これらの制約が会社の成長を阻害し、さらなる業績の停滞を招く可能性もあります。

債務超過の企業売却のメリット

債務超過は、財務の問題にとどまらず、企業イメージの悪化、組織のモラール低下など、多岐にわたる深刻な問題を引き起こします。そのような企業の存続さえ危ぶまれる危機的状況を打破し、健全な状態へと戻すための選択肢の一つが、企業の売却です。

売却される企業のメリット

債務超過の企業には、次のような売却のメリットが挙げられます。

新たな経営資源の獲得

企業の売却は新しい株主からの資金注入や新たな経営資源をもたらします。経営資源の拡充、最適化によって、企業再生の道が開けることになります。また、新たな経営陣によって、従来とは異なる経営の視点や手法を導入されることで、企業のパフォーマンスが向上し、経営が上向くことが期待されます。

成長や業績改善をもたらすメリット

債務超過の問題が解消された場合、新たな経営陣の下で、企業は長期戦略を再定義し、新たな市場への進出やビジネスチャンスの追求が可能となります。結果として企業の成長や業績の改善につながる可能性が高まります。

従業員・ステークホルダーへのメリット

企業売却によって経営状態が安定化すれば、従業員や顧客、取引先、地域社会を含むステークホルダーの利益につながります。また従業員の雇用の安定化が図られることで、職場環境の改善とモラールの向上も期待できます。その結果、企業の活力も回復し、生産性の向上にも寄与すると考えらます。従業員とステークホルダーにとって安定感のある経営環境が取り戻されることで、最終的に企業の社会的な評価も向上することでしょう。

債務超過企業の売却を成功に導くポイント

ここでは、債務超過の企業売却を成功に導くためのポイントを示します。

企業価値の評価と売却先の選定

債務超過の企業売却においては、適正な売却価格を算定するため、適切な企業価値の評価のプロセスが重要です。ヒト・モノ・カネ・情報の資源を整理して、デューデリジェンス(事前調査)に備えることが必要です。その際、正確かつ客観的な評価を実現するため、専門家の助けを借りることも欠かせません。そして企業の将来性や経営の継続性を確保するため、適切な売却先を見つけることが求められます。売却先企業の業界の知識、経営資源、将来ビジョンなどが検討される必要があり、さらに企業文化の融合についても考慮されるべきでしょう。

情報開示と透明性の確保の重要性

債務超過の企業売却においては、特に情報開示をスムーズに行い、透明性を確保することが不可欠です。売却に関する重要な情報や財務データを適切に開示することで、買い手との信頼関係を築くことができます。これは売却プロセスを円滑に進めるための必要な条件です。また適切な情報の開示は、売却先企業が企業のポテンシャルを理解し、企業価値の評価を行うためにも必要なことです。透明性の確保は売却に関わるリスクを抑える効果も生むことでしょう。

交渉プロセスの円滑化と専門家の支援

複雑な売却プロセスをスムーズに進めるためにも、M&Aのアドバイザーや法律家、税理士などの専門家の支援を得ることも重要です。経営者の判断と専門家のアドバイスが相互的に補完されることで、交渉が円滑に進み、売却成功の可能性を高めることができるはずです。

おわりに

債務超過の企業が、その困難な状況を乗り越えるための一つの選択肢が企業の売却です。売却された企業には新たな経営資源の獲得によって業績改善の可能性が高まることが期待されます。さらに、従業員やステークホルダー全体にも安定感がもたらされ、企業の社会的な評価の向上にもつながることでしょう。売却を成功に導くためには、適切な企業価値の評価と売却先の選定、スムーズな情報開示と透明性の確保が必要です。また専門家の支援も欠かせません。債務超過の企業が売却を検討する際には、これらのメリットとポイントを十分に考慮した上で、戦略的に取り組むことが必要です。


債務超過会社を買収する企業の特徴とは?

債務超過という困難な状況にある企業でも、一部のケースでは売却が可能なことがあります。特定の企業は、債務超過会社の将来的な価値やシナジーを見出し、買収を検討する可能性があるからです。本記事では、債務超過会社を買収する企業の特徴、売却時のポイント、そして適切な売却先を選ぶ方法について詳しく説明します。債務超過会社の売却を検討する経営者やM&Aの機会を模索する読者にとっての参考になれば幸いです。

債務超過に至る背景

債務超過は、企業の負債が所有する資産を上回る状況を指します。これは、自社の価値を超える借金を抱えてしまっているという状態で、経営困難やビジネス環境の大幅な変化によって収益が悪化し陥ることが多いです。特に、債務超過が長期化すると、金融機関からの融資が厳しくなる、資金繰りに困難が生じるなどの問題が発生します。状況が悪化し続けると、法的な手続きを通じた企業再建を余儀なくされることもあります。

債務超過会社の基本的な説明と背景

債務超過の原因は多岐にわたります。売上の減少、リスク管理の失敗、または経済環境の急変などが主な原因となります。これらが重なると、企業の資金流動性が悪化し、事業の継続が困難になることもあります。

債務超過会社の状況と課題

債務超過の窮地から抜け出すための手段として、増資により純資産を増やす、収益改善の計画を立てる、借金を整理する、ビジネスの構造を見直すなどの選択肢があります。ただ、これらの対策がうまく進むかどうかは、その企業の具体的な状況によります。時として、自社の一部や全部を他の企業に売却し、新たなパートナーシップを結ぶことも一つの解決策となり得ます。

債務超過会社を買収する企業の特徴

債務超過会社を買収する理由、買収を意図する背景について詳しく解説します。

債務超過会社を買収する理由

債務超過会社を買収する理由は企業ごとに様々です。例えば、独自の技術や知識を保有している債務超過会社は、買収企業にとって競争力強化の一助となることがあります。また、債務超過会社の業界や市場に対する深い理解とネットワークを通じて、新たなビジネスチャンスをつかむことが可能となる場合もあります。

買収企業の特徴や背後にある意図

債務超過会社を買収する企業は、一定のリスク管理能力や、独自のビジネスビジョンを持っていることが特徴的です。これらの企業は、買収のリスクを最小化しつつ、債務超過会社の経営資源を取り込み、またその再生を通じて新たな価値を創出することを目指します。

債務超過会社の売却時のポイントと留意点

債務超過会社の売却は困難に見えるかもしれませんが、適切な手法と戦略を用いれば、売却の可能性を高めることは可能です。ここで重要なのは、自社の価値を正確に評価し、強みを引き立てる方法を見つけること、そして、買収を検討している企業の意向を理解し、その期待に応えることです。

戦略的な売却進行の留意点と手法

売却はただ会社を手放すだけではありません。それはビジネスの価値を最大限に引き出すための一歩です。何を、いつ、そして誰に売るかを決定するためには戦略的な思考が必要です。これは自社のリソースを再評価し、強みを再確認する作業でもあります。そして、会社が直面している問題とその解決策を明らかにし、伝えることが、売却を成功させるための重要なステップとなります。

売却の準備とデューデリジェンス(事前調査)

売却の準備は、自社の全ての情報を整理し、買い手が評価しやすい状態にする作業であり、それは会社の会計情報、法的状況、過去の業績などを詳細に整理し、明確にするというステップを含みます。一方、売り手としては、このプロセスを通じて自社の価値を最大限に引き出し、最適な売却条件を追求することが可能になります。買い手による情報調査のプロセスはデューデリジェンス(事前調査)と呼ばれ、これは適切な価格設定と売却成功のための不可欠な工程と言えるでしょう。

債務超過企業が売却先を選択する際のポイント

M&Aにおける債務超過状態の売り手企業は、売却先を選択する際に特定のポイントを考慮する必要があります。ここでは、債務超過状態の売り手企業が注目すべき3つの重要なポイントについて解説します。

売却先の財務安定性と信用力の評価

債務超過状態の売り手企業は、売却先の財務安定性と信用力を慎重に評価する必要があります。売却先が財務的に健全であり、信用力が高ければ、売り手企業の債務超過状態を解消するための十分な資金を提供できる可能性があります。財務評価や信用格付けなどの情報を入手し、売却先の財務状況を確認することが重要です。

売却先の業界知識と経験の重要性

売却先が売り手企業の業界に精通しており、経験豊富であることは重要な要素です。売却先が同様の業界で成功を収めている場合、債務超過状態の売り手企業を再生させる可能性が高まります。売却先が業界のトレンドや課題に精通していることで、債務超過状態の売り手企業の持つポテンシャルを最大限に引き出すことができるでしょう。

売却先の提案内容と戦略の評価

売却先の提案内容と戦略を評価することも重要です。売り手企業は、自社の債務超過状態を克服するための具体的な提案や戦略を持っている売却先を選ぶことが望ましいです。売却先が負債再編成や資本注入などの手法を提案し、その実施可能性や成功の可能性を示すことが求められます。売り手企業と売却先のビジョンや目標の一致も重要な要素として考慮されるべきです。

売却条件取り決め上の留意事項

債務超過企業が買収企業との売却条件を決める際には、以下の点に留意が必要です。

新たな経営体制と旧経営陣の関与

売却後の経営体制に関する取り決めが必要です。経営陣が総入れ替えになる場合もあれば、売却後も旧経営陣が一定の役割を果たすことで、企業の安定性や継続性を保つケースもあり得ます。予め旧経営陣の関与の仕方や円滑な経営の移行計画を策定し、売却後の企業運営を安定的に進めるために留意する必要があります。

従業員の継続雇用と処遇の取り決め

売却時には、従業員の継続雇用と売却後の処遇についての取り決めが欠かせません。債務超過企業においても、従業員の雇用継続が従業員の安心感や企業の持続的な運営に重要な役割を果たします。従業員の雇用条件や福利厚生の維持、労働条件の継続などについて買収企業との合意形成が必要です。従業員が受け入れやすい条件を検討し、売却後の従業員の処遇について適切な措置を講じることが重要です。

従業員への伝達と意思確認のプロセス

売却時には、従業員への情報伝達と意思確認のプロセスも重要な要素です。適切なタイミングで従業員に情報を提供し、売却の理由や将来の展望を明確に説明することが必要です。従業員の意見や懸念に真摯に向き合い、従業員とのコミュニケーションを通じて理解と協力を得ることが重要です。

おわりに

本記事では、債務超過会社の売却に際して、買収を望む企業の特徴に焦点を当てて解説しました。債務超過の状況にある会社を買収しようとする企業の特徴を理解し、売却時のポイントを踏まえながら、適切な売却先を検討することで、厳しい状況でも売却の可能性を高めることができます。これらの対策を講じることで、あなたの会社の再建への道が開けるかもしれません。着実に前進し、未来への可能性を広げましょう。


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